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無限空想世界の幻想的な物語  作者: 幻想卿ユバール
外伝その3
112/150

無限空想世界の幻想的な物語~外伝~ 魔章8 「巫女と桃子」

お久しぶりです!ユバールです!

とっっっっっっってもおひさしぶりの更新です!

何していたかって?

過労で寝ていました笑

ともあれ、ようやく更新ができる事に喜びを感じております。

皆様大変お待たせしました。

久々の更新すぎてクオリティの方が下がっていたら申し訳ございません。

なにとぞ、今後もよろしくお願いします。

月光の夜空、輝く星々、煌めく月華の街並み。

今日の月明りに照らされた満点の輝かしいこの街並みは。

月杯と言う、とても特別なお祭りの開催している日の証だ。

街中は人で賑わい、多くのガヤが聞こえる。

このガヤが祭りの日と言うのをまた一段と味わせてくれる。


そんなあちらこちらで会話や噂、そして呼び込みがあるの中を急ぎ走る若者の女性と。

ぬらりくらりとマイペースにだらだらと歩く成人男性の姿があった。

スーツをしっりかと決めてオールバックに整えられたひげ。

もう一人は半袖にミニスカート、今夜は夏を決める彩で街を走って下駄の音を鳴らす。


「早く早くッ!義正さん遅すぎですよ!」


「あ~わりぃわりぃ・・すっかり本業の方はなまっちまってやる気になれんかったんらな・・体がどうしてもそちらに行こうとせんのよ」


「なーにを寝言言っているんですか!!・・貴方はあの有名記者・・現最強ジャーナリスト【写那之(しゃなの) 義正(よしまさ)】さん!私みたいな新米報道家と違って相当の実力者なんですから・・来て当然です!」


「にしたって安いギャラで雇われたもんだぜ・・写那之さんもうちょっともらえるかと・・」


「2億あったら十分だろッ?!いい加減にしろよ!」


「へいへい・・実況寺さんはいつも真面目だね~」


「当たり前です!我ら実況寺一族は実況こそが生きがい!こんな一世一代の祭りとかもう盛り上げるしかないでしょう!と言うか引き受けた仕事なんだから真面目にやれよ!」


とてもテンションの高い実況寺は写那之にそれはそれは激しいツッコみ様。

お金ももらってめんどくさがるなんて無礼だろと言われているのだ。


「実況寺・・おめぇは実況楽しいかもしれねぇけどよ・・おっちゃんもうそんな体力ないぜ?」


「大丈夫ですよ!義正さんはただ今回の事を記事に書くだけですから・・なにせ義正さんの記事は大好評・・今でも依頼が絶えませんからね!」


「浮気から誘拐までなんでもござれ・・てかこれ報道つか別の組織じゃね?」


「細かい事は良いんですよ!世のため人のため・・それが我らの役目ですよ!」


「はぁ・・まあなんでもいいさ・・とりあえずやりゃあいいんだろ?」


「はい!・・ようやく分かってくれましたか・・いやー良かった!」


「もう承諾以外道が無さそうなんでね・・諦めた」


「あはは~・・まあきっと慣れれば楽しいですよ!行きましょう!」


「あいよ・・なるべく頑張るさね」


頭をわしゃわしゃとかいてめんどくさそうにする仕草を見せる義正。

もうすぐ月杯は始まると言うのにこの二人はこんな調子で大丈夫なのだろうか?

それはまた別の話である。


そんな二人はさておき、別の場所ではまた一つ。

冒険の陽ざし・・いや冒険の光が見えていたのだった。


 ◆


「私が来た!・・誰が何と言おうと・・私が来たのよ!感謝しなさい!」


満面の笑みで微笑み、両腰にえっへんとでも言わざる負えないポーズを取る。

謎の少女、彼女は突然現れて、一体何をしに来たのか?

