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《文学の探求シリーズ一覧》

白い紙

作者: 賀茂川家鴨

 白い紙に、黒い雫を一滴落とす。

 ぽちゃん。

 もう戻らない。


 白い世界に、ひとつの意味が生まれた。

 僕らは、誰かに記憶を伝えるため、記録する。

 自然。こころ。すべて。


 黄色い紙、赤い紙、色とりどりの紙が輝いていた。

 白い艶やかな紙には、金色のカバーがかけられている。

 僕には不要なものだった。


 あちこちでネオンカラーが主張する。目がチカチカした。

 まばゆい光が意味を屈折させる。歪んだ意味が僕らを魅了する。

 僕は、きらびやかなネオンが、どうしても好きになれなかった。


 色紙はどんどん増殖する。

 同じ顔をした紙達が、塊になって、ほかの紙を飲み込んでいく。

 大きな塊が、小さな塊を、むしゃむしゃと食べていく。

 多くの人は気にも留めない。

 僕は、破れた紙片を掃除する。


 塊は、大きくなりすぎて、重みに耐え切れずに潰れてしまった。

 塊を失った人間達は、新しい塊を求めてさまよい歩く。

 もう、ここには、僕のような物好きしかいない。


 また、白い紙に、黒い雫を落とす日々がはじまる。

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銀色の彼女(《文学の探求シリーズ》)
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