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無限空想世界の幻想的な物語  作者: 幻想卿ユバール
外伝その3
124/150

無限空想世界の幻想的な物語~外伝~ 魔章19  「狂人勇者」

「ヴぉぉぉぉらぁぁぁぁっ!!!」


ズバババッシャンッ!ドドドドドドドドドドッッ!!


心の乱れが見えるほどの激しい射撃、乱射による防御戦術。

確かにそれほどまでに旋律の交戦の仕方をするならば貴方はよっぽどな方なのだろう。

そのやり方が本当に貴方のやり方で、あのチームの逸材として選ばれたのなら。

私は負けた時一生の恥として生きていくだろう。


「(聞こえる・・どんなに荒くても・・どんなに私の心を乱そうとしても聞こえる・・)」


感じろ、分かれ、私にこの程度の雑音が見切れないと思うな。

明日を生きたいと思うんじゃない、生きるんだ。

今を勝ちたいと思うんじゃない、今を勝ちに行け。

そして勝ちたいのなら、余計な事を全て・・捨てろッ!


「『今は遥か遠き魂・・(忘却無垢)』」


「クッソがァァァッ!!当たれよぉぉぉッ!!」


当たるはずがない、お前が威嚇射撃を止め。

こちらに向かって撃っている弾なんぞ見てかわせる。

一般的銃の速度は100キロを超える、ならば簡単だ。

その速度を超え、それらをすべて見慣れれば良い。

見慣れた光景や物はすぐ慣れて覚えてしまうモノだ。

そして人は怒りに捕らわれた時こそ本当に隙に気づかいないモノだ。

私が今、剣を鞘に納めお前に近づきわずかな隙から歩き行く。

そして、このまま口上を続ける、終わった時、貴様の最後だ。


「『孤高に生き多を知った者 それは幸福の頂を手に入れる物語(黄昏勇者)』」


「(このままだとこっちに来るッ!!)」


「『不幸は突然訪れ 絶望をさ迷った血みどろの狂戦士(血華戦士)』」


「(マズイ マズイ マズイ マズイッ!!!こっちに来るッ!!!)」

「『再びあの天地に立つ為 英雄の座を捨て這い上がった戦士(再生約束)』」


「おまぇなんかにィ・・この私がぁぁぁぁッ!!」


ああ、やっぱり分かってしまうな。

自分がどれだけ強く、どれだけこの力で人を守れるか。


スパァァァンッ!


鞘から剣を抜くまで影も形も見せないその剣劇。

彼女の目からそう遠くはない位置だからこそ、彼女も分かっただろう。

その一瞬だけで自分が今どれだけヤバい事に気づいたか。

アレだけ遠くに離れている機銃の機械共を全て細切れにし。

全ての銃弾を切り裂いた、ボロボロと落ち行くゴミクズたち。

あえて言う、今私は静かに吠えていると。


「喋る狂犬ほど強い者はいない・・お前は溝に遣ったと同時にその溝から上がれなくなったんだよ・・」


「あ・・ああひぃ・・うあ・・ッ・・」


思わず後ずさりして涙を流して逃げ行くリュウナ。

それもそうだろう、この眼で見た者すべてみな同じ事をして。

いつも吐くセリフがある。


「や・・やめ・・ゆ・・ゆぢ・・でぇ・・」


「戦場に立ったからにはそれ相応の覚悟があるはずだ、一つだけ言ってやる戦地に立ったら最後【死ぬか逝くか】だ・・どちらかがくたばるまでやり合うそれが人生においても戦場においてもだ・・」

「う・・ヴぁぁぁぁぁッ!!」


私は目の前で泣き叫ぶリュウナに向かって最後の一撃を放つ。

剣を大きく振りかぶって放った一撃は悲しみに募った重き一撃。

食らうがいいそして闇の中で詫びるがいい。


ドォォオォンッ!!


砂煙が舞い起こる月下の戦地。

手応えあった、これで私の勝ちだ。


「・・ッ!?」


「実に良い動きだ・・流石は鬼殺しの勇者」


「(コイツッ!?いつのまに槍なんか持ってやがった・・しかもこの禍々しい槍・・まさかッ!)」


ズバンッ!!シュドォォンッ!


目まぐるしいほどの一瞬だ。

私が振りかざし、振り下ろし鉄槌をくだした相手はなんとあの一瞬で槍を持ち。

間一髪で私の攻撃を防いだ、それどころかそこから薙ぎ払い。

凄まじい回転で持ち直して私に鋭く突いて来たのだ。


おかしい、今までの彼女と明らかに目つきの凛々しさと鋭さも。

溢れ出る戦闘へのオーラが桁違いだ、今の一瞬で何が起きたッ!?


