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無限空想世界の幻想的な物語  作者: 幻想卿ユバール
外伝その3
119/150

無限空想世界の幻想的な物語~外伝~ 魔章14 「巫女と病室」

ここはどこだろう。

なんだか凄いデジャブな感じ。

真っ暗で、どこの世界か分からないこの感じ。

私は今どこにいるのだろう。


「うーん・・うーん・・」


「・・先生、やはり起きる気配無いです」


「おかしいな・・ボクの医療科学によれば・・配分間違いのない【ハツラツ君】の効力でもう彼女は立てるはずだよ?」


「やっぱ似非医者には無理だったか」


「えー・・一様念のために言っておくけど・・傷口を完全に塞いだのはこのボクのおかげ・・」


「まあまあ!竜光さんも天虎さんも落ち着きましょうよ!二人とも優秀な医者なんですから!」


なんだろう。

とても暗闇は深いはずなのに、どこからかとても賑やかな声がする。

とても、それは賑やかすぎるほど、うん、痴話げんかのレベルで・・うるさいな。


「うーん・・一体私の近くでどんな会話をしているんだ・・」


「あ!目覚めましたよ!二人とも!」


「本当だ・・やはり我々の医療は間違っていなかったと言う事だな!」


「あは!やったね!ボクらはやっぱり天才だよ!」


「・・どちらさま?」


私がうっすらと目を開けるとそこにいたのは白衣を着た三人の謎の人物。

一人は男の人だ。

顔は青年の様な面をしており、銀髪ロン毛は少し黒く染まる。

黒いジャージを着ているこれといって特に特徴は無さそうだスラっとしていた。

もう一人・・男の子?

黒い白衣を身にまといショートパンツとタンクトップと言ったら分かるだろうか?

にしてはおなかの露出が多いような・・。

それに顔も女の子様だった。

お肌ぴちぴちでとてっても男は思えないけど・・たぶん男の子だろうな・・。

髪の毛は藍色がわしゃしわしゃと目立つ癖毛だ。

もう一人は女の子だ。

茶髪に白衣を身にまとい、心地よさそうな茶色のセーター。

優しい瞳で誰からも愛されていそうな表情だ。

ロングスカートをはいているのが分かるが、それ以前に私は車椅子に座っていた事に驚く。

と、状況確認は以上だろう。

残りは彼らは何者かだ。


「目が覚めたところで・・おはよう!ボクはムーンメディカルセンター医療班の1人【修羅之(しゅらの) 天虎(あまとら)】だよ!君の様に重傷者の傷をパパっと治しちゃう天才さ!」


「同じく、ムーンメディカルセンターで仕事をしている【獄道(ごくどう) 竜光(たつみつ)】だ、担当は新薬の開発だ」


「私は【鬼ヶ島(おにがしま) 美晴(みはる)】です、担当は体の健康管理です、疲れた時は私を頼ってください、我が一家秘伝のマッサージで癒してあげます!」


「と、ボクらは義正のおっさんに雇われた医療部隊さ!優秀な人材だから思う存分頼ってくれたまえ!安心しろ!痛くはしないから!」


「安心させる側の発言ではないですが、まあ・・ありがとうございます」


ともあれ、なんとなくだが状況は理解した。

多分これ、私がボロボロになって倒れこんでそのままこの医療班に運ばれた奴だ。

なんとも、情けない醜態をさらしてしまった。


「・・それより一つ気になるんですが」


「なんだい?ボクたちに答えられる範囲でいいなら答えてあげるよ」


「私って勝ったんですか?」


「ん?あー・・はいはい・・そういうやつね・・」


「なるほど・・無我夢中で分からなかったって奴だな」


「仕方がありませんよ・・あれほどまでに必死なら・・」


なんだろう、この雰囲気・・もしかして私は敗北してしまった?!

嘘だろ・・あんなに無茶をしておいて一勝もできなかったなんて笑いもの・・。


「これは結論だけだが、君は勝利した、以上」


「あ、すごいあっけない・・と言うより私勝利したんですか!?」


「はい、貴方は知らないかもしれませんが・・奇跡的にあのふりこを避けた後、偶然にもフラッグをそのままバッと本能のままに手にとりました・・そして勝敗は決して見事16チーム目に選ばれたわけですね」


