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無限空想世界の幻想的な物語  作者: 幻想卿ユバール
第二章 狼猫編
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無限空想世界の幻想的な物語~狼猫~ 第10話  「祝杯」


「さて・・ジン君、私の作った聖夜でも頑張れる男の為のタンパク質たっぷりシチューだ、美味しいぞ!」


「おい、先生」


「アハハッ!冗談だ!普通のシチューだよ!ほら、メリルちゃんもお食べ!」


「わーい!ありがとう!灯先生!」


パンとシチュー、なんともまあ単純だがとても美味しいそうな料理だ。

先生、冷たい雰囲気あるのにこんな料理作るなんて、

なんだか大分イメージが変わるな、


「先生、ありがとうございます、こんな心のこもった料理を・・」


「えっ?何それ何それ?新しい熟女の口説き方?やだー!先生困っちゃうなー!」


「ちょっと黙ってください、小さな子供もいるので」


訂正、やっぱり読めない人です。

と言うか大分テンションが変わった?

この人も実は二重人格なんじゃないか・・?


「・・どうでもいいや」


「あはは~心の声がもれてるぞ~?まったく、一週間ずっと寝ていたからまだボケているんじゃないかい?」


「そうですね・・てっ一週間!?」


「そうだよ?君は一週間寝たっきりさ、ずっとその間隣でメリルちゃんが看病してくれていたんだよ?」


「・・マジか!?」


「ああ、マジもマジ、大マジだ、全く君と言う存在がつくづくわからないよ、どうして一週間も愛しい愛しいお姫様に看病させれるかな~?」


「グッ・・面目ない・・」


「し、しっかりして!お兄ちゃん!」


俺は・・俺は一週間メリルに看病させっぱなしだったのか?

なんてフテー野郎だよ・・マジで情けないわ、


「ハハ・・笑えない・・」


「ん~笑えない話はさておき、私から言っておく事があったね」


「なんでしょう?」


「ほら、あの話だよ・・君がしりたがってた奴」


「あー・・アレは・・もういいです」


「えっ?なんでだい?なぜ私が知っているのか気にならないのかい?」


確かにこの謎の人物すぎる先生の事は知っておきたい、

けれど、いま詮索するべきは先生なんかじゃないと思う、

それに、深入りするほどの事じゃなくなっちゃったしな、


「色々考えんです、その結果・・もういいかな・・てっ」


「なーるほど、ではこの話は止めて・・私以外からの話だ」


「先生以外?」


「私だッ!!」


「・・・ああ!お嬢様!おひさしゅう!」


「お前今私の存在を忘れていたろッ!?」


「いや・・だって最後の登場したの「能力」ですよね?ぶっちゃけメリルの存在がデカすぎて忘れてました」


「ふ、ふざけるなよッ!!お前私がどれだけワクワクしながらこのパーテーションに隠れていたと思ってやがるッ!服装も超カリスマーなゴスロリ風に変わったんだぞ!黒い衣装最高のお嬢様と呼ばせてやろうかと思ってお前・・」


「長い、長いよお嬢様」


「聞けよ畜生ッ!!」


お嬢様の存在をすっかり忘れていた。

そういえばいたわこんな人、

兄と違って俺はあんまり関わっていなかったからな、

ある意味始めましてだよな・・、


「で、つもるところ何しに来たんですか?」


「ふっふっ・・聞いて驚くなよ・・」


「(もしかして忘れられない様にキャラ作り始めた?)」


「今日からお前はメリルの専用使用人に・・」


「それはイヤ!」


『なんで!?』


思わず声が重なる俺とお嬢様、

何故だ、何故嫌なんだメリル・・、


「だ、だってみんなのジィお兄ちゃんなのに、お姉ちゃんの我儘で傲慢な身勝手すぎる命令でお兄ちゃんを永久にあたしの物にだなんてできないッ!」


「嬉しいけど、お姉ちゃんが立ち直れなくなってるよ・・」


「あ、ごめんお姉ちゃん、お姉ちゃんなら大丈夫かと思って・・」


「お前・・私が何かしたか・・?と言うか恨みでも抱いているのか?」


「抱いていないけど・・強いて言うなら・・うん、とくにないかな」


「己ッ!!貴様ァrk(「ジン様ご無事ですかッ!」」


飛び出してきた鈴蘭に見事に吹っ飛ばされたーッ!!

これが育ちの違いなのだろうか、再起不能だよお嬢様・・、


「やあ、鈴蘭ちゃん、そういえば君もお話があったらしいね、予定通りジン君ならベッドの上だ」


「先生、どんだけみんなのお願い聞いてるんですか・・」


「さあ、それはそうと君の愛しい宝とやらに久々に目を向けたらどうだい?」


「・・鈴蘭、お前ッ・・」


「に、似合わないのはわかってます!元々髪の毛長かったし・・ただ切っただけなんですけど・・」


な、長かったあの髪の毛はどこへ?

