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無限空想世界の幻想的な物語  作者: 幻想卿ユバール
外伝その3
131/150

無限空想世界の幻想的な物語~外伝~ 魔章25 「自分への恐れ」

魔章25


『な、なんてことをしてくれたのでしょう!いや、やっちゃってくれたよ!前代未聞のフィールドを武器にして戦う・・こんな戦いが今まであっただろうかァッ!』


『さ、作品枠が変わったらあったでしょう・・ですが・・これは・・ノーコメントです』


ま、まさかだ・・本当に私も最初はそんな事全然感じられなかった。

見た目はただのダークエルフの少女、全然筋肉質でもない。

本当に、見た目はただの少女だ。

そんな子が・・いきなり柱を蹴って先端を崩して武器の様にしてこちらに振り下ろす。

そんな事・・誰が予想できた。


「・・・生きているんだろう?返事くらいしたらどうだ?」


出来るわけがない・・あんな・・崩れた柱から見下ろされて・・のこのこ返事など・・。

良かった、服の下をラバーの身軽な戦闘服にしておいて正解だった・・。

半袖だからすっごいぴっちりするんだけどねッ!

思わず腕でしのいだけど・・これ、思った以上に力の半分も出せて無いわ。

すっごい、ビリビリする、麻痺って感じですんだけど・・次は無いな・・。


「驚いたな・・腕一本で防ぐとは・・実質三割程度の力量と見ていたが・・実際そんな事は無さそうだ」


「当たり前だ、この程度防げないでどうする・・」


御師様の防御の流儀【甲の構え】が今ここでやくにたった。

ならば、次の構えはもう決まっている。

人の気は本来、集中でもしなければ体内で散らばっている。

となれば簡単、体の中心に集中させ、気を一つに集中して集める。

そうしてできる・・【気合の構え】ッ!


ガッ!


これが古来より伝わる幻華の民の流儀の1つ。

その構え一つで我々は大きく戦闘のスタイルを身に付ける事ができる。

この両手の甲をぶつけ気合も十分、気は高まった、勝負に出るッ!


「なるほど・・【気合の構え】か」


「デヤァァァッ!」


この構えの後は【火鳥脚】ッ!

両手を地面に着いて思いっきり蹴り上げに行く技だ。

これによる技が成功すれば、一気に自分の展開へ持っていけるッ!


「ただの押上程度で私に攻撃が当たるものか」


避けるのも全てお見通しだ。

この技は外れた時に真に力を発揮するッ!

回転をかけろ、そして・・相手の真正面を向いたらつかめッ!


「それで・・誘導攻撃のつもりか?」


「(勝機は見えたッ!)」


スォンッ!


外してもそこから鋭い蹴り下ろしッ!

柱に足を着かせて回し蹴りッ!

また外れても飛び上がって・・連続の鉄拳ッ【幻想無限拳】ッ!!!


ダダダダダダッッ!!!!


百裂の拳法さえも超えて行け、私なら秒間に54回は生ぬるいッ!!

とにかく今は出せる手を出し尽くせッ!


「(この程度か・・私なら余裕だな)」


「(全部・・防御されているッ?!)」


ガガガッ・・バシッ!!


馬鹿な・・私の拳を握り止めたのは・・ジン様のみ!!

コイツ・・私の速さが見えている・・戦闘部族かッ!?

特殊な訓練でも受けなれば・・見えないはずの私の拳を・・ッッ!!


「(だが・・これで終わりではないッ!)【蝶蛾烈々】ッ!!」


「(手を抑えられても脚を使い・・下からの攻撃を可能とするか・・)」


一度避けて距離を取る戦法か・・詠めていた・・。

だからこそ・・鋭い一撃が繰り出せるッ!


「【雷神爆脚】ッ!!」


「(この短時間で次の攻撃に移るか・・なるほど・・確かに上出来)」


「もらったッ!」


スッ・・・・


う、嘘だろ・・今、今私は幻を見ているのか?

いや、違う現実だ・・間違いなく・・現実を目の当たりにしているッ!

だけど・・そんなの・・そんなのあんまりだッ!

この一本足の飛び蹴りは雷同党・・いや、それ以上に高速の技だ。

だとしらアイツは今・・その雷が見えているッ!


私のこの蹴りを・・止めようとしているッ!


ありえない、今までそんな事をしてきた人を見てこなかった。

だからこそ、勝利だって見えていた。

私にはこの幻華の民の流儀・・そして奥義があったから・・あったから・・。


カッッッッ!


力に頼らずに・・・生きて来られたのにッ!!

どうして、止められるッ!!

貴方にこの攻撃が見切れていると言うのかッ?!

ありえない、ありえないッ!!

あって・・なるものかッ!


「これで終わりか?」


「まだだッ!」


体制を立て直せ、幸いな事にまだ相手は慢心している。

なら、まだ流儀を尽くすチャンスはいくらでもあるッ!

