無限空想世界の幻想的な物語~楽園~ 第4話 「希望が始まり絶望も始まる」
お詫び
更新が遅れて本当にもうしわけありません、
それともう一つ、ナレーションですがあまりにも使いづらいと判断したので、
残念ですが彼の出番は前回のあらすじのみとなります。
自分勝手でもうしわけありません、
いつか銀視点での再投稿のリメイクをしますので、
それまで、彼の事はなんとなく思いだしてあげてください、
それでは大変お待たせしました。
どうぞ、
前回のあらすじ
銀達は無事に里の安全を強引に取り戻す事に成功した。
それ以外にも金の亡者灯との再会、
もはや恒例化する一方の展開に、
読者の涙はある意味止まらないのだッ!
たぶん流している人なんていないだろう、
この小説に感動なんて無いッ!そんなもなは無いッ!
話がそれたが、その一方で、
白鶴と鏡子は互いの目的の為、
今回の銀の山登りに参加する事になった。
そして、話が激変する中、
銀は、衝撃の情報に驚愕していた。
それは、あの男、【風浪 闇裏】の情報である。
「ハァッ?!能力2つ持ちッ!?」
「そう、世界に1人しかいない禁忌種と呼ばれた男【風浪 闇裏】、彼とはかなり関係が深いからね~よくしっているさ」
の、能力が2つッ!?
ジンでも一つしか持ってないのにッ!?
禁忌すぎるぞ、その風浪なんとかッ!
「まず一つめ【神空移動】、2つ目は【創成】2つ目の能力はちょっと特殊でね」
「特殊?」
「この能力自体は彼の物ではない、彼の保護者と言うべきだろうか、【早乙女 瑛里華】が自身のその創成で生み出した能力」
「ど、どうゆう事なの」
「簡略化して話をしよう、まず一人が創成を持っているだろ?その1人が誰かにその創成を使ってそいつに創成能力を埋め込むように作れたとしたら?」
「・・そいつは、能力である創成が使える?」
「大正解、この能力ハルバード君のと異なる亜種の製作型、この世の命魂を除く全てを作り出す最強の能力さ」
なんだそのチート能力、僕はお家へ帰りたくなったよ、
ハルさんでさえ剣を作るのに得とくした期間はかなり長いって言ってたのに、
そいつバランスを分かってないよ、
「(世界は広いなー、全く・・)」
「それに加えて彼は肉弾戦も得意としている、ついでに言うならば体内に潜むマナは無限、これも早乙女ちゃんが作ったモノだね、攻守ともに最強をかねそろえたまさに隙のない圧倒的な存在だろうよ、世界一を誇れるよッ!ハハッ!!」
「誇ってどうするッ!」
と言うよりなぜそんな相手の事を知っていて、
なぜそんな満面の笑顔で笑い飛ばせる灯先生ッ!
「ついでに言ってしまえば山の獣たちもそれぞれ独自の強さを持っている・・、彼らは現在闇裏の監視下だろうから説得も聞かんだろうよ」
あー考えるのを止めたくなってくるなーッ!
ドイツコイツも特殊的に強いんじゃ手の施しようがないよッ!
全くもってうんッ!
しかし、やらないと言う選択肢はないわけだし、
もとよりそんな気持ちはどこにもないけど・・。
いやでもこれを1人でやると言うのは至難の業だぞ・・。
深く深く考え込むなぁ・・。
「うーん・・山の人たちを僕が相手しながら最強の人の下にたどり着くころにはくたばってそう・・」
「し、シルバーさん・・やっぱり駄目そうですか?」」
「み、みけらんじぇろちゃん・・」
「み、美華ですッ!あからさまに動揺しないでくださいッ!」
心配そうにこちらに話しかけてきてくれた美華ちゃん、
動揺しすぎて名前をうっかり間違えた。
「あ、あのねですね無理を承知で私からもお願いしますッ!」
「どうして美華ちゃんが?」
「あの山には私の親友のミカちゃんがいるんですッ!今も多分闇裏様の下で牢獄に閉じ込められているんですッ!」
「・・なーるほど、美華ちゃんもあの山に住んでいたわけだ」
「あ・・ご、ごめんなさい、隠していたわけじゃ・・」
「いや、気にしないで」
そうか、あの山に住むのは人獣がほとんど、
なるほど、美華ちゃんもそのうちの1人だし、
まあ、そりゃあ美華ちゃんからも言いたくなるわけだ。
「無理てっわけじゃないんだけど・・」
「わ、私案内しますらッ!だからお願いしますッ!サポートもできる範囲でお手伝いしますからッ!」
「ほれ少年よ、いたいけな少女がここまで言うとるんじゃ、ワシからも頼む、力になれる事は少ないが、あの山の悪がきを撤退させたら里を救う事にもつながる、そしたら褒美もだそう」
「いや、そこまでしなくても良いんですよ・・ただ僕だけでは不安要素が・・」
「うぅ・・やっぱり・・だめですかね?」
不安そうにオロオロとする美華、
冷静で涼しい表情をしているが内心はとても心配しているであろう心愛、
畜生心に来てしまう、
かっこよくここは僕がやりますよ的な事で安心させたいけど、
確証も無いのにそんな事言えるわけがない、
第一に相手は世界最強だしな・・。
ああ~頭がギスギスするんじゃ~。
「ヴぅ・・せめて協力者がいれば・・」
『お困りの様ですねッ!!』
こ、この声はまさか・・柘榴さんと夜桜さんッ!!
