無限空想世界の幻想的な物語~外伝~ 魔章2 「巫女と幻華」
これは私たちの冒険の物語、
それはある日あの神社から旅を出た時から始まっていた長い旅の物語、
そう、一人前の巫女を目指して旅をする出雲 翡翠!
ロングヘアーの緑色の髪の毛なびかせて、今日も元気に修行の旅、
私は今どこにいるかって?
それは・・なんと下は落ちたら一たまりのなさそうな霧のつもる山、
通称【幻華の山】にいます!
「て、なんでだぁぁぁぁ!!!」
「どうした、巫女」
「私たちなんで山なのッ!!もう片方の主人公ならもうちょっといい山上ってなかった!?なんで私だけ売れない芸能人の役割みたいに危険な仕事引き受けて来たでござる~wwみたいな感じでこんな危険な山上っているの!?」
「はぁ・・貴様は馬鹿か、ちゃんと二本の足を立たせる場所があるのなら、危険もなにもないだろう・・岩で落ちない限り危険な事は一切ない」
この魔王ときたら・・ッ!
ああ・・知らない人は知らないだろうから紹介しよう。
血色の悪いイケメン事、魔王様・・名前はカオスというらしいけど、
苗字は教えてくれません、
私はめんどくさいので魔王様と呼んでいます。
こんな風にいつも理論をおっ立てて話してくるのが日常です。
「いいか、巫女・・きちんと作られた道があるのなら別に怖がる事ないだろう・・我もいつぞやは部下に山を持たせたが・・そいつは嬉しそうに城を建築していたぞ、負けたけど」
「その人・・落石でやられたんじゃないですかね?」
「いや、脳筋野郎に城ごと落下させられた」
「やっぱり山ってろくな事ないじゃないですかーッ!!」
私はこの溢れ出る怒りを足に込めて大地を踏みしめダンッと地面をたたいた。
するとなんと踏みしめた大地が突然ミシミシと言う、
いやーな音を立て始めたのだ。
「あれー・・今なにか嫌な音が・・」
「み・・巫女・・貴様・・」
グシャァァァッ!!
それはもうべたに崩れ落ちた山道、
ガラガラと崩れ落ちてゆく私はどうする事できず、
ただひたすらに下へ真っ逆さまに落ちるのだった。
「うわぁぁぁぁッ!!!」
「巫女ォ!?」
「助けてくださぁぁぁいいいいい!!!」
思わず泣き叫ぶがもうこれはどうすることもできないだろう。
そう思いながら必死に呼びかけると、
突如、私を救った者がいたのだ。
まるで、落ち行く私を見ていたかの様に、
シュバッ!!
私は落ち行く恐怖で目を閉じていた。
その時何が起きたのかはわからなかったが、
何故だかとても体が軽かった。
もしかして・・魔王様が助けてくれた?
「(私・・今・・どうなって・・)」
「み・・巫女は助かったのかッ!?」
「あれ・・魔王様の声がまだ遠い・・という事は誰かが助けてくれた?」
私は閉じていた目を開けてみると私は謎の美少女にお姫様抱っこされながら、
山と山の間を次々と壁を蹴りながら上へ上へと昇って行かれていた。
「ど・・・どちらさまぁッ!?」
「ああ!気が付かれましたか?私はただのこの山に住む者・・ご安心ください!今から貴方を救いますからッ!!」
「それは助かるけどもぉぉぉぉ・・・!!」
謎の美少女は次から次へと山の壁を蹴って進み、
ついには魔王様の下へ送り届けてくれた。
突然の出来事に私は心臓をバクバクさせながら、
とても息を荒くしていた。
「ぜはぁ・・ぜはぁ・・し・・死ぬかと思った・・!!」
「大丈夫ですか?」
「全く・・こんなやわな大地を蹴るからだ薄幸の巫女め」
「うへぇ・・面目ないです・・」
私はとにかく申しわけない気持ちで沢山だった。
とりあえず色々あって何から言ったらいいものか・・、
そうだ・・この美少女に俺を言わなくては・・
「あ・・あの・・助けてくれて・・ありがとうございます!」
「い・・いえいえ!お礼だなんて・・とんでもないです!」
「いえ・・私は助けてもらった身・・あなたには感謝の気持ちで沢山です!」
「あはは・・そこまで言ってもらえるなんて・・ありがとうございます!」
手を合わせてお辞儀ををする丁寧な返事・・
この挨拶の仕方どっかで・・
「あ・・ああ!もしかして・・幻華の里の民!!」
「えっ・・ご存じなのですか?」
「はい!私たち巫女の間ではそれはそれはもう・・」
「ほう・・お前がかの有名な・・幻華の民・・噂通り超人で驚きだ・・」
「あ・・あはは・・なんだか恥ずかしいですね・・ありがとうございますお二人とも・・確かに私は幻華の民・・その一人【林 苗】です、以後よろしくおねがいします!」
桃色の髪の毛、美しい肌、この独特の鮮やかな格闘服・・、
左脚に見える謎の文字書かれた包帯・・そして右手も謎の文字の包帯、
そして極めつけはこの頭の可愛い二つのお団子は間違いない!
