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無限空想世界の幻想的な物語  作者: 幻想卿ユバール
外伝その3
142/150

無限空想世界の幻想的な物語~外伝~ 魔章36 「巫女と友達」

長きにわたる大試合もなんだかんだで二回戦が経過。

私こと出雲翡翠も控室の休憩によって体の回復が安定して来た様な気がします。

ボッコボコにやられた肉体が内出血どころか傷口の後すら消えたのは自然回復ではなく。

おそらくさきほどガッツさんと魔王様言っていた・・なんだっけ。

しん・・しん・・白玉うどんの極地・・そう、確か白玉うどん・・違う。

えっとアレだアレ【神化極地】だ、そうだ思い出したぞ。

強くなると言う願いを元に生まれる特性的な何かの奴。

そうそうコレだよコレ、なんでさっきまで思い出せて無かったんだ。

きっと私が頭突きしまくったからだろうけど・・それ以外に原因らしい原因ないだろうし。

ともあれ、無事二回戦を勝ち上がれた私達は今も次の試合の為、各々準備をする。

次の試合まで直前まで特訓、得物の調整、やることは沢山。

私も次の試合まではまた訓練に励むのであった。

武術や格闘にも徐々に成長が出て来た。

この短期間でなるべく多くの戦い方を身に付けなければ。

あんな熱い想いと魂を見せつけられたのなら、もう後には引けないからね。

そう、それはフィールドから退場する前の話。


 ◆


私達は晴明様の熱き寛大な魂を生で見せつけられた。

あの試合の後、控室でチームを集めて反省会をする生命様は。

小さな体から大きな声を上げてこう告げたんです。


「皆の者!聞けぃ!此度の戦い、童達は敗北した!しかし敗北原因は強さや個々の力ではない!童のチームは実に個性あふれる様々な戦いを活用するいいチーム!魔法少女のルイカ、人魚のセイレイン、人狼のアン、そして童が小人の晴明、みな・・様々な生き方をして自らの道を歩み強くなった者達じゃ」


チーム内の雰囲気はとても暗そうな表情でとても落ち込んでいそうなのに。

それでも言葉一つ変わらない晴明様、やはり誰よりもチームを従える芯と言うのが伝わる。


「だが、童らが負けた理由は何にあるか?答えは【甘え】じゃ!童らは今回完全に腑抜けておったのじゃよ、それは童を含めた全員が【甘え】を持っていた、こやつなら生半可な思いでも勝てる、そう油断していたからこそ・・【甘え】を捨てた者に勝てなかった、違うか?」


『違いません!』


チーム内の雰囲気が少しずつ戻って来た。

明るい前を向いて歩き行こうと言う気持ち、熱意のある返事。

間違いなく光が見え始めている。


「違わないのなら、童らは甘えていた事、今の練習メニュー程度では勝てんと言う事!月杯が中々やらないから童らの練習も週一で良いと思った事!童に美味しいごはんで賄賂を贈った事!それら全てが甘えじゃった!つまり次勝つ為にこれを悔しさに胸にしまえ!悔しかっただけ次、勝ちたいと思える!負ければ戦う者は成長できる!」


『はい!』


「敗北から学べ、たった一度の敗戦で弱気になる必要はない、今負けたのなら次は負けぬようにすればいい、生きているうちに成果が出せれば、それでよい!だから努力をできる今を生かせる様に、これからはガンガン強くなるぞッ!分かったかッ!!!」


『サーッ!!!』


「よし!そうとなれば帰ったら特訓だ!返事は!」


『サーッ!!』


軍隊化何かの様な反省だけど・・とても心に響く熱いリーダーシップ。

ああいう人が今後人々の戦いを強く支えてくれるのだろう。

何かを学ばなければ人は強くなれない、学びがあるからこそ人は強くなれる。

それを戦いに生かし人生に生かす、そして勝利を掴む。

学ぶことに意味のない学びは何一つ存在しないはずです。


「さて・・では勝利した巫女よ!」


「・・えっ!?私!?」


「そう!お主じゃ!お主は戦いの才能がある!見事な肉弾戦、晴れやかな武闘、勢いのある交戦、駆け引き上手の戦い、どれも見事なモノ、それを極めればきっとお前は戦地を駆ける巫女となれるであろう!」


「戦地を駆ける・・巫女」


戦いに敗北を喫したにも関わらず、相手の敬意を忘れない誇り高き言葉。

なんて寛大高さだろう、あの人達はきっとそれが当たり前の様に生きているのだろう。

相手の背中を押し、後ろには下がらせない一言。

勇気を身に染みて分からさせてくれる。


「巫女さん」


「ま、マジカル☆ルイカちゃんッ!」


「その呼び名はおやめください、ルイカちゃんで良いです!」


あ、その呼ばれ方は一様気にしていたんですね。

戦闘の為のハイテンションって大変だな・・。

自分の事をちゃん付するのもどうかと思うけど。


「私は今回完全に貴方に敗北してしまいましたわ、それに関して私は別に恨む事もしません、私の・・実力不足だったんですから・・晴明様だって全力を尽くしました、修練の結果を出し尽くしました・・私は修練不足でまともに力を出していませんでした・・だから私はもし次貴方と戦う時が来るのなら・・その時は絶対敗北はしませんッ!!」


