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無限空想世界の幻想的な物語  作者: 幻想卿ユバール
外伝その2
81/150

無限空想世界の幻想的な物語~外伝~ 魔章4 「巫女と危機」

ここはどこだろう。

なんだかとても暖かくてとても心地の良い場所だ。

なんだか草原で日向ぼっこしている気分だ。

ああ、なんだかずっとここで寝ていたい、


「んにゃあ・・」


「あ・・起きましたか?」


そう思っていた私の目の前に見えたのは林さんの・・美しい顔・・

右手で私の頭を優しくなでて癒すように膝枕をしてくれている。

優しい林さんだ・・


「てっ・・ヴぅぇッ!?林さんッ!!!なにしてはるんすかッ!?」


「あ、ごめんなさい!いやでしたか?」


「いやというより・・その・・・なんていうか・・・」


突然の出来事でガバッと起き上がりベンチシートの上を後ずさりする私、

寝ていて起きて最初に目にするのが林さんとか、

最初に目にしたのがこんな美人とか普通に私驚くよ、

と言うより誰だって驚くよ、


「はあ・・まあ・・でもありがとうございます、気絶した私を介護してくださって・・」


「いえいえ!それに介護していたのは私だけではありませんよ?」


「えっ?他にもいるんですか?」


「ここにいる俺っちとか」


「あー・・・なるほど・・えっ!?」


私は思わず二度見した。

テーブルの上から声がしたので見てみたらそこにはあのスライムのガッツさんがいた。

頭の上になにやらタオルといろんな薬を作った後があった。

なるほど、ガッツさんも介護の手伝いをしていてくれたわけだな、

納得です。


「いや・・と言うより・・何故いるんですか?」


「いちゃダメなのか?」


「えー・・いや・・まあ、いいんですけど意外だなーと・・」


「そうだな~最近はスライムすらいなくなったから驚くのも無理はない」


「そういう意味じゃないんだけどな・・」


このスライム気が利くのはいいんだけど、

気が利きすぎているというかなんというか、

いいんだろうか、介護なんかされて・・


まあ、悪い人・・人じゃなくて悪いスライムではないんだろうけどさ、

さっきまで戦いを挑んでいた人がここにいるって驚きが隠せないのです。


「それより嬢ちゃん名前は?」


「あ、出雲 翡翠です・・」


「ほほーう!出雲翡翠!聞いたことねぇ!俺っちはガッツ!気合と根性だけならだれにも負けないぜ!」


「うん、見ただけでわかるよそれは・・」


「あ、やっぱり?照れるぜ・・」


このスライム喜怒哀楽が激しいな、

こんなにも感情がわかりやすのも見た事ないし例もないよ、


「あ、ところでさ・・出雲ちゃんは何しに来たの?」


「私は本来ならこの幻華の山を超えて四季の里に行かなくてはいけなかったんですが・・ちょっと休憩がてらこの里によりました!」


そういえば目的の事をすっかり忘れていたなんて雰囲気がでそうだったが、

私はちゃーんと覚えている、まさかただ遊んでいたなんて知れたら、

それこそ旅に出ている意味がないじゃないですかやだー


「へぇ~四季の里か~・・あそこはいいぞー、特に塔から見える海が絶景でね・・朝日が反射してめっちゃきれいなんだぜ」


「へぇ~海か~・・・私見た事ないからすごい見てみたいです!」


「四季の里についた時の楽しみにとっときなよ、きっといい思い出になるぜ」


「はい!ありがとうございます!ガッツさん!」


「さんはいいぜ、ガッツで構わないよ」


なんだか話してみるととてもいい人に見えて来た。

なんだ、魔物とかスライムとか聞いてたから悪いイメージあったけど、

全然そんな事ないじゃん、ぷるぷる僕悪いスライムじゃないよじゃん、


「ふふっ・・楽しみができてよかったですね!出雲さん!」


「はい!私こうやって何かを目標にして旅に出ることを夢見て・・さらには旅の景色をいろんなところから見るのも夢だったんです!特にガッツ君の話でますます楽しみが膨れ上がりました!」


「はは!それはよかったぜ・・ところで・・むず痒いから・・君じゃなくてできれば呼び捨てで・・」


「あ、すいません!こう、どうしても呼び捨てできなくて・・」


「うーむそれは仕方がないな、出雲ちゃんの好きな様に呼んでいいぜ」


「あ、ありがとうございます!」


やはりガッツ君いい人だ。

下手な魔王よりずっといい人じゃないか、

ていうかここにいる人みんないい人な気がして来た。


「あー・・なんだか馴染んでしまいそうな雰囲気ですが・・ずっとここにはいられないし・・」


「まあまあ・・また来ればいいのですよ、私は大歓迎ですよ!」


「そうそう、林ちゃんの言う通りでさあ・・目標は途中で投げちゃいけねぇ・・夢が遠ざかるぜ」


なんて身に染みる言葉だ。

とても歓喜して私は旅を続けざる負えないぞ、

私、モーレツに感動しています!

