第7話
「あぁ、今、私達にとってファフニールは最大の敵だ。私達も討伐のために全てを注いでいるが、結果は全て惨敗となっている。私の軍は、ドランドの新鋭達と同盟を組んでいるが、それも失敗だった。そこでわかったのが君の転生だ。初めはここに来る予定はなかったのだが、“神”がどうにかしてくれて、君をこの世界に転生する事が出来たんだ」
おっちゃんって意外と神よりも凄いんだなと蓮は思った。
「そこで君に伝えたい事がある」
「なんだよ、おっちゃん」
不思議そうな目でクロムを蓮が見るのに対し、案外ガチめな目でクロムは蓮を見ていた。そこで発せられた言葉はーー
「梶沢蓮、私の名を受け継いで欲しい」
やはり、蓮の頭を壊すには十分すぎる事だった。蓮はまたもやフリーズ状態に入ってしまった。
「名を受け継ぐって事は、つまり、俺が魔王になるってことか?」
「いや、そうではない。名を受け継ぐという事は、私と同等な力を手に入れる事ができる、という事だ」
つまりそれは、“魔王”の力を使う事ができるという事だ。しかし、またもや蓮に疑問が生まれた。
「そんじゃあ、それを軍の奴らにすればいいんじゃね?」
「そううまくいけばいいのだが、受け継ぐ事が出来るのは、“魔王”、つまり私と同じ力を持っている者なの
だよ。もしそうで無いのなら、当然の如く、その力に耐えきれなくなり、肉体は滅びてしまうだろう。しかし、君は転生者。つまりこの世界とは違う世界から来た者だ。だから君は例外なのだよ」
何を言っているのかわかっていないそこの読者の君にこの私、クロムが説明しよう。私は自分と同じ力を持った者に自分の力、つまり“魔王”の力を与える事ができる。しかし、私に劣る力のものは、その力に耐えきれない。よって、死んでしまう、という事だ。しかし、蓮は、転生者であるから、このユースティクスの者ではない。だから、つまりだな……そういう事なのだよ。
「つまりだな、要約すると、俺が転生者で例外な力を持っているから、普通の奴じゃ耐えきれない力にも耐えきれる。そしてそれでファフニールを倒してこいってわけだな」
さっきまでフリーズしていたのにすぐに情報処理ができた蓮。さすが秀才、とでも言えるほどだ。
そして蓮はこうも思っている。ファフニールを倒す事ができるのは、俺しかいない。つまりこの世界は、まさにオレTUEEEEだ!、と。
「よしわかった、おれがおっちゃんの力受け継いで、ファフニールを倒して来てやる」
「わかった。それでは継承を始める」