そ、そうか、
そういえば今日来ていた2人なら確かに協力者にはもってこい・・。
「やはり人獣山か、いつ出発する?」
「柘榴院ッ!?」
不安要素増えたーッ!!
このジャンプ娘まだパロディセリフ言うつもりかよッ!
思わず反応した僕に謝れッ!
て言うかもう清々しいほどノリノリだよこの二人ッ!
「で、柘榴さんに夜桜さんはなぜ・・」
「本編外の記憶から失礼させてもらうぞッ!我らは先ほどのシフトを終えるとなにやら事件の匂いを嗅ぎつけたッ!」
「と言うわけで我らはシフトを終えてここに来ましたッ!じいちゃん・・光太郎様・・霖雨様・・終わったよ・・」
「そのジャンプ娘はもうキャラ崩壊と言うより、その手のキャラを目指しているのは分かったが、語尾がどっちも「我」で読者は非常に分かりづらいよ」
「ならこの夜桜が我で、柘榴は私でどうだろうか」
「いやいや、この柘榴こそ我で、夜桜さんが私でよろしいかと」
「どっちでもいいから、結局何しに来たんですか?」
「協力しに来たッ!助太刀いたすぞッ!」
「先行きを不安にさせる事で有名な娘ですがよろしくおねがいしますッ!好きなのは少年漫画の柘榴ですッ!」
「頼もしいけど、作品的に不安要素が増えたよ・・大丈夫ですかね・・」
一気に不安要素がのしかかる今日この頃(おもに作品に)、
頼もしいんだか、頼もしくないんだか、
ともあれ同じ仲間が増えるのは良い事だ。
「えっと・・それじゃあよろしくお願いします夜桜・・さん?
「むっ?どうした?」
「いえ、なんか・・何と言ったら分からないもので・・」
「ハハッ!気にすることはないぞッ!私の魂はいつも大和魂ッ!大きく広い心で迎え入れようッ!気軽に夜桜とでも秋斗とでも・・またまたよっちゃんでも良いぞッ!」
「(なんかすごい爽やかでフレンドリーだッ!!)えっと・・じゃあよろしくな、夜桜・・ですかね?」
「うむッ!最初のうちはなれんだろうが・・そのうちなれるはずだッ!まあ、気軽によろしく頼むッ!」
ハルさんやアリサさんの話からもうちょっとクールな人かと思ったけど・・、
もうすっかりその印象も消えたな・・、
クールキャラはどこへ・・、
「あ、夜桜さんは置いといて改めてよろしくッ!私の名は・・ザクポリオですッ!!」
「よろしくジャンプ娘、精々作品の炎上係もしくはヘイト要員としてがんばってくれ」
「酷いまとめ方ですねッ!流石に私そこまで言われたの初めてですよッ!」
いや、だって初めて会った時からパロるキャラが定着していたしな・・。
むしろそれ以外になんと呼べばいいのだろうか、
「・・ポンコツ娘?」
「ポンコツ娘ッ!?ポンコツですか私ッ!?畜生、顔芸でもかましてやろうかッ!」
「違う柘榴ッ!顎はもっとこうだッ!そして手の角度はこうだッ!!」
「あんたらにプライドと言う字は無いのかッ!!」
とても不安だが・・、
協力してくれるだけありがたいと思っておこう。
むしろ彼らにもれっきとした実力がある。
それならばあまり不安に思う事の方が本来は少ないのだろう。
このパロの連鎖さえなければ、
まあ、ひとまず安心かな、
「と、安心はしてみるが・・すくなともあと2人・・」
「うぃーすッ!そこでこの白鶴&鏡子ちゃんの出番なのでーすッ!」
「俺達が協力しよう、報酬次第だiモガァッ!!」
「(鏡子ちゃんッッ!!相手は年下なので今回は控えてくださいッ!大体仕事じゃないからッ!)」
「(んな必死に手で抑えなくても良いだろッ!んじゃどうすんだよッ!タダ働きかよッ!)」
「(情報だけじゃものたりねぇてかッ!ドンだけ金かかるんだよッ!しゃーねぇ、これ終わったらアレ奢るから勘弁してくださいッ!)」
「(マジでッ!?アレ奢ってくれんのッ!?)」
この二人・・さっきからなにをしているんだ・・?
