無限空想世界の幻想的な物語~真紅~ 第9話 「血の決闘」
「な、なぜ!?何故だッ!何故・・ッ!」
「・・・正直自分でもわからねぇな・・突然こんな力に目覚めちまうなんざ」
僕は今、謎の状況になっている。
目を真っ赤にした真紅の眼差しで絶対普段ならできない鋭い目をして、
奴に奪った銃を奴に向けて堂々と戦意を表しているッ!
そしてなんかさらっと変わっているこの銃、
まるで幻想的な銃だ、
後部に青い蝶の様な羽をヒラヒラと飾られている。
黒い茨の様なツタや、
先端には上部に丸い刃が一本、下部には刃が二本、
このとても幻想的な銃はまさしくそのまま「幻想銃」と呼ぼう。
片手にはちらっと見たが、
もはやナイフではなくロングソード、
まっかなメタリックなレッドとブラックでコーティングされ、
唾には黒い羽が生えていた。
芸術的な剣だがこちらはなんとも言えないし、まだ名前は付けないでおこう、
それはさておき、
今はかなり強い気がする。
強い(確信)だ、流れかわった、強そう、
これは各自に勝利のフラグが立ったに違いにない、
僕が今まで何も出来なかったこそ、
この大きなプレゼントはデカイッ!
僕は今、猛烈に調子に乗っているッ!
「フフッ・・大変だったぜ・・ここまで出来ないワンワンのフリをするのは・・骨が折れた・・いや、腰がくたびれた」
「どうでも良いわよ、そこら辺は」
「ウオッ!お嬢様お元気でッ!」
なんと、あのボロボロのお嬢様がキズはあれど、
腕組みしながら立ってこちらを見ていた。
「貴方から血をいただいたと言ったでしょ?そのおかげで少し楽になったわ」
「はは、不健康で不健全な血で満足してもらってどうも」
「なんの、むしろとても美味だったわ」
「それはさておき、そろそろこの状況を説明していただけるとありがたいのですが」
「ああ、そう言えば説明まだだったわね」
「頼んますよ~、僕ソシャのチュートリアルてっ結構見る派なんで~説明書とかがっつり見てるんすよ?」
「はいはい、わかったからこれ以上他所に喧嘩を売る様な行為は止めて頂戴」
「サーセン、で、説明を」
「まあ単刀直入に言うと貴方を吸血鬼として開花させてあげたのよ、ヴァンパイアは血を分け与える事でその人を吸血鬼として仲間にする事が出来るの、ゾンビみたいな感じで構わないわ」
なるほど、要するに僕はラクーンなシティーでバイオなハザードになってしまったわけか、
僕、吸血鬼にナッチャタヨー
「ちなみに僕、元から一様吸血鬼なんだけど・・なんでこんなあからさまに今吸血鬼になったみたいな感
じに・・」
「それはおそらく、血と血の融合での変化ね、私自信もただのヴァンパイアじゃないし、貴方にはさらに違うヴァンパイアの血、この結果1+1=2じゃなくて、2×2=4になったわけよ」
「へ、へえ~完全に理解した・・」
「要するに今貴方は複合ヴァンパイアよ、歴史上そんなヴァンパイアはいなかったから不安だったけど、これは大きな快挙ね」
「なんだかよくわからんが・・すげぇな!」
「ふっ・・当然よッ!なんたって・・私の血なのだからッ!」
「どうでも良いが早く闘えッ!こちとら貴様らの長い長い茶番にうんざりしている所だったのだぞッ!」
すっかり忘れていた、そういえばあんな奴いたな。
いや、忘れてしまっていただけだ。
恨み妬みを抱いたわけじゃないが、僕としたことがうっかりしていた。
本当は戦いで何かを制するのは嫌だ。
だけど、時には戦ってどうしても答えを出さなきゃいけない時がある。
それが今だ、今こそ戦いにおいて死をなさず
相手に自分の正義を示さなくては、この先に生きれる未来は無いッ!
今だけ戦う、今だけはたとえ間違っていても戦うッ!
僕は女帝の前を向いて、覚悟を決め、戦いの意思を固くする。
「それじゃあ、始めようか・・女帝さん・・けど、後悔すんなよ?」
「なんだと?」
「今の僕はただの骨っこで散歩に出かける名犬ポチじゃない・・骨っこ一つでご主人様に触れる悪い奴全員噛み砕く番犬ポチだッ!」
「(まあ・・素敵ッ!)」
「(凄まじくダサいッ!)」
何やら暖かい視線と冷たい視線が伝わるが、
僕は決まったなッ!と心の中で思うのだった。
「そんじゃあ・・行くぞッ!」
「来いッ!番犬よッ!」
互いの視線がぶれる事なく決闘は始まった。
先手で動いたの僕、
地面を蹴って勢いよくブーストを駆ける体、
軽い、今まで以上に軽い、元から足には自信があったが何だこのあふれ出る勢い、
感じる、風が僕と共に駆けているのが伝わる。
走れば走るほど勢いを増す風が僕に纏って行く、
「早いッ!何と言う速さだ・・ッ!」
「良いねッ!その反応ッ!ここから始まる僕の必殺技ッ!【風魔弾】ッ!!」
勢いよく飛び上がり、蹴りかかるこの技はあのスカーレットキックの応用編ッ!
