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無限空想世界の幻想的な物語  作者: 幻想卿ユバール
外伝その3
138/150

無限空想世界の幻想的な物語~外伝~ 魔章32 「経験と巫女」

『第二回戦・・スタァァァトッ!』


ファァァァァン!!


試合開始の合図の音が今鳴り響く、今回は油断もできない二対二の対決。

しかし状況を変えれば実質一対一、作戦は実のところもう試合開始前に決定している。

桃子さんと話の筋を合わせて『距離を取って戦えばいい』の作戦をかける。

この戦いはすなわち今までとなんら変わりはない。

このだだっ広い戦場を使って二手に分かれて戦う戦力分散勝負を行えば。

コンビネーション不足を補える上に、互いの戦いに支障は出ない。

この作戦に欠点など存在しないッ!


問題は予想外の行動をとられる事だ、あの魔法使いのマジカル☆ルイカちゃんは。

一見するとただの魔法使い、いや魔女かもしれないが。

考察からでは見切れない動きをしてくる為非常に厄介。

その証拠に試合開始前では記憶に新しい小説の限界を超えた妄想創作歌手を披露する。

音もないのに自ら製作して歌うあたりそうとうイタイモノがあるが。

あのはっちゃけ・・ただのはっちゃけおっぺけぺーであっぱらぱーではない。

あのテンションの向上ぷりはきっと裏がある、私は断言できる各種の証拠がある。

それは「あの小人様に対する礼儀」だ。

見て分かった事としてどう見ても小人の晴明さんに話しかけられた時。

挙動不審になって一気にテンションが崩れていった。

そしてそれと同時に私のこのハイテンションキャラ崩壊も解けた。

つまりここから察する理由にこのハイテンションを武器としてなんらかの能力を使い。

私のキャラを崩壊させようとしていた。

そこからコンビネーションも取れない様にしてやろうと言う作戦だろうが。

甘いわね、私にかかれば造作もない推理だったわ。

そうと分かれば常にハイテンションにさせずに戦うのが利口と言うもの。

この試合のコツはもう掴んだも同然ッ!


「あらあら、何余裕そうな顔しているんですか?もしかして私勝ち見たわー超天才賢い可愛いわーとか思ってるんですか?いやですわッ☆これだから偏差値も8で脳みそ薄っぺら頭ペペロンチーノのカルボナーラカスタード頭略してカス頭ちゃんは困っちゃうわー☆その点私のような天才的可愛いさを誇る美少女魔法使いことマジカル☆ルイカちゃんは天才的頭脳の持ち主、誰にも思いつけないような唯我独尊、森羅万象、古今東西、獅子奮迅、天変地異、このあらゆる存在を超えし私に貴方程度の人間が追い付くなんて百億と一秒は足りませーん☆」


「テンション高いうえにクッソ腹立つッ!ていうかさっきの四字熟語連鎖の中に一つどうでもいいの混じってなかった?!なんで入れたのって言うくらい強引な奴あったよねッ!?それはどうでもいいんだよッ!長ったらしい上にまるで意味がなってないんだよッ!馬鹿みたいに煽りだけカッコよく決めたつもりか、このテンプレ魔女っ子ッ!」


「巫女ちゃん、今それより戦闘ッ!戦闘に集中してッ!敵の攻撃多分始まってるッ!」


「え、嘘」


しかし、バッとなって気づいた事がある。

桃子さんの言う通りだ、あのお調子者のキッ・・。

じゃないルイカさんが私にヘイトを集めている間にあのお椀の子がいない。

ていうかお椀ごと消えている、と言う事はお椀ごとどっかに消えた?!

いや、ステージ外はありえないはずだ、となればあの魔女っ子の後ろッ!?

いや、それもありえない、ヘイトを集める側に隠れているとなればそれなりに目立つはず。

だとすれば一体どこに隠れて・・。


「・・ツ!!巫女ちゃんッ!アブナイッ!!」


「えっ・・キャッッ!!」


ドグシャァッ!!


