無限空想世界の幻想的な物語~狼猫~ 第3話 「純粋」
どうも、みなさなん!
こんにちは!はじめましての方は初めまして!幻想卿ユバールです!
今回はなんとシリーズ初の恋愛!?かもしれません!
ですが、そんな発展も全然ありません笑、
こんかいも気の抜けるシュールな回かもしれませんが、
よろしくおねがいします!
それでは、どうぞ!
少し廊下を歩いて数分後、
俺と灯先生はジャックさんの病室へと向かっていた。
一見冷静で何も不安が無いと思われるかもしれない、
だが、俺はちょっとだけ違った。
「灯先生、ジャックさんは今どういう状態なんですか?」
「・・私からはなんとも・・、とりあえずはリアリナちゃんと処置はしたけど・・ね、まだ完全とはいかないわ、何しろ肘部分までの損失は大きいでしょう、彼も苦い顔していたわ」
「・・利き手を失いましたか・・、そりゃあ辛いだろう」
なんてことだ、俺が不在でもいても変わらなかっただろうけど、
ジャックさんの利き手が損失してしまっているらしい、
きっと戦闘中誰かをかばってそうなってしまったのだろう。
「それで、それに対して何か案はあるんですか?」
「一様ね、ローゼリッテの連絡からは『腕の損失者がいる』と聞いたから、大急ぎだけどこの鞄の中にね」
「それは良かった、ぜひともその案件を見てみたい」
どうにかなりそうで良かった。
これでどうにもならなかったら土下座だけでは済まなかっただろう。
しばらく不安を和らげる為にこんな話をしながら歩いていると、
ついにジャックさんの部屋の前へと着いた。
「ここが、ジャックさんの病室・・」
『あ゛ぁ゛ーッ!!マズイッ!』
『マズイとはなんですかッ!おかゆにまずいも美味いもないですよ!』
「・・断末魔が聞こえて来るんですが」
「気のせいよ、入りましょう」
絶対に気のせいではないけれど、
俺は不安がよぎりながらも灯先生の開けるドアをそのまま中へと入る。
すると、中へ入れば賑やかな声が大きくこの部屋に響渡った。
「だから、俺は反対だったんだお前の介護だけはッ!絶対飯の実験台にされると思ったもん!」
「なんですかそのいい方は!私はあなたがおそらく私でないときっと困るであろうとわざわざ介護+ご飯を作ってあげているのですよ!」
「うるへー!ならもっとマシな物提供しろよッ!」
「なんですってッぇぇ!!」
痴話げんか?それとも仲良しの揉め事?
とりあえずこの状況を見て一安心する俺だった。
「ジャックさんッ・・(良かった、なんか別の事で揉めてて)」
「医者とジンじゃねぇか・・どうしてジンまで来たかはさておき・・とりあえず助けろ」
ジャックさんは今とんでもない状況になっている。
右腕の半分が無く、その上何故か包帯がベットに結びつけられて左手が拘束されている。
そしてそのベッドの隣で何か黒いオーラを漂わせているアレは・・、
「ジャックッ!いい加減これを食べてください!」
「じゃかぁしい!そんなダークマター食えるかよッ!なにそれ炭?炭だろッ!」
「そんな事ありません!これはおかゆです!あの白くて美味しいおかゆですよ!」
「おかゆはこんな黒くていかにもと言うやばいオーラはしてねぇよ!て言うかなんで俺拘束されているの!?ナンデッ!?」
ジャックさんも大変だな・・、右手が失っているのは流石に驚いたが、
それよりも完全に監禁されて観察されているような絵図らにびっくりだよ、
「ジャックさん、良い子も見ているのでそういうのは・・」
「マニアックね・・」
「お前ら2人とも怪我が完治したら覚えてろよッ!!」
これは完治したらやばそうだ。
徹底的にやられてしまうよ、
「・・つか、良い加減ボケてねぇでさっさと要件を言え」
「そうね、話がそれたわね・・まあ、緊急の連絡で来たからあまり良い物は無いのだけれど・・とりあえず貴方の腕の治療をね」
「道具てっ奴か?それとも薬で?」
「ええ、少し痛いけど銀君と同じ注射を腕に注いで後は・・この義手を」
先生が鞄から少しでかめのアタッシュケースを取り出した。
どうやって入れたんだろうあの中に・・、
そしてそのアタッシュケースから出て来たのは何やら銀色の・・手?
