無限空想世界の幻想的な物語~悪夢~ 第1話 「僕にこんな可愛い妹がいるはずがない」
ここはどこだろう。
なんだかとっても眠いけど・・どこか落ち着く様な。
たとえるならベッドの上だ、ふかふかでとても心地の良いベッドそのものだ。
どこだかわからないけどとても気持ちの良いベッド・・。
それになんだが感触の良い抱き枕がある。
僕は今・・寝ている?
アレでも寝ているのにこんなハッキリと意識あるのはおかしいな。
きっとこれって夢でしょ?
だってなんかこうふわふわとした感じの意識で今僕寝てるよ。
それに僕の住む部屋にこんな抱き枕は無かった。
目が開けられないからなんの抱き枕かはわからないけど。
あーとりあえずこれってアレか金縛りとかそういうやつ。
ならもうちょっと寝かせてもらうとするか。
「いつまで寝てんのよ、起きなさいウィルコンティ」
だ、誰だ・・人をえっちなゲームの主人公の様に呼びかける奴は。
ずいぶんとクールな声だな・・女の子?
「あ、そうか・・スリープモードのままだったわね・・まあ良いわ意識はあるでしょう」
こいつ・・なんかよく分からない事言ってんな・・何言っての?
僕にはさっぱりなんだけど。
とりあえずこの状況説明してくれない?
て、わかるはずないか・・
「あら・・ずいぶん分かりやすい心の持ち主なのね・・男てっみんなそうなのかしら?」
心が読めるだとッ!?
貴様悟りが開けるのか!?
「いちいち・・うるさいわね・・こっちは不眠不休で貴方の観察で忙しかったのに・・なんでさらに貴方自身と会話しなきゃいけなのかしら・・」
観察!?
観察てっ何ッ?!
やだこの子怖いよ!
も、もしかして僕はこいつにハイエー○されたのか!
おのれなんとけしからん!
「・・一生そこでスリープモードにして置いていくわよ?」
ごめんなさい、謝るからゆるして。
許してください。
「はぁ・・まあ良いわ・・今は時間が無いの・・貴方と漫才してる暇はないわ・・とりあえず・・質問は後で聞いてあげるから・・今、貴方が聞きたいことはオールスルーさせていただくわ」
おーけーおーけー、状況はよくわからんが良いだろう。
さあ、好きなだけ話せ!
「まず・・今貴方がいる世界について・・ここはアビス四帝の悪夢が作り出した世界・・その名も【ドリームワールド】よ」
ど、ドリームランド!?
何それ!?
夢の国!?
「まあ、簡潔に言えばそうね・・貴方だって見るでしょ?夢、それを具現化させて世界そのものを作ったのよ・・ただ力が強すぎて意識も夢の中へと持っていかれるの・・その結果当の本人はずっと夢の中にいるの」
へえー恐ろしいなそれ。
つまりあれか、僕今その夢の中にいるの?
「まあ・・そうね、私が呼んだんだけどね」
お前の仕業かよ!
畜生、さてはおめーがアビスか!
「違う・・私は記憶神の【ルカ・エメチュアリアル・ディタンダ】よ、記憶の民代表
であり・・今は創成側の人間かしら?」
ちょ、ちょっと待って色々さっぱりなんだけど。
補足は無いの?
「言ったでしょ?時間が無いの・・貴方や読者様にいちいち出て来た説明なんてしてられないの!本当はするつもりだけど・・」
さらっと今すごいこと言わなかった?
とにかく時間が無いのは分かった・・。
せめて状況説明はちゃんと教えて!
「しかたがないわね・・耳の穴かっぽっじてよく聞きなさい、いい事?あなたは今からこの夢の世界で兄を演じなさい・・」
あ、兄?
そもそも僕には弟のジンがいるんだが・・
「ああ、弟コンティ君の方ね・・アレは気にしないで・・今のあなたはこの夢世界の元凶でもある【ニア】ていう女の子がいるの・・その子は貴方を理想の兄だと思ってこの夢の世界を楽しむでしょう・・だからあなたは演じるの理想の兄を」
んな無茶苦茶な・・僕は妹の扱いとか知らないし・・
第一血の血のつながりだって無いんだよ?
「ふふ・・妹の扱いなんて知らなくても・・貴方のようなハーレム主人公にはお似合いの配役だと思うけど?」
うっわそう来たか、なに?
僕に恋愛ゲームの主人公になって隠しヒロインの妹ポジションを落とせと?
「イグザクトリー、よくわかっているじゃない・・そんなハーレム主人公ウィルコンティさんに初回限定版特別プレゼント~わー」
声にすんごいやる気ないね。
これがジャンル恋愛ゲームだったら。
本当に死にそうなクオリティのやる気の無さだぞ!
「はいはい・・超テンプレ回答ありがとう、それもう貴方で156回目・・そんな事はどうでもいいの・・今から貴方の記憶に【ニア】の記録を提示しておくわ・・困った時があったらstartボタンを押してメニュー画面の情報を見なさい」
無いよ?
