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無限空想世界の幻想的な物語  作者: 幻想卿ユバール
第一章 真紅編
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無限空想世界の幻想的な物語~真紅~ 第12話 「ヴァンパイアキャット」

ここは何処だろう、

何も見えない、

何も聞こえない、

何も感じない?

いや、なにか暖かかな温もりを感じる。

まるで日向に当たってお昼寝をしているみたいだ。

懐かしい、まだ平和だった頃を思いだしそうだ。

俺の平和だった頃、それは兄さんと鈴蘭だけが俺の癒しだった頃、

いつも鈴蘭が俺を面倒見てくれて、

時には甘えた事もあったかもしれない、

膝の上で頭を乗せ、膝枕をして寝かせてもらった事、

話し相手がいなかった時に話をしていた事、

他にもいろんな事があった。

そんな穏やかな頃を思い出しそうなくらいに、

何故だろう、

今はとても暖かい、心地よい、

いつまでもずっとこうしていたい、

ずっと寝ていたい、疲れたから、ずっとずっと疲れていたのだから、

もう休んでいたい、このままずっとこの草原で、

心も体も、なんだかふんわりとこの空間に包まれていた。


 ◆


夜も更け、暗くなる空、今夜の月は真っ赤に輝く、

いつの間にこんな暗くなって空を輝き照らしたのだろう、

今日の吸血鬼の屋敷は真っ赤に染まる。

ここはロンディニアにそびえ立つ巨大な屋敷、

吸血鬼が何人も住みついていたヴァンパイアの屋敷だ。

そしてその三階は今、謎の生物が登場している。

大きく翼をはばたかせ浮遊する少女、

小さな体なのに、僕達は恐怖が絶えない、

今まさにそういう状況だ。


「お前は誰だッ!こんな話の終盤に出て来るとかもはや今回の黒幕てっ感じだけどッ!」


「愛も変わらずメタメタしい言葉だが、確かにこんなフィナーレも近いてっ時に来やがって」


「フィナーレ?そんなの面白くないよ~、まだまだこれから盛り上げてもらわないと・・ねっ?」


ニタニタと笑いこちらをあざ笑う少女、

狂気の瞳を輝かせてこちらを見てくるこの少女は一体何者なんだ。


「その様子だと、ずいぶん手洗い改造を受けたのね、フレア」


「まあ、姉さま!お久しぶり!何年前かはしらないけど、姉さんはそんなに変わってないのね~?」


「当然、あんたの様にそんな急成長はしないわよッ!」


なにやらお嬢様が何か知っているかのように言葉を交わした。

もしかしてこれは姉妹と言う奴なのでは?


「お嬢様、もしかして妹様なのですか?」


「そうよポチ、彼女はフレア、厳密には血のつながりは無いの、ただの人間だった彼女は遠い向こうで人

体実験の末に混沌の獣と言うのと合成させられたの、その結果生まれたのが彼女よ、私はそれを保護して妹同然の様に育てていたのだけれど、途中の心のケアに失敗して暴走して以来は地下の専用部屋に封印したのだけれど、まさかあの女と結託していたなんてね」


「説明ありがとうございますッ、ようするに義理の妹ktkrですね」


「要するにそういう事で良いわ、とにかく今は目の前のフレアに注意しなさい、見た目こそサイコキラーに見えてかなり頭が働くわよ!」


「理性があるようには見えませんけどねッ!」


とりあえずあの猫耳幼女事フレアは、

なんとお嬢様の妹だった。

義理とはいえ妹様だから戦いづらい、

狂気の戦士て、言うけど見た目は全然幼い子供じゃないか、

何故だ、何故こんな事にそんなことをしてしまえるのだッ!


