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無限空想世界の幻想的な物語  作者: 幻想卿ユバール
第二章 狼猫編
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無限空想世界の幻想的な物語~狼猫~ 第4話  「決断」


「・・さて、できたわ、これがあなたの新しい手よ」


「おお、なんか手の大きさが変わった以外はなんだか前と全然変わらない感じもする!」


「そりゃあ最新型の医療科学ですから、神経とは連動してないけど、それ以外は全て前と同じ、血もを通わせていますからね」


「じゃあ、神経以外は今まで通りなのか?」


「そうね、血管もそのうち結合するでしょう」


科学の力てっすげー、そこまで発展しているのか俺の国、

もう、むしろサイボーグにできるのではないかと思ってしまうな。


「うむ・・、手の感覚に異常も無し、凄いなこの義手」


「お褒めに扱いありがとう、試作品だから今回はタダで提供しておくわ」


「そりゃどうも、大切にさせてもらう」


ジャックさんが嬉しそうな表情でにこやかに笑う。

よっぽどあの義手が気に入ったのだろう。

と言うよりジャックさん的にはこれからもまだできると思っているのだろう。

仕事なりなんなりができると・・ね。


「ところで、ジャックちゃんは特にもう安静にしろと言うのは無いけど・・どうする?」


「つまり動いても大丈夫なのか?」


「ええ、ただし義手は定着するまでに三日あるから戦闘や激しい動きは禁止、もちろん怪我が完治するまで仕事も当分控えて」


「グッ・・まだ完治はしてないよな・・」


「そりゃそうよ、医者は完全蘇生屋ではありませんよ?」


ジャックさんが少しへこんでしまったが仕方があるまいよ、

治療とはゆっくり治す物だ。


自力で完全蘇生ができる物ではない、

にしてもスマイルの絶えない医者だな先生、

お説教の声も明るいのにどこかしっかり通った声だ。

しかし、ジャックさんが動けるなら・・行くべき場所は一つあるな。


「ジャックさん、謝りに行きましょう」


「はあ?誰にだ?」


「もちろん、リアリナさんです、「さっきは泣かせたり自分勝手な事言ってすいませんでした」てっ」


「・・・う、うむぅ」


「もちろん、抵抗があるのはわかりますよ?しかしいつまでも仲が悪いと言うのもいやでしょう」


「それは・・そうだがな?だか、俺から謝るのは・・その・・なんだ・・」


「変なプライド持ってる男は嫌われますよ?」


「よし、言って来よう」


「それじゃあ、行きましょう!」


「楽しみね~!」


「(なんで・・この二人まで付いて来るんだ?)」


こうして話し合いの末にまだ完治はしていないが、

動き回る事はできる為、ジャックさんはリアリナさんの下へと行くのだった。

なんだかおもしろそうなので、俺達も着いて行くことにした。

しばらくジャックさんと探し回って数分後、

ロビーに誰もいない真ん中の上へ昇る階段の途中にある場所で時計を拭いていた。

ジャックさんは「じゃあ、行ってくる」と、

なんだかいつものぶっきらぼうな感じであいさつをしてそのままカツンカツンと登り、

リアリナさんの下へと向かって行った。


「(はたして・・どうなるのかな?)」


「(私、気になります!)」


ここから視点変更なんて真似はできないので、

俺がチラッと見えたところを教えて行こう。

決してメタいとか言ってはいけない、

ジャックさんは時計を悲しそうに拭いているリアリナさんの肩をトントンとたたき、


リアリナさんが「えっ?誰?」と言う感じで振り向くと、


そこに立っていたのは「ようッ・・」と言う感じで、

とても無愛想な挨拶をしたと思われるジャックさん、


それに対してリアリナさんは「何か用事?なければ帰って、土に」

と言って軽くすねる態度を見せる。


ジャックさんは「まだはえーよ、てかどんだけ不機嫌なんだよ」と、

言う様に困った雰囲気を見せる。

片手で髪の毛をわしゃわしゃさせるあたりそうとうですねこれは、


それを聞いてリアリナさんは

「あんな事言われて不機嫌にならない方がおかしいんです」とプイッとさせる。

そりゃまあキツイ一言とぐう正論も出ない言葉言われたらそうなりますよね~プスス、


「はぁ・・」とため息をついて困り果てるジャックさん、

するとここで「すまなかったッ!」と思いっきり頭をさげるッ!

これは部下が上司に「もうしわけございません」とか「すいませんでしたッ!」

と言う時みたいだッ!

両手を横にピシッと!

上半身を深々と45℃礼ッ!

うん、きれいなホームだ・・・、

そして必死に弁解をするジャックさんはこういう、


「さっきは俺が勝手な事や話を聞かずにお前をせめて悪かったッ!お前の気持ちもろくに聞いていなかったのに・・、本当にすまなかったッ!」


きっと歯を食いしばっているだろう、きっと目をびくびくさせながらつぶっているだろう、

凄い勢いのあってハキハキしているのになぜかおどおどしているのも伝わるこの不思議、

そしてリアリナさんはしっかりした言葉と綺麗なホームに思わず。


「(ジャック・・こんなに反省してたなんて・・ずっと今まで怒ってた私が馬鹿みたい・・)」


と言う事を抱いていそうなリアリナさん、

ジャックさんはおそらく目をつぶりながらも


「(やべぇ・・これで嫌われてて「はあ?頭下げるだけでどうにかなると思っているの?あなたは人に謝罪するという事も分からないようね・・」と言われたらもう俺は今日で執事やめよう!)」

