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無限空想世界の幻想的な物語  作者: 幻想卿ユバール
第五章 悪夢編
89/150

無限空想世界の幻想的な物語~悪夢~ 第2話  「骨と妹と兄と演劇」

時はこのおかしいおかしい洋風の夜の街を歩く僕とニア。

僕達は今絶賛お祭りの中を歩いているわけだが・・。

周りから人はいるのになんだかあの人ら生きている感じがない・・。

あれも全部夢って事か・・すげぇな最近の夢は・・。

にしても周りを見渡せばピエロやエンターテイナーさんが何かを披露してたり。

大きな着ぐるみがいたり、なんか本当に・・カーニバルだなこれ。

これって確かニアの理想だよな・・ニアの理想がこれなのか・・。

事実すっごい喜んでるしな・・。

ちなみに外に出てから青いリボンが目立つつばが円を描いた丸い帽子をしている。

それ以外は先ほどと同じだ。


「わー!周りみーんな賑やかで楽しいね!」


「そうだねー・・普段あんまりこんなところ見る機会とかないから・・より楽しいかもな・・」


「そうなの?お兄ちゃんは何回もこういうの見てたかと思ったけど・・でも滅多に見れないならより一層楽しめるね!」


「そうだな・・少なくとも今は・・」


「今は?」


「あ・・いや何でもない・・」


口が滑った・・こういうの気をつけなきゃな・・。

心に刺激を与えるなってワードにあまり警戒していない自分がいるのよなー・・。


「お兄ちゃん・・なんだか調子悪い?」


「いや・・調子はいいさ・・ただ・・目覚めたばっかだからさ・・」


「そうなんだ!じゃあお兄ちゃんに必要なのは目覚めだね~!」


「(ある意味さっさと目覚めたい)」


「私がとびっきりびっくりするモノ持ってくるから・・待っててね!」


「お、おう・・」


そういってニアはまっすぐ走って行き、姿をくらます。

しかしびっくりするモノを持ってくるてっそう簡単に見つかるとは思えないんだが。

ニアの奴何か心当たりでもあんのか?

最近驚いてばかりでもう驚くものも早々ないと思うんだよなー・・。

お、そんな事言ってたらニアが戻ってきた・・んッ?!


「じゃーん!見て!サーカス団のマスコットのホネッルス君だよ!」


「やあ!よいこのみんな!ホネッルスだよ!元気にしてたかなー?」


なんかイケボのガイコツ来たーッ!?

なにこれすげぇーッ!?

どうやって喋ってんの?

めっちゃユーモアセンスあふれるガイコツじゃねぇか!

見た目とか完全にサーカスぽいけど・・たぶんコイツ魔物だよな・・。

ニアの創造の世界にいる魔物か・・ガイコツも想像範囲内とは・・恐ろしいな・・。


「んー?どうしたのかな?おっ!さては俺の名を知りたいのか!良いだろう!教えてやるぜ!俺の名はホネッルス!ガイコツの中のスケルトン!骨の中のカルシウム!俺は全国のよいこの味方だ!」


「そして凄いしゃべるなお前」


「はっはっはっはっは!俺のとりえだ!俺はしゃべるの大好きだ!特に人間!人間との会話は最高だ!」


「(厳密には僕は人間じゃないんだが・・まあいいか)」


ニアが連れて来た骨の魔物通称【ホネッルス】・・見た目はとてもコミカルで。

おそらく子供に本当に大人気なんだろうな・・。

この異様な性格は人気の理由になっているのかわからないけど・・。

キラキラと輝く赤い星のマントはちょっとかっこいいな・・。


「おっ?この星のマントの良さが君にも分かるのかい!いやー困るなー!これは僕のオーダーメイドでね、特注品なんだよなー・・だから君にはあげれんのよ・・」


「うーん・・良いなーとは思ったがほしいとまでは・・」


「ふっふっ・・強がる事はないぞ少年!誰しも何かを欲する時は来る!金・・愛・・人気・・欲に飢えて生きている者は少なからずいるわけだ!だが・・そうやっていつまでも欲にすがっていては成長できないぞー!」


「ほ・・ほほう」


「欲に溺れた人間は本当に欲に溺れちゃうんだ!俺はそんなの見たくないね!だから僕が欲と言う大沼に沈む前に救出してあげるのさ!」


「ど・・どうやって?」


「知りたいかい?知りたかったら・・(パチンッ!)ヘイカモーンッ!いざ!サーカス広場へッ!」


これは丁重な誘導員てわけか・・。

なるほどなるほど・・。

僕らはこうやってサーカス団の劇を見ることになるという事だな。


「ねぇねぇ!きっとホネッルスは楽しいサーカスを見させてくれるよ!行こうよ!」


「まあ・・この賑わいからして・・他に行く場所も無さそうだけどね・・せっかくだから行こうか」


「わーい!楽しみだね!」


大いに喜ぶニアはまっすぐまた前進、ホネッルスの後を追う様にまっすぐ走る。

しかし元気だな・・ニアは特に元気だ。

今まで見た少女の中でも特に闇を抱えている雰囲気は無かったけど・・。

彼女もまた何か闇を持っていたりするのだろうか・・。

今は考えるべきではないな・・。

ニアを追いかけるように賑やかな町中を走るとその先にあったのは大広間。

ここはいくつものテントが張られていた。

本当にサーカス団なのか・・。


「さあさあ!俺のテントはここだ!ここで思う存分欲を忘れてくれ!」


「お兄ちゃん!早く早く!」


「ああ、今行く・・ちょっと待ってて」


僕は手を振り歓迎するホネッルスと。

ピョンピョン跳ねて場所アピールするニアに誘われるようにテントの中へと入りこむ。

そしてその中を見ると・・なんだか会場があるだけで特に代わり映え無し。

それどころか・・客すらいない?