「・・おお、なんともまあ・・奇跡・・」


「驚きなのは貴様・・あんな無茶しておいて我々医療班のみでここまで回復できた事だ・・我々はこの部屋に黒服のマント男が来た時からすでに死の匂いが漂っていたぞ」


「うん、完全に死んだなっとてっきり・・けれども最近の若いお嬢ちゃんはすごいね・・骨に一つもヒビが入ってないよ」


「まさに若いって素晴らしい・・青春ですね!」


なんだろう、ところどころ褒めてはくれているんだけど凄い恥ずかしい。

このなんとも言えない、この気持ちは一体どう説明したらいいんだ。


「・・いや、それよりも勝利したのなら・・私・・」


「おっと待って・・医療成功から目覚めて30分はこの部屋から出ない事・・まだ治療が完全に完治したわけじゃないから・・」


「そ、そうなんですか?」


「無茶をするとまた傷口開くよ~?今度は巨大なくらいね」


「それに勝利はしたんだから今は大人しく寝てろ・・寝るのはいいぞ、疲れを取る一番のいい方法だ、無茶しても何も変わらんよ」


「はい、今はごゆっくり・・お休みください」


「うう・・皆様にそういわれては・・返す言葉も・・反論の言葉も出ません・・ぐうの音も出ない・・」


「はい、じゃあ論破成功でボクはこの辺で次の患者を診て来まーす・・君は軽症患者だからいいけど・・他にも重症がいるからね・・」


おそらくあの二人の激闘のエリアで巻き込まれていった人達とかではないだろうか?

きっとそうに違いない・・たぶんそうだろう。


「そうですね、私もそろそろ・・」


「では、お嬢さん・・良い夢を、もしくは良い休息を・・30分は絶対大人しくしろよ?」


「はい、ありがとうございました!」


彼らは最後にそれぞれ気さくな言葉や慰めの一言を述べて部屋を後にする。

それにしても個性のある医者達だ、医師ってみんなあんな人なのかな?

まあ、天才って言うんだし、少しは変わっていても不思議ではないとは思うよね。


「なにはともあれ・・無事に勝利できてよかった~」


「おう、予定通り無茶しおってこの馬鹿巫女ォ」


「うわッ!?魔王様いつのまにッ!?」


「ついさっき来た・・まったく・・急に倒れるから心配したぞ」


魔王様、丸椅子に座る姿がなんだか違和感ない・・。

いや、そういう事じゃなくて・・また唐突に現れる事に定評があるなこの人は。

あ、それよりもなんだかとってもイライラして睨んでいるような・・。


「巫女ォ・・」


「は、はい・・あ、あの・・」


や、やばい・・今まで見た事ないくらい怒りのオーラが出てる。

馬鹿な私は今気づいた、これ説教やッ!!

魔王様から直接説教を食らうだなんて・・私。

考えただけでオドオドと泣きそうになってしまう。

ぶるぶると震える中、両腕で顔を隠し泣きそうな姿を見せまいとする。

意味がないのは分かっている。

それでも、なんとか・・恐怖を最小限に・・。


「や・・やさしくして・・」


なんだか危ない雰囲気になってそうだけど。

今の私は考える事すら止めて、とにかく恐怖に怯えてしまっている。

ああ、私は一体どうなってしまうのかとかそういう状態だ。


「・・よくやった」


「・・えっ?」


私が恐怖に怯える中、魔王は私に怒りを見せるのではなく。

優しく私に声をかけてくれた。

それはまるで包み込むように、全てを優しく丸め込む様に。

私はてっきり、無茶したからすこぶる怒られるのかと思っていた。


「まあ、実際は大激怒したいと言うのが本音だ・・あそこまで体を張って無茶するとは思わなかったからな」


「・・ですよね」


「しかしだ、お前は俺たちの為に勝ち取って来た勝利に対して、わざわざ無茶しやがってこの糞野郎なんて言ったらお前に失礼だろう」


「・・魔王様」


「だからだ・・無茶した事に関しては正直褒めはしない・・だが、あきらめず最後まで戦った事に・・俺は感謝している」


「えへへ・・ありがとうございます!・・もう無茶しません・・本当にごめんなさい!」


「ああ、それでいい・・せっかくの美肌がボロボロになったら・・嫁にいけないからな」


「よ、嫁ッ!・・いいですよ・・私を貰ってくれる人なんてきっといませんから」


「(いやいや・・将来的には魔王と・・)」


「(マオッ!そこで今夜は寝かせないぜ的な一言をッ!!)」


「お前ら二人はなんだかよく分からないが殺したくなった・・殺す」


『ンヒーッ!!』


「あはは・・元気ですね・・」


なんだか魔王さんとガッツさんそれに桃子ちゃんを見ているととても安心した。

賑やかな彼らの姿を見て、心の底から戻ってこれたと一息つくのだった。


本当に勝利できてよかった!


