無限空想世界の幻想的な物語~夜桜~ 第5話 「魔術攻防戦」
ここは荒れ果てた人が住む里、
家は壊れ、土地は歪み、廃墟と化すこの場、
晴れた空に悲しく映りゆくこの光景、
私が初めて見た時はこの光景に絶望していたかもしれない、
しかしいくら初めてでも絶望すらさせる暇なく襲い掛かる者がいる。
それがあの不良魔女だ。
「オラオラオラッ!【星落とし】を食らいなッ!」
ズォォンッ!
今私達はあの魔術師による派手な攻撃を避けつつ戦う精一杯でそれどころではないッ!
次から振り落とされる巨大な流れ星、
一つ一つが人物目掛けて落とされるからより悪質にしか見えない、
間一髪交わせるのがやっとだ。
物陰に隠れてやり過ごさないと消耗戦になりかねない、
「グッ!攻撃一つ一つが早いッ!」
「当たり前だッ!星が落っこちるんだからてめぇら人間と同じスピードなわけあるものかッ!」
「(当然ちゃ当然の話だよね~)」
「(そんな事言っている暇は無いからあなたも攻撃方法を考えなさいよッ!)」
所で今現在私達は一体何をしているのか、
これは二手に分かれて攻撃を攪乱する作戦だ。
鏡之介さんが提案した作戦だがどのみち空か降り注ぐ攻撃だし、
どう考えても攪乱できていない様な、
「これ何か意味あるんですかッ!?」
「(そう、声をデカくするな、僕様がただ隠れているだけだと思わないでよ・・こう見えて一流の全能魔術師だからねッ!)」
「きょ、鏡之介さんッ!?」
鏡之介さんが一気に隠れていた壁から飛び出してコメットにめがけて走り出す。
一体何をするつもりなんでしょう!?
「ハッ!!真っ向勝負か?だけど一直線に飛んでくるのは良い的だなッ!」
「そうかな?ただ一直線に飛んで行っているわけじゃないさ、れっきとした作戦だよッ!」
「何ィッ!?どういう意味だッ!」
「こういう意味だよッ!【特異点移動】ッ!」
鏡之介が浮遊し走る中さらに飛び上がると姿が消えたッ!?
ど、どこへ消えてしまったんでしょうか・・、
「なッ!どこだッ!どこに消えた鏡之介ッ!!」
「ここだよ、君の後ろ」
「ハァッ?!」
「不意打ちッ!【星々の波動】ッ!!」
シュゴォォォォッ!!
鏡之介さんが消えたのはワープしたからかッ!
そしてワープして困惑している間に有無を言わさず謎の巨大なビーム的な魔法を放つ、
ビームの中で星々が輝いてまるで銀河の様だッ!
「と、ド派手な攻撃かましているけど・・どうせやられてないんでしょッ!」
「ああッ!!こんなじゃヤられないッ!やられるモノかッ!」
確実に当たっていたはずなのにジンの様に壁を作り守っていた。
流石は同じ魔術師同士の対決レベルが違うッ!
しかし守ったとはいえ空中に押し出されたら、
さすがのあの子も自由はそんなに効かないはず。
魔法で宙に浮いているのにかなりのマナを消費する。
これは鏡之介さん有利ッ!
「お前が本気を出すなら・・こっちも本領発揮だッ!Come, be my partner! Beyond God speed and be here now!(来て、私の相棒ッ!神速を越えて今ここになッ!)」
私が心の中で鏡之介さん有利かと思ったその時だ。
彼女が指をパチンとならして、何か口上を言いだした。
シュィィィッ!
すると風を切り裂くような高速で何かが向かってる音が聞こえる。
私はその方向へ見上げると、
なんとそこには黒くメタリックに光り輝くコーティングの「バイク」が、
空中を走っているッ!?
そのバイクに彼女がスタイリッシュに飛び乗り、
なんとバイク乗って戦闘を再開したのだ。
そんなのありなのかッ!
「ハハハッ!これぞ私の相棒【暗黒邪竜ジーク・デストロイ二世】ッ!私好みに作り上げたオリジナルバイクッ!空を飛び地を走るホバーと車輪を生かす最速のバイクだぜッ!フルカウルはもちろん、スポーツ用としても十分すぎるバイクだッ!」
な、なんだろう。
す ご く い た い で す。
私は思わずこの異常な光景に目が死んでしまった。
「すごいでしょ?アレ、彼女がマナを使わず飛ぶ方法として使用している超最新型バイク、世界に一台しかないよ?」
いつの間にか隣に鏡之介さんがいた。
塔に上るのも下がるのも早い人だ。
凄いにこやかに話しているけどどこか鏡之介さんの目も白い様な、
「きょ、鏡之介さん、彼女魔女ですよね?アレは良いんですかッ!?」
「魔法使いがバイク乗っちゃダメと言う規定は存在しなーい、ゆえにセーフ」
「アウトですよ・・アレはアウトですよ・・」
「まあ、そう焦るなよ、いくら空や陸が飛べたとしてもこっちが手をだせなくなったわけじゃない、今にそれがわかるさ」
こんな状況になっても慌てない鏡之介さん、
よっぽど自身があるのでしょうか?
「フハハッ!何考えているか知らねェけど・・来ないならこちらから・・」
『召喚:不良品の巨人ッ!』
一つの大きな叫び声、大きく揺らぎ地上、
そしてバイクに乗り戦闘体勢だったコメットの後ろに巨大な土や石の塊の手!?
その手はコメット目掛けて陰で覆いつくようにグーで潰しにかかったッ!
