無限空想世界の幻想的な物語~外伝~ 魔章37 「赤き魂」
一難去って一難、かつての戦いはそういう波乱に阻まれる事が多く。
一筋縄ではいかないと言うのが大体の運命論。
しかし今は違う、運命に抗い逆らう事ができる。
それはどうするか、たったちっぽけな一人の力で運命と言う道を捻じ曲げる事はできない。
何故なら運命とは極論を言うなら【レール】だからだ。
つまり、私達が通る運命とは【レールの上を走るトロッコ】だ。
人は選択された運命は必然的に選ばなくてはいけない。
選びだした答えの先に生死が関わっているのであればそれは慎重に選ばなくてはいけない。
しかし、世の中には慎重にすら選ばなくてもいい【必然的運命】が存在する。
運命のレールは訪れない様でいともたやすく誰の下にも現れている。
それが【トロッコ】に乗っているか乗ってないかの違いじゃない。
トロッコに乗れない者は常にいない、ならばなぜ【人によって必然的運命】が起こるか。
それが【選ばれた者】か【選ばない者】であるからだ。
【選ばれた者】は常に正確な道へと誘われる。
まるで手品の様に、全てを操るかの様に。
【選ばない者】は選択されている予知に対し何も抵抗せず抗わない者だ。
きっともし違う道へ行けば運命も変わる可能性だってあるかもしれない。
しかし、リスクを起こして今の安定を崩してたまるかとかたくなに冒険をしない。
これら二つに言える事は【そこに成長はない】と言う事。
必然的正解も選ばれた選択にも何も自らを成長させると言う事はない。
ならば、それらを除外した上で運命を変え。
さらには成長の1つとして歩むにはどうするのが正解なのか。
私なら、誰かの手を取り合い、変えられない道を変えて進む。
成長も運命も【絶対的孤独】が正解とは限らない。
だったら、私の運命も成長も【誰かと歩めるモノ】にしたい。
そう、今少しでもそれが形になっていると言えるッ!
メアちゃんが作ってくれた運命の片道、無駄にはしないッ!
「(本来一対一は不可能だと思われていたタッグマッチを強引に一対一に切り替えてやったわ、これは貴方が望んだ希望通りの作戦・・それぞれの力を見せつけた上での勝利)」
一見すればメアちゃんの圧倒的力の差で私がまるで。
試合を馬鹿にしているような行為かもしれない。
でも違う、私はメアちゃんに約束している。
この作戦には続きがある、それは【どちらかの敗北で勝利は無し】とする。
「(互いに目的の戦いをした上で勝利を勝ち取る事、どちらかが敗北した時点で私はこの試合を降参、一人での圧倒的勝利での勝利は勝ちへとしないものとする・・意地でも自分の成長が無ければ次の試合へは進まないと言う心の構えね)」
そうだ、チームはメアちゃん一人で成り立っているわけじゃない。
私だって戦える、もうひ弱な自分じゃないんだから。
才能が無ければ成長が不可能と言うわけではない。
誰でも努力と次へと踏み出す勇気があれば強くなる事は可能。
それができないかできるか、成長したいと思えるか思えないか。
それだけで人の成長は変わってしまうものッ!
私はもう自分を捻じ曲げることもやめた。
本当にしたい考えをする、自分を出し尽くす。
生きたいように生きるために強くあり続ける。
強さは【誇り】だ、恥じる事も悔やむこともない、ましてやそれを控える必要なし。
自らの強い部分は全力全開で出していかなければいけいない。
それが戦いと言う奴なのでしょッ!!
構えよう、この両手に交わられた魔術を今練り合わせる。
私が学んだ全てを相手に・・仲間に・・全ての者に教えてあげようッ!
「(この睨みだけで一体何分時間をついやするつもりでしょうか・・この私もいい加減飽きましたわ・・私からしかけても問題なさそう?)」
「(大丈夫・・手のひらと手のひらにマナを集中させてゆっくりと合わせる・・真っすぐ手を伸ばして・・それを前に持ってくる様に・・ッ!)」
「・・ようやく仕掛けて来ましたか、ですがあまりにも分かりきった攻撃方法・・魔術拳の1つ・・【燕飛翔砲】・・真っすぐ縦にした手のひらと手のひらを合わせてそこから花を作るように手を開き相手に神速の魔法弾を浴びせる・・残念ながら私も魔術拳にはある程度知識があります」
「(確かにこの一連の動作だけなら分かり切ってしまうかもしれない・・けれども・・それは実際の目で見て初めて見極めと言う事になるッ!)ハァァァッ!!」
シュバッ!!