※あまりにも嬉しすぎて語源力が低下


「あ・・そういえば・・さっきから魔王様がいませんが・・」


「あーカオスっちならさっき黒竜と邪鬼竜とお店出てお話しに行ったぜ」


「お二人ともとても歓喜していました、混沌が帰ってきたとか・・」


それ喜んでいたのか、もしくは驚いてたのでは・・

とにかくなんだか問題なさそうで良かった。


「でも・・魔王様がいないとなると・・すぐには出発できませんね・・・」


「どのみち今は下に下りないほうがいいぜ、今夜は満月だ」


「えっ?満月?」


「あら?出雲さんはご存知ないのですか?満月の【アンダームーンシティ】の噂」


「・・あーッ!そうだそうだ!ちょうどこの辺りでしたね・・すっかり忘れてました・・」


そうか、何の事だと思ったけど・・今日はアンダーシティに近づいたらダメな日だった。

分からない人に説明するとアンダームーンシティ通称【秋風の里】は、

満月になるとその日は【黒鯨】から里を守る為、

その日は里に入れないし、黒鯨に食われてしまうから下りないほうがいいとの事だ。

ちなみに【黒鯨】とはこの世界では竜の一種に分類されるらしい、

あのアビスとかかわりが深いらしく、その見た目はおぞましい物だとか、

過去に【月にあった里を壊滅させた】なんて事もやってのけたらしい、

そして多くの女性を狙って体内に入れると言うが、

一体その中で何が行われているんだろう。

ともかく危険なことには変わりない、

魔王様にも後で言っておこう。


「それにしても・・物騒ですよね・・前はこんなんじゃなかったはずなんですが・・」


「しかたがねぇさ、100年停戦中にアビスの残党がいろんな事するし・・魔物の大半は絶滅するし・・あのアビスが来てからだ・・こんなロクでもねぇところになったのは」


「・・・そう・・ですね・・彼らは許されざるものです・・ええ・・決して・・許されてはいけないのです・・」


「・・・林さん?」


「えっ!?あっ!すいません!私いつもこうなんです・・アビスの事になると・・つい・・」


びっくりした・・とても憎悪に満ち溢れていた顔をしていたから、

何かすごい因縁でもあるんじゃないかと思った。

いや、この言い方はあるんだろうけど、


「仕方がないさ・・林ちゃんアビスのせいで友達と離れ離れになっちゃたんだもんな」


「えっ?!そうなんですか!」


「・・ええ、私にも信頼できる素晴らしい友達がいました・・今はどこにいるかわかりませんが・・きっと生きていると信じたいんです」


「林さん・・」


両手をギュっと握るくらいに悔しい思いをあらわす林さん、

可哀想に、こんな事するからアビスは許せない、

絶対私が滅ぼしてやるんだから、


「アビスはやっぱり許せませんね!私がいつか成敗します!」


「い、いえ!そこまでしなくても大丈夫ですよ・・」


「いえ、よくありません!一人前の巫女になる身として・・私は常に世界の味方でありたいんです!」


「出雲さん・・すみません・・なんだかそんな荷の重い考え方をさせてしまって・・」


「いいんでよ!私、誰かのために戦う事も夢だったんですから!」


「カッカッカッ!いいねー!正義のヒーローじゃねぇか!いや、正義のヒロイン?」


なんだか無理している様にみえるかもしれないけど、

私は純粋に林さんの役に立ちたい、

だからこそ、私は旅の中でどんどん強くなって行きたいんだ。


「さーて!そうとなれば・・そうですねー・・どうしよう?」


「ヘイヘイヘーイ!お姉さーん?」


おっと、何か後ろから嫌な声が聞こえたぞ、

これはもしかしてアレじゃないか?

よくある幼気な少女がナンパされる奴、

うんだって後ろを振り返るとそこにいるのはサングラス・ザ・不良!

もう、書いて字のごとくだよ、


「YOHYOH~!暇なら俺たちと飲まなーい?」


「い、嫌です!お酒はもうこりごりですから!」


「んだよつれねぇな~・・いいじゃねぇかよ!」


「キャ!やめてください!」


私が乱暴に一人の男に腕をつかまれて抵抗する。

このままだとまた乱暴にされてしまう・・同人みたいにッ!