幻華の民の子だ!
と・・私と魔王様が幻華の民で興奮していて困惑している人達しかいませんよね、
その事について少しだけ説明しませんとね、
幻華の民は大昔から自ら山にこもって代々修行してきた力の種族、
人と同じ・・というより一種の希少種の様な感じです。
例えば同じ人でも特徴が違うとか、同じ魔物でもどこか違うとか、
そんな感じなんです、見分け方が本当に名前かこの見た目なので、
一般の方は同じ人というぐらいしかわかりません、
ちなみに幻華の民とは生まれが幻華だけであって、
けして一つの分類ではないのであしからず、
彼らの中には混沌、人間、はたまた他の種族も実は幻華の民に紛れています。
というのが主な幻華の民の解説です。
詳しい事はまだまだわかっておらず。
中々調査も記録も残させてくれないんですよね、
ここの幻華の民の長老が中々厳しい人らしいので・・、
「あー・・でも、生の幻華の人に会えるなんて・・夢みたいです!」
「そ、そんなにですか?」
「はい!私・・冬風の里の蒼銀狐の巫女千奈美ちゃんを見た時からずっとあの子の隣にいる幻華の守り神様に憧れていたんです!」
「・・・ッ!」
「(そんなマニアックな部分こいつ覚えていたのか・・巫女ォ・・)」
そう、私が小さいころ・・冬風の神社で行われた祭りで見た巫女様・・あの千奈美ちゃんの毎年勇気をもらい・・ついにはニー友として信頼を作った・・
その隣にいた幻華の神様・・
雪花様はとても優しくて気品のあふれるいい人だったなー・・
「うーん・・今でも忘れられません・・」
「まあ、貴様が憧れるのも無理はあるまい・・確かに私も幻華の者にはいつも目が見とれてしまうほど美しい者達だった・・」
「・・千奈美ちゃんの・・そう・・あなたが・・」
「・・?どうかしました?」
「あ・・いえ・・別に・・大丈夫です!」
「・・・そうですか・・?」
気のせいかな?
今、なんだかこの人一瞬顔が・・不安になっていたような・・、
気のせいだよね、別に何かあったてわけではなさそうだし、
「あ・・話をそらしてごめんなさい・・ところでそちらは?」
「あ、私は夏風の見習い巫女の出雲 翡翠!」
「私が・・魔王のカオスだ!」
「か、カオス・・それに巫女の翡翠様ですね!」
「はい!あ、様はいいです!」
「では・・翡翠さんでよろしいですね?」
「はい!よろしくおねがいします!」
「(私が心の広い混沌でなければいつまでもスルーされたままこんな堂々と腕組んで立ってないぞ・・)」
こうしてピンチを終えてまた一つ交流を挟んだ私と魔王様、
なんだかやっぱり魔王様に驚いていたけど、
この後ちょうど林さんの帰りだったので、
ランシャンさんと山道をしゃべりながら行くと、
魔王様と林さんも自然と仲のいい雰囲気になっていた。
「そうですか・・魔王様は100年の時を得て・・」
「そうだ!今度はこの世界を救うときだ・・今はこの巫女の護衛をしている」
「ふふ・・頼もしい護衛ですね」
「そんな事ないですよー、この人結構なんでも間でも理論を作りあげるし困りものです」
「おい、それはないだろ」
「ははー、ごめんごめん」
「心がこもっていないぞ!!」
「めんごー!てへっ!」
「ぬぉぉぉ!!こいつぅ!巫女ォ!」
「あははー!面白いカオー!」
「(お二人とも仲がいいですね・・なんだかうらやましいです・・)」
私と魔王様がくだらない事で言い争ってても、
どこか微笑んでいる林さんを見て安心、
こんなくだらない雑談や話で林さんを和ませたり、
やりたい放題しながら進む私たちだ。
そして、山を登って気づけば石階段が見えて来た。
林さんが声をはって言った一言で私たちは、
心に響くほどの歓迎が耳に入る。
「さあ・・つきましたよ!ようこそ!幻華の里へ!」
その階段を上っていくとそこに広がっていたのはなんと巨大な里ッ!