「で、お姉さま達は遊んでくれるの?遊んでくれないの?」


「遊んであげるわよ、たっぷりとね」


「おっしゃァ!こうなったらとことん付き合ってやりますよッ!」


僕は銃を構え、もう一度戦地へと赴く覚悟をする。

これがラストバトル、最後の戦いだ。


「まて、銀」


「ジャックさんッ!?肩をポンと叩かれたという事は今日の自腹」


「じゃなくて、さっきから戦いまくってるだろがッ!!少し休めッ」


確かに、いくら傷が無いからと言って油断していると負けてしまうかもしれない、

ジャックさんの言うとおりだ。

だが、僕は一つだけ不安な事がある。


「ジャックさん・・死なないでくださいよ・・」


「・・言っている事がわからんが分かった、ぜっっってぇ負けねぇッ」


僕の一声に視線一つだけ変え、変わらない強い言葉で答えてくれる。

あの揺るがない男気の背中に、何か強い物を感じ取る。


「銀ばっかに良い格好させられるか、俺もきっちりやらせてもらうぞッ!」


「ジャックさんッ!」


「お嬢様と再開したのです、恩はきっちりここで返しますよ」


「リナッ!」


正直この場がお嬢様だけではとても心細かったが、

ここに最強の助っ人が2人もいたッ!

無数のナイフを飛ばす鬼の執事ジャックさん、

時を止める武闘派メイド長、

どちらも肉弾戦と遠距離のそれぞれ個別の役割を持った人だ。

バランス的にはかなり問題は無いッ!


「あ、あの私は・・」


「んっ?ああ鈴蘭」


そういえば鈴蘭とジンの存在は考えていなかった。

正直居眠り野郎が戦力になるとは思えないし、

ここは一時撤退を図ってもらうとしよう、


「鈴蘭はジンを背負って外に逃げといて、ここは危ないから」


「は、はいッ!」


僕の命令ですぐに動く鈴蘭、

素早く行動し、急いでジンを抱えて鈴蘭はこの間から去る。


「さーて、邪魔者はいなくなった、ラストバトルとしゃれこみましょうよッ!」


「わーいッ!じゃあ、さっそく始めちゃうよ~!」


そういうとフレアはチェンソーらしき剣を両手で勢いよくブォッンと風の音を鳴らし剣を振り上げる、

なにやら禍々しいオーラ、

黒い雷がバチバチとなり始めチェーンソーの刃の様な部分が回転をかけて回り回り始める。


「えっ・・ちょっ!」


「くらえ~!【魔雷の切断剣ダークサンダーブレイク】ッ!」


『!?』


一同が驚愕する光景、

この一瞬にしてあの剣が何かを窮してエネルギーを出力したというなら説明は付く、

だがその説明をしたところで似合わないほどの光景、

この恐ろしい黒き衝撃波何だッ!?

デカイッ!

確実に今まで見て来た攻撃よりデカイッ、

少女が思いっきり薙ぎ払ったからと言ってこんな攻撃存在するのかッ!

あのからくりが何かあるはずだがチェンソーが凄いのかそれともフレアの改造の肉体が凄いのか、

おそらくどっちもだよッ!

畜生ッ!


「アハハッ!これじゃあ一発で終りだねッ!」


「いや、こんなんじゃあ終わらないぜ」


「へっ?」


「これより先は虚無も無き俺の世界、女神が描いた無限の世界をここにッ!!【無限の守護神インフィニティガーディアン】」


ジャックさんが口上を言うと、

僕らの雰囲気は一転する。

あたりは突風が舞い起り、

強いマナの波動を感じる。

ジャックさんの上空に無数の透明の虹の盾が現れる。


「うぉらぁッ!」


体を大きく動かし、手をハッとさせる。

盾は全て衝撃波を抑えてぶつかり合う、

バチバチとなり響く音、強くぶつかる技同士のぶつかり合い、

両者の技は相殺した。

光輝き上空に爆発をする激しい空、

あの黒く激しい衝撃波を一瞬にして覚悟を決めて、

自らが受け止めるなんていう所業は普通の人ならできない、

ジャックさんは苦い顔一つせずこれを受け止めた。


「アハッ・・ハハハッッ!そうでなくっちゃッ!オもしろくないからネッ!」


「バーカ、最初っからてめぇに満足行く戦い見せなきゃ意味ねぇだろッ!まだまだやれんだろうな」


「あたりまえだよ?今度はどんな芸を見せてくれるの~?」


「こうするのさ・・」


ジャックさんがまた詠唱の構えに入った。

今度は右手を前と真っ直ぐ伸ばし、手のひらを指をそろえて開いている。

足はしっかりと地面に定着して、

背筋を伸ばししっかりと出来ている体、

いつもの怒り顔が、

今はキリッとした面をしている様に見える。

そのぐらい、今のジャックさんがかっこよく見えてしまうッ!