そんなボタンもそんなアドベンチャーゲームの様なコマンドもないよ?
なにこの子すごいフリーダム、柘榴ちゃん以来のフリーダムだよ。
「フリーダムほどこの小説に適したキャラてっいないと思うの・・世はノンストレス・・フリーダムできゃっきゃっウフフな話てっ貴方好きでしょ?夢と希望に満ち溢れたファンタジーもどき・・超べたべた展開で見てる側も「こんな展開どっかで・・」とあきれるこの王道感にみんな白目よ」
お前はこの小説を破滅させたいのか、それとも盛り上げたいのかどっちだ!
ハッキリしろこの野郎!
「と、無駄話がすぎたわね・・さっとさと貴方の脳内に記録を提示しないと」
全く・・早くしてくれよ。
いい加減こっちのサイドで話すのがダレて来た。
てか何してんの?
何人のおでこに手を当ててるの?
熱でもあるか見てるのかこの野郎。
「黙って、集中できないでしょ・・よし・・これでオーケー・・どう?」
ちょっと待って・・うん、なんか聞き覚えの無い情報が頭から流れて来た。
えっと何々・・名前【ニア・アイ・ウィル・ネバー・フォゲット・ザット・ユー・メード・ミー・ハッピー】てっ名前なげぇなおい!
「仕方がないでしょ・・彼女はまた特殊なの」
こんな長い名前どこの物語でも見れないよ・・
でっ続き続き・・何々・・「彼女の種族はサキュバスと死神の混合体」何それ怖い
「イフニアだけの話よ、彼女は最も混沌の中の混沌・・と言っても貴方が今想像しているような化け物じゃないわよ・・ちょっと刺激が強いかもしれないけど・・主に童貞のあなたは苦労するかもね~・・」
くっそコイツ痛いところついて来たな。
それで歳は・・推定で12歳ッ!?
僕よりはるかに年下やんけ!
「当然よ、彼女は戦後に生まれたんだから・・その割には知識豊富よ・・無駄な」
無駄な知識豊富とかいらねぇけど!
ますます相手しづらいわ!
後は・・特に目に通さなくてもいいか・・
今、目は開いてないけど!
・・ところでこの心に刺激を与えるなって?
「あーそれ・・そのままの意味よ、特に深い意味はないわ・・貴方ならむしろもうわかったんじゃない?まあ・・簡単に説明すると・・生きるための手段?」
意味が分からん
結局どういう意味だ。
「そのうち分かるわよ・・さて・・これでもう話す事は無いし・・私は貴方のスリープモードを解くけど・・何か質問はある?」
とくには無いが・・一ついいか?
「何かしら?」
僕は夢の中にいるわけだろう?
現実の僕はどうなっている?
「あーそれね・・現在貴方の体はロキと白鶴に任せてあるわ・・どうなったかまでは知らないけど・・」
ていう事はやっぱあのあたりから夢の世界へすでにいざなわれていたのか・・
どういう原理でここに呼ばれているかは置いておこう。
「とにかく・・そろそろね・・ニアが起きたら自然に接しなさい・・あと・・くれぐれも私がいる事は言わない事・・いいわね?」
了解・・今はこの夢世界だけに集中しろって事だろ?
そうしなきゃ現実に返してくれないんだからやるよ。
「グッド・・じゃあ後は任せたわよ?・・あっそうだ・・起きたらまず覚悟しなさい・・じゃないと貴方・・悩殺されちゃうかもよ?フフッ・・」
なんだそれ・・意味が分からん
とりあえず、そろそろ起こしてくれ。
「はいはーい・・それじゃあカウント取ったら私もこの場から消えて貴方もストーリーが始まります~準備はいいわね?1・・2・・3・・ハイ!」
パチン!
指慣らしとはまた古典的な・・
お、しかし体が軽いな・・さっきまでと違い目も開けられる。
さて・・ゆっくりと瞼を開いて目の前の光景を・・
「すぅ・・すぅ・・」
「・・・・・」
僕は今目の前の光景に唖然としていた。
何故なら目の前にはとても美しいペールラベンダーの様なセミショートの様な長さの髪にボブパーマの様なふわふわした髪形、黒いフリルの多い紺色の袖がぶかぶかと大きいゴスロリの様な服を着た少女が僕の隣で程よく育ったバストを体に押し付けてスヤスヤと寝ていた。
なんだこの展開はッ!?
恋愛ゲームみたいな展開はッ!?
「んにゅ・・あれ・・起きてたんだ・・お兄ちゃん・・」
そしてパチリと目を開け優しく暖かな声で僕に言った。
じっとりとそれはそれは美しいアクアマリンの様な2つの優しい瞳が僕を見た。
今までこんな近接に女の子といた記憶はないのでよりドクンドクンと心臓がなる。
緊張しすぎてお嬢様以上にこの子はやばいッ!