すごい・・上から勢いよく滝が流れていて、
周りは少数の民家、上のほうへと続く階段にはなにやら酒場のような場所も・・、
こ・・ここが幻華の里・・幻想的だ・・。
「私たちの住む場所とはまたずいぶん違いますね・・」
「ええ・・この里はいろんな人達がいますからね・・それにそのほとんどが己の体を磨くためにいますから・・それ以外にもその戦闘を見たくてあの酒場の小さな闘技場に今でもあのよう人々がいますよ?」
林様が指さす先は右の山端、
大きなお店と隣は策で囲われた闘技場、ここからでも少しだけ、
盛り上がる声が聞こえてくる。
「わー・・なんだか凄そうですね・・」
「ふむ・・腹ごしらえにでも酒場に行くか・・」
「魔王様どうせそんな事言って・・魔物がいるか気になるだけでしょ?」
「グッ・・しかたがないだろう・・こうやって元・魔王軍を探すのも旅に同行する目的だ」
「まあまあ・・お二人とも・・」
「・・まあ、そうですね・・せっかく着いたんですし・・あまり長居はできませんが・・いいですか?」
「あ、はい!全然かまいませんよ!」
やれやれ、着いて早々この里を見回るのではなく、
まさか巫女が酒場に行くことになるとは・・、
それにしても酒場か・・いやな思いでしかない、
私達は少し里の中を歩いていき、
酒場の中へと入るのだった。
少し気分は乗らなかったけど・・まあ、
魔王様のたまに気まぐれに付き合うのも悪くないだろうと思いいざ入る。
酒場の中しとても独特な雰囲気で当然がやがやとしていたが、
魔王様の目的の場所でもあったこの闘技場はもっとすごかった。
多くの観覧席、多くの魔物や人々が声をあげて観戦するこの場所、
今観覧席に入ってきた私達でもその熱気は伝わった。
『うぉぉぉぉ!!負けるなー!ファイトー!』
「す・・すごい・・これが闘技場・・」
「そう、ここは戦う者が腕試しをする場でもあり、ここにいる皆様を盛り上げてくれる健全な闘技場・・その名も【ファントム・コロシアム】」
「ふぁ・・ファントム・コロシアム」
「ちょうど、今も戦っていますね・・あの二人は確か【李 喰煉】と【茨戯鬼竜】ですね」
本当だ、林さんの闘技場の観覧席の上から指さす方向には二人の決闘者、
一人は筋肉質で肉体もでかいフードを被った男、
見た目は戦闘種族、すごい体の黒い人だ。
人間の体なのに太い太い竜の様なとげとげしい尻尾、
2本のまっすぐとした角、両手のでかい竜の様な人をかたどった手、
2本の赤い槍を巧みに扱い相手を翻弄している。
あの人が喰煉さんだ。
もう片方は白肌の美少女、
金髪のポニーテールでこちらは肌の露出は上半身は抑えたような姿だ。
緑の綺麗な瞳、でも目つきだけはとても鋭い女性、
小柄でとてもかわいらしいのに、
あの小さな手で一たび殴ればなんと地上がボコボコと割れてゆく、
不安定になる地面に相手を翻弄させていく、
小さな女格闘家の様なのが鬼竜ちゃん?
互いに体格差があるのにほぼ互角の激しい戦いをしている。
「・・・」
「ん?魔王様~?どうしたましたー?何、真顔になってるのー?」
「どうかしたんですか?魔王様?」
「いや・・知り合いによく似た奴・・というより元・四天王が見えるもんだから・・」
『エエエエエッ!?』
私達が今見ている激しい戦闘を交わしている二人が・・元四天王ッ!?
これは一体どういうことなんだ・・魔王様ッ!?
互いの拳と技をぶつけあうあの二人は元四天王、
だが・・一体なぜこんなところに!?
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