先ほどから白鶴さんが片手で手を抑えてもう片方でシーッ!
てっ感じの動作からして多分隠し事しているんだろうけど、
「とにかくッ!僕様達も行くことにしたからッ!」
「ああ・・ッ!任せろッ!」
「(急に凄い気合が入り出したな・・)ま、よろしくおねがいしますッ!」
「白鶴きゅんに鏡子たんがパーティにね~・・まあまあ良くなったんじゃない?」
灯先生も安心の様子、
5人の頼もしい仲間たちのおかげでみんなの不安は一気に解消された。
「今回の闇裏は強敵、さらに山の獣たちも相手にするにも十分な戦力だね」
灯はグッと手を差し出し、
みんなに一つ応援の言葉を述べた。
元気に明るい笑い、みんなに力いっぱいの気合をいれる。
「戦力としてはな・・だが奴は昨日自分の仲間や美華に容赦なく危害を加え外道だ、用心せい」
「・・・ッ!?なんだってッ!?それは本当かいッ?」
姫蛇風の言葉に信じられないと驚く灯、
滅多に驚かない灯だったために周りはなぜと、
僕を含め疑問に思ったのだった。
「アカりんどうかした?」
「アハハ・・ッ!!なんでもないサねッ!」
「サね?なんか変ですよ灯先生」
「見るからに焦ってる感じだな」
「顔に書いておるぞ、そんなはずがあるものかと」
流石に周りに丸わかりな言動と表情、
たとえどんなに笑いごまかしても、
ごまかしが無理な時だってあるだろう。
一体何をそんなに焦っているのだろうか、
「なんでもないさ・・ただ、ちょっとだけ用事を思い出したッ!私はこれで失礼させていただくよッ!」
「あ、待ってよあっかりーンッ!」
「白鶴さん、それ違う人だと・・」
「でも、名前的には一致しているッ!」
「ソッスネ」
飛び上がって去って行くとはまたスタイリッシュだな・・。
瞬時にまた屋根まで飛び上がり、
屋根から屋根へと駆ける、それはまるで忍者の様。
「にしも相変わらずスタイリッシュだな・・この世界に住むやつみんなああなのかな」
「僕らは空飛べるけどね~、あっかりんも確か飛べたはずだよ、何せ魔力が豊富だから」
「生まれ育ちで魔力が違うんですよね?白鶴さんや灯さんはどのくらいもつんですか?」
「そうだね~まあ一日中強力な魔法とか撃ってられるんじゃないかな?」
「へぇ~・・てっ一日中ですかッ!」
「ああ、一日中だね」
ますます魔術師の存在がなんなのか、
わからなくなってくるな、
この人ら普段も魔力で生きてそうなイメージが出て来たぞ、
「おい、白鶴、無駄話は良いんだが、柘榴と夜桜が消えたぞ」
「えっマジで?あいつらどこに行ったの?」
「たぶん先に行ったんじゃね、話聞かなそうだから」
「なんですとッ!?よし僕様達も行くしかないでしょッ!」
「へいへい、ところで・・銀とか金とか言ったけ?お前はどうするんだ?」
金て、もうそれンしか合ってないし、
銀だから、銀、
ぬらりくらりとしてんな本当にこの人、
「えっと・・最期に姫蛇風さんにあいさつしてから行こうかと思います」
「りょうかーい、んじゃあ俺ら先行くわ」
「鏡子ちゃーんッ!モタモタするんじゃないどーッ!」
「うっせぇ、わかってるつうの」
鏡之介さんに先を急がれつつも、
なんだかんだ付き合ってあげている鏡子さんは鏡之介さんと付き合い長いんだろう。
きっとああいうバランスのとれた2人て言うのがベストペアとか言うんだろう。
※言われてない
さて、ここに長くもいるわけにはいかないし、
そろそろ姫蛇風さんにあいさつしてみんなのところへ行こう。
「姫蛇風さん、短い間でしたがありがとうございましたッ!」
「あっ私からも・・ありがとうございましたッ!」
僕が礼儀良く頭を下げると、
美華も続けていそいそと頭を下げる。
世話になった事なんてそんなに無いけど、
山の許可や色々を通してね、
「礼を言うのはこっちの台詞だ、本当に助かった・・あの時助けが無ければ私は死んでいた事だろう」