と言うより若干髪の色も変わった?

セミショートと言う奴だろうか、だが俺でも一瞬で分かるくらい短くなっている。

そして髪の毛の色が赤から・・オレンジ?

それくらい変化があるような・・、


「・・ああ!そういえばお前の地毛・・だったけ?」


「そ、そうですよ!真っ赤になったのはジン様が「その美しい色は目障りな害虫に見せたくない」との事でわざわざ染めたんですよ!でも・・」


「でも?」


「ジン様の頼みで染めてはいましたが、私思ったんです、この髪の毛が美しいてっ言われていた事がなによりうれしかった事を・・、生まれた国ではみんな私のこの髪の毛だけでよその国の様に扱っていましたから、すっごくうれしいんです、だから、私は思ったんですよ、頼みでもこの髪の毛を変えるのは止めるてっ、だって、ジン様凄い辛そうにしてましたから・・、影では私を心配してくれたんですよね?」


「いや、違うけど?」


「違うんですかッ!?そそそそんなー・・じゃ、じゃあもしかして本当は赤いほうが・・」


ああ、懐かしいな、

前もこうやって、いじっていたかな・・、


「・・ッ」


「ふぇ?」


「いや、ごめん、ついおかしくって・・ッ!!」


「ひ、ひどいですよ~!!もう!」


「アハハッ!!ごめんよ、そう怒るな、それにもう一つ」


「なんですか?」


「髪の毛が美しいのは赤じゃなくてね・・君のその地毛の事さ」


「えっ!?は、はわわわ!ありがとう・・ごじゃま・・カンダッ!!」


全く、面白い奴だよ君は・・、

昔からそうだ、わかりやすいほどにね、

あわただしくて、すぐに顔を赤らめて、そして態度に出やすいほど感情が動く、

昔から変わらないな、鈴蘭は・・、


「・・話がそれたな、話はなんだい?」


「あ、はい!私の独断なんですけど・・私、もう一度・・もう一度ジン様の下でご指導願いたいです!」


「どうしてだい?君はもうここで・・」


「私、未熟なんです!戦闘時もジン様を守るなんて抜かして・・自分は死にかけて、だから

もう一度、もう一度基礎から教わりたいんですッ!今度は自分の国だけではなく、ジン様が知っている全てを教わりたいんですッ!」


「・・・はぁ~、しょうがねぇな・・」


「じゃ、じゃあ!」


「あたしの専用使用人だからダメ」


『なんで?!』


「さ、さっきお姉ちゃんが言ってた」


何この子!?可愛いけどやる事もいう事もゲスいよ!

天然?天然でもゆるされないよ!


と言うかわかってやってるよね!?

そんなほっぺを膨らませてよそ見してもダメだからねッ!?


「メ、メリルッ!自分でみんなのてっ言ってたよね!?」


「い、言ったけど~、あたしの使用人にして良いてっ・・(お姉ちゃんが)」


「そ、そこをなんとかッ!妹様!いえ、メリルお嬢様!」



「ど、どうしようかな~!」


「お願いします~!!この通りですから~!!」


「だぁぁッ!!畜生!!良い雰囲気だったろ!!なにシリアスから感動しそうな回になりかけてたのに!!ここに来てクソシュール小説に一転したんだッ!!やめろッ!!お前ら!みっともないから!やめてくれ~!!」


「(これが、ハーレムの末路だ少年よ・・)」


「何、笑顔で悟ってやがる医者ァァァァア!!」


こうして、長きにわたる俺の戦い、もとい苦しみのような日々が今日を持って終わった。

すさまじいくらい綺麗に閉まらなかったけど、

グダグダなのもまた、いい味してるだろう。


この後医者である灯先生は用事が済んだみたいで、

ようやく自分の病院へ帰るそうだ。


長い間開けてて大丈夫かよと心配してやったが「私がいなくてもあそこは平気さ」と、

自信満々に言っていた。


名残惜しいが、最後はみんなで見送った。

その後屋敷は完全復活を果たした。


お嬢様についても「今日は祝福しましょう!」とノリノリの復活ぷりだ。

おかげ様で大賑わいのパーティの開催だ。


リアリナさんとジャックさんもその後は上手くやっている。

相変わらずの空振り恋愛だが、

兄さんの怪我も完全に元通りで「これからはポチも頑張る!」と気合を入れていた。


鈴蘭とメリルはもうちょっとで仲良くなれそうではあるんだが、

これが中々上手くいかないのが難点だ。


しまいには「どっちが好き」とかならないか心配です。

でも、二人ともなんだかんで仲良くやれそうな雰囲気はある。

俺が中間に入る必要はなさそうだ。


こんなにも楽しい、うれしい日がやってくるとは思わなかった。

俺は初めて、心行くまで今日と言う日を楽しんだ。

今日と言う「心が解放された日」を楽しんだ。


これが初めて、俺が解放された日なのかもしれない。

俺は今、幸せだ!



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