できる技を全て出し尽くして、必ず勝利を手にしてみせるッ!


「飛翔ッ!【熱風の大竜巻】ッ!!」


「(雄々しい炎に様に左手で足を回すカポエラの様な技か、実に美しいが当たらん)」


一回でもいいッ!

当たってくれ・・私の技ッ!

たった一回でもいい・・風の流れを掴まなきゃいけないんだッ!


「【竜虎乱舞】ッ!」


「竜の様に攻め、虎の様に再度押しかかる」


「【神殺烈刀】ッ!!!」


「そして、耐性が崩れたところに前へ回転をかけて左手による鋭い手刀が入る」


「【神風】ッッッッ!!!!」


「そこから外したら・・風を切り裂く神判の一撃が入る」


一撃で・・頼む・・一撃でいいんだ。

当てなきゃ、当てなきゃッ!!


「【炎舞】ッ!」


「炎の様に舞うか?」


「【風見鶏】ッ!」


「両手を広げ、今の風でも前進して戦いを挑むか?」


「【氷我雷神】ッッ!!」


「そして、両手を重ねて・・氷の様に固く・・また雷の様に鋭く来るか?」


全部・・詠まれている?

う、嘘だ・・そんな・・嘘・・ッ!

だとしたら・・私の今までの苦労は?

今までの努力は一体・・なんだって言うんですかッ!

あんなに自らの力を抑えて、二度と命は奪わないと。

何があっても、力を解放しないと、何があっても命を奪わないとッ!


あの努力全て・・無駄だった・・。

私にはこの力を抑え込み、勝利へ上るすべは絶対に無い、そういう事だと言うのですかッ!!


「そんなはずは・・無いんだァァァッ!」


「鈍い」


ガッ!!


と、とうとう・・人差し指だけで抑えて来たッ!?

私の力がそんなにも出ていなかったと言うのかッ!?


「お前は焦りすぎて力を分散しすぎた・・自ら防御固めの試合しかできんくらいの力では・・当然だな、意識がかき乱されたら・・貴様、死ぬぞ?」


「う・・ああッ!!どうして!」


「ちなみにこれも幻華の民の流儀【固喰斬拳(こくうざんけん)】である、ツボの1つを的確に押さえる事でどんな攻撃もいともたやすく止める」


「そ、それを使えるのは?!」


「幻華の民・・それも一流の民のみだな・・命を奪えられるくらいの」


「グッッ!?」


ど、どうして今・・その言葉をッ!?

マグレ・・偶然、きっと偶然の言葉だ。


「懐かしいか、お前なら今でもこの人差し指でさぞ満足に力を発揮できるだろうな」


「なにを言っているん・・ですか?!」


「・・実に不愉快だな」


スッ・・ズシャァァァッッッッン!!


う、腕を一振りしただけで・・地面に叩きつけられたッ!

恐ろしい・・今ので完全に体の骨が・・折れかけた・・。

自分じゃなきゃそこまでいっている痛みだ・・これはッ!!

と言うより・・動けないッ!


「ガハッ・・無理に動こうとすれば・・吐血して・・」


「さっきまでの威勢はどうした?」


「いつのまにッ?!」


ガッッッッッッッ!!


脇腹に向かってただひと蹴りされただけなのに・・この痛みッ!!

ただごとではない・・奴はあばらを全部折る気でいるッ!!

飛ばされる直前、一瞬だけ振り向いて確認できた・・奴の殺意の目がッッ!


ドォォォォォォォォォォォォッ!!


は、柱が・・あって助かったのか?

いや、狙って飛ばされたに違いない・・この感じ・・。

気絶していないのが不思議なくらいだッ!


「まるで話にならないな」


ドゴォッ!


柱にめり込んでいた所を上からかかとで蹴られて下の地面に向かって叩きつけられたッ!!

か、完全に腕の感覚が消えた・・ドロドロと血が流れているのが・・伝わる。

や、ヤバい・・息が荒く・・なって・・意識も・・。


「本気を見せてみたらどうだ?」


ドグシャァァァァァァァァァァァァァァッ!!!!!


今度はもう一本の方の感覚も消えた・・ダメだ血の流れが止まらない。

完全に・・完全に意識が薄れて行く・・。

このままだと、もう・・敗北が見える。

ああ、どうしよう・・涙・・出て来た・・。

悔しいから、何もできなくて・・ただ痛みを感じるだけで・・情けなくて。

せめて立ち上がって・・まだできる意思を示したい・・けれども・・けれども・・。


もう、無理だよ・・腕も・・足も・・体も・・もう・・動かない・・ッ!