「僕がいなくても多分灯先生が助けてくれたとは思いますけどね・・アレは完全に準備していたノリでしたし・・」
「まあ・・灯が来るのだって多少なりとも時間が必要だったろうよ、そう自分の評価を下げるな、お前の勇気ある行動に実際私は助けられた、誇っていい」
神様に言われるとなんだか照れくさいな、
そう言われたのなら、そういう風に誇ってもいいのかもしれない、
「はいッ!ありがとうございます、姫蛇風さんッ!」
「あー・・姫蛇風さんはいい・・心愛で大丈夫だ」
「良いんですか?心愛と呼んでも?」
「その・・なんだ一様助けてもらったしな・・アレだアレ、こみにけーしょんと言う奴だ」
なんだか顔赤いしもじもじしすぎじゃないだろうか、
さっきまで清々しい顔していたのが嘘の様だ。
喋り方もどこかぎこちないし、大丈夫かな?
まあ、深い意味はないだろう。
「・・あっ!じゃあ、コミニケーションついでに・・これッ!受け取ってください」
「これは・・洋菓子?」
心愛に渡したのは布の少し大きな袋、
先ほどまで腰にぶら下げていたのだ。
その中に入っているのは金平糖だ。
夜桜さんがあの宴の時にくれた甘い洋菓子、
これもまた他世界からの知識を取り入れた代物だとか、
それにしても美味そうだから持ち歩いていたが、
ちょうどいいし、神様に全部あげてしまうと考えたわけだ。
「・・洋菓子」
「あ、嫌いでしたか?」
「えっ?いや、食べた事がないだけだ・・米と団子を噛みしめるのが日常だったからな」
「なら、是非食べてくださいッ!」
「そ、そうだな・・では一つ」
そういうと心愛袋から一粒のイガイガした綺麗な金平糖を口の中へ入れて、
ボリボリと噛みしめ、美味しそうに幸せそうな表情をする。
「(う、美味い・・巫女の作ったごはんとライスおにぎり定食より上手いッ!)」
「(凄い表情に出るくらい美味しそうにしてるな・・)」
この神様・・とても可愛い、
ついつい何百年も生きたと言う事を忘れてしまいそうだ。
もぐもぐと食べる姿は幼女の姿そのものだろうか、
「・・そうだ、美華も食べてごらんよ、美味しいよ?」
「えっ良いんですか?で、でも神様の・・」
「良い、そんなに黙りこんでてもワシにはわかるぞ・・こんぴーとうがお主だって食いたそうにしている事ぐらいは」
「(こんぺいとうなんだよな・・)気にせず食べていいよ」
「は、はいじゃあ・・遠慮なく・・」
そう言って袋から一粒取り出して美華も一つ口へ食べる。
口の動きがゆっくりと動き、しっかりと味わっている。
美華も少しだが嬉しそうに頬張る。
「(美味しい・・)」
「(心なしか美味しそうに食べている様な・・)」
なんだか和む風景だ、
普段からこういう風景はもう見慣れていると思ったが、
思ったより、この風景を見るのも久々なのかもしれない、
幸せそうな二人を見てほっこりするのだった。
「・・・(それにしても耳がピクピク動いているのがちょっと気になる)」
「・・?(どうしてさっきから不思議そうにこっちを見ているんだろう?)」
どうしよう、こういう場合の選択肢はだいたい撫でるか、
やっぱり眺めておくかと言う選択肢が出てくるわけだが、
僕は主人公、例え攻略対象ヒロインの好感度が下がる恐れのある選択肢を選んでも、
自らプレイヤーに「これは選んではいけない奴だよ」と先行して教えてやらねばなるまい、
主人公たる僕にはその資格と義務があるのだよ、
と言うわけで撫でよう。
「(ふーさーふーさ・・やっぱりフサフサしてる)」
「あ・・あッ・・あうぁ・・あ・・っ」
「あ、ごめん・・やっぱり嫌だったよね?」
「あッ!いや・・その・・ちょっと・・は、恥ずかしかっただけです・・頭撫でられるの・・怖いはずなのに・・優しくて・・それでいて暖かくてなんだか・・心地よかったです・・」
予想外だ、予想外の回答が返ってくることもあるのか、