「なんだそれ?」
「これは私の弟子が開発中の鋼の固さをも越える【GNT-2334】見た目はガントレットだけど中身は機械、これを腕に装着する事で今までみたいに通常どおり動けるわ」
「つまり、そいつがこれからの手になるのか?」
「(ジャックに義手ですって!?)」
なんだろう、真剣に聴くジャックさん、
少し穏やかな先生、そしてなんだか顔色が悪いリアリナさん・・、
これは嫌な展開になりそうだ・・、
とりあえずは見守ろうと心の中で思う俺だった。
「そうね、悲しいかもしれないけど貴方の様に戦闘をする人はこれを付けた方が良いわ、そんな無茶な戦いするならね」
「・・ご最もだな、体の一部を変えなきゃいけないのが一目瞭然だわ」
「まあ、ガントレットぽいからちょっと大きいかもしれないけど・・うん、貴方なら大丈夫じゃない?」
「なんだっていい、俺はこれからも戦わなきゃならねぇからな」
ジャックさん、あの戦いで腕を失ってもまだ闘えるなんて流石だ。
腕一つ失ったら普通はトラウマ物だろうに、
「ちょっと!勝手に話を進めてるけどジャック、貴方まだこの先も闘うさもりなの!?」
「そうだが、どうしたリアリナ?」
それ見た事か、リアリナさんは猛反対、
まあ、当然だろうな、
ジャックさんの介護机をバンッとしたくなるのもうなづける。
お顔もお怒りですよ、これは。
「私は反対、腕が義手になった事によってあなたはこれまで以上に無茶するでしょ?」
「それの何が悪い、俺はここの屋敷に仕える者だ、てめぇやてめぇの大事なローゼリッテ譲を守る為にも多少なりとも男は無茶しなきゃならねぇだろ」
「どうして私もなの?そこにどうして男が守らなきゃいけないの?守るならお嬢様だけでいいじゃない!それに貴方が守る必要はない!私にその役目があるはずよ!貴方は元より後から来た人なのよ?ローゼリッテ様を守る資格は私に・・」
「てめぇ1人で背負いこんで守れる物も守れないだろうがッ!大体1人守るだとッ!?今回の戦闘で息切れした奴がかッ!」
「・・ッ!!」
なんだか、悪い雰囲気になったなと思ったら、
予想通り喧嘩にまで発展する2人、
これはやばい予感だ。
「なんでよ・・なんでいつも・・いつも・・そうやっていつも・・」
「なんだ?涙流して訴えても俺の気持ちは変わらないぞ、そうやってウジウジ弱い所見せてれば相手が参ったと言ってくれるとでも・・」
「ジャックのバカッ!!」
「アバスッ!?」
ドガンと一撃、平手ではなくグーで決めるあたりは流石のリアリナさんだと思った。
涙をボロボロと流しながら部屋を出ていく辺りどこか少女漫画を彷彿とさせる。
ところでけが人だったジャックさんは一発殴られて、
治療が一つ増えたが大丈夫だっただろうか・・・
「女の子を泣かしちゃうなんていけないんだー」
「殴るぞ、ジン」
「悪かったよ、思いの空回りとはこの事を言うんだなと今、実感して悪かった」
「お前な~ッ!」
「お二人さん、そろそろいいかしら、ジャックちゃんとリアリナさんの今後の展開が少し気になるところですが・・(メモメモ・・とっ)」
「おい、医者・・、何をメモってやがるッ!?」
「今の悲しい恋愛を少しメモしたの!今の状況を忘れないためにもネッ!(にやりッ!)」
「この下世話がッ!」
ジャックさんが分かりやすすぎるのがいけないのでは無いのかな?