今、私の手から放たれる必殺の一撃ッ!
光の玉は両手を合わせた手の中から放たれ相手に翼を広げ鳥となりぶつかりに行くッ!
徐々に速さを加速させ、勢い増す魔法の燕、距離が遠ければ遠いほど・・威力を増すッ!
「分かり切った上での攻撃など・・実に無謀ッ!」
スパッ!
早い・・私の放った燕はいとも容易く切られてしまった。
あの剣、勺を片手に隠していたのね。
ギザギザとなんだか変わった形しているけど。
アレは本当に剣なのかしら?
いや、でも瞬間的に取り出して私の魔弾を切り裂いたと言う事はそういう事。
アレは形は変わっていても剣は剣ッ!
「さあ、どうしますか?次は何が出て来るんですか?」
「(次は・・もう出ているッ!!!)魔術拳・・」
「(ハッ・・なんだ・・私が少しの許しを与えているこのわずかな間に・・距離を縮めた?!いや違う・・彼女は最初はこれを分かった上で先ほどの攻撃を実行した?!)」
そう、さっきの攻撃は相手の気を油断させる一段目の罠。
サギーさん曰く【見た事があるオーソドックスな技ほど油断する奴は多い】と言う事。
その中でも魔術拳燕飛翔砲は知名度の高さと誰でも使える初心者技として有名。
なおかつコツさえ分かれば誘爆を刺せずに真っ二つに切るのが常識。
そう、私が狙ったのはそこだ、技に気を取られている間に目の前の相手が意識から削がれる。
その後、私はさらなる距離を詰めて第二波を放つッ!!
「魔術拳・・【波紋猫騙視】ッ!!」
パァァァンッ!
私は相手の目の前で放つ究極の不意打ち技【猫騙し】。
さらにこの猫騙しはただの猫騙しなんかじゃない。
中指と薬指を両手にしっかり合わせた上で相手の体を乱す波紋を放つッ!
そのうえで大クラッカー・・それが猫騙しの叩き。
この二重の旋律の狂わせで相手は間違いなく・・麻痺を起こすッ!
「(あ、頭が痺れるほどの・・いやこれは体全体が・・動かないッ!?ばかな・・私ともあろうものが・・ただの魔術拳ごときに敗れているというのか?!)」
「いまだ・・魔術拳・・」
「(今度は両手の手のひらを合わせて胸の前に持っていく構え・・見える・・こんな麻痺を受けてても私には分かるぞ・・それは魔術拳【漢破羅切】この後両手を大きく広げ鋭い構えと持っていく・・それも私にはお見通し・・こんな麻痺がおこっていようと私には関係ない・・)」
「【羅切骸】ッ!!」
ズシャシャシャシャシャシャッ!!
確かに、貴方の様に戦闘馴した相手に先ほどの麻痺程度では回復は早いであろう。
少なくとも持って2秒、精神面の強さがモノを言う戦いの世界ではあの猫騙しは無意味。
しかし、そこに一部の技と合わせる事で麻痺させた部分に適格に攻撃をしかけるッ!
鋭い手刀を何度も入れる技漢破羅切と似た技羅切骸は。
同じく手刀を何度も入れる技だがこの技の場合は血脈にマナを咥えた技。
極限まで魔術で速さを補い、血脈を熱く滾らせ神速までの手刀へと変える。
そして、その上で的確に関節部位に当てる事で麻痺はより増す事になるッ!
「あ、ありえない・・この私達が・・何もできないッ!?」
「いや、貴方達も十分強かったです・・けれどもそれ以上に私の成長が早すぎました・・ッ!」
ここまで来てしまえば、私には分かる。
次、どうすれば勝利への一歩をもぎ取る事ができるのか。
次はどの技で攻めればいいのか、私には分かるッ!
今、それを決めに行くッ!
「大魔術拳・・【桜花乱世】ッ!!」
ゴシュゥッ!!
足、手、背中、全ての血脈に魔術を交わらせる神速の魔術拳。
動きは貼山靠と言う格闘技術のマネ事だが、魔術を咥える事でより素早い動きを可能とし。
さらなる威力の向上を可能とするッ!