いや待て、慌てるなこれは孔明の罠だ。
もしかしたら心の中では悪い印象を与えちゃったかなとなっているかもしれない、
恋愛ゲーは好感度がいつ下がるか分かるが、
小説はいつ好感度が下がっているかわからんのが現実だ。
それはともかく、とりあえず嫌がられなくて良かった。
「意外と大胆な奴じゃな、獣耳はかなりデリケートだ、しょっちゅう触ったりせんようにな」
「ええ、気を付けますッ」
「・・ところでお主は獣耳が好きなのか?」
「・・いや、特別好きと言うわけではないですが・・でも見てると撫でたくなりますよね」
「なるほど・・」
「それがどうかしましたか?」
「いや、大したことではない・・それより・・そろそろ出発してはどうかな?」
「あ、そうですね、すっかり和んでました」
こんな平和すぎる会話や光景を見ていると、
ついさっきまでの争いが嘘みたいに見えてしまう。
こんな平和がいつまでも続けばなーと思うのだった。
まあ、その為にも戦うのだが、
「・・それとこれを持って行け」
心愛が手をグーにして差し出して、
そのまま僕はそれを手を開いてその後グーの手から謎の指輪をもらった。
「それは式との契約に使われる指輪だ、はめておけば私の力が少しだけ反映されるはずだ、もっとも正規契約ならもっと強く表れるんだがな・・今はそれで我慢してくれ」
「いえッ!ありがとうござますッ!素直に嬉しいですッ!」
こうやって後先の事を心配してくれているのはありがたい、
別に威力が弱くてもいい、それでも力になるのだから、
さて、こうやって力を貸してくれる人もいるわけだし、
そろそろここから旅立つ覚悟を決めよう。
「まあ、なんだか2人や皆さんのおかげでとても心が和みました、不安な気持ちももう無いですッ!」
「そいつは良かった、その笑顔、その明るい負けん気を人獣どもに見せつけてやれッ!」
「はいッ!」
僕は明るく元気よく返事を返す、
これからここを立ち去る決心の下に、
強く心のこもった返事をする。
そして決意を秘めて階段を下りて、
美華と共に人獣山と言う山の入り口まで行くことにした。
ふと後ろを振り向くと、
手を振って見送ってくれている神様の姿があった。
前まであんな涼やかな顔だった神様が、
少しだけ笑顔になって手を振っている。
僕と美華もそれに答える様に笑顔で手を降る。
そして互いに改めてあいさつが終わったら、
僕達はそのまま、また歩きだした。
ちょっぴりさびしい気持ちもあったが、
まあ、いつまでもあそこにいるわけには
いかないし、しょうがない事だろう。
しばらく道中は美華と歩いて数分間の間の出来事だが、
こんな話があったりした。
それは僕と今の仲の事だった。
「えっと・・シルバーさん?」
「なんだい?」
少しおずおずとした感じで話しかけてくる。
どうやらまだ恥ずかしいのか、
それとも遠慮しているのか、
初対面だし仕方がないとは思うけど、
「その・・私からのお願いで・・銀・・様と呼ばせてください」
「銀様?」
「は、はいッ!私・・シルバーさんの事をとても尊敬しています、だからその意味を込めてッ!銀様と呼びたいんですッ!」
「う、うーん・・お嬢様しかりそういうの慣れてないからな~・・」
「そこをなんとか・・私、どうしてもそう呼びたいんですッ!」
うーん・・ここまで言ってるし・・、
ここは素直に言わせてあげる方がいいだろう。
「うん、良いよ、でもできれば銀とか呼び捨てでもいいからね?」
「あ、ハイッ!よろしくおねがいします!・・えへへっ」
凄い嬉しそうにしている美華だ。
とても和む、一緒に歩いていると確実にタイーホ間違いなしだが、
そこは異世界クオリティ、
お巡りさんコッチじゃないです。
ともあれなんだか自然に交流がとれてうれしい、
この調子なら今回もいつもの様なノリでいける気がする。
かと思った慢心が崩れるのも早かった。