・・大体の予想はつくけど。


「貴様・・何者だ・・いきなりに他者のセリフをパクるとはただ者ではないな」


「うっるさいわねッ!!私の名前は【天竜川(てんりゅうがわ) 桃子(ももこ)】ッ!知らない?これでも昔・・鬼の島にいた鬼の四天王を倒した伝説の・・」


「知らん、興味ない」


「んなッ?!?!ちょっとぐらい興味持ちなさいよ!この使い古しのモップ頭ッ!」


「なんだと・・そのサッラサッラのブルーロングヘアーを今から黒染めしてやろうか貴様ッ!」


「やれるもんならやってみなさいよ・・筆みてぇな色しやがって黒染めなら貴方の方がお似合いですけど~ッ!?」


「ほおう・・いい度胸度だ・・アビスより先に貴様を抹消してやりたいぐらいだ」


会って数分でこの始末。

顔を近づけて互いにいがみ合う二人、ギラリギラと熱い怒りの表情を浮かべる。

全く、これから協力だと言うのに冗談抜きで止めてほしいものだ。


「お二人とも・・争いはそこまでにしてください!大事な月杯前に何をやっているんですか!」


「・・それもそうだが、相手がかの月の者であれば我がこうも牙を向けたりはしない・・それも【鬼殺しの桃子】ともなればな」


「ご存じでなにより魔・王・さ・ん!そうとも・・私こそ数多の鬼を殺した存在・・って知ってんじゃない!」


「アレは嘘だ」


「ムキーッ!!腹立つ魔王ねッ!!」


「フハハッ!騙される方が悪いわッ!この小娘めッ!」


「誰が小娘だッ!この筆頭!」


「なんだと変色ヘアー女ッ!!!」


この二人実は因縁の関係ではなかろうかと疑いたくなるレベルの中の悪さだ。

一体過去にどんな事をすればこんなにも険悪な中になるのだろうか。


「ふ、二人とも・・」


『外野は黙ってろッ!!』


「あ、はい」


「(いや、翡翠ちゃんの話聞いてやれよ・・)」


「(いいんですよガッツ君・・私慣れてますから・・)」


「(ああ・・嬢ちゃんも大変やな・・)」


「(全くです・・)」


こうも誰かの争い事や揉め事を見る日は久々だったが。

まあ、いつもの事なんだろうと正座して見守るくらいしかない。

ガッツ君が気持ちを分かってくれるように。

弱りきった表情の様にとても困った顔をしていた。

私もつられて困った顔のまま愛想笑いを浮かべていた。


「なんだか、とてもたのしそうですね?」


「ゲッッ?!梓様ッ!?」


「あらあら・・桃子ちゃん・・お部屋では騒ぎを起こすなら・・」


「ももももももうしません!しませんから!許して!この通り!」


「ウフフ~・・分かってますね~・・っで」


「すまなかった・・まことにすまなかった!」


「よしよし・・魔王も分かってくれたみたいで助かるわ~」


あの笑顔にとても凶悪なオーラを感じた。

それは殺意か怒りか静かな闘志かはたまた死の前兆か。

なにはともあれ魔王様と桃子ちゃんが土下座するほど恐ろしい殺意だったのだろう。

しかし、また唐突に現れたな梓さん。

さきほどまで部屋に入る音は無かったのに。

まるで気配を消していたみたいだ。


「・・と言うより何しに来たんですか?梓さん」


「ああ・・それなんだけど、出番だから呼びに来たんよ」


「出番・・と言う事は?」


「今夜の大イベント・・月杯大会よ!」


『それを待っていたッ!』


ついに待ちに待った月杯大会!

