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無限空想世界の幻想的な物語  作者: 幻想卿ユバール
第三章 夜桜編
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無限空想世界の幻想的な物語~夜桜~ 第10話 「あの日の思い出」

前回の私達は春風の里の事件を解決する為、

山を登り目的地である日輪亭を目指す私達、

しかし山の途中で待ち受けていたのは日輪亭に仕えていた向日葵組副隊長「黒咲 柘榴」、

彼女は夜桜と言う人物に会うには私を倒せと言う者で、

なんやかんやありましたが倒しました。


しかしその後戦闘していたメアリーさんが「私この子を灯さんの下に連れて行く」と、

メアリーさんはここで離脱、今私達は3人でこの山を登っている。


「大分上りましたね、あとどのくらいでしょう?」


「もうすぐ日輪亭の門前の腕前検査所が見えてくるはずです」


「腕前検査所?」


「先ほどの様な決闘場の広さがあるんです、夜桜亭の道場破りなどはまずそこを通らなければなりません」


「なるほど、あの決闘場以外にも他にも検問があったのね」


「とにかく己の強さを語らなければいけないのが天魔酒のルールですから」


まあ昔からこう言った強くないと生きていけないなどと言う事はよくあったのだろう。

天魔酒と言う人物がどれだけ凄かったかは分からないが、

おそらく会う人によってはその強さを示して通って行ったのだろう。


「でも不思議ですね、どうしてここまで強さにこだわって来たのでしょうか?」


「天魔酒家に会うには本来【天魔酒四季の軍の者】か【関係者】である必要があるのですよ、例外にも通行所があればすんなり通れますがね、誰でも通れる誰でも会えるなんて事してしまえばきっとみな頼ってしまうと言う事から一般の者は【強さを示して通る】と言う決まりが出来たんです、古くから自分でできない事は無くしていく主義が強かったですからね」


「なるほど、深く刻まれた歴史なんですね」


「ええ、代々そうして門を守って反乱を一つも起こさなかったのですが、まさかよりにもよ

って門番不在の日にあんな事が・・」


反乱を起こさない為にも守って来た物が、

まさか守って来た人たちに起こされるとはとても恐ろしい話だ。


「そういえば、不在だったと言う事は普段からいるのですか?」


「はい、1代目は旅に出てしまいましたが2代目が現在も夜桜さんの下で門番を務めています、事件当時も2代目でした、その時は【無敵の壁】と恐れられていましたが、一回留守にしただけで今ではその名も聞きませんね」