 ◆


「・・ほお、ロンディニアから来たのか小僧」


「はい、ちょうど修行の成果を試すいい機会だと思いまして」


「・・にしては・・賑やかな劇団にしか見えねぇがな」


「はい・・まことにもうしわけないです・・返す言葉も・・ないです」


俺は今、あの予選の後サギーさんと控室に行くことにした。

男性女性にわかれていると言う規則は特にない。

いくつもあってそこで控える事ができる。

ただ、それだけである。

・・ただ、この控室は俺のチームとサギーさんのチームしかいない。

何故かと言うと・・。


「メア様はやりすぎなんですよッ!!また控室にいる男性をあんなにボコボコにしなくてもいいじゃないですかッ!」


「そうだよ!いくら何でも可哀想だよ!!お肉がチニャッ!!ってなっていたよ!」


「・・お二人とも私を凶キャラか何かと見ていらっしゃいますか?」


『それ以外に何があるのッ?!』


そう、メアがまたしても不良に絡まれてしまった。

今度はサギーさんの介入が間に合わず。

案の定メアの能力の餌食となってしまった。

4名ほど大急ぎで搬送されてしまい、問題になるかなーっと思っていたら。

意外にも正当防衛が通じるもんなんだなーっと思う今日この頃。

兄さん、僕は女の子が怖いです。


「・・ともあれ坊主、あんまチームメイト事は攻めてやるなよ?」


「はい・・彼女たちも悪気はなかったですし・・第一に相手が悪いのは分かっていますから」


「ああ、集団イジメられはやられる方が悪い・・つかやった方が確実に悪い」


「猛毒を持った生き物には普通近づきませんよね・・」


「ああ、まったくだ」


サギーさん、鉄仮面付けているからよくわからないけど。

こんな事言うくらいだからきっと聡明なお方なんだろうな。

見た目のわりに凄いしっかりしている。


「サギー・・いつまでこんな連中と喋っている・・ワタシは退屈だ」


「カムイ・・そう言うな、もしかしたら戦う相手だ、交流はしっかりしといた方がいいぞ」


「フッハ・・その通りだカムイよ・・この世界の帝である吾輩が断言してやろう」


「貴様の言葉など知らん」


「ニャニィッ?!」


「・・二人とも・・そこまでにしろ」


「アハハ・・そちらもずいぶん賑やかなんですね」


「ああ、俺の自慢の仲間だ」


黒いハーフエルフの白髪ロン毛、赤い目をして凛々しくも美しい瞳。

かなり動きやすそうな服装をしており戦闘には困らなそうだ。

どこかの民族の衣装だろうか?

腰にはナイフなどを差している、その他かぎ爪も見える・・。

さきほどから両腕を後ろに組んで休むポーズを取っている。

とても、忠義を尽くしている人なのだろう。

名前は【カムイ】、苗字などは無いらしい。


もう片方の金髪でオールバック、それも超ショートヘアーの。

筋肉質でガタイの良い男は【ガロウ・マーディン】。

黄金の軽量装備をしたカリスマ的オーラを漂わせる男だ。

武器はなんと魔術格闘と言う、魔術と武術の合わせ技らしい。

この大会ではそれらを使用する者は多くいると言うが。

俺は大した回数見ていないからよくわかっていない。

なにはともあれ貴重な技の持ち主と言う事だけは見て取れる。


と、ここまでは目立つサギーさんが座っているソファーの後ろの二人を見た。

という事になるが・・俺にはまだ気になる人物がいる。

後ろの大人しいくらい寝ている両サイドお団子サイドテールの子だ。

素晴らしいくらい長い髪の毛に、スプーンを抱えて寝ている。

ふんわりとした白いロングスカートの衣装を着ており。

その上にケープ・・と言うやつだろうか、そんなものまで羽織っている。

白と水色の混ざった可愛い女の子だが、彼女は一体・・。


「・・あの、後ろのあの子もメンバーなんですか?」


「ん?ああ・・あいつは【リンドヴルム】だ、たまたま寝そべっているところを保護したらいつのまにか仲間になってた」


「(凄い偶然ッ?!ていうか伝説の竜じゃないその子?!なんで可愛い幼女になっているの!?)」


「ほっとけなくてな・・なにしろ力が強くて下手に近づいたら殺されかけた」


「良く・・生きてますね」


「俺様は悪運だけは強いのよな」


「あはは・・尊敬します」


なんだか凄いメンバーだ。

元帝王、黒のハーフエルフ、伝説の竜、そして運命を超えた男。

サギーさんを含め色物ぞろいのチームだ。

一体、なんでこんなチームができたんだろう。

俺は疑問に思いながらも、少し凄いなと心が躍ってしまう。


「さーてと・・そろそろ本題に入るか・・」


「ん?本題?」



「ああ・・お前と俺の・・最大級の話・・だ」


最大級の話・・いなんだかとても重要な話臭いぞ。

一体、これから何が話題となって話すんだ・・。

見えない不安が俺の心を怯えさせる瞬間だった。


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