それは人獣山入口付近での出来事である。
「ハハッ!魔術師として最強の僕に敗北なんてなアァーッ!!」
「おらぁぁッ!!くたばりやがれこのクソ魔術師ッ!!」
『(なんかハチャメチャしてるッ!!)』
思わず心の声が一緒になったであろうこの風景、
これぞ元四天王による二次会と言うやつだろう。
「いやいや、そうじゃなくて二人ともなにしてるんすかッ!」
「あ、銀君きたのかい?まったく君が女を垂らしこんでる間にウォーミングアップ疲れたよー」
「垂らしてませんッ!!」
「えっ!?垂らしてないのッ?!」
「当然ですよ、僕がそんな不貞働くわけないじゃないですかッ!」
「お、おう(自覚が無いてっ素晴らしいな、おい)」
なんだろう、凄い不信感を抱かれているような、
まあ、それはともかくこの二人のウォーミングアップは気合入り過ぎだよ、
闘う前から体力消耗してどうする。
「なにはともあれ、まあ・・気合は十分ですね」
「あたりめぇだ・・これから喧嘩てっ時に手なんかぬけねぇだろ?」
「そうそう・・戦いはいつも本気で挑まなければね?」
「お二人とも、小さな子供が怯えています、もっと優しい顔できないんですか?」
『無茶言うなッ!!』
「自覚はあるのか・・」
まあ、方や静かなクールを漂わせる鏡子さん、
方やカオスでフリーダムな鏡之介さん、
どちらも頼りにはなるんだけどどこか恐ろしい狂気が見えるんだよなー、
そういえば夜桜さん達の姿が見えない様な・・。
「おお、銀殿来ておられたかッ!ちょうど今茶を買いに行っていたところだッ!」
「安心しろ、アバは無いぞッ!」
「あーはいお気遣いありがとうございます・・て言うかアバてっ・・」
今回のメンバー良心が美華ぐらいで困る。
どの人も僕含めおかしいからな・・、
まあ、頼りになるのは変わりないんだけどね・・。
渡された市販のお茶をとりあえずみんなで飲むことにした。
なんというか里のお茶は変わっている。
風味も何か違うような・・。
しかしなんだか一服つける感じは良い、
とても心を穏やかにする。
一息ついたところで改めて入り口に並ぶ僕達六人、
これが人獣山かと僕は初めてに思う人がいれば、
あいかわらず森、森、そして森な山だなと愚痴をこぼす夜桜さんみたいな人もいる。
でもこれから何が待ち受けているか分からないのは確かだ。
気を引き締めて行かなければッ!
「よし、せっかくだから何か掛け声しましょうッ!」
「ならこの夜桜良いのがあるぞッ!」
「本当ですか?」
「ああ、まかせろ、いいかみんな武器を持ったら合図をするぞ」
「武器を持ったら・・わかりました」
なんとなくだけど、
いやーな予感はするような、まあでも気が引き締まるなら
僕的にはなんでもかまわないが、
「行くぞ・・総員抜刀ッ!」
「柘榴抜刀ッ!」
「シルバー抜刀ッ!」
「白鶴抜刀もどきッ!」
「鏡子ばっ・・てこれただのパクリじゃねぇかッ!」
『それ、今ツッコむのッ?!』
いや、なんとなく予想はしていたけど、
て言うかこれはひどい、もう怒られても文句は言えまい、
「うむ・・やはり掛け声なしでも我らは統一されている、心配はいらんな」
「フフッ・・これは風が吹いている・・」
「・・もう、ツッコむのもだりぃな」
「(ああ、鏡子ちゃんのやる気メーターが・・)」
本当に大丈夫かな、このメンバー、
少し不安に思いながらもとりあえず、
夜桜さんを先頭にして前へ進む事にした。
山の森の中はかなり深く、奥に進めば進むほど、
暗くなっていく、
人の通れそうな道を頼りに進みつつ、
分かるところは美華などの案内で進む、
基本的には僕と美華が最後尾、
真ん中に鏡子さんと鏡之介さん、
そして前2人がなんでもバッチコイと意気込む夜桜さんと柘榴ちゃんだ。
にしてもこれは笑うしかないな、本当に・・。
「ぎ、銀様少しよろしいでしょうか」
「うん?なんだい美華」
