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無限空想世界の幻想的な物語  作者: 幻想卿ユバール
外伝その3
140/150

無限空想世界の幻想的な物語~外伝~ 魔章34 「最強最小生命体」

『さあ!試合も盛り上がりの第一試合もデットヒートッ!熱き魂のマジカルVS巫女の鍛錬の戦いはダブルクラッシュ・・じゃないダブルノックアウトで幕を閉じました!』


『残るは晴明選手と桃子選手による一騎打ち、事実上ではなんと【四天王対決】と言う事になりますね、いやはやまさかこの大会でお目にかかれるなんて・・今日の皆様は実に幸運だろう』


『そう!奇しくも同じこの里を守りし四天王の2人、両者同格の戦いが今ここで繰り広げられているのですッ!かつてその名は【泣き虫おチビちゃん】【青い素麺】【藍色ラーメン】【担々麵】【ペスカトーレ】数々の悪口で近所から不評だった桃子ッ!しかし今は違うッ!弱気自分を捨て、能力もまだ完全には現れていないけどもう弱い自分はいないんだッ!そう思い胸にひしひしと鼓動を鳴らす熱き我が桃太郎ッ!天竜川桃子ッ!!』


「やかましいッ!今剣と剣のぶつかり合いの最中だわボケェッ!」


『あれぇ?実況って遮断されているんじゃ・・』


『バグ、もしくは地獄耳って奴ですね、続けて言ってもらって構いませんよ実況寺さん』


『はいじゃあ!続けて四天王一人、その小さな小さな図体は小人、いや!もう絶対小人!小人以外の何物でも無いッ!小人以外に何があるッ!妖精?あるいは虫か!?いや・・やはり伝説の最後の生き残り・・そう!小人で間違い無いだろうッ!一寸法師とはまさに私の事だ!最小のロリ神様!天田晴明ッッ!!ドボルッ☆』


『こ、こちらに晴明様の武器が飛んで来たァ!大丈夫ですか!?実況寺さん!』


『大丈夫・・致命傷は当たった』


『いやそれ大丈夫じゃないですよ!』


「ふん、貴様ら凡人の声など丸聞こえじゃ・・童のこの白夜月光刀は一見ただの蛇腹剣に見えるかもしれないが・・あらゆる壁と言う壁・・どんな固いモノも貫通してしまうほどの豪速の剣・・自分が敵意していない相手は透き通るしかけじゃ!!」


月光の輝きに照らされる大いなる古来の月の聖遺物の1つ・・。

晴明様が持って保管してあるようなモノだから中々お目にかかれない。

と言うより晴明様自体が中々外でお目にかかれないッ!

そう、一度は交えて見たかった!!

あの異質の剣豪晴明様と一度どのような形でもいい。

私の相棒【画竜点睛の剣】とやり合ってほしい・・その願いが今ここで叶った。

滅多にできない大勝負、私の闘志はすでに熱く熱く燃え滾っているッ!!

体から迸るエナジーが止まない、ずっと戦っていたいッ!

そう思えるほどの今、熱意が(ここ)に宿っているッ!


この試合自体は元々は二対二の対決だったのを。

巫女ちゃんが決死の覚悟で一体一にまで持ち込んだッ!

傷ついて必死に相打ちに持ち込んでくれた巫女ちゃんの覚悟を無駄にしない為にも。

私は勝たなければいけない、勝って必ず勝利の喜びを届けてやるともッ!!

だから、ベンチからでもいい・・見ていてね巫女ちゃん!


 ◆


今回は控えめに戦ったつもりだけど、やっぱり体痛いなー。

特に頭の方とかジンジンするよ、脳の細胞死んでないと良いんだけど。


「巫女の回復速度が格段に成長している・・これまで幾度も病室に運ばれて治療を受けていたお前がまさか治療だけで出歩きの許可を貰えるとは・・」


「聞いた事あるぜ、想いを大きく胸に宿らせた人間の極地、もっと生きたい、高みをもっと目指したい、そう思う奴ほど到達する場所【神化極地(しんかきょくち)】この極地に上り詰めた奴はその想いだけで強よくなる事も可能として回復も尋常じゃないほど早いらしい」


「まさに今、巫女がそれだと言うのか・・恐ろしい奴だ」


「な、なんだかよく分からないですが・・私松葉つえだけで出歩けた理由なんですか?神化極地って現象は松葉つえだけでも歩けるようになる現象なんですか!」


「いや・・うん会ってるけど違うんだよ・・」


神化極地・・今、私の体の中で溢れ出るマナの感覚だろうか?

確かに体全体から痛みと言う痛みが消えていくように心地よい気分だ。

全然痛くない、むしろ歩いてもボロボロの体が蘇って行く様だ。

これが私に目覚め始めている力、能力と言うわけじゃないが初めて手に入れた力だ。

でも私自身はこの力をコントロールしているわけじゃない。

これからの戦闘、訓練、特訓で必ずやマスターしてみせるッ!