「グベラッ!」
「大きくフッ飛ばしてもまだ油断はしないッ!続けざまに・・【ライトアロー】ッ!!」
シュパッ!
この技で吹っ飛ばした上での弓矢での強襲を仕掛けるッ!
振り向かせた背中を右足でグルリとすぐに耐性を立て直させ弓矢に魔術を込め。
一気に玄を引き、最速簡易魔術を放つッ!
「(侮っていた・・ただの少女だと思い・・私は完全に・・彼女を侮っていた・・しかし実際は違う・・彼女はただの少女なんかではない・・魔術格闘を生かした戦いをする正真正銘の女の武闘・・私は・・完全に・・油断していたッ!だが・・それもここまでだ)もう・・手加減の必要はない【ギルティ・リング】ッ!」
バシュッッ!!
不飛ばされる中で帽子の飾りの2つの大きなリングが外れて私の光の弓矢消したッ?!
な、なんていう執念・・まだ抵抗の余地があったなんて・・。
けれどもそれだけじゃあ私の勢いは止まる事を知らないッ!
弓矢がダメならまた・・魔術格闘・・・ッ!!
「ッ!?」
「フフッ・・無駄ですよ・・今貴方のその腕の関節に仕掛けられたリングをご覧なさい・・それはギルティ・リング・・【断罪の輪】です・・つけられた部位は私に攻撃する事を不可能とするどころか防御にすら使わせません・・」
「と、取れない・・ッ!!」
「どんなに引っ張手もどんなに強く叩ていてもそれは取れません・・ハァッ!」
「クゥッ!!」
ドグシャァッ!!
し、しまった・・防御に出れない上に魔術を練ることが上手くできない。
これじゃあ私は一方的にこのまま体に切り刻みにされてしまうッ!
そ、そうなってしまえば魔術拳に支障が出る。
これ以上の傷は避けなくていけないッ!
「(今は・・避けなくちゃッ!)」
「どうしましたか?ほら!先ほどまでの勢いはッ!!」
「(あの剣・・長くなったり短くなったり自由なの?!不規則に伸びるから避けるので精一杯だよッ!それ同時に片手の勺・・アレも武器として使って来る・・ッ!!当たると痛いわけじゃないけど・・精神面に邪念が入って来る・・ッ!!)」
「(気づいているとおもうけど・・この勺に込めた呪術【邪念開花】・・当たれば貴方はどんどん余計な考えをし始める・・さらには邪悪な殺意から思考もどんどん奪われる・・貴方の戦いは支障が出まくってしまうのです!)」
どうする・・どうすればこの攻防から逃れる事ができる!?
考えろ・・考え着く答え全てをとにかく当てはめなきゃ・・。
一度逃げて体制を立て直す?
ダメだ、このリングを付けた状態での逃げは見込めない。
これにまだ何が隠されているか分かっていない。
下手すればこれが原因でもっ最悪の事態が起きる可能性もある。
だとしたら強引に魔術を体全体に回して戦う?
それもダメだ、私の体が持たない・・あまり強引な手は逆に戦況を不利にする。
今、この荒々しい攻撃を避けるのでも精一杯なのにッ!
まだ手はいくつも思いつく・・けれどもどれも・・どれも違うッ!
考えて・・私、考えてよッ!
まだ何かあるでしょ・・ここでまた弱気になって逃げるなんてしたくないッ!
私は強くあれる・・女だからっていつまでも誰かに守られる立場なんかじゃない。
いつかはみんなみたいに私も誰かを守れる立場になりたい。
背中を預けて戦いたい、私の強さはみんなを守る為にありたいッ!
だから、答えを見出せよ・・私の体ァァッ!!
「・・ハッ!(そうだ・・封印されているのは手・・と言う事は・・)」
一か八か・・もうこれにすべてをかけるしかないッ!!
今は迷うな、迷う暇があるなら・・やれッ!!
やってダメでもいい、やってから愚痴をこぼせばいいッ!
負けるのが怖いのも勝つのが見えないのも・・そういう弱音もいらないッ!
下駄を履くまで分からないのが・・勝負ッ!!
「トドメだ・・ッ!降臨せよ・・冥府の化身・・【閻魔】ッ!!」
ドシュゥゥゥ!!
枯灰娘さんの背後に巨大な霊圧・・赤き悪魔の様な姿をした大いなる神の様な・・。
アレが・・噂の閻魔様・・なんて巨大な魔物・・じゃなくて。
今は・・そんな事に感心している場合じゃないッ!