「一を束ねて十へ、十を束ねて百へ、百を束ねて・・千にッ!【千本短刀(サウザンドナイフ)】ッ!!」


上空に無数のナイフを出現させるジャックさん、

声の気迫は少し遠い所にいる僕でも伝わる。

この間に響く大きな声、

体にも力が入っている。

マナの波動を感じる。

轟々と感じさせる、強者の鼓動だッ!


「これが・・俺を怒らせた代償だッ!」


「すごいすごーい!でも、そんな数だけで大丈夫?」


「ああ、心配ねぇよ妹サマッ!今のうちに好きなだけ煽っておけよッ!猫耳ッ!」


上空のナイフが全て妹様目掛けて一斉発射される。

それぞれのスピードにバラつきは無く、

全て風の様に、肉眼ではとらえきれないくらいの神速で飛び出す。


「アハハッ!!!じゃあ、煽り入りまーすッ!【林檎炸裂砲撃スカーレットガトリング】ッ!!」


「エ゛エ゛っッ!そんなんありかいッ!」


僕は思わず声が裏返った。

妹様は剣を後ろにしまい、

両手にガトリング砲的な何かを持ち、

それを間も無く発射、

全てナイフを撃ち落とすではないか、

ぶれない物理無視のガトリング、

通常ならあんなものは少女には扱えないだろう、

豪快に鳴り響く狙撃音、

金属とぶつかり合い、

今まで聞いたことないぐらいに響く、


「アハハッ!アハハッ!!キャハハハッ!!楽しいィ~!!こんな薄っぺらい怒りじゃ私は殺せないヨッ!」


「そうだな・・怒りはまだ足りてないからな、だからバトンを渡す事にした」


「なッ!?」


この無数のナイフを狙撃している間に妹様の背後にリアリナさん!?

僕も全然気づかなかった・・、

しかもリアリナさん、

涼しい顔で登場してるけどさりげなく持っているその槍か斧か良くわからない2本の武器はなんすかッ!?

突然取り出して正直びっくりなんだけど、

なにあれリアリナさんあんなのあっただろうか、


「これこそ、お嬢様が私にくれた最高の武器【魔槍ヘルエビル】ッ!長いリーチに加えて刃は方向で全く

異なるッ!先端は槍、左右に斧をッ!これぞ私の本当の戦闘スタイルッ!」


「ハッ!そんなのッ!」


「何ィッ!?」


妹様がバルカンから手を離して飛び上がるッ!

天高く舞い上がり、

一瞬にして方向転換を完了させるッ!

そしてまたあの剣を取り出してリアリナさん目掛けて攻撃をしかけるッ!


「ただの不意打ちで私はやられなイッ!!お前はよおッ!爪があめぇんだよッ!!」


「くぉ~!!攻撃を食らう~ッッ!!」


「止れッ!その心臓貰い受けるッ!!!」


リアリナさん、最大のピンチッ!

絶対絶命!このまま心臓を貫かれて終わってしまうッ!


「・・妹様・・左腕腕を出した方が良かったですね・・ッ!」


「なッ!!?」


リアリナさんと妹様の距離がどんどん近づく、

先ほどの奇襲を失敗してしまった為に動きがあまり取れないリアリナさん、

このままではリアリナさんが危ないッ!

そう思ったのはほんの数秒の間だけだった。

リアリナさんと妹様の距離が縮んだだけじゃないッ!

この間にも地上との間も近づいていたッ!

スゲェ・・あのメイド長・・落ちながら戦ってるッ!

メイド長も実は上に落ちる変態だったんですねッ!

流石は悪魔城ッ!この勢いでぜひバッシュゴォォォオチに持っていくのかッ!?

