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無限空想世界の幻想的な物語  作者: 幻想卿ユバール
第三章 夜桜編
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無限空想世界の幻想的な物語~夜桜~ 第20話 「散って咲いてもまた芽を出して」

前回まで私達は多くの者達と戦いを挑んで来た。

人々を守るため、世界を守るため、

アビスと言う強大な者と戦った。

結果は勝利に終わった。

私達の戦いは幕を下ろしのだった。


長かった、ただの調達のはずが、

ここまで苦労を抱える事になるとは思わなかった。


でも、もうそれもここで終わり。

私たちはあの混沌に満ちた世界を無事に脱出し、

アビスも消し去った。


もう、誰も苦しむ必要はない、


もう、誰も傷つく必要はない、

ゲートをくぐり私達はあの場所へと帰還するのだった。


 ◆


「イヤッハー!かえって来たぜッ!」


「灯、うるさい」


「ごめんよ~霖雨ちゃ~ん、久々の活動でテンションあげあげなのよね~」


「まったく、でも助かりました・・ありがとう、灯」


「どうってことないよ」


私達は帰ってきてとりあえずは夜桜亭にいるわけなのだが、

灯さん、やっぱり天魔酒さんとも知り合いなんですね・・、

流石は秩序の四天王・・だったかな?


「それはそうと・・灯、よくここに来たわね・・私びっくりしたわよ」


「当然ッ!力を感じる仲間が近くにいたからね~」


「あっ・・ショコラですか?」


「んや、白鶴君さ、彼もまたそう言ったものを感じるのが上手いからね」


「アハハ・・白鶴さんも何者かわかりませんね・・」


白鶴さんがここに来るように言ったんだ。

流石は白鶴さん、長く生きてるだけあって凄いな~・・、

原理はいつも不明だけど・・、


「さて、私はやる事やったし一度帰るよ~まだまだ患者が沢山いるからねッ!」


「わかりました、気を付けて~」


「うんッ!シーユーッ!また会おうッ!」


灯先生はまたコメットさんのバイクを走らせて里へと戻った。

今回も前回も助けてもらって本当に感謝の言葉しか出ない、

本当にただの医者なのか怪しいと思ったけど、

やっぱいろんな意味でただの医者では無かったな・・。


「えっと・・もし?」


「えっ?あっ!巫女さんッ!どうされましたか?」


次に話しかけて来たのはあの赤の巫女さんと隣にいるのは、

侍の昴さんだったけ?


改めて見てもやっぱり若い、美男美女と言った所だろうか、

いや、そんな事より一体なんで話しかけてきたのだろうか。


「此度の戦い、本当にお疲れ様でした、貴方が戦いを感じさせなければ、私は永遠にあの世界を彷徨い続けた事でしょう、昴もとても感謝しています」


「ええ、かたじけなく思いますッ!」


「そ、そんなッ!滅相も無いですッ!」


「良いんですよ、実際にあった事は誇っても大丈夫ですッ!」


「そ、そうですか・・ではそのように・・」


「ええッ!あ、ではそろそろ私達も・・里の方に戻り、私達もお手伝いをしましょう、行きますよ、昴」


「御意、またお時間がある時に、お礼を・・ゆっくりお話しでもお伺いしましょう」


「はいッ!その時はよろしくお願いしますッ!」


素敵な笑顔でこの場を後にして里へと下りて行く2人、

後ろ姿も綺麗な人だった。


あの人がこの里や国をずっと支えて来たんだろうと思い、

なんだか今日の事がより誇らしく思えてきた。


あの人の言葉一つ一つがとても何かを解放させてくれる。

何か、心が晴れるくらい爽やかに体が軽くなる。


「おーいッ!!オォォイッ!!!!」


「あっ・・ハルッ!ごめんねッ!無理言って2人とも運んでもらってッ!!」


そういえばハルにロキさんとルシさんを背負ってもらっていたのでした。

なんだかんだ持ち上げてるハルはやっぱり力持ちだと改めてわかります。


「たっく・・こいつら・・やたらめったら重いからッ・・」


「ハル、女性に重いなんて失礼ですよ?」


「へいへい・・とりあえずどこに置けばいい?」


「それでしたら、私の屋敷に一度寝かせてあげましょう、こちらへ来てください」


天魔酒さんがそういうと、

立ち上がって夜桜さんをおんぶしながら屋敷へと向かう。


私もロキさんを背負って屋敷へと行く、

その時、ハルが「軽くなった」と一息を着いていた。

まあ、大人二人を持ち上げていたから、

無理はないですね。


私達は一度日輪亭の中へと御邪魔させていただき、

ロキさんとルシさんを休ませてあげる事にしました。


「・・こんなになるまであなた達頑張って、無茶しすぎよ」


「沢山戦いましたもんね、里のコメットさん、森の柘榴さん、門番の光太郎さん、屋敷の夜桜さん、混沌のロキさん・・みんな強かった、みんなそれぞれの思いで戦っていました」


「そう、けれども人の弱みに付け込んで戦ったアビスを許してはいけません、どんな理由があろうと人の命を取って良いなんて事はありません、ましてや心の弱さを利用した戦いなんてもってのほかです」