「うん、次がとても楽しみだけど・・」


内心、すっごく真面目な子なんだと伝わる言葉だ。

最初はとにかく関わりを入れたくないと思うほどの気持ちが強くあったけど。

今は違う、この子は真っすぐ向き合えばちゃんと話してくれる子。

ちゃんと、相手に敬意を払える子だ。

そう思えるほど、心の中は安心としてホッしている。


「出来る事なら・・次はゆっくりお話しでもできるといいかな?」


「ほえ?どういう意味ですか?」


「私、ルイカちゃんとお友達になりたいんです!」


「お、お友達!?私と・・ですか!?」


とても戸惑うのも無理はない。

けれども私は本気でお友達になりたいと心から言っている。

この言葉に一切の迷いはないんです。


「そうなんです!私は戦いの中で貴方の様な方と戦えてとても嬉しかったんです!それに私・・まだお友達少ないし・・ルイカちゃんと仲良くもなりたいんです!!」


「み、巫女ちゃん・・(本当は6750067897543歳なんて言えないけど・・見た目と声がアレだから年齢詐称ぐらいは勘弁ねッ!)」


「ルイカ、せっかくだから友達になればいいだろう、貴様は友と呼べる者がおらんからな」


「そ、そうですね・・恥ずかしい・・ですが・・まあ、お友達になりますわよ!」


「(良かった・・断られたどうしようかと思ったけど・・満更でもなさそう)ありがとうございます!」


私とルイカちゃんの間に絆が芽生えた瞬間だ。

ここに一つ、物語があり、結び合う友情がある。

この握手はまさにそれを形作ったモノだろう。

魔法少女と巫女の歴史的友好関係の瞬間だった。


「フフッ・・でも、ちょっぴり嬉しいですね・・こういうのも・・」


「ルイカちゃんもそう思いますか?私もです!握り合った瞬間に伝わる暖かい温盛の手、これはまさに重なり合う友情の魂の証なんです!この想い・・大切にしたいです!」


「・・うん、この思い・・大切にしますわ・・こんな気持ち・・初めてですもの」


「いつまでも大切に思っててください!ルイカちゃん!」


「ええ・・それと私の本名は・・【マリア・ランティリス】ですわ、魔法と拳を一つとした武術家の長女、それが私です、ルイカは私を生んでくれた母の名前です、偽名はもってこいの名でしたので・・今はお借りしているんです」


マリア・ランティリス・・マリアちゃん!

この輝くキラキラとした金髪に実に合う名前。

母もきっと悩んで悩んでこの名前を上げたことでしょう。

長女、この子らしい性格だと思っていました。

私には姉妹も兄妹もいませんから、そういう話もまた聞いてみたいものですね。

知れば知るほど、話の話題が尽きそうにありません!


「うん・・よろしくね!マリアちゃん!」


「んあー・・呼ばれると余計恥ずかしいですわ・・」


「ハハッ!慣れだ慣れ!頑張って慣れろルイカッ!」


「頑張りま・・いえ、はい!」


マリアちゃん、思えば晴明様に全力を尽くすくらい努力してるよね。

今この瞬間も油断もしない信頼高さ、それだけ慕われているんですよね晴明様。

マリアちゃんもしっかり者です・・私だったら敬意忘れそうだよ・・。

いや、でもお世話になっている人に敬意は忘れないよね?

アレ、じゃあ今なんで敬意忘れそうとか思ったんだろう?

うちのダメ神様がいるから?

いやいや・・まさかね。


「さて、私達はそろそろ行かなきゃならいのですが・・その前に巫女・・いえ、出雲・・ちゃん!」


「はい!なんですかマリアちゃん?」


「貴方に・・教えておきたい事があります!」


「私に・・教えておきたい事?」


「ええ!友情の第一歩、私なりの精一杯の友情への感謝です!」


「友情への感謝・・」


マリアちゃんが言う友情への感謝とは一体なんなのだろう?

教えてたい事とはいったい・・なんなのだろう?

私は急すぎる感謝に期待で胸が少し高鳴ってしまうのだった!


 ◆


深夜のフィールドは火の明りに照らされて地上を明るくさせる。

そう、私が立っている場所こそあのサギーさんと戦った場所。

訓練はもう終え、後は成果をたたき出すだけ!

サギーさんやベンチの鈴蘭、そして今私の後ろにいるメアちゃんに見せなきゃ!

私がこの一瞬で学んだ事、教訓した事、全てを見せに行くんだ!

この戦いでまた一つ成長できた事を・・教えてあげるんだからッ!