「グッ!?邪魔するんじゃねェッ!【星々の波動】ッ!」
シュゴォォォンッ!
バイクに乗りながら片手で放った一筋の光輝く星々の貫き、
アレは鏡之介さんの魔法!
コメットも同じ物が使えるんだッ!
魔法はあの巨大な手を壊して瞬く間にコメット避ける。
「クソが・・誰だ私にソイツをぶつけようとした馬鹿はッ!」
「私だけど・・悪い?」
廃墟の屋根に乗って砂埃が晴れて現れたのはショコラさんッ!
隙を見て攻撃のチャンスを狙っていたんだ。
にしても凄い攻撃の仕方ですね・・・。
「・・ショコラの姉御か、アンタの召喚魔法は素晴らしいな、能力こそ限定された物だが、それとは比較にならないくらい強い魔法を使う」
「私はもう何十年も生きているからね、年長者として負けるわけにはいかないの」
「そうやって何十年も生きているクセに私みたいな新参にホイホイ抜かされるのが末路だッ!ゴミ人形ごときじゃ私は倒せないッ!」
「そう?私的には成長が早すぎて煮詰まりしそうな新参こそ負けが込みそうな物だとおもうけど・・現に貴方は後ろのアレにすら気づかない」
「ハぁ?後ろ・・だとッ!?」
コメットが油断している隙に彼女の後ろから攻めかかってくるのはメアリー!
何処にも姿が見えないと思っていたら塔の上からの奇襲を狙っていたんだわ!
「妖精達よ、我が呼びかけに答えよッ!出動点呼ッ!【マーズ】【マーキュリー】【ジュピター】【ヴィーナス】【サターン】【ウラヌス】【ネプチューン】ッ!みんな・・私の下に来てッ!」
メアリーが落下しながら指輪をはめた手を動かし何か呼びかけると指輪は光り輝き、
指輪の中から7つの丸い球体の光輝く精霊が飛び出して来た。
ここから一体何が始まるのだろうか、
「どんな物かと焦ったが所詮ちっせぇ豆粒が7つ、そんなんじゃ俺様に勝てるわけ無いじゃねぇかッ!」
「はたしてそうかしら?ヴィーナスッ!私を支えよッ!ジュピターッ!風であの子を囲んで、ハリケーンよッ!」
メアリーがそれぞれの精霊に指示を出すと黄色に輝く精霊のヴィーナスがメアリーの周りを素早く周りはじめ、
数秒のうちにメアリーを浮遊させたッ!
さらに緑色に輝く精霊のジュピターがコメットの周りをグルグルと囲い、逃がさないと言わないばかりの大竜巻の障壁を作り始めたッ!
「フッ・・こんなん私の魔法でぶっぱなせば一撃だっつうのッ!」
「マーズ、マーキュリー、サターン、ネプチューンッ!【火氷土海】ッ!」
赤、青、茶、水の4色の精霊がひし形を描くように並び回り始める。
そしてその中心にバチバチと鳴り始めドンドン巨大に膨れ上がるエネルギー、
「ジュピターッ!下がりなさいッ!ヤバいの一発やらせてもらうわよッ!」
みるみる巨大になったエネルギーの球体、
そこから放たれる神々しい一筋に放たれる巨大な光線ッ!
ズドォォンッ!
「いッけェェェエッ!」
「その程度相殺してやるんだよッ!【星々の波動】ッ!!」
ズガシャァァァンッ!
2つの巨大なエネルギーの砲撃のぶつかり合い、
一歩も譲らない攻防戦だッ!
「アハハッ!中々やるじゃねぇかッ!」
「当然よッ!血と汗と涙で支えてきた友達の力よッ!ボッチなめんなッ!」
「黙れッ!所詮は精霊で支えられてきた一匹狼ッ!てめぇなんてどうせ見えないお友達としゃべるだけの変態精霊使いだろがバーカッ!」
「何ですってェェェエエ!?」
とてもカッコイイと思ってたのに途中からただの内輪もめに・・、
これが同族ゆえの争いなのか。
「メアリーはボッチじゃない、私とカラフル素麺がいるッ!」
「なッ!?アイツいつの間にあんなところにッ!?」
メアリーさんに瞬間的に近づいていったのはショコラさん!
またしても他を相手して油断している隙をついて攻撃の加勢に回ったんだわ!
これが信頼しあった中での戦いですね!
「お二人とも・・流石ですッ!」
「(でも、カラフル素麺は取り消して貰えないかなー・・)」
ショコラさんがメアリーさんに並ぶと、
持っていたあの杖を振りかざし、
魔法陣を何重にも重ねてまた召喚の用意をしはじめたッ!
「メアリーに加勢するならこれが一番・・『召喚:混沌の一つ目玉ッ!』」
魔法陣は光を放ち、一匹の巨大な目玉の魔物を小管したッ!
ギョロギョロと蠢く目玉、そしてあの魔物も自分の目玉の中心にエネルギーを為始める。
「行くよッ!【許されざる極撃放射】ッ!」
ズォォォッ!
黒く禍々しく撃ち放たれる巨大なビーム、
あの輝く光線とまじりあってさらに強力な物へとなり、
コメットのビームを押し返そうとしているッ!
「ウォォォッ!?ふざけ・・やがってッ!!」
「やったッ!コメットさん両手に持ち替えてバイクから降りましたよッ!」
あまりの威力に距離を保とうとするのか、
バイクから降りて地上へとさらに下へ下へと押される。
ついには地面に力強く足を這いつくばらせてスザァとドンドン押されるッ!
これなら勝てるッ!
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