「ヴッ・・ヴぅ・・」


「(泣き寝入りか・・せめて苦しまずに・・気絶させてやるか)」


勝ちたい・・勝ちたいよ・・負けたくない・・死にたくない。

嫌だ、もう・・負けたくない、死にたくない。


ジン・・様。


 ◆


胸騒ぎがしたから別にここに立っているわけじゃない。

なにか感じたからここに来たわけでもない。

ただ、激しい音の地響きに誘われてここに来たんだ。

きっと鈴蘭がリードしすぎてやりすぎたんだと思ってた。

きっと、鈴蘭の力差の証なんだと思った。

この、真っ赤な絶望の光景を見るまでは。


「外が騒がしい・・って思ったら・・この状況・・最悪じゃねぇか」


「ひっどいね、これじゃあただのリンチだよ・・カムイお姉さんは死闘主義者だからだけど」


「観客席からでも分かる・・アイツは・・お前以上にヤバい」


「だろうね、一度も・・戦いを楽しみとも感じ取らなかったし・・一度も・・誰との闘いに愉悦も無かった、そこにあったのは勝利して、力を見せつけると言う目的だけ」


「なんだよそれ・・そんなの・・あんまりじゃねぇかよ・・ッッ!!」


「仕方ない・・って特別扱いはできないけど・・カムイお姉さんはね、昔アマゾネスの一族に仲間全員を殺されたの、その時からどんな戦いにも勝利するための特訓をしたの・・戦争で命を奪われた同士の・・サギーとね」


「サギー・・さんと?」


「うん、二人はずっと昔から一緒・・だから信頼しあっているのは確かだよ、それでも・・サギーさんは言うんだ『アイツが楽しみを持った事はない』って、だからたぶん・・今度こそと思ってこの戦いの場に・・熱き心でも、燃える闘志でも、強さのぶつかり合いの楽しさでも・・なんでもいいから、殺気で戦う事以外を覚えてほしかったんだよ」


それが・・サギーさんとカムイの出会い。

そして、カムイがああやって戦う理由、相手を完膚なきまでにひねりつぶす。

それが・・それが・・戦い?


「(これが戦いだ・・どちらかが果てるまで徹底的にやり合う・・それが戦い・・)」


「(・・勝利を・・)」


「(終わりだ・・ッ!鬼の子よッ!)」


スッ・・ドォォォォォォォォン!!


カムイが鈴蘭にとどめを刺そうと最後の一撃を繰り出そうとしたその時。

一瞬・・鈴蘭から黒い大爆発が起こったッ!!

な、なにが起きたか分からなかった。

ただ、何か・・とんでもない・・恐怖・・絶望・・黒い何かを感じたッ!


それは・・確かに・・心の中でざわめいていたッ!


「何が・・起きたッ!」


「・・・」


おそらくカムイはもう見えていた・・いや、感づいていたのだろうッ!

その果てしない黒き絶望の存在に・・大いなる・・恐怖にッ!


「こ、これは本当に・・ッ!!」


「勝利・・ッ!」


ズドォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォッ!!!


ドォォォォォォォォンッ!


なんという事か、観客席から見ていた僕にはさっぱりだった。

何が今、僕の目の前で起きて、何故、カムイは・・いともたやすく・・飛ばされたのかッ!

どうしてリンチをしていた相手がリンチをされた後になっている。

しかも状況は見ればその差は歴然だ・・確実に・・全ての骨が逝ったッ!

そう言えるほどの・・絶望的・・傷ッ!


そして今・・・ようやく絶望の正体が見えたッ!

アレは鈴蘭か?

いや、別の何か?

なんでもいい、とにかく・・誰か・・誰か・・俺に・・あの黒い・・ッ!

黒い脅威を説明してみせろよッ!!!

身なりが丸々異なっている、地面にまで着くどす黒い髪の毛、黒いチャイナドレス・・どこか禍々しい、そしてドロワーズさえも禍々しい、全てが・・全てが禍々しいッ!

極めつけはあの右手・・黒い腕に赤い文字でなんと書かれているんだッ!?

いや、ロクなことは書かれていないはずだ・・ッ!

それよりも・・それよりも・・アレは・・鈴蘭なのかッ!?


「・・鬼神」


「えっ!?」


「鬼神だ・・私・・アイツを知っている・・」


「知っているのか!?だったら教えてくれッ!アイツはなんなんだッ!」


「・・聞いて後悔はしない?」


「しないともッ!知らなきゃなにも始まらないんだよッ!」


「・・わ、私の・・お母さん・・お父さん・・みんなを・・みんなを・・竜のみんなを・・殺した・・鬼の四天王の・・一人だよ・・」


「えっ??」


鬼の四天王の1人?

た、確かに・・一角の角・・アレは鬼そのものなのかもしれない。

いや、そういう事ではないッ!

どういう事だ・・鬼の四天王・・竜を殺した・・わけがわかんねぇよ。


どういう・・事なんだよッッ!!


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