本来あの技は真っ直ぐ正々堂々とした一直線で行われる技だが、
それを少し高さを変えての邪道蹴りだッ!!
「うぉぉらあ食らえッ!」
「抜かせッ!お前もチェーンと槍の餌食にしてくれるわッ!」
またしてもあの杖から銀の楔が放たれる、
だが、これに対して何も考えてなかったわけでは無い、
むしろ僕の考えがそうささやいたから今この状況なのだッ!
「悪いチェーンは巻かなければなるまいッ!スパゲッティをフォークで巻くようになッ!」
「何だとッ!?」
さっきのお嬢様の戦いが間違っていたわけではない、
だが相手はそれを読んでいたかのようにチェーンで身動きを取れなくした。
これは相手のれっきとした作戦、
ならこちらもお嬢様をやられたからにはそれに対してお嬢様の敗北を無駄にしない作戦で挑むッ!
さっきのがもしネジ穴に突っ込んだドライバーだとしよう、
ならその先どうすればいいのかッ!
「これが答えだ・・その答えこそが・・僕が、僕自身が回転する事ッ!【旋風魔弾】ッッ!!」
「け、ケリをしながら回転しているだとッ!?」
「そうッ!この回転により行われる処理こそが常識的馬鹿みたいな答えその①ッ!風の回転によって風の周りをぐるぐる巻き込むチェーンをこの剣に巻きつければ・・」
剣を回転の終着へと持っていき、一気に剣へ巻きつける。
するとみるみる楔は限界を迎え、とうとう半分を剣で巻きつけた。
「ば、馬鹿なッ!?」
「ああ、馬鹿だね、コメディだね、ギャグだね、こんな夕方ゴールデンタイムに放送されるヒーロー物にありがちなやり方されたらそりゃあ辛辣な目で見ますわッ!けどなッ・・」
「なっ・・ッ!!?」
僕は一気に巻き上げた剣を地上へと放り投げ、
地面へ突き刺す、
その力強さに引っ張られ女帝はバランスを崩す、
そして僕は回転を止め、
この空中の上で静かに銃を構える。
「それでも、勝てば正義なんだろッ?女帝ッ!」
バァンッ!
放たれる銃弾、二つの穴から弾が発射される。
銃口から激しい回転の音、銃弾の後ろにある火薬が勢いよく爆発させ飛ばす。
その球は速く赤く凄まじい力の勢いで猛スピードで相手目掛けて発射された。
この瞬間まるで時がゆっくりになった様に、
まるでハリウッド映画のワンシーンの様に、
劇的なシーンが行われているかのような場面だッ!
たまが残像でも残すかのように、光の線を描いたかの様に進む。
赤い閃光、まさしくそれが似合うぐらいの真紅の弾だった。
二つの弾は別々に当たった。
一つは頬をかすり、もう一つは仮面を命中させたッ!
「ハゥッ!?」
吹っ飛んだッ!体の重心が傾いた今こそチャンス!
ここで逆転の一手を与えればもう勝利は確定だッ!
「よし、見事に着陸したところをここで仕留めれば・・」
「そう簡単に上手く行くと思うなッ!小僧ッ!!」
「なんとッ!?」
僕が着陸したその時、
一瞬にしてあの女帝が体制を立て直して、
僕の目の前へと襲い掛かる。
割れた半壊の仮面の中から見えた恐ろしい憎悪で満ち溢れた顔でこちらにやって来る。
このままでは、確実に何かされるッ!
その瞬間目に留まった銃口の後部にある謎の撃針、
これは何かのスイッチか?
しかしもう考えている暇はない、これに賭けるッ!
一か八か僕は右手の銃を前に突きだして、
撃針を弾くッ!
「いっケェェェェェッ!」
その瞬間銃は巨大な狼のを後部から出現させる。
僕の前を覆いつくするくらい巨大な獣、
そして、次の瞬間ッ!
グシャァッ!!