心の中に熱く強く誓っておこうッ!


「・・そ、それはさておき桃子さん今どうなっていますか?」


「桃子か?アレを見れば一目瞭然だ」


「そうだな・・流石は同格同士のやり合い・・いや、選ばれた者ってだけはあるぜ」


「も、桃子さんッ!!」


す、凄い、なんて激しいぶつかり合いと剣劇そして攻防戦、これが上級者のやり合い!

たとえ後ろから上空斜め上から真下から振り上げられても全てガードする姿勢ッ!

桃子さんがどれだけ本来強いのかこの眼でまだ見ていなかったから私は知らなかった。

まさかここまでやる人だなんてッ!


「桃子さん・・あんな細く長い剣で鞭の様に動く剣に対処できている・・」


「月の者は伊達ではない・・我々よりはるかに人離れした身体能力、得体のしれない戦闘技術、なにから何まで文明違いの生き物だ、早々小人ごときには負けん」


「俺の目から見ても桃子の敗北はありえねぇな、あんな多種多様に剣と剣をぶつけ合う事が出来ている最中で確実に分かる、桃子の顔だ、笑ってやがるよ、戦いを純粋に楽しむその屈指の戦闘民族魂が確実に燃えてやがる、もはや誰にも止められないぜ」


これが月の民【天竜川 桃子】さんの真骨頂ッ!

彼女は試合で受けた熱い魂、熱烈の決意、迸る闘士。

それらによって自らをもっともっと高みへと登らせる事ができるッ!

流石だ、これが数々の異名を持つ桃子さんの力って奴ねッ!!


 ◆


ザァンッ!ダダンッ!ドォンッ!


見える、この左目で相手の動き全てが見切れる。

不思議だ、どんな激しい剣ざはきもどうやって私は受け身を取ればいいのか分かるッ!

この能力、ただの身体上昇系能力じゃない気がするッ!

私には分かる、この能力はさらなる高みへ目指せる進化の能力。

それにまだ名前が出てこない、これは能力解放ではない。

きっとまだ何か足らない、その何かを見つけなくてはいけないッ!


「こやつ・・童らの剣さばきを見切っているッ!童の奥義【八岐大蛇(ヤマタノリズム)】を見切った奴は初めてじゃ・・こやつは間違いなく・・童と同格・・いやそれ以上かッ?!」


「まだだ・・まだ足りないッ!」


「だが、童も技が出尽くしたわけじゃない・・見よッ!これぞ童の第二の奥義ッ!【大乱舞(だいらんぶ)】ッ!!」


「だ、大乱舞ッ!?だと?!」


この一瞬、一切無駄のない素早い動きで盾にしていたお椀をまた乗り物にして隠れた。

晴明様はあのお椀にただ隠れたわけじゃない、あのはみ出ている白夜月光刀・・。

間違いない、アレで何か仕掛けるつもりだッ!

私の予想は大当たり、見事に的中するッ!

次第にお椀が回転をかけて遠心力を利用して剣を次第にグルリグルリと浮かせる。

そして、気づけば超遠距離にまで届きがむしゃらに地面や周りの物を叩き切る。

回転攻撃を炸裂させて来るッ!


ギュォォォンッ!ザンザンッ!


な、なんて攻撃だッ!

あの椀に向かって風が集中してしまうほどの大回転技ッ!

しかもガードを見切らないと四方八方からの挟撃で大ダメージを受けかねないッ!

ここまで来て戦線を押されては面目が立たないッ!

強引でもいい、どうにかしてこの戦況を覆さないとッ!


い、いやでも・・それほどまでに絶望を感じ取れないッ!

な、なんだこれは・・見える・・その先の未来、次の瞬間のチャンス。

ぼんやりとしか見えないが、私と晴明様のこの先の未来が見えるッ!

もし、これが本当ならば晴明様は私に攻めて来るッ!

ならばその攻めを利用して私はそれをチャンスとすればいいのではないかッ!?

やるしかない、今はこの未来を信じるしかないッ!

今迷ってる暇はない、この勝負に勝ちたいのなら今は迷うなッ!

掴めるチャンス全てを利用して戦わなければ生き残れないッ!

迷いは人を狂わせる、だからどんなに決断を鈍らせる答えが出て来たとしても・・。

鈍らせるな、その思考も意思もッ!

己を信じて勝負に勝てッ!


「まだだ・・まだだ・・ッ!!」


「童の奥義まで耐えるか・・ならば・・ッ!」


晴明様がさらに上と上がったッ!!

そして今度は椀の下から上と螺旋回転をするかのような回転さばきッ!


ギュオンギュオン・・キュラァァァァァァッ!!


は、早い・・小さい椀の回転とは言え・・あの技は確か【螺旋乖剣】ッ!