主にいろんな意味で健全が保てない!
と、とりあえず挨拶!挨拶だ畜生!
「おおおおおおおはよう!にににににあーおとーまとぅあー!!」
「クスッ・・どうしたの?お兄ちゃん・・そんなに緊張して・・」
「べべべ・・べつにーィッ!?緊張なんか・・してねぇし?ふ‥普通だよ!」
「ふふ・・そう・・じゃあ・・おはよう・・お兄ちゃんッ!」
「ッ!!!!?」
その時だ。
チュと僕の唇とニアの唇が優しく合わさってまるで一つになるようなものを感じた。
まだ朝起きたばかりだというのに両手で頭の後ろを抑えられてキスをかまされる。
突然の出来事に脳内がもういっぱいいっぱいどうすればいいのかわからない自分だ。
頭沸騰するというかこれもう大やけどなんだけど
あれ・・ていうか僕これって・・キスされたんだよね?
あれ、そういえば今までキスの経験てっあったけ?
あれ?
「わわ・・わぁぁぁぁぁぁッ!!」
「クスクス・・変なのー・・いつもしてる事なのに・・なんだかお兄ちゃん別人みたい・・でもこれはこれで新鮮味があるからちょっと楽しいわ・・」
思わず壁越しまでずさりしながら叫ぶ僕だった。
そりゃそうだろいきなり美少女がキスなんかして来たら僕死ぬぞ。
色んな意味で死ぬぞ僕が。
「あばば・・・は、初めてだった・・のに・・」
「えーそうだっけ?もう何回もしてるよー?」
「グッ・・そ、そうだな・・でも僕は・・」
その時だ。
何故だかわからないけど・・頭の中にあの言葉がよぎった。
『心を刺激するな』
何故だかわからないけど・・。
その言葉がよぎった。
一瞬その言葉の意味を飲むように僕は少し微笑みこう言った。
「・・いや、そうだね・・僕とニアの朝の挨拶だった・・よね?」
「うん!・・・お兄ちゃんと私の・・私達だけの挨拶・・えへへ・・なんだかそう言われるとはずかしいね・・」
なるほど・・心に刺激を与えない・・。
そのまんまと言う事か・・こりゃ現実の事考えてるといつまでも夢にいそうだ。
とは言え・・上手い事現実を忘れない様にしないと・・
まあ・・今はこの子とまっすぐ向き合うか・・
両手を頬っぺたに当てて照れてるこの子と・・
「ウフフ・・それにしてもさ・・」
「なんだい?」
「お兄ちゃんの唾液・・美味しいね・・」
「ブッ・・そ、そうか・・そりゃあ良かった・・(こいつは・・ヤンデレてっ奴か?それとも新手の変態か?どっちにしろ・・濃すぎるな・・)」
ねっとりとした声、どこかいやらしい仕草で僕を誘う。
全く近頃の若人はとんでもねぇな・・
見てるだけで恥ずかしいよ。
「ん・・このままお兄ちゃんをゆっくり・・じっとり・・イジメるのもちょっと楽しいけど・・今日は外でお祭りやってるからお外に行こう?いいでしょ!」
そういいながら元気よくベットから降りて僕に話しかけるニア。
なるほど、第一話から祭りイベントとかハードル高いし好感度も高いな。
なにこれベリーハード?それとも僕の人生ルナティック?
はたまた選択肢を間違えただけで死ぬチート?
どれでもいいけど大変だなこりゃ・・
「あー・・いいけど・・僕はこのまんまで平気なのかい?」
「うん!お兄ちゃんはそのままの方がカッコイイよ!変に目立つとさ・・悪いモノが寄ってきちゃうよ?」
「あはは・・それは困るな・・じゃあ、いつもの服装で出るよ・・」
「うん!先に出て待ってるからね!」
元気そうに走ってドアを開け部屋を後にするニア。
ニアの印象がでかすぎて忘れていたけど、この部屋・・
なんだかすごいレトロだな・・洋風な感じだけど・・。
本当に物語に出てきそう・・窓とか木の十字で貼り付けがあって・・
と、僕が窓を見ていて窓以上に目に飛び込んで来た光景・・
それは・・
「な・・ななな・・なんじゃこりゃぁぁぁぁッ!!」
そこはまるで洋風の夜の街、まるでロンディニアだった。
だがなんだこのカーニバル状態・・道化師にでも騙されている様だ。
なにこの正気の沙汰とは思えない街並み・・流石は夢の世界・・。
どこもかしこも祭り騒ぎじゃねぇか!
「あー・・マジでこれ夢の世界なんだ・・」
ガクッとなる僕だがこんな事でいつまでも弱音や愚痴はこぼしてられない。
一刻も早く現実へ戻らないといけない。
僕はガラス越しに強く現実への帰りを誓った。
END




