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無限空想世界の幻想的な物語  作者: 幻想卿ユバール
第四章 楽園編
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無限空想世界の幻想的な物語~楽園~ 第18話  「その絆ある限り」

ここは森林のさらにさらに深い深い奥地、

朝の陽ざしが登ろうとしていた。

時間は午前7時の事、

夜明けが来ようとしていた山のてっぺんを目指していた。

大事な大事な仲間のもとへと駆け寄るように、


「こっちだッ!さっき確かに聞いたんだッ!」


「本当なんだねッ!?もし・・もしもだよッ!?・・もしも本当にッ!!」


「黙って前向いて走れッ!遅れをとるぞッ!」


「・・ッ!見えたッ!!ここがてっぺんよッ!!」


どうして僕たちはこんなにも息を荒くして上っていたのか、

どうしてこんなにも慌てているのか、

そう、それは・・美華の助けの声を確かに聴いたからだッ!


そして・・息を荒くして上った先は・・間違っていなかった。

とんでもなく禍々しい赤黒いなんとも気味の悪い大樹・・、

いや、これは大樹なのかッ!?

なにか触手がうごめいて・・そして目がチラホラと・・


「うっ・・なによ・・これ・・気持ち悪い・・」


「これは・・これは大樹!?だが・・」


やはり大樹だよな・・

だが、僕の知っている大樹と何か違う。

どうなっているんだこのsan値削られる魔物は!?


「おかしい・・本来この場所には・・夏風の大樹があるはず・・」


「姉さん・・そうだよな・・ここには確かに大樹があった・・」


『その大樹はこの大樹ですよ!!』


「誰だッ!?」


「クックック・・お久しぶり~?」


「お・・お前はァァァァァァッ!」


突如大樹のほうから声がして視線を向ければそこにいるのは・・ッ!

陽気でとても狂ったような声の正体はフェィカーッ!

あいつまだ闇裏の姿を!!


「よう・・フェィカー・・まだ僕の姿借りてんの?」


「ご安心を・・君がいる近くでは君の能力は使えませんから・・」


「なら安心したよ・・ところでこの大樹について説明できるか?できないのであればお前を殺す・・これは生存フラグじゃないから覚悟しておけ」


「おー・・怖い怖い・・では説明してあげましょう・・これはですね・・この地に生えていた偉大なる夏風の大樹・・この世界の偉大なマナの大樹とでも言いますかな?」


マナの大樹・・僕でもわかるぞそれは・・

大昔の戦後、マナの少なかったこの地にすべての大地にマナを降り注げた伝説の大樹、

この大樹がなければ今頃人類は滅んでいたとまで言われている。

最近は魔法が使えないと不便なことも多いから、

特にその当時は魔法が主流でかなり使われていた。

と、ジンが教えてくれた。


「そのマナ大樹に我々アビスの【アビスシード】を埋め込んだらこの通り・・みるみる成長したのですぅぅぅぅうううッ!!!うへへへへへッ!」


「貴様ら・・人の世界で好き放題やりやがって・・この白鶴が黙ってねぇぞッ!?」


「俺もだ・・同じ魔術師として・・アルテミスに顔向けできない!」


ひどい・・こんな・・こんなことをするなんてッ!

僕は手を握り怒りをあらわにした。

久々どころか許せない!

ジンが言っていた大切な何かを傷つけられる苦しみが・・

ようやくわかった・・あいつが苦しんでいた思いは・・こんなにも!

こんなにも心が締め付けられるのか!

僕が好きだったイフニアを・・こんな・・こんな奴らが!!


「にっへっへへへへへへへへ!!!悔しいでしょう?くやしいぃぃぃぃううええへへへへ!!」


「この狂人がァァァァッ!!」


「銀君ッ?!」


「ふぇっふぇっ・・あー・・その顔さいこー・・でもものたりなーい?」


こいつ・・僕怒りを餌に・・

許せない・・人の憎悪や憎しみをなんだと思っているッ!


「んー?そうかそうか・・君の絶望する顔はまだ見ていないねー?・・じゃあ・・これを見たら・・どうおもうかなー?」


「・・えっ・・ああっ・・ああ!!み・・美華ぇぇぇぇ!!!?」


そんな・・嘘だ。

嘘だろ・・美華が・・美華がぁぁぁッ!!

僕が目の前で見ている絶望の光景、

それはとてつもない唖然の光景、

美華が・・美華があの大樹に縛り付けられて・・

今にも飲み込まれそうに・・


「あ・・・ああ・・たす・・け・・て・・」


「にぃぃへぁぁぁぁぁぁア?!気分がぁぁぁたまんねぇぇぇッ!!その顔ッ!そう!その顔です!」


「く・・・クソ野郎ォォォォォォオ!!」


涙を流して僕は力強く怒りをあらわにした。

こんな光景見て怒れないやつなど・・どこにも存在しない!


「フハハハハハッ!!!もっと!もっと怒りをあらわにしてもらおうか・・」


「ふざけんな・・ふざけんなよ・・どこまでも・・!!」


「ほーれ・・大樹様ああああ!!」


「いや・・いや・・いやぁぁ・・」


ビリィィィィ!


