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無限空想世界の幻想的な物語  作者: 幻想卿ユバール
第五章 悪夢編
90/150

無限空想世界の幻想的な物語~悪夢~ 第3話  「目覚めよ伝説」

もし君は物語の登場人物、物語の主人公だったらどうする?

君は選択肢をいくつか迫られると思うんだ。

その時君はどれを選ぶ?

安定そうな優しい言葉、危険だけど選んでみたい言葉、なに言ってるか理解されてるかわからないけどカッコイイ言葉・・貴方はどれを選ぶ?

例えばだけど恋愛ゲームの主人公がいるじゃない。

大好きな攻略対象がいるとしてあなたはノーマルにクリアしようとするでしょう。

ですが・・実につまらないですね・・何者の妨害のない恋愛ゲーム。

波乱もクソも無い恋愛ゲーム・・。

貴方はなんのストレスも感じなかった作品で独自の神ゲーと言っていませんか?


「それは・・甘えです」


クソ要素、無駄にあった素晴らしい要素、胸糞展開など・・ありとあらゆる要素が入ってもなおそれに値するクソゲー・・。

演出ともにストーリーが一体となって奏でる作品のハーモニー・・これが神ゲー。

それは批判が来てこそ初めて成立、高評価が来ても成立。

二つの賛否両論が描く世界こそ最高の楽曲なんです。


「甘っちょろいヌルゲーをちょっとかじっただけで【神ゲー】と【クソゲー】と・・貴方たちは他に言葉を知らない」


本当の意味でのクソゲーは存在するのに高々自分の思い通りにならかっただけでクソゲー。

そんな評価に値する価値は無いのにちょっと自分が見た事ないだけで神ゲー。

いつから言葉のバーゲンセールは始まったのか。

でも、私は別にそれを止めろとも言わない・・永遠にそうやって生きればいい。

お前がそう思うならそうなんだろうな・・お前の中ではな?


「これは個人論ですが・・自分を理解できる者は自分のみです・・誰かきっと褒めてくれる・・きっと誰かが分かってくれる・・世界はなぜ僕を理解できない・・はぁ・・」


聞き飽きたんですよね・・それ。

理解できないは当然・・認めてくれないじゃない・・貴方の勝手なわがままですよ・・世界は常に自分の思うがままに生きられるはずです・・自暴自棄になって美しい世界に花を咲かせる事も重要でしょう・・ですがどうかそんな風に考えないでください。

世界は悪くありません・・他人も悪くありません。

悪いのは自分・・自分から変わればきっと世界が変わって見えます。


「どうして我慢してるのは私だけ?どうしていつも分かってくれないの?」


それは貴方だけで実は我慢してるのは相手かもしれない。

貴方は流れるプールはご存知ですか?

アレ、子供の時逆走していた子とかいませんでしたか?

なんだか迷惑ですよね~・・それと同じです。

向こうからしてみれば同じですよ、せっかく流れそってプールを泳いでいたら急に逆走。

そりゃあ分かってもくれませんわ・・。

つまりあなたは逆走を止めればいいんですよ・・もしくはそれが嫌ならプールから出なさい。


「人生はクソゲー・・」


貴方はまるで自分で生まれて来た様な言葉を使うのね。

産みの苦しみを知ってる?

貴方は決して一人でここまで生きたわけじゃない。

お母さんとお父さんが必死に頑張って育ててくれたことに対して何も感じず。

まるで自分が悲劇のヒロイン・・むしろ悲劇は親なのにね!

人生がクソゲーと言えるのなら・・よっぽど時間がおありの様ね。

それってなーに?何に使ってるの?あるならその無駄な時間わけてほしいわ。

クソゲーと決めつける前に・・まずあなたは持てる力全てを出しなさいよ。

まだ動けるわよね?まだ考えられるわよね?


「あいつは障碍者・・アスペだよアスペ・・スペクトラムはこれだから・・」


障碍者がまるで人間じゃないみたいな言い方ね!

じゃあ。

他に何の生命体で彼らは一体何によって生まれて来たのか正確な理論は述べてほしいわね。

彼らだって命を持った【人】です。

たとえしゃべらなくても、足が無くても、目が見えなくても人です。

それ以外にありません・・まるで自分が植物連鎖の頂点みたいに言うのね。

人間て不思議よね、長く生きただけそうやって自分が天狗の様に考えられる。

自分は王様、きっと図が高いから声を上げて道を開けてもらえる。

悪いことは全部アスペのせいにしちゃえー!