「あ゛あ゛あ゛ぁ゛ぁ゛ッ!!!」
「ぬぅぃッ!」
何かを千切り取った音、エグすぎる音が鳴り響いたが、
一体何が起きたのか、
獣が僕の目の前を覆い隠していたから良く見えていなかった。
僕は巨大な獣を出した衝撃で闘っていた階段を大きく下がり、
また下のロビーへと勢いよく堕ちる、
こけぬよう衝撃に耐え、地に足を付けて這いつくばり、
あの抑えた時の様に大きく後ろへ押し戻される。
「・・何が、起きたんだ」
「はぁ・・はぁ・・馬鹿な・・」
「嘘ッ・・彼女の腕を食いちぎったッ!?」
「・・なるほど、こりゃあ・・カサスどころの騒ぎじゃないね」
「ありえない・・私の・・我の右腕を・・」
必死に取れた右腕があった右肩を抑える女帝、
あの女の腕を?いだ、この銃が・・、
恐ろしい、自分でやっておいてなんだが、
中々に狂気じみた武器だ、
そしてその食いちぎった腕も、食いちぎった獣の姿も無い、
おそらくまたこの銃の中にいるのだろう
銃の中に住みつく獣か、、
なんともまあ、幻想的な事で・・、
「それよりも、お嬢様大分ショッキングなシーンになりましたが大丈夫?主にR-15判定に響かないか大丈
夫?運営に怒れない?」
「ええ、ちょっと驚いたけど・・慣れっこよこんなもん、あとちょっと口閉じた方が良いわよ」
お嬢様は少し驚きを隠しきれない表情と冷や汗が止まらない状態だ、
そりゃあ銃から突然獣が飛び出たら誰だって驚くよな、
が、次の瞬間さらに後ろから爆音が鳴り響くぐらいの衝撃が走る。
僕はなんだッ!?とっ思い後ろをふり返って見ると、
そこにいたのはあの2人、ジャックさんとリアリナさんだッ!
「お嬢様ッ!ご無事でぇぇぇぇ!」
「無事かッ!銀ッ!」
「ジャックさんッ!それにリアリナさんもッ!」
「ちょっと・・リアリナッ!近いッ!嬉しいけど誓いよぉッ!」
「会いたかったッ!お会いしゅうござましたぁぁぁッ!」
ああ、もうめちゃくちゃだよ、
こっちはそれどころではないと言うのに、
「ジャックさんは操られていなかったんですね、ビックリです」
「ああ、あんなもんは最初のうちに解いた、簡単な呪痕だったな」
この執事何者だよとツッコミたくなるチートレベルの執事だなおい、
呪痕解けるとは一体何やってた人なのか、ともかく無事で良かった。
「ちなみにあの・・あれはリアリナさん?」
「ああ、間違いない、気持ちはわかるが・・本来奴はああ言う奴だ」
「うへー、こりゃあ世も末でさー」
「そうだな・・」
お嬢様にすりすりと抱き着いてお嬢様が若干ドン引きしているこの絵図らはなんだろう、
普通こういうは百合と言うやつで狙って行けるはずなのだが僕の知ってる百合と何か違う、
なんかこう、愛情が片寄りが出てどちらかと言うと教信者×女神的な、
なんかごめん、今のは聞かなかった事にしてくれ。
「それはそうと・・アイツはもしかして・・」
「さっきやっつけた・・はずだけどこれって・・」
ジョーカーさんに言われて後ろをふり返る、
すると様子がおかしい女帝の姿がそこにはあった。
「お、お前・・ごときに・・この私ガッァぁぁッ!!」
左手でまだ手を動かし、杖を握りこちらへ謎の黒い攻撃をしかけきたッ!
奴はまだ、動けたのだッ!
「しまったッ!完全に油断してたッ!」
「馬鹿野郎ッ!やるなら最後までちゃんと息の根を止めたか確認しろッ!」
「相手は命を持った人間なんだからできるわけないだろッ!」
ここで僕とジャックさんの間で意見が割れてしまい痛恨のミスッ!?
だが、仕方があるまい、腕を取った相手に対して追い打ちをかけるなど、
僕にはできない、そんな事ッ!
「お嬢様、お守りしますッ!」
「リアリナッ!」
向こうには最強の警備システムがいるから大丈夫だけど、
野郎二人で魔法に対してどこまで立ち向かえるかッ!!
不安だが僕とジョーカーさんは体制を立たせ迎え撃つ準備、
リアリナさんがお嬢様を守る姿勢に入る。
「フハッハッッ!これでジエン・・」
『結界術:血糸界ッ!』
その時、上を通ってあの女帝に降り注ぐ大量の真っ直ぐ続く糸、
赤い赤い真っ赤な糸、
そして、落下して奴に全て突き刺さるナイフ、
あの糸の先端に付いていたのか、
「ウォォォォッ・・・」
「止めてくれないかな・・僕の大事な大事な兄さんに手を出すのは・・」
「この声・・ジンッ!」
糸は奴を突き刺し奴の動きと攻撃を全てかき消した。
とても苦しそうにもがき苦しむ女帝、
そして糸を発射した後ろを見れば、
とてもミステリアスな顔をしたジンの姿があった。
「やあ、兄さん・・助けに来たよ・・」
風は冷たく、凍えつく目、
醸し出す憎悪、まるで昔見たあの光景を思い出す。
僕の弟は、
見た事もないとても怖い弟になって、
僕を助けに来て・・くれた?
とぅーびぃーこんてぃにゅー?