この一瞬私に隙の無い一撃を桃子さんに浴びせられる。

突如何かを悟った桃子さんはその何かを悟った様に私を両手で突き飛ばす。

そして、その須臾のようなたった数秒の時で【ソレ】は訪れたのだ。

そう、このヘイトと注目を集めていた一瞬だけが彼女達の狙いである。

最初から別れさせる余地など作る事はさせるつもりは無かった。

自分達にはそう誘導できるほどの力と知能を本当に持ち合わせていた。

あの魔女っ子ルイカちゃんが私達に気を取らせている間に裏では何が起こっていたか。

その裏ではひそひそとあの柱の物陰に隠れて奇襲の準備をしようと企んでいた者がいる。

それがあの晴明さんだ、晴明さんがこの一瞬だけをピンポイントで貫き。

気を取られていた私を一撃でノックアウトまで持っていくつもりだったんだ。

しかし、桃子さんはこの試合の始まる前から何かを感じ取っていた。

まるで自分と同じ力の持ち主、そう思う様に彼女は試合前から警戒していた。

と言う事は必然的にいつ奇襲されてもカウンターできる様にしていた。

または防御の体制も取っていたのだろう。


しかし、予想は斜め上をいった。

まさか私にターゲットされるとは予想していなかったのだろう。

いや、正確には予想の範囲内をついていた。

しかし、それがあまりにも急すぎたと言う事だろう。

だから完全に守る事ができず。

あえなく強引に私を突き飛ばす事でしか守りに行けなかった。


完全に手のひらで遊ばれていた実に悔しい結末と言えよう。

この魔女っ娘、何も考えていないようで実はとても考えている。

頭の中ではきっと知能を生かした戦略がいくつも立てられているに違いない。

でなければ私が突き飛ばされて強引に避け、桃子さんがあのように・・。

あのように肩に傷を受ける事も無かったッ!

何てことをしてしまったのだろうか。

敵の策にはまったがゆえにとんでもない失態を犯した。

この失態は基本的に戦いで取り返さなければいけないが。

そ、それより桃子さんの身は大丈夫なのだろうか・・。


「も、ももこさ・・」


「よそ見してると敵の攻撃にぶち当たるぞ?」


「ッ?!」


早いッ?!

私が今桃子さんの方をうつ伏せの状態から振り返った後に。

さらに距離があったであろうこの距離をなんなく移動しこちらに来た?!

しかもこんなゲスのテンプレの様な顔でニタニタ笑いながら来て馬鹿にしているッ!

ま、まずいとっさに振り返ってもうつ伏せだから防御もできないッ!

や、やられる・・このままだと完全にやられるッ!

せめて立ち上がるか被害を最小限に抑え込むんだッ!

大丈夫、倒れこんだ状態から復帰して戦う方法も魔王様から伝授しているッ!

私はもう簡単に負け続けてくモノなんかじゃないんだッ!


「いっくよ~☆マジカル☆マジカル☆グールグル☆」


「(なにその動き腹立つッ!腕をクルクルとしながらなに背景をちょっと賑やかにする感じ腹立つッ!この魔女どこまでも人の心に憎悪を作る天才ッ?!)」


「ハァァァァッ!!」


し、しまった・・またうかつに反応してしまったせいで。

魔女のルイカちゃんに魔法を発動させる時間を作ってしまったッ!

あの右手を腰にまで引いて左手で抑えるような構え。

間違いなく何かの魔法を放つ動作だ、周りから魔法陣が現れ。

マナの光を輝かせ周囲を聖なる青い光でを集めているッ!

こ、こんな至近距離で放つ魔法とはいったいなにが来ると言うんだッ!


「必殺の魔法ッ!【少女(マジカル)聖魔法(バニッシュ)】ッッ!!」


ズッガシャァァァァァァァァァァァァァァァァンッ!!


ただの鉄拳制裁じゃないですかやだーッ!!

普通にマナを込めた右手のグーの手で私めがけて殴って来たよッ!

途中で焦って立ち上がったからギリギリ避けられたけどもさッ!

危ない、せめてもの準備で両手を地面の手から思いっきり押し上げておいて正解だった。


「チッ・・私のマジカルを避けるなんて・・貴方、意外にやるんですね☆」


「どこの魔法少女に地面から棘を作り出すほどの正拳使いの魔法少女がいるんです完全に魔女の枠を超えているじゃないですか、貴方本当はそういう人なんですね」


「失敬なッ!私は日々訓練と鍛錬を怠っていないだけじゃないッ!マジカル☆パワーが完全開放される技・・それこそがあの魔法神拳と言うもの・・」


「ないよッ!そんな魔法聞いた事が無いんだもんッ!魔法少女といいどっかの忍者といい忍法やら魔法の要素かけらもない上にほぼすべての技を物理で補うのやめてッ!ていうかそれで魔法使いって名乗るを止めてッ!」


「やです☆私ことルイカちゃんはとってもわがままでなおかつ誰の言う事も基本的に聞きたくないのが心情☆まあ、是非なし、慈悲なし、愛想なしッ!これぞロンリネスなんて無視した私の最強NOロジカル戦法なのですッ!YESマジカルッ!」


おのれ・・意地でもそのテンションで戦い。

意地でも似非魔法で戦いを続けると言うのか、汚い流石似非魔法使い汚い。

流石の私もキレそうだよ、いや私はもうキレている。

このテンションについていけないというか、ひたすらに予想外と斜め上の行動される事に。

とても不信感を覚えてしまうよ全く。

けれどもそんな程度で弱音を上げる私ではない、負けないためにも今は戦うんだ。

たとえ相手が似非魔法で攻めて来ようとも私には私の武器で戦えばいいだけの話。

そうだ、今ここで私だって私の強さを見せつければいいッ!

いまこそ・・この小刀の出番だ、後ろ越しに差していたこの小刀を抜き。

逆手持ちで構え、私も戦闘準備を整えるッ!