と焦っているはず。

        ※ここまでの会話や感情は全てジンの思っている通りです。

そして、「(反省してるみたいだし・・許してあげよう・・)頭上げてちょうだい・・そんなにしっかりした意思を見せられて断れるほど私は鬼じゃないわ」と明るく優しい声に治るリアリナさん、


安心したのか、ゆっくり顔を上げてドギマギしながらも


「あ、ああ!それにお前に言われた通り無茶はもうしない、でも、やっぱり側にいないと誰か不安だからなッ!これらからは一緒に守ろう!俺たちの主君を、俺たちの仕える屋敷をッ!」


と手を差し伸べるジャックさん、


「ええ、これらかも支えてあげる!これからも互いの背中を守りましょう!いつかは足引っ張らない様になります!」とこちらも笑顔で晴れた顔をするリアリナさん、


互いにがっちり握手を交わし、まるで始まったばかりの恋愛がやっと動きだす様だ。

ああ、これぞハッピーエンドと言う奴だろう。


良かった良かった、第1幕はちゃんと終わって、

これからがジャックさんの第二幕だ。

ジャックさんもこちらを向いて穏やかに帰ってくる・・はずなのだが、

何故だ、握手をやめて振り返ってから苦い顔をしてこちらを睨むジャックさん、


リアリナさんはなんともなさそうに「どうしたの、ジャック?」と言う感じなのに、

何故、ジャックさんだけ?

気になるので声をかけてみよう。


「ジャックさん?どうかされましたか?」


「・・なあ、お前ら、そのスケッチブックに書いてある『Aは無いの?』とか『せめてAまで!』とかは・・今の子も通用しないしそもそも書くなッ!」


あー、うっかり無意識に灯先生に渡された物を素で書いて持ってしまっていたよ、


「あはッ、これはうっかりと言う奴です」


「そうそう、つい楽しくなっちゃってか~!青春よね~!」


「青春言うんじゃねェよ!もう俺はそういうのとっくに捨ててるのッ!」


「そう、言わずほらほら~!you!言っちゃいなよー!」


「ちょっと黙ってろ!下世話医師ッ!」


こりゃあ、すっかり先生のおもちゃと化してんな~、

いや、銀兄さんがいたら銀兄さんのおもちゃでもあるかもしれないな。


「ねえ、ジャック・・Aてっ何かしら?」


「お前は知らなくていいの!!良い子のみんなは検索しちゃダメだからねッ!」

※本当に色々すいません


「気になるでしょッ!さては・・」


「違うッ!誤解ッ!誤解ですッ!」


あー、こりゃあ違う意味で喧嘩が起りそうだ。

まあでも、今度の喧嘩は穏やかだね、

これは、助けもサポートもいらなそうだ。

きっと、「(ありがとう、ジン!お前のおかげだッ!)」と、思ってくれるだろう。

ジャックさん、礼はいりませんよ、


「(後で、フルコースで滅多刺しにしてやるッ!!)」※←これ以外は全て合ってます。


こうして、俺と灯先生は静かにその場を立ち去った。

賑やかな男女の恋の始まりを物語るロビーを後にして、

ジャックさんとリアリナさんはまだまだ時間がかかりそうだが、

俺と灯先生は廊下を歩きながらお互いに一致した意見があった。


『(あの二人・・両想いだよな・・どっちも空回りしてるのが凄い面白い)』

※両想いなのにどちらも片思いしてると思っている酷いパターン


ともあれ、これからお幸せになってほしいと思う俺だった。

この後は灯先生とそのほかの使用人たちの治療をしている所を見て回り、

時間はあっと言う間に過ぎて行った。


気づけば夜になり、なんだか早かったなーと思うのだった。


「いやー、灯先生には感動しますよ!まさか心の介護までやってのけるなんて!」


「ジン君~褒めても何も出ないわよ~ウフフッ!」


廊下の会話もだんだん弾むようになる俺と先生、

この先生は最初ポーカーフェイスだと思ったが、

裏表無く喜怒哀楽もしっかり見れば良く出ている人だ。

見た目通り、やっぱりしっかりした医師なんだろう。


「さて、先生・・もう終わりましたし今日はお帰りになるんですか?」


「いいえ、今日から1週間は泊まって患者の様態をいつでも確認できるようにするつもりよ、何せこの量の資料も解析しなければなりませんしね」


「アハハッ、大変ですね~」


「ところで・・ジン君」


「なんでしょうか?」


先生が明るく、何か俺に質問するとは珍しい、

一体何の質問だろうか、


「猫耳の彼女に・・見覚えはあるかしら?」


「・・・どうしてそんな質問を?」


さきほどまで明るい楽しいムードだったのに、

いつのまにかまたシリアスなムードへと急変、

穏やかな表情が一転、お互いに静かに冷静な表情へと変わる。


「彼女にね、心のケアをしている時に昔の話をしてくれてね、その時に「ジンお兄ちゃんがいつも私を守ろうとしていた」と言う話を聞いたわ」


「・・・そう」


「あなたね?ジンは」


凍りつきそうな喉、

冷酷な目が俺を突き刺す。

だが、俺は曇りなき眼で彼女の目を見ながら答える。


「そうです・・俺が、ジンです、あの時・・何もしてやれなかった・・ジンです」


その目に嘘は無い、この言葉に偽りはない、

俺は、あの時、その彼女を知っているのだから、

俺は真剣な表情と凍てつくような声で答えた。


「・・聞かせてもらえるかしら?その時のことを」


「・・良いですよ、聞いてください・・俺の・・過去を」


俺は初めて、過去を話す。

これは、この先生が初めてで、

この先生にだけ、過去を話すことを・・過去を振り返る事を許した時だった。

俺は凍りつく空間と心の中、先生に過去を話すことを決断した。


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