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無限空想世界の幻想的な物語  作者: 幻想卿ユバール
第五章 悪夢編
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無限空想世界の幻想的な物語~悪夢~ 第15話  「運命なんていらない」

世界は何を求めた。


世界は明日を求めた。


世界は希望を求めた。


いつかの私の様に求めた。


その願いは儚く散った。


叶う事は無く明日はまた絶望の黒へと染まった。


今の私の様に心は黒く染まった。


何も叶う事無く絶望の黒へと染まり行く。


私はもう何も考えられない。


何も感じられない。


全てがどうでもよくなっていた。


耳をふさいで心も塞いで真っ暗な部屋の中全てを失っていた。


見えない、聞こえない、そして何も言えない。


私は死んだのかもしれない、精神も魂も心さえも全てが死んだのかもしれない。


もうそれでいい。


もう何も考えたくない。


もう何も感じたくない。


生きててもいい、一生この場所でこうやってよう。


全てを殺そう。


何もかも殺そう。


そうだ、殺せ。


ス ベ テ ヲ コ ロ セ


 ◆


「ゼィ・・ハァ・・」


「どーしーたーのー?もう終わり?もう終わりなの?」


「まだ・・まだッ!!」


旋律の稲妻、鳴り響く雷鳴、響き渡る電流。

地獄の黒色のステージに僕は今立っている。

パフォーマンスは現在七回目・・。

見ているだけで心臓の悪い舞台が連続的に続く。

ダイスをつないで連鎖的に起こる電流にどう対処すればいいのか分からず。

連続で電流の精神的ダメージは続く。

さらに肝心のパフォーマンスは先読みの理不尽な事この上ない状況。

僕は絶望への道へと突き進まされていた。


「(どうする・・流石にもう体力が持たない・・このままではニアに不安しか与える事しか・・)」


「もう絶望に包まれてそろそろ光輝かしく楽しいショーは終わりの様ね・・」


「(クッ・・言いたい方だいか・・待てよ・・絶望に包まれる・・光輝かしい・・)」


だいぶ前にもそんな状況に陥った事があるような。

いや、と言うより僕はいつもそんな状況に陥っている。

それでもあきらめず目の前の敵に一死報える様にただひたすら立ち上がった。


「(そうかッ!これはバトルでもショー・・つまり楽しませて物勝ち・・)」


「そろそろ私も可哀想だと思うから・・このへんで止める?」


僕は減らず口を叩くように威勢よく声を出す。

ダイヤの上から目線の言葉にのせられていない。

そんな姿勢で僕は立ち上がり、再び光を取り戻す。


「やーだねッ!ニアにまだ笑顔を見せれていなんだ・・こっからが勝負よ!」


「むっ・・生意気・・いいわ、やってあげる精々あがくことね・・」


「ああ・・(しかし突破口が開けない限りアイツのショーが永遠に続く・・あの賽子が地上から空中に上がった時・・運命が・・運命が・・?)」


ふと気づいた。

そういえばダイスロール中のダイスはグルグル回転している時何かビリビリしている。

まるで誰かに回されている様に魔法が使われているかの様に。

そしてそのあとのダイスは決まって偶数だ。

6と2と4どれかしかまだ出ていない。

いくら奇跡が起きようとそれだけしか出ないことはあり得るのか?


「・・そうかッ!そういう事かッ!!」


「それじゃあ・・イッツア!ダイスロールッ!」


空中に浮遊しまた回転をし始めるダイス。

ビリビリと電流を放ってグルリグルリと回る。

目で追えないほどの回転は次第に強さを増していく。

しばらくして回転が止んだ瞬間僕は即座に銃を向ける。


「ここだッ!」


「な・・・ッ?!」


バァァンッ!カァァァンッ!!


三つ落ちるうち一つのダイスが鋭い一線の弾丸と衝突し。

鉄と鉄ぶつかり合い部屋に響き渡る音。

カランコロンと落ちたダイスはダイヤの前に転がり落ちて数字を導きだす。

その数字は3ッ!


「・・3ッ!?だとッ!?」


「見破ったぞ・・お前の不正ッ!」


「な・・・なにゅいッ!?」


「その焦り戸惑う表情に声は間違いない・・不正したという事だな・・」


「そ、そんな事ないしぃ!?こ・・これは貴方が馬鹿た発言をしたからつい口を開いただけよ!」


「・・果たしてそうかな?」


「お・・おお!」


僕の余裕の表情にニアも感激している様だ。

いつもの僕が戻ったことによって安心とそして感動を得ている。

逆転こそ舞台の盛り上げに一番の効果的な演出だ。

特にダイヤが過激すぎることをしたせいで。

逆転が一気に僕の火付けとなる。


「ダイヤ・・君はこのサイコロの数字を気にしていたかい?」


「そ・・・そりゃあまあ・・」


「そう、そのわりには目の動きは中央の床集中・・まるで回してい時から分かっていた様だった・・さらに言うなら君はダイスが終わるコンマ2秒の前にすでに前足が出て入る」


「そ・・そんなところまで!?」


「悪いね・・目だけはいいからッ!さらに言うなら数字のワンパターン・・続けざまに偶数ばかり・・奇数は一度も出ていない!」


「ギクッ!?」


「何故そこまで偶数のみ登場したか・・答えは一つ・・君は奇数の出る種目は全て不得意だからだッ!」


「ギギギギッ!?」


論破されていくごとに後ずさり。

一歩一歩確実に追い込む。

不正行為に走る奴は追い詰められるほどボロが出やすい。

ばれるかもしれないと言うプレッシャーの中。

一つでもばれた瞬間全てが終わるからだ。

だからこそ・・終わりこそが全てを崩壊させるッ!


