無限空想世界の幻想的な物語~夜桜~ 第8話 「知られざる過去」
ここは大自然のまさに竹や林の竹林、
あるいは木や植物が沢山ある森の様な場所、
風が吹けばざわめく森、この安らぎの様な音はなんだか心地よい、
「良い場所でしょう、自然がとても豊かで・・」
「ええ・・、でも不思議です、こんな場所に住んでいる者があんな残虐非道な行為をできる
とは思えないのですが・・」
「・・そうですね、私も最初はそう思いました・・ですが夜桜君はまだ引きずっているのかもしれません」
「過去になにか?」
やはりここまで大騒動を起こす引き金が過去に何かあったんだ。
夜桜と言う人物が関わった事件が、
「簡略に話しますと・・昔、夜桜亭には【天魔酒 霖雨】様と言うこの春風の里で一番偉い人が住んでいました、そして春風の里には【天魔酒四季の軍】と言う四つの組がいまして、それぞれ【山吹組】【向日葵組】【桔梗組】【水仙組】と言う組を従えていた人物でもありました、中でも山吹組は天魔酒様を支え続けた春風の中でも最も忠実な組でした、その中に夜桜君の兄弟含め天魔酒様に仕えていました」
ここまでの話を聞く限りだと特に問題はなさそうだが?
「時は流れ、天魔酒様が結婚を許される歳になると両親様が【※儀式によって加護を高める】とのことでここで結婚されたのが夜桜君の兄【夜桜 冬木】様、当時山吹組の大将をしていた者です、少し頑固なところや自分勝手なところはありましたが両親様が言うに一番良いとおっしゃったからです、ですが私には霖雨様が悲しんでおられる様に聞きました、確かに冬木様は腕利きご家庭もかなり有名で富豪、ですが冬木様の女癖の悪い人でして、霖雨様は「あの女垂らしと結婚だなんて」など愚痴をこぼしていたそうです、そこで当時陰でひっそりと御側にいた【夜桜 秋斗】君、灯先生や僕がさきほどから口にしていた人です、天魔酒様は彼を何年もお近くで支え続けた者として駆け落ちを計りました、ですが当然そんな事が許されるはずがないと運が彼に味方しなかったのです」
※天魔酒家は代々災害や魔物、
最悪から守るため結婚した次世代が婿入りすると、
愛の力で里を幸福にしたり守ったりできる。
これが28までにできないと自慢の桜の木の下に生き埋めにされる、ひどい。
その代わり埋められる選択肢を選べば代は確実に滅ぶが永遠に守る霊力となる。
仕組みが良くわかってないのはヒミツだ。
「運が味方しなかった?」
「はい、秋斗君と天魔酒様は事情を話して山吹組の者達と結託し、例の結婚の前夜祭で逃げる事を決意しました、その時事件は起こりました、なぜか水仙組が謀反を起こしたのです、山吹組も秋斗君も応戦しましたが、結果は秋斗君と天魔酒様以外全て死にました、そして里でこの事が問題となり、ついに天魔酒様が自らが秋斗君に「私を桜の木の下に埋めてください」と罪の償いの為、悲しいですが秋斗君は涙を呑んで天魔酒様を生き埋めにし、この上にある桜の下で永遠の眠りにつきました、その後は組は全て解散、残ったのは秋斗君を入れて3人の忠実な武士が残りました、里の者は不満を持ちながらも安心はしていました、それが彼は許せないのでしょう、なにせ今でも里の者にあーだこーだ言われる始末ですから」
「悲しい生い立ちね・・」
「そりゃあ、そんな事されたら里に被害出したくもなるのかもね、やり方がちょっと姑息だけど」
「・・でも可哀想ね」
「お気持ちはわかります、自分もこの話を聞いた時、辛い思いを必死にしました、あの時自分がいればきっと争いは無かったと・・」
あの時いればか、この人はきっと他の組の人だったのだろう。
それでもここに戻って来たと言う事だろうか、さきほどの話からするなら。