「どうした・・試合はまだ終わっていないぞ?」


「うるさい・・分かっているッ!!!」


落ち着け、冷静になれ、今はこの状況にビビっている暇はない。

たかが攻撃を防がれただけで状況が変わるはずがない。

ならば、さっき通り攻め入ればいいだけの話だ。


「行くぞッ!リュウナッ!!」


「来い・・鬼殺しッ!!」


クォシャドォォォンッ!


今ので何回剣と槍を交えてたッ!?

たった数0.1うんぬんの瞬間だけで二十回以上も交えた感覚。

いや、それどころではない、この場合は須臾だ。

わずかな時間だけでとんでもない動きをしている。

よく、今の一瞬で生きられていものだ。

だが・・。


ブシャァァァッ!!


かすり傷・・まずい、防ぎきれなかった。

体の後六ケ所は確実に傷を負った。

見切り発車程度に防御はできたが・・問題はここからだ。

今、つば競り合いのさなかでどうにかこうにか防いでいるが。

これを離した瞬間が勝負・・ならば・・負けるわけにいかない。

ただ、それだけだッ!


ドォンッ!キィンッ!スシャッ!ズシャァァァッ!!


早い、あからさまに早い。

もう、その場での打ち合いでは防ぎきれていない。

後ろへ下がり、前へ攻め入れば上空での空中戦。

戦場のありとあらゆる場所に転々と移動しながら戦うマジの対決。

嘘だろ、さっきまで銃を使っていた奴がこんなに槍になると強いのかよッ!!


「グッッ!だけど・・経験が浅いんだよォォオッ!!」


スォン・・シャァァアッ!!


壁に追い込まれているとおもわせてから突かれたところを飛んで避け。

荒々しく壁に突っ込んで行った上で私は壁を蹴りこいつの後ろへ回り込む。

そしてその後ろから思いっきり体めがけて撃ち放つッ!


決まった!今度こそダウンを取れるッ!


スッドォォォンッ!!


嘘だろ・・今、体に完全に突き刺さっていたのに。

アイツぐるりと回って強引にこっちに蹴りを入れやがった。

不死身かよ・・突き刺さっているのにも関わらずそんな動きができるなんざ・・。

地面に叩きつけられて転がり行くが・・まだだ。

力はまだ出る、ならもう一回立ち上がって・・。


「遅い」


ズドォッ!


は、腹に・・踵から入れる回しげり・・ッ!!

とばされた 思いっきり私は飛ばされた。

上空へと飛ばされた私が目にしたは一瞬でその上に追いついたリュウナの姿。

私は思わずその光景に絶望の目で恐怖を味わった。

浅はかだった、最初からこれを装いあんな事をしたのなら。

溝にかかったのは私だ、私は・・自分が最初から溝にいたと思っていただけだ。


ドォォンッ!


かかと落としをされ下へと落ち行きながら後悔した。

そして、私はそれと同時に思った。

最初から生意気な事を言ってしまったと。

弱かったのは自分だ、自分こそやはり最初から弱いまんまの奴だった。

自分が強くなったと、だから自分より弱い人間を守れる。

そう思っていた人間・・ただの妄想だ。


ああ、下にまた見える。

絶望の驚異のオーラを放つあの女の姿が。

もう、死にたい、いっその事死んでしまったほうが楽なのだろう。

あんな偉そうな事を口から放っておいて・・のけのけと負けしたなんて。

言えるわけがない、言っていいはずかない。

蹴られとと同時に死んでしまおう。

惨めに生きるぐらいなら、もういっそ・・生きるのを止めてしまおう。


嫌な事が消えないなら死ねば楽になる。

自分から消えて行けばきっと楽になれる。

だからそうだ、これからもう・・頑張る必要もなくなる。

誰かを絶対に守れるなんて嘘もつかなくて済むんだ。

維持もはらなくていい、くだらない怒りも覚えなくていい。


なんだか、もうそんなの考えるのもめんどくさい。

いっそこれから死んでしまうんだ。

だったらもう、考えるだけ・・無駄だろう。

無謀だったんだ、全部何もかも・・全てが無謀。

今までいっぱいそういう事してきたけど。

結局何一つ、勝てなかった。

ずっと敗北ばかりだった、だからいい。


負けて、死のう。


「この腐った桃ガァァァァッ!!」


「ッ?!?!」


ガッツの・・声?

この上空から控えまで距離はかなりあると言うのに。

どんだけ大きな声を‥ッ!?