『さあ!まもなく第2回戦第2試合が始まります!注目の第2試合・・八沢(やざわ)灰姑娘(シンデレラ)小野健司おのけんじVSメリル・チェダーブライゾン&メア!』


き、来た・・相手選手の入場だ。

相手は緑髪のセミショートヘアー、良く整えられている髪形だ。

輝かしいその髪の毛はきっと毎日手入れしている。

そして帽子がなんか見た事無い感じだな・・普通の帽子くらいなんだけど。

仕事の時とかに使ってそうな・・そう、裁判官かな?

にしては結構目立つ裁判帽子・・流石月の人達・・。

それに服も規則正しい裁判官とは思えないほどの衣装。

恐ろしいくらい黒と白の装飾から配色までこだわりのある一品なのは分かるけど。

短くない?

あのスカート短すぎない?

規則を守る側がすでに規則守って無さそうなんですがそれは一体。

でもあの目つきはとても真面目を形であらわしたかのようなキリっとした表情。

手に持つ勺・・アレはそういう意味なのかも。

と言う事はやっている仕事も間違いなくアレよね!

※アレです


もう一人、赤いスーツの様な優雅な髪形を分けたような男性。

凛々しい表情に手には手袋、戦うって恰好じゃない。

なんかこう、こっちも多分そういう意味の服装だとは思うんだけど・・。

※そういう意味の服装です。


ふ、二人の関連性が見えて来た気がする。

流石はサギーさん直伝の【全体考察】は伊達じゃない。


「初めまして、この度は第二回戦のお相手を務めさせていただきます・・閻魔代行・・裁判官・・数々の裁きを務めたこの私灰枯娘がお相手します」


「小野健司、非力ながら君たちのお相手を務めさせていただこう」


「(す、凄い丁寧だ・・私達も丁寧なお返事しなきゃ!)」


「・・初めまして・・えっと緑ちゃんと優雅そうな人、さっさと降参してくれれば命だけは助けてあげてもよくってよ?」


挨拶下手糞かッ!!

なんで初手のあいさつでいきなり命乞いの話になっているの?

某大差でもそんな真似はしないと思うよ?

ちゃんと自分の名前と王家の話はするよ?

流行りの服は嫌いなの?


「あらあら大それた娘様ね?あまり調子に乗っていると痛いの痛いの止まらないわよ?」


「(お、おい八沢ッ!!)」


「心配いりませんよ小野さん・・こんな子供一ひねりですよ・・ウフフフ・・」


凄い!

凄い険悪なオーラが伝わるッ!

あのニタニタとひきつった笑いからも完全に怒りのオーラが募っているよッ!

ヤバいよあの人完全に怒っているよ!

なんでそんな喧嘩売りに行くのメアちゃんッ!!


「私、なんだか気に食わないわ」


「向こうからしたらきっと今のメアちゃんだって気に食わないよッ!」


「そうかしら?私は別にそれで構わないのだけれども・・」


「(ああもう、この人嫌いッ!)」


仕方がない、メアちゃんが人嫌いは根っからだからもうこの際気にしても仕方がない。

今は目の前の相手を倒す事に専念、こうなった以上は激しい戦闘は回避不能。

全力尽くして相手と戦わなきゃ、生半可な気持ちだと多分死ぬほど痛いかもッ!


『さあ!両者の入場とあいさつが終わったぽいので試合を開始しますッ!第2試合二回戦・・レディ・・ファァァァァイトッ!!』


ズッドォォォォォォンッ!!!


えっ!?

この流れはいつものサイレンじゃないッ!?

私の横を何かが今完全に横切って行った?!

風、どころじゃない・・勢いのある巨大物体が・・横切った?!

一体なんだ・・何が横切ったの?!

思わず慌ててそんな事を思いつつも振り返る私の後ろにあったモノとは・・!?


『え、え゛え゛え゛え゛ぇ゛ッ?!の、のののノックアウトォッ!新記録!前代未聞の0.10秒キルッ!風どころか光すら超えて行った神速のノックアウトッ!小野健司再起不能ッ!』


「(ななな、なんですってぇぇぇ?!)」


「(う、うわぁ・・)」


私が後ろを振り返るとメアちゃんが優雅にどこから出したのかティーセットを机に並べて優雅に紅茶を飲む向こう側には壁にめり込み大傷を負って気絶している小野さんの姿ッ!

会ってからずっと思うけどこの子強すぎないッ!?


「他愛ないわね、こんなの圧縮すれば済む話ね・・ああちなみに今やったのは距離を圧縮と肉体の圧縮、ちょっと体にめり込みがあるでしょうけど・・まあ問題ないわね」


「め、メリルちゃんッ!!それって命は?!」


「心配ないわ、急所は当てたわ」


「じゃなくて急所は外してッ!もう!」


「いいから貴方も自分の相手に集中しなさいよ、私はここで紅茶の飲んでるから」


「そこは相変わらずなんだねッ!!」


じ、自由人メアちゃんの衝撃的行動で相手が戦う間も無く散った。

命に別状がないか心配だけどとりあえずは自分の心配をしよう。

いざ、新たな力を見せつける為の試合が今始まるッ!


NEXT


「(アレ・・俺・・なんで試合出たんだっけ・・)俺の扱い・・ひどすぎない?」

※予定通りです


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