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織田信長という謎の職業が魔法剣士よりチートだったので、王国を作ることにしました  作者: 森田季節
大聖堂との戦い

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71 平定完了、軍を引き返す

 その間に、俺は剣を振って、男の首を飛ばした。


「反逆者を討ち取ったぞ! この砦はこれにて陥落したっ!」


 雄たけびが各所で上がる。これでもう、敵軍は戦う心がくじけただろう。これでまだ戦えるならたいしたものだが。


 敵兵は俺たちが攻めた正面とは逆の側から落ちていく。やはり、脱出ルートがあったらしい。

 けど、そこにはケララの軍勢が控えているけどな。


 俺のもとに将が集まってくる。ラヴィアラも額に汗をにじませながら戻ってきた。

「アルスロッド様、お疲れ様でした! これでアルスロッド様のお力が王都近辺にも喧伝されることになりますよ! この摂政がどれだけ強いかみんな思い知ったでしょう!」

「終わったような顔をしているが、まだ終わってないぞ。とくに弓兵はまだ一仕事ある」


 敵に戦う気力がないからといって、こっちが戦わないということにはならない。

「砦の逆側に弓兵を置け。ケララに逃げ道をふさがれて、また砦に逆戻りしようとする敵兵がいたら射殺する。今度は高台からの攻撃だからよく狙えるだろう」


「アルスロッド様は容赦がないですね。すぐに用意いたします」

「俺に立ち向かおうって気を萎えさせないといけないからな。この先で立てこもられてはたまったもんじゃない」


 ケララによる地上からの矢の攻撃を受けて、逃げ出そうとした兵士たちは射殺されて、斜面に近い脱出路から転げ落ちていた。道が狭いから戻れる者もそうそういない。そういった珍しい者だけをラヴィアラの部隊が射殺する。

「さて、あまりゆっくりしている時間はない。ノエンの別動隊と合流する」


 俺はすぐに軍の進行を再開した。大変だが、これは往路だ。 

 復路はもっと疲れるものになる。

 ここにいる者全員が王都に帰りつけるようにしたいところだが、さてさて、どうなるかな。



 それ以上、俺たちに抵抗する領主は存在せず、無事にノエン・ラウッドが動かしていた五千の軍とその地方最大の都市で合流した。

 建物を一つ接収して、将を集めて、早速ノエンから戦果を聞く。


「小さな集落で二か所ほど交戦しましたが、完勝しました。敵の首も披露できますが」

「あとでいい。これからが本番だ。服従の姿勢を見せている領主層から人質はとっているな?」

「はい、そこはぬかりはありません。もちろん客人のように丁重に扱っています」


 ならば問題はない、話はすぐにオルセント大聖堂の側に軍を引き返すことに移った。


「敵はどこで待ち構えているでしょうか?」

「向こうは大軍だ。広い土地でなければ戦えん。それと、俺たちに王都に戻られると、向こうもやりづらくなる。まさか、王都を焼き尽くすわけにもいかんからな。となると、だいたいの見通しはつく」


 ソレト川というかなり幅のある河川がある。その付近の平野部でぶつかることになるだろう。


「ノエン、お前の軍の疲労具合はどうだ?」

「少し休めば、どうということはありません。まだまだやれますよ。むしろ、戦勝で意気が上がっているぐらいです」

「それならよかった。本番で力が出せないとなると大変だからな」


 まだラッパからの最新情報は届いていない。俺はケララに問う。

「こちらの兵は合流して、一万三千。大聖堂はいくらだ?」

「周到な準備をしていたとも思えませんから、今すぐなら一万五千もいないかと思います。ただ、大至急、周囲から信者を集めているでしょうから、ゆっくりしていれば二万は確実に超えるでしょう。二万五千といったあたりになるかと」


「だいたい、こちらの倍か」

 将の中には二倍の敵兵と聞いて顔を曇らせる者もいた。おいおい、二倍ぐらいで恐れるようじゃ、俺の下では働けないぞ。そう思ってあらためて見てみれば、案の定、王都に来てから仕官することになった者だった。


「お前、何か言いたそうだな。罰したりすることはないから、好きなことを話せ」

「倍の数を相手にするというのは危険です……。ここは国王陛下から休戦の提案を出していただくというのがよいのではないでしょうか……。国王陛下に堂々と逆らうということは大聖堂もやりづらいはずです」


 ――ほう、なかなか頭がまわる奴ではないか。朝廷や将軍はそんなふうに使う価値があるからな。あながち間違ってはおらん。ここはこれを選べ。


 オダノブナガも考えることはなかなか堅実だな。


「お前の案も一考に値するな」

「ありがたき幸せでございます!」

「だが、その選択肢をとるつもりはない。このままぶつからせてもらう」

「なっ……。敵は倍、しかもこちらは行軍で疲れもたまっているはず……。危うい結果になりかねません……。そのような賭けに出るのは危険です……」


 大聖堂と戦うのがよほど怖いのか、その将はふるえあがっている。王都近辺に拠点があった者ほど、その力は身にしみてよくわかっているということだろう。


「一つ訂正しておこう。賭けになど俺は出ているつもりはない。十二分に勝てる、そう踏んでずっとやっている。もし、本当に賭けなら、そのうち何度かは失敗して俺はこの地位にいない」

 俺は笑いながら、その男を見下ろした。


「摂政というのはそんな匹夫の勇だけでやれるほど簡単なものではない。聖職者には自分たちの領分に帰ってもらう。これ以上、槍や弓を持ってくちばしをはさまれるのは終わりにする」

 オダノブナガからもさんざん話は聞いている。宗教勢力は領主以上の強敵だ。少なくともつけあがらせないようにしておく必要がある。


 俺は誰よりも偉くなるつもりでいる。王を目指すということはそういうことだ。ずっと、大僧正の顔色をうかがう摂政や王など話にならない。


「さ、さしでがましいことを申してすみませんでした……」


 とはいえ、倍の敵と正面から当たる気持ちもない。

 小細工は仕掛けないといけないな。まあ、仕掛けられるだけの人材はこちらにはある。


「心配するな。本当に腹を立ててはいない。むしろ――」


 国王を使って和睦しろという意見のおかげで、いい案が出てきた。


「感謝しているぐらいだ。これからも俺を怖がらずに意見を言ってくれ。俺はお前の味方だからな」

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