時速マッハ90キロで相手の心臓を貫く一撃の技だッ!

あんなものを喰らえば本来は即死ッ!

この大会のダメージ軽減があったとしても私はおそらくリミットライフオーバーッ!

当たれば負ける・・だがアレを避けろと言うのかッ!?

回転が強くなりすぎてもはやハリケーンだッ!

風に椀を包んで大きな巨大な鋭い玉に変化しているッ!

アレを止める事も、避ける事も・・私には無理だッ!


「待てよ・・止める事も・・避ける事も無理か?ならば・・ならば最初から選択肢は一つッ!」


「くらうよいッ!これぞ童の最大奥義ッ!【螺旋乖剣】ッ!!」


構えろ・・私は今、この戦地に立っているのならあの奥義を目にした時からやることは一つ。

出来るはずだ、今の私なら成せる、無理難題に見えるあの大技に対して。

私は剣を・・上段に振り上げ・・構えるッ!


「ま、魔王・・あの構えは・・」


「ガッツ・・貴様の人間好きなら流石に分かるか・・巫女も分かっているんじゃないか?」


「ええ・・あの構え・・【袈裟切り】そのものですッ!!」


そう、これこそ袈裟切りの構えッ!

魔力を集中させろ、そして解き放て、全身全霊・・今こそ我が力を見せてやろう。

師範代、見ててください、弱き根性も全て・・切り捨てた私の姿をッ!!


「天を裂き、地を割り、海を破壊する第七の聖遺物画竜点睛の剣よ・・今お前の全ての力をここに開放するッ!」


この剣に集まる光、月光の輝きに照らされて集まるマナッ!

いま本来の力を発揮せよ、大いなる刃【画竜点睛の剣】ッ!!


全てを叩き込む為に今・・振り下ろすッ!!


「【月下(ルーン・ザ・ルナ)断罪剣(ヴレイカー)】ァァァァッ!!」


シュォォォォォォンッ!!!


私はその剣に全ての想いを託した。

ただ一心に勝利を掴みたいから、純粋にただ決死の想いを繋ぐために。

私は巫女ちゃんからもらった闘志をさらに熱く熱く燃やしたッ!

その一瞬、私の剣は天まで届くほどの大いなる剣となりて晴明様めがけて切り裂いた。

その剣の一撃た大地を揺るがし会場の人々を驚愕させた。

その最後は光に包まれしばらく私も目を開けられなかった。

だけども光はすぐに消え、煙も晴れて私の視界はすぐに回復した。

大きく振りかぶり切り裂いた後には削れた地面。

そして倒れこむボロボロの晴明様の姿だけが残った。


「せ、晴明様ァァッ!」


ちょ、ちょっとやりすぎたかな?

流石にあんなにぐったり倒れこまれると不安になってしまう。

やりすぎてしまったのではないかと、でも悔やんではいけない。

勝負とはそういうモノだ、私はどんな相手にだって立ち向かわなければいけない。

たとえ相手が今この手のひらで安らかな顔をしている晴明様でもだ。


「うう・・もも・・こ?」


「ハッ!晴明様!お気づきになられたのですね!」


「そうか・・私はこの一瞬、眠ってしまったのか・・ハハッ・・不甲斐ない・・」


「晴明様!今ならまだ立ち上がれば復帰できます!晴明様の余力があるのであれば私は全力で・・ッ!」


「桃子・・それはできない」


「えっ・・?」


晴明様?

ど、どういう事なんだ?

だってまだ十秒経ってない、リミットライフも超えてないのならまだ立てば戦える。

なのに晴明様はどうして起き上がろうとしない?


「お前が優しすぎるから忠告しておく、もしこれが本来争いや乱戦の最中ならお前はとっくに殺されている、それは【命を奪う戦い】だからだ、そういった戦いには何が何だろうと

相手の命を落とすための手段は択ばない・・たとえ汚い手段でもな・・けれどもこの戦いは違う・・両者の誠心誠意込めた思いをぶつける紛れもない純白の闘志の場」


「せ、晴明様・・」


「いまここで貴様から一勝を奪ったとしても・・それはただの足掻き・・それに私は奥義を敗れたのだ、今の私では・・足りなかったのだ、だから今回はもう敗北を認めよう・・そしてこの敗北は私の胸に永遠と刻むだろう、童の人生の中で・・最高に気持ちの良い試合だった・・本当に・・感謝するぞ、桃子」


「せ・・晴明様・・こちらこそ・・ありがとうございます・・ッ!」


「うむ、それと・・申し訳ないが・・椀を持って来てくれないか?」


「は、はい!ぜひッ!」


涙がこぼれるほど胸に響く言葉。

体中に伝わる歓喜と感動の熱意、そしてその決意。

私の中にしっかり伝わった、だから・・この想いを繋いで。

次の戦いにも必ず・・必ず生かして見せるッ!


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