「ふざけんなよ・・相手がどれだけ強くても負けんるんじゃねぇよ・・お前翡翠ちゃんがどれだけ血を流して諦めなかったと思っているッ!!力の差は歴然だった、その絶望はどれほど大きかった事だろうか・・だがな、たとえどんな絶望が立ちはだかっても起き上がったじゃねぇか・・俺だってそうだ、そんな奴を目の前にしたってたとえ勝利は絶対にやらねぇ・・死んでも絶対だ・・だから・・お前もやるんじゃねぇぇぇよぉぉぉッ!!」


「(偉そうに・・ィ・・でも・・ありがとう・・)」


そうだ、たとえ絶望が目の前にあったとしても。

たとえ、前に立ちはだかる敵がどれだけ強くても。

抗え・・戦え・・剣を持って立て。

甘えを捨てろ、生きたいのなら自分を失うな・・。


「(・・ッ?!この一瞬で立て直したッ!?骨の二三本は折ったつもりだったが・・まあいい、どこまで楽しませてもらえか分からないが・・)」


「考えている暇があるなら・・」


「ッ!?」


「隙を作るなぁァァァッ!!」


ズドォンッ!ズォシャァァァンっ!グシャァァァッ!!


背中に斜めに切りかかりそこから一気にまた突き行く一撃。

そして、突き刺さり奥へ奥へと突き刺して・・肉を抉り回すッッッッ!!

力の差がどうした、怖いからどうした、強いからどうしたッ!!


だったらその上を行くまでだッ!!

強欲になれ、横暴に生きてみせろ、最後に立っていられれば良いッ!

足が動くかなら歩け、手が使えるかならば武器を取れ。

脳が動くかなら知力を巡らせろ、体の使える部分は死ぬまで自分のモノだ。

腐りきりまで使い続けろッ!


「やるなぁッ!そうでなくてはッ!!」


ドォォンッ!


また、足を回しこちらを蹴るかッ!

だが・・その程度ッ!!


「フルァッ!!」


スォォンッ!ザァンッ!


その程度、足を這いつくばらせて耐えきってやる。

飛ばされないでその場にとどまり続けてやる。

そして、そこからお前のその足に剣を突き刺して・・


グシャァッ!!


また、ねじ込み肉を抉りまわしてやる。

その体全部から血が出るまで抉りきってやる。

お前が動くかぎり絶対に私はもうやめない。

負けないから、勝つから、生きる為に。


死にたくないから人は戦うッ!


「セァァァッ!!!」


「ふ・・フハハハ!いいぞ!これだ・・これだこれだこれだこれだッ!!こういう勝負こそが本当の死戦であり死闘ッ!どちらかが息絶えるまでやる・・それが戦いだッ!おもしろい!おもしろいぞ・・月の勇者よッ!もっとだ・・もっと来いッ!生と死の果てまでッ!!!」


お前が望むのなら私は心臓を手でつかまれようと止めない。

お前が止めないかぎり私は・・おらゆる武術・・あらゆる攻撃を駆使して。

お前と戦ってやるッ!!!


来いよッ!どっちが本当の化け物であり醜い狂人戦闘者であるか。

それを今この場で教えてやるッ!!


「(すげえ・・もう絶対死んでいやがる傷で二人ともまだあんなに・・)」


「(これが本来のアイツ・・まさに・・【狂女戦士】と言われた女・・最初こそ目を疑った戦いぷりだったが・・今のお前を見て確信した・・お前は素晴らしく狂っているとッ!!)」


「(けど、どっちもおっそろしいぃぃぃぃッウサ!!)」


周囲の目がどんな風かなんて知らない、やりあおう。

私達の命尽きるまで、とことんやり合おう。

武器が無くても手がある、私達は体術でも戦い合える。

ならば使える手段全てが無くなるまで・・とことん・・。


「付き合ってもらうぞ・・・リュウナァァァッ!!」


「もちろんだとも・・桃子ォォォォォッ!!」


ズドォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォンッ!!


それは最後の一撃、武器も互いに突き刺さり出せる手段全てを使い果たした。

武術で交えて、次は互いの体を叩き叩きつけられ突き抜かれ。

その果てに最後は互いの体を突き抜いた両者の右手の一撃。

闘技場の真ん中で起きたその最後は衝撃波を放った。

会場の観客が両手で抑えるほど雄々しい一撃だったろう。

それほどまでに私達は感覚を忘れて戦っていたのだ。

そして、これでその戦いも最後だ。


次の瞬間、動い者こそ勝者、その結末の瞬間だ。


「・・まあ、だが・・」


「ああ・・これは・・分かっていた事だ・・」


ズシャア・・・


その最後はあまりにも切なかった。

抜いた瞬間、ひっそりと・・ゆっくり倒れこむ姿。


そう、リュウナは最後の一撃のみ、足りなかった。

あと数秒早かったのならお前の勝ちだったのだろう。

だが、こればっかりは維持になり、ムキになった私の勝利だッ!!


「シャァァァァァァッ!!」


『し、試合終了~ッ!!!!勝者ッ!天竜川 桃子 選手~ッ!!波乱の試合を制した月の勇者~ッ!』


私はその喜び、感動を体全体に味わった、その瞬間。

私は腕を大きく突き上げた、生きていると・・私は今、生き残れたとッ!!


今、私はとても誇っているッ!!


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