「そうですね・・けれどもこれでもう誰もアビスに狙われる事なんて無いですよね」


「そうね、今回あなたの活躍もあってもうロキも体にアビスは残っていないでしょう」


「いえ・・まだ戦いは終わっていない」


あれ、今近くで別の声がしたような・・

しかも大分さっきまで聞いたことある声、


「ハル?何か言った?」


「いや、言ってねェけど」


「私よ、私が声を出したのよ御嬢さん」


「うわぁッ!生き返ったッ!」


「死んでな・・いや、実質死んではいるのかな?」


ムクリと起き上がったのは私達が目の前で休ませていたロキさん、

先ほどとは打って変わって優しい声、

優しい微笑を浮かべながらこちらに話しかけ来た。


「おはようロキ、と言ってもまだ深夜だけど」


「おはよう霖雨、久々だね・・何年・・いや何日ぶりかな?」


「さあね・・長すぎて忘れちゃった、それより・・終わっていないてっどういうと?」


戦いが終わっていない・・、

どういう事なのだろうか・・、

霖雨さんが優しい表情と暖かな声で質問すると、

ロキさんが表情を変えて深刻そうな声で声をだした。


「アビスは死んだ・・けれども、それはまだごく一部、彼女は今回の黒幕ではあるけど、根源ではない、まだ他にも沢山のアビスがいる」


「嘘ッ!まだいるのッ!?」


「残念だけど事実よ、アビスは1人じゃない、本体が倒されない様にいくつも偽物が紛れているの、それら全てを倒す事によって本体が姿を現すでしょう」


「では、今回のは・・まだ序章に過ぎない・・と言う事ですか?」


「むしろプロローグはここまで、本当の第一幕は・・おそらく次から、長い長い一章を終えてようやく始めようとするのよ・・」


「チッ・・随分敵はめんどくせぇ奴らなんだな」


「アビス・・だからでしょう、でも・・貴方達ならきっとどうって事無いわ」


アビスとの戦いはまだ終わっていなかった。

まだあの戦いは激戦の一つにすぎなかった。


本番はここから、本戦はここからだ。

私は気を引き締めて決意した。


「私は・・この先もアビスと戦いますッ!今回の様な人達はもう出させないためにもッ!」


「ええ、お願いするわ」


「はい、任せてくださいッ!」


「それじゃあ、あとの事は任せて・・貴方達は一度帰ると良いでしょう、今日のところはもう休みなさい」


確かに、もう色々と頭がごちゃごちゃしてて整理があんまりできてない、

ここは一度帰って休んで考えをまとめた方がよさそうだ。


「そうしますッ!行きましょう、ハルッ!」


「そうだな・・んじゃ、また会おうぜ」


「ええ、また会いましょう」


「また・・ね?フフッ」


私達は二人に見送られてこの日輪亭を後にした。

今日の出来事を里に下りながらハルに話しながら歩いた。

ハルは「意味わからね」とか「へーそう」と他人事のように返すけど、

心ではきっと感心ぐらいは持ってくれてますよね?


里へたどり着くと多くの人物が里の復興に携わっていた。

里へ戻って一番最初に心配していたのはメアリーさんだった。


泣きながら飛びついて「お帰り、無事だった」と、とても心配そうにこちらに来てくれた。

白鶴さんにも「ご苦労様ッ!」と一声もらえてとても頑張った甲斐があったと思った。


ショコラさんはあの後睡眠についたらしく、

とても疲れていた事がうかがえた。

三人にもあっていなかったらきっと私は今頃どうなっていた事かと思った。

三人にもとても感謝している。


帰りは白鶴さんがわざわざ馬車を走らせてロンディニアまで送ってくれた。

暗がりの中がなぜだかとても寂しく心がしんみりとしてしまった。


でも、一日あれだけの事があったら確かに寂しさはあるかもしれない、

そんな事を思い老けているとすぐにロンディニアに着いた。


懐かしい洋風の風景、ここに返ってくるのはいつぶりだろうかと思うぐらい。

とても懐かしいにおいと風だった。


そのまま真っ直ぐガーネット邸へと歩き、

私達は屋敷へと戻った。


そして、屋敷に着いたら門の前でアホみたいに寝ながら待っていた銀の姿が見えた。

どうやったら立ちながら寝れるのかと改めてため息を着く、けれども、

ハルはクスクスと笑っていて、それにつられて少し私もクスクスと笑う。


けれどもなんだかあのバカを見ていると、

とても和んでしまう、ここが平和なんだと、心が和む。


私達は改めて平和を実感しながら銀に向かって挨拶を一つ、交わすのだった。

そう、ここに来たら絶対言う事、帰るべき場所に変えれた時のあいさつ、

私とハルは一緒に言った。


『ただいまッ!銀ッ!』


「ふぇっ!?・・あっ・・おおッ!!お帰りですッ!!待ってましたよッ!!」


銀はそう言いながらとても嬉しそうに笑い、私達を迎え入れくれた。

私はそれを確認して、改めて戦いは終わったと実感した。


屋敷へと入るとジンや鈴蘭メリルがとても心配してかの様に泣きながら迎え入れてくれた。

一日中いなかったくらいで大げさな人達だよ全く、

そういえば留守中何かあったか聞いたけど、

特に何もなかったらしい、ただ。

お嬢様が何処かへ出かけているらしく、

お嬢様の方はしばらく留守にしていていないらしい、

良かった、こんなみっともない姿見られたらきっとすごく怒られるだろうから、

あの人はとても心配性だから。


留守でいないのなら心配はいらないだろう。

お嬢様は今や力を取り戻してこの屋敷の誰よりも強い、

何かあればすぐに戻ってくるだろうし、無事に帰ってくる事を祈ろう。

私はその後、今日の疲れ切った体を休ませて、

ゆっくりと眠りについた。


これからもまだ戦いはあるかもしれない、

その時の為に、ゆっくりと体を眠りにつかせた。

今日は大冒険の一日だったと思いながら、夢の中に深い眠りについた。



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