「いっちょまえに小刀なんか構えちゃって・・・怖いわー☆ルイカちゃんそういう横暴な方苦手なんですのー☆本当に勘弁してほしいですわー☆」


「貴方もさっき拳でワンパンかけてきたでしょうがッ!」


「さーてなんの事でしょう☆」


「とぼけるなッ!!!!」


こ、この小悪魔フェイス魔女めやってくれる。

どこまで私を煽り続けるつもりなんだ、無礼にもほどがあるだろう。

相手の情を煽り戦いに揺さぶりをかける駆け引きの様なモノなんだろう。

けれども私はあいつの駆け引きを良しとしない。

怒りと憎悪の増幅を確実に狙う悪意に満ちた戦いを誰が良しとしてたまるものかッ!


「認めない・・私はその戦いを否定するッ!」


「否定するならしてみなってね☆どうせ私には叶わうはずないんだからッ!」


「やってみなきゃかわからないッ!」


シュッ・・バッッ!!


互いが足に力を入れて大地を踏み飛ぶ。

まっすぐに姿勢を屈ませそれは鋭く獲物を狩る鳥の様に行くッ!

小刀の逆手持ちにして戦うにあたりこの戦闘方法が一番の策ッ!


「(このまま衝突でも狙うつもりか?ですが甘いですわッ!私のマジカルはその程度では止まらない・・もう一発お見舞いしてやって屈服させてやりますわッ!)必殺の・・マジカル☆ルイカ・・【魔法(マジカル)連正拳(スマッシュ)】ッ!」


ゴシュゥゥゥゥ・・ッ!!


来るッ!

新たな魔力の集中がこの向かい合いの最中に見えるッ!

互いに飛び出しわずか数秒の出来事のはずなのに数分に感じてしまうほどの圧ッ!

飛びあってからもう距離はそこまでとない、そしてルイカさんのあれは確実に・・。

仕掛けてくる、真っ向から正々堂々とあの右手拳を集中させ仕掛けるつもりだッ!

だったら・・私もそれ相応の技で答えなければなるまいッ!


「風鳥ッ!【風切(かぜきり)】ッ!!」


私も右手に魔力を集中させ勢いよく小刀で風を裂く様にルイカさんに切りかかるッ!

突風の様に風の抵抗で進めなかったのが嘘の様に裂かれるッ!

これが魔力による風払いの効力・・まるで私が風穴を作っている様だッ!

互いの距離は縮まった、ここからはもう力と力のぶつかり合いッ!

いざ尋常に勝負に出てやるッ!


「ルォォォラァァッ!!」


「シャァァァァッ!!」


ズギャォォォォォォォォォンッ!!


や、やったッ!

ルイカさんの左肩に傷を与える事に成功した、完全に痛みを少しは与えただろうッ!

・・しかしそれに似合わないほどの大ダメージを受けてしまっているッ!

私は今こめかみを凄まじい痛みを味わいながら殴られているッ!

このまま魔力によるさらなるブーストでぶん殴られ。

挙句の果てに地面へ叩きつけられる未来が見えるッ!

そうはなってたまるか・・ここまで何も準備をしてこなかったわけじゃないッ!

私はあの金鵄さんとの地獄の戦闘も経験したッ!

あの敗北と苦痛と苦難を乗り越え経験を手に入れたッ!

その悔しさと悲しさからもっと強くなりたいと思えたッ!

だから、もっと強くなるための努力と執念を出し尽くしたッ!

何度も敗北して、何度も悲しい思いをして、何度も何もできない自分を悔やんで。

もう・・もう・・何もできないまま・・負ける自分は・・ッ!!


「(これで・・終わりにするんだァァァァッ!!)」


ズシャッ!・・ドゴォォォォッ!!


そのこめかみを殴り終わる瞬間を耐え抜いたその一瞬で攻守が逆転したッ!

私は殴られた最後の最後まで諦めず痛みと打撃から耐え抜き。

地面へと叩きつけられることを免れた。

そして、そこから殴られ右へと顔が強引に向いてしまったが・・ただそれだけの事ッ!

ふたたび真正面を向いて私は逆手に持っていた小刀を思いっきり上に挙げ。

そこか左手でルイカさんの服を掴み、挙げていた小刀で背中を刺すッ!

それだけではとどまらない私はさらなる反撃を許さない追撃をそこに繰り出すッ!

私は頭を振り下ろし、近づいていたルイカさんの脳天をぶち当てるッ!

そうやって脳に衝撃を与えていても私はまだ正気でいられていたッ!

逆にルイカさんは一時的に吹き飛ばす事に成功する。

私はぶつけた衝撃で後ろへと戻り着地の勢いで地面を這いつくばるッ!

砂煙舞う戦地、私はこの瞬間感じ取った・・戦うとはこういう事だとッ!

全身全霊でぶつかり合う魂のぶつかり合い、これが戦いだとッ!

もう分かってましえば、私には見える・・勝機の未来がッ!


さあ、誓おう・・この小刀にかけてッ!


「勝負は・・ここからだッ!!」


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