行こう・・向こうもそれでトドメを刺すと言うのなら・・私も・・全力全開。
バック転で大きく下がり・・地に着いた足に力を入れて・・今、飛び上がれッ!!
バシュォォォォッ!
「(と、飛び上がった?!)」
もっとだ・・もっと舞い上がれ・・天空を貫いて大空へと羽ばたけ。
さらにもっとだ・・もっと上を飛んでいける・・ッ!
大いなる雲に穴を開けて、さらに空へと舞い上がれ・・飛翔しろッ!
私のこの六翼は・・単なる飾じゃないッ!!
雄々しき翼舞い広げ、銀河の月光の輝きに今私は立ったッ!!
ここは大宇宙、空を越えた大気圏の上ッ!
「・・こんな・・高くまで・・飛翔できた・・」
「(どこまで・・奴はいったんだ?!)」
こんな上空だからこそ言えるけど・・この星はこんなにもデカい・・。
私達はこんなデカい星に住むからこそ無限の物語がある。
ここには無限の想いがある、全てが無限・・何処まで何処までも広がり続ける世界。
私は・・そんな世界に生まれて・・本当に良かった。
後悔もなにもない、悔やみも恨みもない、だって・・みんながいるからッ!
私、戦う・・これからも・・ずっとずっと戦う・・だから・・この戦いを。
次の戦いの想いの1つとさせてもらうねッ!!
「行くよ・・これが私の奥義・・・魔術格闘さえも超えた・・超必殺技ッ!」
翼を雄々しく広げ、鋭い蹴りの構えへと変え。
一気に急速落下を図り攻撃をしかけるッ!
「ヴォォォォォッ!!」
大気圏から突撃を図る右足の飛び蹴りッ!
高熱と共に私の体を熱く滾らせるッ!
「(ま、まさか・・あの光・・無茶だ・・大気圏の温度は10,000度ッ!いくら何でも私達生命がなんの対策もせず突破できるバリアラインじゃないッ!)」
「(確かに・・どんなモノも溶かすこの大気圏に包まれた私の結末は燃え尽きてしまうのが運命なのだろう・・だが・・私は・・燃えないッ!!)」
そうだ、炎よりもっともっと暖かな光の炎に包まれた私に・・。
その程度の炎が体を燃やし尽くせると思うなぁぁッ!!
「ば、馬鹿なぁッ!?大気圏突破してこっちに蹴り入れて来たぁ?!」
「そうだともッ!たとえどんな熱き熱も・・耐性と速さがあれば乗り越えられる・・必要な速さは一時間時速60,000キロ・・地球を2周できるッ!!」
「(何言ってるかさっぱり分かんないけど・・恐ろしい事だけは伝わった!!)」
「そしてこれが・・私の光の炎の強さッ!【シャイニング・キック】ッッ!!」
ドッシグォォッ!!!
見事に命中したッ!
華麗なる光の一撃、放たれた大天空の一撃ッ!
私は見事に決めた・・そして・・私はこの蹴りでもう一つ決めなければなるまいッ!!
蹴り上げて私の後ろには今蹴り上げられた枯灰娘さんがいる。
そう、ここからがシャイニング・キックの真骨頂ッ!
ただの大空からの飛び蹴り上げではないッ!!
「いっけぇぇぇッ!!【ホーリー・バウンス】ッ!!」
「へっ!?」
その私の一言と共にさらに大空へと上げさせられる彼灰娘さん!
そう、この技は私が蹴り始めた上空まで蹴った相手を強制的に蹴り上げる技。
それがたとえ飛び蹴りでも構わない、当たった相手をとにかく々同じ高さに連れ込む。
そして・・そこからまず急速落下をさせ1バウンドッ!
さらに叩きつけられた衝撃でもう1バウンドッ!!
この大いなる高さから撃ち放たれる最強の攻撃技。
叩きつけられた相手は確実に大ダメージ間違いなしッ!!
シュゴォォォォッ!ドゴォォッ!ドグァァァッ!
「あ、ありえ・・ない・・」
「これが・・私の戦い方ですッ!!」
ありえないからこそ勝利の可能性を引き出せる。
ありえないからこそ信じてみたくなる。
そう、勝利を掴むには目先の目標だけではダメなんですッ!
私は今、それを確信できた。
もう、迷いはない・・これからも・・この道を究めて行こうッ!