「お前は・・不得意な種目があらかじめ出ない様に・・ずっと得意種目のみの目数をその能力によって操っていたんだ!君はその能力を器用に扱った・・こんな不正朝飯前だろう!」


「アァァァァハンッ!!」


ドサッ!


頭を抱えながら叫び倒れるダイヤ。

ついに追い詰めたぞ・・論破してやったぞ!

わりと簡単かつわかりやすい不正な手品で助かった。

ビシッと指輪さしてまるで最後のとどめかの様に決める。

そして、あまりのショックでダイヤは泣き崩れて行った。


「うぇぇぇぇぇぇんッ!!だってだってぇぇぇ!何回やってもうまくもならないし!誰も私に教えてくれないんだもぉぉぉぉン!私ちゃんと言ってるのに!やり方がわかりま゛ぜぅぇんてッ!!なの゛に゛ぃ!!なのにい!!あ゛あ゛あ゛ぁ゛ぁ゛ン゛!!」


「だから不正を?」


「そうするしかないじゃない!人生の運命の先が決まっていれば楽な事この上ないじゃない!私だって楽でいたいの!ずっと決められたレールの上を楽して生きたいのッ!勝負にも人生にも負けたくない!だから不正だってなんだってやる!一か八かの博打だなんて・・」


「それで客が喜ぶのか?」


「・・・えっ?」


泣き叫びそして嘆きを放つ一人の少女。

部屋にはその嘆きが響いた事だろう。

きっと誰の心にも届いていただろう。

けれども僕はそれでもまだ自分の論理を語り続ける。

たとえ泣いて口をこぼしたとしても・・間違っていた事を許すなんてしない。

ただ・・そんな事は止めてほしいと言うだけだ。

僕なりの答えでだ。


「勝負に勝つとか人生に負けるとかどうでもいいだろ、人生はゲームだギャンブルだ博打の道筋だ・・何が起こるかわからないだからこそみんなリセットも無しに食いなき自分の博打をしている!」


「・・・」


「定められた運命で勝った勝利なんて楽しいか?約束された幸せなんて嬉しいか?違うだろ!幸せも勝利も・・来ないかもしれないから嬉しいんだろ!」


「!!!」


「負けたなら次勝つ、勝つために一歩を踏みしめる、不幸が来たなら次の幸せはきっとすごいものだ・・そう思えるから!定めも必ずもいらない!それが人生だッ!」


人生はきっと定められて楽しいものなんかじゃない。

分からないからこそ歩くのが楽しい。

これは僕の勝手な理論だがそう思うんだ。

勝負も負けてもいいその次勝てた時喜ぶ。

悔しいからこそ成長できる。

悲しいからこそ成長したくなる。

だって次つかみ取る勝利のためのその敗北と不幸なのだから。


「失敗も敗北も恐れるな・・完璧なんて存在しない・・未完成だからこそ・・いや未完成じゃなきゃ・・できないものがある!」


「チャレンジャー・・」


僕は今言える言葉を全てぶつけた。

輝かしいほどの笑顔で、舞台の上で語った。

両手を広げさわやかにそして明るい声でダイヤに語ったのだ。


「・・苦手も含めてさ」


その時、僕は後ろを振り向いて。

ステージの中央には無数のリングが現れていた。

そのリングをカチャカチャといじって僕はダイヤに。

いくつもつなぎ合わされていたリングを見せつけた。


「嫌だと思う事・・少しずつ克服すりゃあいいんだよ!」


「そっ・・か・・・そう・・だよね」


ダイヤがにっこりと微笑んだ。

クスクスと笑い、衣装を叩いてキリッとした表情で立ち上がった。

一歩一歩靴の音を響かせ歩いてダイスを一つ一つ丁寧に取る。

全て取り終わったダイヤがまた元の場所に戻り。

真剣な表情でこちらを見て言った。


「だったら・・もう一度勝負してくださる?今度こそ定め無き運命の下で」


「いいよ、存分に楽しもう!」


「ええ!なんだか・・少し頭が吹っ切れました!いきましょう・・イッツアダイスロール!」


両手を思いっきり上げて全てのダイスを飛ばす。

そしてダイスは空中に止まる事無く地面へすぐに落下する。

それはごく普通に、誰の手にも不正など無い。

真っ当なダイスの導きが記された瞬間だった。


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