川と滝の音が聞こえる手すりの無い自然的な橋の上で美華が呼び止める。
なにか不安そうな顔をしているが、どうしたのだろう。
「・・き、きっとこの先辛い事が沢山待ち受けていても銀様は耐えられる覚悟はありますか?」
「ぬぅーん?なんでそんな事聞くんだい?」
「私・・嫌な予感とかそういう直感が鋭いんです、だから・・」
「心配しないでよ、辛い思いしようが、ちゃんとやる事はやるさ!だから不安そうな顔はやめておくれ」
「・・!!ありがとうございますッ!!」
もじもじとしながら話していた美華だったが、
安心したように僕の体をダキッと抱き着く、
小さな手でしっかりと抱き、顔をすりすりと笑みを見せる。
うん、これはヤバいぞ、健康をもてあますぞ、
と言うより・・、
「美華っ近いッ!近いよッ!」
「えへへ・・すみません、つい・・」
小さな顔を上に向けてこちらと目を合わせる。
この天然で可愛い瞳はついつい見入ってしまうだろう。
これで僕が二十代でなければもっと目をチラチラとそらさずにいられるのだが・・。
「さて、あまりみんなを待たせては駄目だしそろそろ・・」
「銀ッ!上ッ!」
「上・・?」
その油断の一瞬から降り注いできた大量の鉄の雨、
それは武器の雨だッ?!
槍や剣だけじゃない、見た事無い武器が大量に・・ッ!
「ぎ、銀様お逃げくださいッ!!」
ドンッ!!
力強く押され橋の渡りきる位置まで押される僕、
その力強い一撃で地面へと叩きつけられ、
なんとかあの鉄の雨の餌食にはならないが・・、
ズシャズシャッ!
「キャァァァッ!!」
「美華ッ!!」
ドォォォンッ!!
今度は追加の落石ッ!?
ただでさえあの武器の雨で怪我でもしているかもしれないのに、
なんという非道な・・、これはもしや敵の策・・、
いやそれより橋が崩壊したげと美華はッ!!
「美華ッ!!返事をしろッ!!」
「み、美華ちゃーんッ!!返事してくれッ!」
「あ、美華どのがあそこにおられるぞッ!」
夜桜さんが指さす先に必死にもがく体力すらなく溺れかけている。
瀕死の美華の姿がッ!
助けなくてはッ!
「(ぎ・・ぎん・・さま・・っ)」
「分かってるともッ!今行くッ!!」
心の救難の声もしっかり聴いたッ!
だから僕はタキシードをシャツのみにして勢いよく川へ飛び込み、
美華を救出するッ!
「よし、美華もう大丈夫っ・・ボババババッ?!」
「あ、あれ・・銀君ッ!?」
「大変だッ!水の流れが強くなっているッ!」
「マジカッ!自然現象最低だなッ!?」
「言っている場合かッ!あああッ!流されて銀君がどこにいるのかわからんッ!」
「じゃあ、川の流れにそって行くんだよッ!」
「なるほどッ!鏡子ちゃん頭が良いですねッ!!」
「て言うかさっさと行かないとあの二人がおぼれてしまいますよッ!!」
◆
ああ、ここは川の深い深い流れの中かな、
とても凍えるしとても冷たい、でもなんだか、
意識が薄れゆく中でとても・・安らかに・・。
そう、思った時だ。
バシャャアンッ!
僕は完全に意識を失っていた中で奇跡的に誰かが僕達を助けたのだ。
誰かは分からない、けど確実に誰かに助けられた。
その人物は・・のちに、意外な人だと知る事になった。
それが明かされるまでは僕らはその人と戦っていたのか、
はたまた、一緒にどうこうしていたのか、
どういう人物かも語られることは無かった。
今はただ失った意識が戻れる事を祈るだけだろう。
美華の声がなんとなくそう聞こえたのだから、
とぅーびぃーこんてぃにゅー?
長くてすいません・・
今までの更新遅れ分を叩き込んだ気がしますッ!
新社会人・・と言うよりは生活支援での活動が始まりました。
これからは新たな人生として始まり、より時間も限られますが、
なんとか土日を執筆に使いたいと思っています。
どうか応援のほどをよろしくおねがいしますッ!
それではまた、会いましょう。