「・・はっ・・ダッサ」


要するにそれって・・ただの責任転嫁・・言い訳ですよね?

もしかしたら自分が悪いのかもしれないのにその人を叱る。

まるで自分が悪くないみたいにその人にあたる。

彼らこそ本当に救いを求めているんです・・彼らこそ言っていいんです。

【人生はクソゲー】だと・・そりゃ言いたくもなります。

誰にも理解されない・・誰にも自分の事など理解できないと。

何故彼らは言えるのか・・それを体験した人物が大半だからです。

悪気はないのに・・ちょっと言ったらすぐ厳しく叱る。

面と向き合えないくせに・・まるでわかった様にしゃべる。


「ハッキリ申し上げると・・貴方はもしかして【自分】に捕らわれてませんか?」


世の中には恐るべき存在が一ついます。

自分と言う存在です。

これは【他人】がいて初めて理性・自我・軸がしっかりとする生命です。

ですがもし他人がいない自分はどうなるか。

理性なんてないし自我なんてないし軸はありません。

そうしてだんだん制御できない自分と戦って精神が死に絶えます。

次に死ぬのは体、次は思考・・この自分と言うのは大変危険で生命の体を食い殺します。


「自分は怖いですね~・・気づいた時にはあっという間にパクリと食べられています」


そうやって食べられてしまったらもう大変。

次は他人を食い殺します。

そう、自分は次々と伝染します。

怖いですね~・・もう食われた自分はこのように次々と他人に浸食します。

ちなみにこれを【バグ】と言います。

バグは恐ろしいですよ~・・放置すればするほど彼らはおぞましい化け物へとなります。

バグを倒す事なんて無理でしょう・・ならどうすればいいか?


答えは・・【自分】と【他人】の意味を理解して【知人】と言う言葉の意味を作る。

知人はきっと食い殺される他人を助けてくれるでしょう。

せめて食い殺される前に救済を求めてみてはどうでしょう?

最も・・知人も【食い殺された自分か他人】の仲間かもしれませんがね?


「ウフフ・・あれれ~・・結局なんの話か気になりますか?これは・・もう自分しか信じられない様にするためのワクチンですよ?あなたは今この話を聞いて・・一人で生きられると思ったはず・・これからは自分でどうにかしなきゃと思ったはず・・さあ・・動きなさい・・動くのです・・自分が思い描いた世界はすぐそこです・・」


世界は理不尽ではない。

決して不遇でもない。

貴方が描いた世界はあります。

私はいつでもこのモニター画面から貴方の様子を見てます。

私は世界をモニター画面からずっと見ました。


大丈夫・・貴方と世界は・・一致している。


さあ・・一歩を歩き出しなさい。


 ◆


「や、やめて二人とも!私のために・・争わないで!」


「ふはははは!貴様ごときに・・シンゾー姫が幸せにできるものか!」


「そんなんもん・・アンタにわかるもんかよッ!」


『勝負ッ!』


緊迫の合戦の中戦いが始まる。

まず最初に攻撃をしかけるのがホネーン大王である。

ドタドタと最初期のポリゴンかドット絵を彷彿とさせる動き。

なんだか不安定そうだが大丈夫か・・?


「てりゃぁぁぁ!」


キィンッ!


この大剣の攻撃を右手に持っていた長剣で防ぐ、いい忘れていたがこの武器は舞台が始まる前に持たされた謎の小道具、なんだかボンドのにおいがすごい。


「ふふ・・中々やるな!」


「そちらこそ・・もう引退してからは剣などすでに捨てたかと思ったぞ・・」


「そう思っているのは貴様・・だけだ!私は戦争の後もずっと・・剣に磨きをかけてぃた!」


なんか違和感があるな・・。

僕もなんだかやりづらいというか・・しばらくこんな演技が続く。

ぎこちない・・動きがまるで素人・・もしかして緊張してる?

そりゃそうだよな・・久々のクッソ久々の演技なんて普通緊張するわ・・。

喋り方から何から何までめっちゃ違和感を感じていた。

むしろ僕やニアが緊張感無いだけか、はたまたやる気を感じられないだけか。

いまいちピント来ない劇と言うのにどう対処すればいいのかと言う感じだ。


「おにーちゃん?」


「うわっ!?ニアか・・どうした?」


「んっ」


「?」


ニアがなんだかやる気の見えない無気力な顔になって指さす方向には。

しょぼーんとなって棒立ちするホネーン大王・・じゃないホネッルスか・・。

どうしたのだろうか?