リアリナさんは床に手を着かせ、

その場の勢いで体制を立て直すッ!

そして直後に妹様の腕をつかみ、

一気に上へ持ち上げる・・てっこれタダの格闘技ですかねッ!?


「シャァァァァッ!!」


「うぉぉぉッ!?」


持ち上げられているッ!?

持ち上げてこのまま床にたたきつける勢いだコレッ!


「世の中ッ!そんなにッ!甘くッ!ネェェッ!!」


「グッ・・やるな・・流石妹様だッ!!」


残念ッ!!瞬時な対応で掴まれた腕をすぐに解いたッ!!

その後間もない攻撃が繰り出されてもリアリナさんは防いだッ!

お互い一歩も譲らねぇッ!


「君もだよ~?私の攻撃防ぐなんてッ・・でもこれならどうッ!」


妹様が連続で切りかかったッ!

早すぎてさすがにリアリナさんも・・ッ!


「遅いッ!ぬるいッ!柔いですッ!」


こっちもはぇぇぇッ!

どんな神対応とどんな詠みをすればそんな事できるのッ!!

刹那の見切りとかそういう次元のレベルだよッ!?

それは紛れも無く奴さ~言う前に打ち終わってるよ手のサイコガンッ!!

ついに次元がもうどこかわからなくなってきたな・・、

勝利はどちらの手に行くんだこれ・・、

強く握りしめて瞬き一つもしないリアリナさん、

狂気の笑顔で先ほどから火花散らす妹様事フレア、

これは狂気の予感ッ!!


「アハハッ!!アハハッ!!散れッ!避けろッ!弾き飛びちろッ・・肉体玩具ッ!!」


「どれだけ攻撃されても・・ッ!全てはねて見せますッ!」


ガァンッ!キィンッ!シュォンッ!グォシャキィンッ!

ええっと・・どこからツッコめばこれは解説できるのかな、

動きが激しすぎて直射できません、

人外乙だよッ!!


「アハハッ!もらったッ!」


「いや、後ろががら空きだぞッ!妹サマァァァァァアッ!」


「なんだとッ!?!?」


グォシャァァァンッ!

強烈な衝撃波の音、突風が舞い、

一瞬の強い風だけでも腕で防御をした。

なんて力強いぶつかり合いだ。

流石はジャックさんッ!

容赦ない一撃、大人げなさ前回の不意打ち、

でもそれを軽々しく受け止めているッ!

妹様は不意打ちでもやられはしないッ!


「アハハハッッ!弱い弱い弱いッ!弱すぎるよッ!三下ッ!これじゃあ・・遊びにもならないねッ!」


「ハハ・・妹様、爪を伸ばして攻撃するのは・・粗相がねぇでございますよッ!!」


「元より存在はしないッ!!」


ズガシャァンッ!

ジャックさんも混ざった大乱闘ッ!

凄いッ!凄いぞッ!二人とももうアニメなら作画崩壊さながらの描写的に限界が来る、

地獄の様な激しい戦闘だッ!

これ、どう説明したらいいのッ!?

激しい攻防が繰り広げられているどころの騒ぎじゃねぇよッ!

凄まじい死闘が繰り広げられているよッ!ビックブリッチッ!!

ナイフを作成しては接近戦ッ!そしてそれを交わして受け止め、

リアリナさんの攻撃ッ!それらの動作が繰り返して起きているわけじゃないッ!

それぽっい事が何通りも一瞬の考えと一瞬のチームワークで出来ているッ!

こんなの・・もうとらえきれねェッ!


「(今だなッ!)」


「(今しかないッ!)」


『お嬢様ッ!』


2人が意思疎通をしたかのように息ピッタリに声をそろえて言う、

そしてその時2人は場を一瞬で離れて、

妹様が一瞬ハッとなり驚き始めたその瞬間ッ!


「私の力を今、時放てッッ!!」


「エッ!?」


「お嬢様ッ!!」


この絶好のチャンスに全ての力を込めていま、

お嬢様は全ての力を解放させるッ!!!



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