「お・・おい・・客は?」


「あはー・・それが最近絶不調故・・客が寄り付かんのだ・・大昔はホネホネ英雄伝説と言う劇をしていたんだがね?それも最近ウケが良くなったのよー・・いやー名作はやっぱ78回も続けたら流石に飽きられちゃうね」


「えー?私は好きだよーあのよくわからない感じ!」


「ほっほっほっ・・こんな風に変わった客もいるしまあ続けたんだけどね・・」


「うーん・・中々メンタルが強い奴だ・・」


なるほど・・こいつは昔は英雄の様に売れていたエンターテイナーだったが・・。

今はめっきり人が寄り付かないただのマスコットモンスター。

だが僕とニアと言う客をつかみ、ここで一気に巻き返しの時と言う事か。

なんだかずいぶん定番なイベントにぶち当たったな。


「しかし・・客も何もなしだが・・今回なにやるか決めていたのか?」


「ふっふっ・・聞いて驚けお前!今回は名作復刻と言う事で・・じゃじゃん!なんとなんと・・ホネホネ英雄伝説第一章をやるんだ!」


「お・・おお・・」


「でもこれ・・実は配役が一人足りないのよー・・俺と言う悪役を入れてあと一人・・主人公であるニンゲーン三世が足りない・・」


なんだニンゲーンてっ・・。

こいつの人間好きからつけられた名前なんだろうけど・・。

ひでぇネーミングしてやがる。


「ちなみにねお兄ちゃん!主人公のニンゲーンは勇気あふれる超絶スーパー騎士様なんだよ!お姫様のピンチに絶対駆けつけてくれる・・超素敵な騎士なんだ!」


「騎士様ね・・」


「むむッ!興味あるかなニンゲンッ!」


「えっ?いや・・僕が主役てっ言うのもな・・あんま上に立てるような人間でもねぇし・・騎士ていう称号が似合う男でもねぇしさ・・」


「はっはっ!そんな事か!大丈夫!君ならきっと主役になれるさ!」


「あ、もうやる流れなのねこれ」


両肩をポンと乗せて何か説得されているみたいに言われる。

だが、こいつに言われるとなんだか安心するな。

本当に主役ができるかもしれない勇気が湧いてくる。


「少年!物事はな・・なんでもチャレンジ精神だ!失敗を恐れず前を向いてその挑戦に挑んでいけば・・必ず!必ず答えは見えてくる!」


「ふーむ・・ならやってやらない事もないが・・」


「おお!やってくれるかそうか!よく言った!お前がもし下の【いいえ】と言う選択肢を選んでいたら・・俺は57通りのパターンを考えていたぞ!」


「なんだかテンプレのパターンですね・・最後どうせループ入るんでしょ?」


「いや・・最後はいいえでもやってもらう!」


「針を抜く感覚だな・・」


こんな元気ハツラツホネホネ野郎と一緒に劇とかできんのかな・・。

少しだけ不安が募るぞ・・。


「あ!お兄ちゃんがやるなら私もやりたーい!お姫様役~!」


「おおー!いいぞ!いいぞ!配役はいっぱいいた方がいいもんな!大感激さ!」


「わーい!えへへ~お兄ちゃん私お姫様だって~・・んふふ~!」


純粋に喜べるニアはすごいな・・。

僕はいまだに若干抵抗があるけど・・。

こうして始まる波乱の劇場・・もはやサーカスですらないとか言わないしツッコまない。

今はただ僕は英雄ニンゲーンになりきる事だけを考えた。

こういう演劇は実は得意だし、客を喜ばせるという事にも抵抗はない。

ただ・・主役と言う言葉になんだかどうしてもな・・。

前にお嬢様にも言ったけど・・あんま冠位が上だと・・ちょっと自分には荷が重いのよね。

まあ、今はいいさ・・主役なのだから・・。

さて、予定ではそろそろ部隊の幕開け・・第一幕がここから始まる。


パァァァン・パッパカパーン!パパパーン!パパパーン!テーン!


なんだか盛大なSEと共に始まる劇場。

大丈夫かこれは・・っと心配して劇の舞台が上がる。

今回の劇はニンニア創世期45年のハートニア王国の決戦。

現在ニンゲーン王子とホネーン大王によるシンゾー姫を取り合う劇の最中だ。

ニンゲーン王子はハートニア王国の勇敢な王子、いつも他国のシンゾー姫と禁断の恋をするよくあるアレな王子、しかしそれを認めないとお怒りのホネーン大王。

かくしてここから大バトルが始まったのである。


NEXT・・

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