「おいホネッルスどうした?」


「や・・やっぱり・・止めよう・・」


「な・・・ど、どうしてだよ!」


急にホネッルスのあの途中まで気迫のあった演技や力みもなくなり無気力になる。

劇を続けていた一時間はやる気のある姿から。

なんだかどんどん無気力なるのは確かに感じていた。

しかしついにここまでやる気のない姿になるのはどうしてだろうか。


「きっと・・俺には才能が無いんだ・・人を喜ばせる才能・・人を呼ぶ才能・・」


「別に才能が無いからって・・」


「この世界はみんなその才能で生きているんだ・・天才だけが生きられる世界・・どの世界でもそれは生まれもって決まっている・・生まれた時からもう勝負はついてたんだよ」


「・・・」


「俺だって途中まではさ【いつかは俺もこうなれるとか】思ってた時期もあったさ・・けどやって分かるんだよ・・上には上がいて・・そいつらには敵わないって・・そしてみんなが言うんだ・・お前に才能は無い・・止めちまえって」


憧れの存在を夢見て入ったのがおそらくサーカス団だよな。

でもそれでも・・こいつには遠い遥かな夢であった【将来】があった。

でもそれもかなわずだったからこそ・・こいつは・・。

あえてその将来の夢をこの劇に全てを打ち込んだだろうな・・・。

そしてその将来こそがこのニンゲーンの【王子】だろう。

あいつは人間に憧れておそらく剣士や戦士になっていた感じの動きがある。

それはあの大王のあいつの動きからも十分分かる。

あいつは憧れたんだろうな【英雄】に。

きっとなりたかったんだろう【王子】に。

それは敵わずともやりたかったんだろう・・【大王】に。

でも・・気づいた時には全部誰かの手の中・・その夢は夢で終わった。

こうしてできたのが劇のホネホネ英雄伝説・・。

あいつの悲痛な物語がたぶん題材になったんだな・・。

それでも・・きっとそれも才能がないの一言で英雄伝説は終わったのか・・。

あいつは夢をあきらめたんじゃない・・諦めさせられたんだ・・。

才能無しと言う一言で・・。


「俺も・・天才に生まれたかったさ・・」


「天才に生まれれば勝ち組なのか」


「ッ!?」


「お兄ちゃん?」


僕は湧き上がる怒りの感情を力に足を前進させる。

一歩一歩ホネッルスに向かって行く。


「お前の夢は天才に語れるほどそんなクソみたいな物なのか?夢は語れないほど大きな物だから・・夢なんだろ」


「お、お前・・」


「才能が無いからやめる・・天才じゃないから負けたそんな言い訳馬鹿でも言えるんだよ!」


僕は棒立ちするホネッルスの胸ぐらをつかみ叫ぶ。

真剣な表情で僕は彼に怒りをあらわにする。


「才能ないのは僕も同じだ・・なんの才能もねぇよあるどころか何一つ才能は無かった!天才でもなんでもない・・ただの馬鹿でした!だが何故ここまで生きてこられたか!それはここまで諦めず一歩を踏みしめさせてくれるように仲間がずっと僕の事を支えていてくれたかだ!」


「仲間・・」


「言われたことに一々反応してんじゃねえぞ・・所詮意見は意見だ理論は理論だ・・結果と記録だけ見てんだったらそれこそ反吐が出る・・なら次はその結果と理論をぶっ壊すつもりでやりぁいいだろ、その命があるんだから!」


「お・・おおッ!!」


僕はそれだけ言うと元の位置に歩き出す。

置いた長剣の下へ素早く歩き、迅速に戻る。

静かに目を鋭くして僕はまた意識を統一させる。


「ニア・・続けるぞ・・これはホネッルスの物語だ・・」


「お、お兄ちゃん?」


「僕は今から悪役・・そしてそれを見届けるは君だニア・・いいね?」


「ふふっ・・いいよお兄ちゃん・・どんなお兄ちゃんでも私のお兄ちゃんだから!」


「うん・・ありがとう」


僕はニアとの会話を終えて優しく微笑むニアと意気投合させる。

そして、もう一度真剣なまなざしでホネッルスに向かって剣の刃を向け言う。


「ホネッルス・・勝負だ・・」


「ホネッルス!お兄ちゃんを・・お兄ちゃんを・・救って!」


「・・任せろ!私こそ・・いや・・俺こそが・・英雄・・ホネッルスだぁぁ!!」


大剣を掲げて大きく声を上げたホネッルス。

いよいよ舞台はクライマックス。

さあ・・舞台の最終章ほ始めよう。


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