「あなたは、なぜここに?」
「ああ、そういえば言ってませんでしたね、私は秋斗君とは古くからの友人でして、いつも天魔酒様と話した事や出来事を話してもらいました、里に残るかどうかの時も呼び止めはされたんですが、その時はショックのあまり断ってしまいました、きっと彼は恨んでいるとは思いますが、なんとか昔の馴染みとしてこの騒動を説得して止めさせたいと灯先生の話によって決意を固めました」
「なるほど、では貴方は争いで解決しようとは思ってないと言う事ですね」
「争いは嫌いですから、何も生みません、あんな物は・・」
言葉一つ一つから優しい重みを感じる。
きっとそ秋斗と言う人物のひそかな支えだったのかもしれない。
この方が居ればどうにかなるかもしれない。
私はこの騒動を止めるべく、強く心の中で決意した。
『止まれッ!ここから先は通らさんッ!』
「な、何者ッ!?」
「おっと・・そういえばもう着いていましたか・・この場所に」
しばらく歩いて気づかない間になんと、
大きな地面と周りが林で囲まれた戦いの場の様な場所に着いていた。
そしてどこからともなく聞こえる少女の様な声、
「一体どこにいるッ!姿を現しなさいッ!」
『良いだろうッ!私はここだッ!!』
少女の声はそう言うと、
上から風の如く舞い降りて、シュタッと綺麗に着陸する。
その少女は姿を露にした。
黒の和服、見た目は着物だ。
桜の柄がちらほらと移り、
袖は肩の肌が少し見えており部分がつながっていない振袖、
腰には黒いリボンの様な結びがあり、
長い裾は動きやすそうに前が分けて開いてある。
足には綺麗な下駄と黒いサイハイソックスを履いていた。
目つきが冷酷で青い瞳をしている少女、髪型はセミロングだろうか、
左の部分に一部赤い染まりがある黒髪の少女、
腰に4つの刀を差して一本を抜いてこちらへ刃を向ける。
そして少女は冷たい息を吐くようにこう告げた。
「貴様らは何をしにここに来た?」
少女はとても若く可憐な声でこちらへ問いかける。
「私達はここの山の者に用があって来ました、ここを通してもらえないでしょうか?」
「なるほど、でしたら力を示せ、夜桜様に会うのなら力を見せろ、私と戦え」
「話し合いではだめなのですか?」
「女、話だけでは伝わるモノは伝わらない、戦いによって示す事が重要なのだ、力無き者がこの山も夜桜様に会う事も許されるわけがあるまい」
「・・なら仕方がないですが、戦闘を」
「まて、戦う前に誰が戦うのか決めてもらおう、ここは神聖な決闘の場、私なら貴様らなど4人でも十分相手になるが、それではこの場に失礼、正式な一対一の戦いをしよう、その間に通す事は許さないがな、負けたら次の人物を選べ」
「一対一の決闘・・」
直訳すると力を示す為誰か1人でもあの子に勝たなければいけないと言う事か、
これは誰が行くかによって大きく勝負を分けそうだ。
「なら、私が行こうじゃない、精霊賢者の異名を持つこの私がッ!」
「メアリーさんッ!ですが・・」
「心配しないでよ、さっきまでのダメージは完全に治ったわ、リアリナちゃんは後ろで下がってて」
「良いのですか?無理して出る必要も・・」
「大丈夫、私結構強いから、リアリナちゃんも言いたい事はわかるけどここは任せて?」
「・・わかりましたッ!メアリーさんを信じてますッ!」
「オーケー、任せてッ!ショコラ、その人達に危害がいかない様にしててッ!」
「うん、任せて」
メアリーさんは足音をザッザッと地面を踏み歩き前進む、
私達は後ろでショコラさんが杖を構えて守られる様にこの戦いを見届ける事にした。
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