だが私の予想は遥か斜め向こうへと飛んで行った。


ドゴォォッ!


「ギニャァァッ!!」


そう、突如後ろか飛んで来た謎の物体・・ガッツ君ッ!?

ガッツ君がいきなり飛び出してきて私の腕をつかんでいた不良の顔面に一撃・・

すごい、当たればこんなに強いんだ・・

不良さんが結構遠くまで飛ばされている。


「こ、こいつッ!」


「おいおいここはお前らサルのやらせ居酒屋じゃねぇぞコラ、そんなに女とやりたきゃ都会のソープでも行ってこいやボケェ!」


「が、ガッツ君・・」


「生意気言ってんじゃねぇッ!」


ドゴッ!


ガッツさんの背後にいつのもに不良がもう一人ッ!?

ガッツさんを踏み倒してなんとも偉そうにッ!


「グベバァッ!!」


「オラオラッ!さっきまでの威勢はどうしたんだよッ!」


「かかって来いよ!このブヨブヨ野郎ッ!」


「クハハッ!おらぁ!所詮は4つつなげて消えるだけの存在じゃねぇかッ!」


ああ、まずい!

ガッツ君がボコボコにされてリンチにされている。

林さんに助けを求めたいけどもし林さんに何かあれば嫌だし林さんには頼れない、

でもこのままじゃいけない、私が助けないと!


「林さんッ!魔王様を呼んできてください!」


そうだ、こんな時のための魔王様だ。

魔王様ならほぼこの里とは他人だし、

どのみち魔王様だから今更どうにでもなるだろう。


「えっ!?しかし・・」


「お願いします!その間に私がガッツ君をどうにか救いますからッ!」


「・・わかりました、でも無茶はしないでください」


「・・ありがとうございます‥ッ!」


私は林さんに魔王様の事を任せて、

林さんが行ったのを見守った後、

私はリンチされているガッツ君の前に立ちふさがる。


「やめてください!こんなのあんまりです!」


「い、出雲ちゃん・・」


「なんだてめぇ?さっきまで見ていたくせに調子にのりやがって!」


「殴るなら私を殴ればいい、それで貴方の気が済むなら殴ればいいじゃないこの低脳ッ!」


「こ・・こいつッ!」


ガッツ君の前で威勢よく立ちふさがり、

不良にすら屈しない心の強さを見せつける私、

流石の不良もそう簡単に殴れまい、


「んー・・どうした事でしょうか~?」


「あ、兄貴ッ!」


「兄貴?」


不良たちが見る先にいるのは金髪の超うざそうな鎧をまとった・・騎士?

なんだかすごい嫌な人感のオーラが半端ないんですけど!

なにそのサラサラとなびかせてる金髪、腹立つッ!


「んふ・・君たち・・そろそろ僕の・・んふ・・夜のお相手探しが終わるころじゃなかったかい?」


「そ、そうなんすけど・・こいつら抵抗しやがるもんで・・」


「んふ・・なるほど・・確かにお美しい・・これは抵抗んふ・・したくなるに決まってるな・・んふ」


「な、なによ・・貴方達が強引に連れて行くとでもいうの?」


「んふ・・さすがにそれは美しくない・・んふ実に・・美しくないんふ」


さっきからすげえその【んふ】がムカつくんだけどッ!?

なにそれ、君の口癖ッ!?


「ここは騎士として決闘んふ・・決闘で勝ったらんふ・・私のものんふ・・負けたら・・んふ・・なんでも言う事聞いてあげるんふ・・」


「なるほど・・騎士らしい条件ですね」


「その戦い俺っちが出るッ!!」


「うわ、蘇ったッ?!」


突然クワッと立ち上がるガッツ君、

と言っても声にびっくりしたんだけどね、

しかし声を上げて気合十分と言う感じは伝わる。


「ほうんふ・・君が僕と戦うんふ?」


「当然だッ!てめぇみたいな肉の塊みてぇな野郎にはぜってぇぇぇぇぇ渡さないッ!出雲ちゃんはもっといいやつと初夜を過ごすんだよッ!」


「かばってくれるのはありがたいんですけど恥ずかしいですぅぅッ!!」


「んふ・・そういう事なら話は早い・・んふ・・僕と君で勝負と行こうんふ・・」


「望むところだ・・覚悟しろよッ!」


二人の男による熱きバトルが今始まる。

熱き火花散らして視線がぶつかり合う。

果たして、この勝負の命運はいかにッ!?

そしてどうなる私ッ!?



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