険悪なムードだった二人が初めて同意見そして同じ言葉を述べた瞬間だった。

とても嬉しそうにガッツポーズを取る。

なんだかんだ仲良しなのかもしれない。


「さて、みな準備して行くよ~・・時間は限られとるからね」


「了解!」「あいさ!」「おう!」「がってん!」


四人のバラバラの挨拶によって早々と準備して部屋を旅立つ。

私は脇を絞めて力を入れて了解の一言。

桃子さんも片腕をグッと絞めて気合十分。

魔王さんはマントをバサッと来て準備万端。

最初から気合入りまくりだからね。

ガッツ君も特に準備する事もなく返事し準備万端。

かくして私達一行は月杯大会の会場へと向かうのだった。


 ◆


月明りの街並み、賑わいの人込み。

あたりは和の街灯達が私達の道しるべとなるように道を照らす。

石レンガでできた道を渡り、小さな橋を超えてまた一つの町を渡る。

沢山の建物広がる秋風の里、とても風流でいい風が吹いて美しい里だ。

このあたり一帯に人が住み、商売をしていると言うのもまた中々すばらしい話。

私の里もいつかこんな大都市みたいにしてみたい物だ。

梓さん曰く「これでも四季の里にはかなわない」と言うらしいが。

私は「そんなはずないですよ~!」クスクスと笑いながら返した。

梓は「嬉しい事言うてくれますね~」と少し笑みとクスクスと笑い返す。

そんな話を続けていたらあっという間にとても大きなドーム会場が見えた。

そのドーム会場はとっても大きく聳え立つ。

人々であふれかえり、今もなお入場困難と言うぐらいに見える。

こんなにも月杯を見たい人達がいるとは・・。


「こんなにも祭りと言う言葉で動きそしてこの月杯と言う戦いに興味が持つ人達がいるとは・・よほど敬意のある大会なのでしょうね」


「我が生きた時代にもこうやって民が集まり何かを見ると言う行事はあったが・・まさかここまでの賑わいとはな・・」


「ははッ!あったり前よ!月杯は何年後にやるか分からない気まぐれビッグイベント!・・それにこの大会には熱い闘士を持った人達が沢山いるのよ?来て当然よ!熱い魂と熱い魂は濃かれ会う物よ!」


「おお!いいなそれ!俺っちも本気ださねぇとな!」


「そうよ!気合いれなさいよ!特にそこの巫女!」


「えっ?私?」


桃子ちゃんが突然こちらに人差し指をビシッと向ける。

こんなにも気合の入った指さしは久々に見た。

一体何を言われるのだろうか。


「アンタその気になれば超がつくほど熱い女じゃない・・もっとしっかりしなさい?」


「えっ・・あっ!はい!頑張ります!」


「うんうん・・その調子その調子!みんなが見ているんだから・・期待ぐらいには・・ね?」


「そうですね!・・みんなが見ている・・からか・・」


今思えばこの大会は観客も楽しませなければいけないイベント。

ただ勝てばいいと言う脳筋な大会ではない、全てをぶつけて全力を放ち。

相手にも周りにもただの戦いではなかったと言わせなきゃいけない。

そうでなければきっと、月杯の真意味はないのだろう。


なら私は心から誓おう、正々堂々とした真剣かつ自分の思う戦いをしようと。

今私はこの場で大会を盛り上げて、そして必ず素敵な優勝をしようと誓うのだった。


「ウッサーッ!どけウサッ!どけウサッ!」


「キャァッ!」


ドゴォッ!


いきなり背中になにかでかい衝撃が走る。

まるで両足で踏み台にされたかのような・・。

いや、今確実にされた?


「いてて・・一体何が・・」


「大丈夫かッ!?嬢ちゃん!」


「えっ・・えっ!?」


「グッ・・貴様ァッ!!」


魔王が怒りの声を上げて今飛び上がった者をすぐさま呼び止める。

一瞬にして降りて来た者は小さな幼女。

兎の耳をしたワンピース一枚の様な服装をした黒髪の兎耳の少女。

少女はこちらを振り向いて小悪魔フェイスでにやりと笑い。

あざ笑う様に話しかけて来た。


「ん?なぁにぃ?何か文句でもあるウサ?」


「あるに決まっているッ!貴様・・我が巫女を踏み台にするとは・・無礼極まりない!」


「ウッサウッサ・・知らんウサね~・・大会出場選手は急いでいるウサ!時間が有限じゃない者にいつまでも構ってられんウサね!」


「なんだと・・貴様ァッ!」


『それまでだ!因幡ッ!』


「グッ・・師匠様か・・」


「(師匠様?)」


こちらに一歩一歩歩く音を鳴らして近づいてくる。

各自に静かできれいな足取り。

私は思わずその後ろを振り向くと、そこにいたのは水色の様に鮮やかなロングヘアー。

ふさりふさと毛皮の様になびく髪の毛に戦闘服の様に動きやすそうな服。

そして筋肉質で整っている体つき、渋い顔なのにこんなにも若々しい声をしている。

一体・・彼は何者・・?


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