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織田信長という謎の職業が魔法剣士よりチートだったので、王国を作ることにしました  作者: 森田季節
大聖堂との戦い

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68 環濠都市破壊

「ああ。今までよく我慢してたな。ここは好きなだけ暴れていい」

 俺としても、こいつらの本領を一度目にしておきたかった。


「ありがとうございます。私の部下も喜びます」


「お前ら、親衛隊の品格を汚すような真似はあまりするなよ」

 白鷲隊の隊長レイオンが眉をひそめた。性格的に絶望的なほどに合わないだろうな。まだ、赤熊隊のオルクスとのほうが話が弾むだろう。オルクスは豪放だが、残忍なところはない。


「私はあなたに仕えているんじゃなくて、あくまでも摂政様に仕えてるんです。それに品格を無視したほうがいい場合だって戦場にはあるんですよ」

「お前な! あとからできた部隊のくせに!」


 レイオンも優美な戦いを心がけてはいるが、本人は割と激情的ではある。


「やめておけ、レイオン。親衛隊にはそれぞれ違う性格を与えている。白鷲隊が最も活躍する局面もあれば、そうじゃない時もある。それだけのことだ」

「わかりました……。出すぎた真似をいたしました……」

 あっさりとレイオンも頭を下げた。


「よし、では黒犬隊、逆らう連中に地獄を見せてやれ」


 ドールボーはすぐさま姿をオオカミに変化させる。部下のワーウルフもオオカミに姿を変えていった。中にはドールボーと長らく戦ってきた者も含まれている。


「ウゥ……ガウガウ!」

 ドールボーが唸り声をあげる。これはオオカミらしい声を出しているんじゃなくて、符丁の意味がある。だいたい、ろくでもないものだ。

 オオカミたちは濠を適当にめぐって、一番街の側の塀が低いと思われるところにジャンプして、よじ登る。


 敵が槍でこれを討とうとした頃には、すでにオオカミたちが入り込んでいる。中にはジャンプ一回で濠を越えて、中に入った者もいた。

 すぐにいくつもの悲鳴が聞こえてきた。戦うことになんらためらいがない奴らは強い。


「かなり殺しているみたいだな。外に待機してる側は橋の前で待つ。いや、その必要もないか」

 一度、黒犬隊が踏み込めば、むしろ外に逃げられないだけ悲惨なことになる。


 やがて、いたるところから火の手が上がった。


「やっぱり、荒っぽい連中ですね」

 俺のそばにいたラヴィアラも味方の優勢を素直に喜べないらしい。



「あれはもう奪ったか、ここにはめぼしいものがないという合図だ。あいつらはとにかくすぐに焼くからな。それで攻め込んだ場所が黒くなるから黒犬隊と名付けた」

「あまり敵にまわしたくない人たちです」

「そういうのを味方に入れておくことが大事なんだ。相手が嫌がることをやるのが戦争だからな」


 途中、もはや打つ手がないと観念した武装した住民たちが塀を越えて、濠のほうに飛び出そうとした。完全に内部は殺戮のちまたになっているんだろう。


 ただし、もちろん逃げるのを許すつもりなんてない。

 ラヴィアラが「撃ちなさい!」と味方の部隊に命じた。


 矢がほとんどまっすぐ飛んで、敵に次々突き刺さった。

 橋まで引いて、待ち構えてたってことは徹底抗戦の意思は明白だ。もし、俺たちが素通りすれば、背後から襲われていただろう。


「ラヴィアラ、容赦はするな。初戦で見せしめにするのは戦のしきたりだ。別に罪に感じる必要もない」

「ご心配にはおよびません。ラヴィアラもその覚悟はありますから。それに、どのみちもうたくさん人を殺していますから、報いを受けるなら、今更何も変わりませんし」


 気丈にラヴィアラは答えると、また矢を発した。



 その戦はわずか一時間ほどで終息した。

 内側から黒犬隊が徹底した攻撃を加えた。ただし、ドールボーいわく、小さな町なので、奪えるものも知れていたという話だったが。


「長引くと、面倒な戦だった。すぐに終わって助かった」

「速さが身上なのは私も同じでしたので。奪えるだけ奪ったらすぐに殺す。あるいは殺してから奪う、このどちらかです。のんびり物色していれば、命を狙われます」

「本当にお前は傭兵出身といっても、盗賊寄りの傭兵だな」


 敵の生き残りはほぼなし。環濠の周辺は俺の軍に囲まれていたので、逃げ場などなかった。

 町の名前はメセといったらしい。今日、その名前が地図から消えたな。


 このことを敵方の都市に広めておけとラッパに命じた。

 大聖堂につくか、俺につくかとことん迷ってもらう。

 まあ、すぐに大聖堂を見限ることは小領主も都市もできないだろうが。それでも、あと、二か所ほど焼き討ちにすれば降伏するところも出てくる。


「よし、どんどん進むぞ。とにかく、力攻めでいく。防戦する暇もないと思わせる。ノエンの別動隊におくれをとることなく、けりをつける!」

 最低限の論功行賞が終わったら、俺はすぐに兵を進軍させた。


 途中の都市や城は大半が俺に反抗するつもりでいる。これを片っ端から落として、ノエンと合流してこの地方の平定を完了させる。


 ――お前はどうしてこんな賭けみたいなことをやるのか、覇王にはさっぱり理解できん。もし、平定にてこずったら、大聖堂の信者たちがやってくるぞ。距離からして二日のうちにあらかた平定できんと手遅れになる。


 二日あれば、どうにかできる。どうせ敵はザコばかりだし、王城に戻ったって、そこを攻められる。俺が防戦したって事実は作りたくないんだ。それで勇気づけられる敵方の勢力ができる。


 最初に滅ぼした町からせいぜい五千ジャーグほどの距離にある小領主の城も力攻めで、一気に落とした。この戦いには白鷲隊のレイオンを前に出した。領主一族を殺して、先へ急ぐ。


 その次の都市は武装を行わず、こちらを通してくれた。

 流れはそれなりに来ている。やれないことはない。


 次に待ち受けているのは、このあたりの有力領主二人の連合軍がこもっている砦だ。

 数は千五百ほど。砦は木と石、それとの混成だが、それなりに規模は大きい。


 ここを落とせるかどうかでそのあとの命運も決まるかな。


 もちろん、簡単に落とすつもりでいるけどな。

 オダノブナガという職業の恐ろしさ見せてやる。

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