美華は大樹の触手にふ服をビリビリに引き裂かれて、

みすぼらしい1枚の白シャツになるまで引き裂かれて、

その肌をあらわにした。

そして・・その目に移った光景は・・とても・・悲しかった。

僕は・・涙を・・流した。

さらに・・さらにもっと悲しみに追いやられたのだ。


「み・・美華?・・その・・傷・・その跡・・」


「みない・・で・・おねが・・いしま・・す・・みない・・でぇ・・」


「フハハハハハ!!そうそうそうそう!!!もっとだ!!もっと!!泣け!絶望しろぉぉぉ!!」


肌全体に残るまるで締め付けられたような痣、

沢山の傷跡、やけどの跡、

ひどい・・全体が傷だらけだ・・


「こいつはな?契約者がなくなって以来ずぅぅぅと力が戻んなかったのよ・・そうしていつしかこいつはな・・性的玩具のおもちゃとして・・役目を終えて来たわけだぁぁぁぁ!!」


「・・・そんな」


「はははは!!傑作!!傑作・・・あー・・・傑作だー・・・とても・・とても・・」


「・・あ・・ああ・・」


美華は涙を流していた。

絶望の眼差しで・・何もできない体でも・・

その目には絶望が見えていた。

僕も涙を流していた。

その悲しみは・・だんだん怒りへ変わった。

そして・・歯をギシギシと鳴らして・・

僕は・・今までにないくらい怒りをあらわにしたッ!!


「貴様ァァァァァァァァァ!!!」


「にょーほっほっほ・・怖いねー・・でも・・そんな君もいいよ?ぎーんくーん?」


「てめぇだけは・・てめぇだけはァァァァァァ!!」


「ははは・・うーん・・そろそろ怒り顔も飽きたし・・ころしゃちゃおうかなー?」


そうやって余裕を見せていたフェィカーは、

なんと上から口を大きく開けた謎の大樹の一部分によって、

フェィカーは飲み込まれたのだ!


『フハハハハハ!さあ!王子様~・・僕と最後の戦いだよ~?』


「上等だ!てめぇを最後の最後まで切り続けてやるんだよ!!」


「やめろ銀」


「ッ?!夜桜さん?!」


僕が怒りにとらわれていたその時だ。

後ろから冷静な声が聞こえた。

それは・・夜桜さ・・なんかめっちゃ神々しいなッ?!


「・・ふざけてんるすか?」


「違う大まじめだ・・よく聞け・・お前は今・・怒りで何かと戦おうとしていないか?」


「・・・わかってます・・だけどッ!!」


「銀ッ!!お前のかつての仲間たちの意思を・・無駄にする気かッ!!」


「クッ・・で・・」


「でもじゃないッ!お前は都合が悪くなるとそうやって意思を変えるのか?」


「・・・夜桜さん」


「ハルバード殿は私に教えてくれた!怒りに任せて誰かを恨むことがどれだけ愚かか、アリサ殿は教えてくれた・・自分が・・自我を失って何かと戦う事の愚かさを!!」


心に響いた一言、

そうだ・・僕もかつて・・誰かにこうやって・・


「貴殿がッ!そうやって彼らを導いてきたのだろう!?貴殿がそれでいいのか!!貴殿は主役ではないのか!!主役がラスボス面してんじゃねぇぞッ!!そんなのほかのファンタジーに分投げろこの根性なしがァァァァッ!!」


ドガァァ!?


なんで殴ったぁぁぁぁ!?


「いってぇぇぇぇッ!!!何も頭に一撃入れなくても・・・」


つかさりげなくひどい言い回ししていたような・・

流石かよ夜桜さん・・


「まったく・・みろ、周りを」


「えっ?」


僕は周りのみんなを見渡した。

そうしたらとても心配していた顔をしていた。

そうか・・僕は・・


「このクソッタレ野郎!!」


「うぼあッ?!」


「一球入魂!!」


「ぶべらぁぁ!!」


「おまけッ!」


「いらないッ!?」


腹パンに頭突きにびんた・・フルコースかよ・・、

畜生・・戦う前にやられそう。


「はは・・銀さん・・ずいぶん恵まれてるのね・・姉さんにビンタされるなんて・・中々ないぜ?」


「・・恵まれてる・・はは・・そうだね・・」


「ふぅ・・どうやら・・ふっきれたようだな!!」


僕は夜桜さんの言葉に答えるように、

夜桜さんの出したパーの手にグーで殴る。

そして、元気よく言葉を交わした。


「ハイッ!!!僕は・・こんなところでラスボスになりませんからね!!」


「ふっ・・危うく・・おれはしょうきにもどったにならなくてよかったな?」


「いいですともは最後の物語だけですよ?」


僕は互いにいつも調子のように夜桜さんと言葉を交わした。

大丈夫・・ここには怒りで戦わなくても、

頼もしい仲間たちがいる!


僕たちが・・手を取り合って戦えばこんな奴ら怖くない!

こんな奴に怒りを見せて戦う必要なんてない!



続く

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