無敵の壁か、守りが凄いのかはたまた単純に誰一人も通れなかったのか、

ともかく強敵である事には違いない、

少し不安になった私は歩くのを止めて、

私は右の胸元のポケットからキラキラ輝く青い小さな宝石を片手でギュッと握りしめ、

無事にこの先を抜けれる様に強く願いを込めた。


「・・・ッ」


「・・なにそれ?」


「えっ?あっ・・ショコラさん」


私が願いを込めていると後ろから声をかけてきたのはショコラさん、

先ほどまでだんまりしていて全然存在に気付かなかった。


「ショコラで良いわよ、急に話しかけてごめんなさい」


「いいえ、全然大丈夫です・・コレは大分前に貰ったんです、男の子に」


「男の子?」


「私が子供の時、このロンディニアに来る前の事でした」


そう、アレは10年前のあの日の事でした。


 ◆


当時私は8歳、豪邸で生活していた時の話でした。

私は親に甘やかされて育って来たので、

あれやこれやと厳しく育てられた事が無かったのです。


しかし、そんな甘えて何もできなく弱かった自分を変えたのが、

【ハルバード・ルクウェイン】でした。


彼は当時4歳年上で12歳、使用人としての研修をしていたのですが、

たまに私が見ている時に話相手にもなってくれました。


使用人に採用されたら暇つぶしの相手になってくれたりと、

とても素晴らしい人でした。


ある時、私が「私と違ってあなたは何でもできるのね」と言ったら

「当たり前だ、俺は命を守れる者として強く無きゃ駄目だ、それがお前なら当然の事だ」と、

彼はそう告げたのです。


なんともまあ大胆な台詞だったと今でもおもってます。

だから私はこう返したんです。


「それじゃあ、私は貴方を強くする人して隣で支えてあげるッ!それが私んら当然よね?」と、


その時彼は大笑いしていました。

出来っこないと思ったんでしょうね。


でも、その後いろんな事を学んで、いろんな事を覚えて、

甘やかされる人生を止めた私は強く生きてこられました。


彼の特訓に付き合えるようになりました。

彼とチェスや勉学にも対等に分かり合えるようになりました。


いつしか親友であるかの様な関係にまでなりました。

でも、幸せの日々は長く続きませんでした。


彼は家庭の事情でここを離れなければいけないと言ってしまい、

10歳の誕生日を迎えた時にお別れする事になったのです。


私は胸が苦しくなりました。


もう2度と会えないんじゃないか、

もうあんな楽しく過ごす日々は来ないんじゃないかと、

短い間だったかもしれない、

けれども私にとっては人生を変えてさらには素晴らしい親友にまでなってくれた彼が、

とても大好きだった。


他の使用人みたいに特別扱いもせず、

一人の女として見てくれた事がとても嬉しかった。

だからこそ、離れ離れになるのは嫌だった。


そんな悲しい思いを胸に抱いて泣きじゃくった私に彼が「手をだして」と一声くれました。

その時花の模様が入った小さな青い宝石のお守りをくれたのです。


「その青い宝石がお前に勇気をくれるだろう、願いを込めて祈れ、本当に強く祈った願いはかなうかもしれいぞ」


私はその時の言葉で涙を拭いて「うん、ありがとう」と言って彼とお別れをしました。

心の中では「また会いたい」と願う自分がいて、

本当はそれを告げたかったと今でも思ってます。


今でも、その言葉を信じてこの宝石を常にこの胸元のポケットに入れています。

強く祈った再開を信じて、ただ願っています。


 ◆


「と言う事がありまして」


「良い話ね、ごちそうさま」


「ご、ごちそうさま!?」


「今の完全にノロケ話よね?でも、素敵ね・・私もそんな恋をしてみたわ」


「いえいえッ!親友の関係であって決して好きだったとか・・」


「えっ?好きじゃないの?」


「いや・・好きじゃないとかそこまで言われましても・・」


た、確かにあの時の私は彼の事をまるで憧れの人物、

それどころか愛しい人の様に見ていた様な、

いや、ですが彼とは恋愛の様な事をした一時はそんなにありませんし、

ちょっと一緒に出掛けたり、一緒にお祭りに行ったり、いつも一緒になにかしたり、

ただそれだけです。


「(アレ・・それってもしかして恋愛してた?)」


「どうしたの?」


「な、なんでもありません・・、とにかく私は親友として好きでした、彼の事はッ!」


「ふぅーん・・」


「なんでそんなニヤニヤするんですかッ!」


「いえ・・ただ・・ねぇ?フフッ・・」


「もう・・ずるいですよ~・・ショコラさんッ!」


「歳を重ねると貴方みたいな若い子が羨ましくってね~、青春よね~」


ショコラさんがさっきから妙なイジりが入るのはなぜ・・、

こういうのを下世話と言うのだろう。


「大体ショコラさん歳重ねるてっ・・私より年下か同い年ぐらいでは?」


「私、見た目に反して歳食ってるの、だからあなた達の様に純粋に恋できる人達が羨ましいわ」


「そ、そうですか・・えっ?歳を食っている?」


「私138歳、ちなみに幼馴染のメアリーは137歳、白鶴が180歳よ」


「その見た目で100以上もあるんですか!?」


「長生きなのよ、私達魔術師は・・特に生まれ持って特殊な家庭はかなり長いよ、白鶴なんて何年でも生きてそうだし」


そんな意味不明な魔術師怖いです。

通りでお店の店主だったり、色々語源かアレだと思ってたら、

かなりの年長者だったんですねッ!?


「でも・・それでも全然ショコラさんだってまだまだ恋してるじゃないですか?」


「恋?私が?」


「白鶴さんは違うんですか?」


「え゛ッ?!あ、あのカラフル素麺とッ!?あ、ありえないわ・・第一大っ嫌いよ、一様同級生で魔術師学園ではずっと一緒に勉強とか し か た が な く 教えてあげたけど、すぐセクハラするしガールズトークを盗み聞きするし、軽いし、チャラいし、誰も話しかけてこないのにいっつも話しかけ来るしッ!そして女垂らしと自覚があるのがなお腹立たしいッ!!」


片足をドタドタと怒りをあらわにしながら過去を話すショコラさん、

でも一様好きそうな感覚は少なからず・・あるとは思う。


「・・それでもまあ、ナンパされて困った時とか助けてくれたり、昔は誘拐された時に助けてくれたり、ちょっと好きだった時はあった・・でもまあ、結局フラれたけど」


「ああ・・それで・・」


「アイツは嫌いよ、確かにかっこよくて何でもできる、けど何処かほっとけない性格してるからついつい助けたくなるだけ、アイツ自身私よりなんでもできるから逆に頼ってる方なんだけどね」


「・・なるほど、それは私にちょっかい出したくなるかもしれませんね」


「そうよ、上手くいかないとあなた達若造に嫉妬しちゃうの、ごめんなさいね、性格悪くて」


「いえ、全然大丈夫ですよッ!私、若いんでッ!」


「言うわね~」


少し暗そうなイメージがあったショコラさんだったが、

話してみるととても面白い人だ。


ちょっと下世話な所もあるけど、良心がある良い人だ。

凄く歳が離れているのに同い年の様に思えてしまう。


私とショコラさんの距離が短くなって行った感じがした。

そんな楽しいひと時を過ごしていると、


いよいよ例の門の前に到着する。

太陽はすっかり沈み、月光が照らす。

広い整えられた小石だらけの地面、

そして目の前には大きな木の門、

目の前には一人の男が立っていた。

容姿がとても特徴的な男性だ。


紺色のロングヘアーを丁寧にまっすぐと後ろの髪を結んでいる。

瞳を鋭くさきほどの柘榴の様な目でこちらを睨む。

下が白と上が黒の袴を着て、黒いマフラーをする男、

腰に2本の刀をしていた。


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