無駄に反応するからそうやってみんなからイジられキャラが定着するんだよジャックさん、
「あ、話が大分大分逸れたわね、話を戻すと結局のところどうするの?」
「あ゛ッ?そんなもん付けるに決まっているだろうがッ!」
「了解したわ、じゃあしばらく動かないでね~」
「子供じゃあるめーし・・、付けるてのでそんなわめかねーよ」
「そうかしら?男の子はみんないくつになっても子供よ」
「どういう意味だ・・歳なんて食えば大人だろ」
「さてどうかしらね~、実は背伸びした子供かもしれないわよ?」
「ご冗談を・・」
ガチャガチャと音を立てながら匠の腕前でサクサクと義手を付ける灯先生、
ジャックさんと会話しながら付けれるとは流石だ。
それとは別にそういえば先ほどのリアリナさんとの会話で、
ちょっと気になったから聞いてみよう。
「ところでジャックさん、さっき妙にリアリナさんと喧嘩してましたけど、好きなんすか?」
「唐突で正直どう反応すればいいのか迷ったがまあいい、好きだがそれがどうした?」
「(素直かよ・・)ならもうちょっと言葉選べば良いじゃないですか・・何もあんなあからさまにお前なんて大っ嫌いだバーカ的な反応しなくても」
「大分オブラートに言っているつもりだがな、いつも」
「へぇ~オブラートにね・・いつも?」
なんだろう、今信じられない一言が飛んで来たような・・、
「すいません、今、いつもと言いましたか?」
「そうだが?」
「・・・ちなみに前はなんて?」
「なんだっけなー、ああ、超絶寒い日になんかチョコ渡された、そん時に「これはひでぇ」
と言ったら右ストレート食らった」
「他には・・ッ?」
「暖かい日にやたらめったらチラ見して来てたな~、挙句の果てに「どう?今日の私どう?」とか言って来たから「異常だな」てっ返したらアッパーされた」
「後は・・ッッ?」
「そうだな~、後は毎日の様にお嬢様のこれ凄いアレ凄いと言う話がループし始めた時にわざと「へぇ~」てっ言って殴られた事か?」
「へぇ~・・ププッ・・そうすか・・ブフッッ!」
「お前なんで笑ってんの?」
「ジャックちゃん・・プフフ・・まさか自分の恋片思いとか思った事ない?」
「・・・ああ、どうせ片思いだとおもって・・」
『アハハハハッ!!』
「何故笑うッ!?人が真剣な面だったろッ!?」
これはひどい、どんな空回りをすればこんな切ない恋があろうか!
ジャックさん、イジられキャラが定着してももう文句無いよッ!
「いやー、恋はしてるのにここまで鈍感だったとは~!!流石だよジャックさん!」
「うん!君は素直になれないフレンズなんだねッ!すごーい!」
「色々訳が分からんぞッ!?どうしてそうなるッ!?」
「じゃあ、ジャックさん・・さっきなんでリアリナさん泣いてたと思いましたか?」
「なんでって・・俺に怒られたからだろ?女つうのは強く言ったらすぐ・・」
「ブハーッ!!傑作ッ!!傑作だよッ!!」
「ジャックさんッ!!ププッッ!!」
「何故笑うッ!?」
本当にわかってないのかちょっと疑いたくレベル、
ひくわー、超ひくわー、ここまで分からないとかもうひくわ
「ジャックさん・・とりあえず後で謝罪した方が良いですよ(笑)」
「顔がニヤケてるのがスゲーイライラするんだけどッ!!」
「まあ、ジャックさんが馬鹿と言われても仕方がないですよ」
「なんでだよ?」
「だってジャックさん最後まで話聞かないのに、リアリナさんに守れないとか言っちゃう
んですよ?今時の女の子だってきっと強くなりたいと思うはずですよ」
「そりゃあ、確かにそうだが・・俺的にそうなると男必要ない、みたいにお陀仏になるのが嫌なんだ、あいつにこれ以上立場取られたらいずれ俺と言う存在が・・」
「まあね、確かに・・しかしジャックさん・・逆にそれを利用しながらなおかつ存在を忘れさせない方法が一つありますよ・・」
「なんだと?」
「ライバルポジですよ、ライバルポジの恋は一番純粋に育ち、なおかつ正規ルートでわりとすんなり行きやすい、これまでこれで落ちなかったヒロインやヒーローはいませんよ?」
「・・なるほど、競争しつつ仲を深める・・、それにより互いに強くなるし、互いを守れる・・、そして好きな思いもいずれ伝えられるという事か・・」
「そう、ジャックさんもリアリナさんも未熟なんですよ!だからまず互いに階段が同じうちに、階段を昇のですッ!」
「おしッ!なんだかそれなら出来そうな気がするぜ!恩に着るぜジン!」
「(実は前と変わってない事は言わないでおこう)どういたしまして!人の恋愛をサポートするのが俺の役目ですからッ!」
俺もずっと失敗してきたからジャックさんの様な奴に恋愛相談を答えられるのは上等だ。
本当はジャックさんが鈍感すぎるというのもあるけど、
「(この子・・自分の恋愛が上手くいかないから人に教える時の説得力が違うわね・・特に鈍感なジャックちゃんに対して・・ッ!!)」
「(先生・・ッ!?脳内に直接!?)」
グッ・・この先生に脳内をキャッチされるとは不覚ッ!
・・と言うかこれどうやってんの?
新しいタイプなの?
「(ツッコんだら負けよ、ジン君)」
「(じゃあ、ツッコみませんよ、先生)」
なんだか作品的にもどうでも良い会話を繰り広げてしまう俺と先生だった。




