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織田信長という謎の職業が魔法剣士よりチートだったので、王国を作ることにしました  作者: 森田季節
王都突入へ

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44 自分だけの家臣に

 マウストに戻ると、俺は皇太子のハッセのところを訪れた。

 皇太子用に城に別邸を建てている。こちらでハッセの家族は住んでいる。


 ちなみにハッセは重臣の娘を側室として娶っていた。といっても正室ではないということになっている。いずれ王となるまで正室は置かないということらしい。


「皇太子の近衛騎士であるケララのおかげで、よい戦いができました。ありがとうございます」

「ケララか。あやつは頭でっかちなだけの女であるぞ。ドワーフは仕事は勤勉というが、勤勉すぎて息が詰まる」

 あまりハッセはケララを重んじてはいないらしい。


「息が詰まるというより、いかにも近衛騎士という体つきをしていて、顔も美しく、息を呑むほどです」

「伯爵はお世辞が上手だ。そんなにご執心なようなら、正式に家臣としてお譲りしよう」

「ありがたき幸せ。すぐに領地を与えて、子爵として遇しましょう」


 はっきり言って見る目のない男だな。でも、おかげでよい将を手に入れることができた。


 ケララは女性なので、城の妻がいる区画にも入ることができる。おかげで、女性が行う年中行事などもかなり整備することができた。体裁だけなら王城なみのことができる。


 それと、ケララの表情が凛々しいと侍女などの間で黄色い声が上がっていた。たしかに青年騎士の雰囲気も持ち合わせているからな。皇太子に仕えていただけあって、清潔感がある。


 そんなケララを呼んで、次の戦争について話をした。

「次はシャーラ県に攻め込む。アントワーニ家はそう恐れてはいないが、かの地には手なずけたい有力諸侯がいる」

「ニストニア港を押さえているニストニア家ですね」


 すぐにケララは答えた。これぐらいのことはわかっているな。

「そうだ。ニストニア家は有力な海軍を有している。近隣の勢力と協力すれば二百も舟を操ることもできるという。それで海上交通を支配している。俺は出自が海のない県だから、海軍に乏しい」

 ニストニア家はぜひとも手に入れたい。


「陸から攻めて滅ぼすことはできるだろう。だが、ニストニア家が滅べば海軍もちりじりになる。無理に陸の指揮官を海で使っても海の連中もついてこん。ここはニストニア家を引き抜きたい」


 アントワーニ家の影響力はないことはないが、ニストニア家は独立した勢力だ。これまでは無視を決めこんでいるが、引き込めないことはない。


 黙って、ケララはその話を聞いていた。たしかに無表情ではあるから、ハッセは辛気臭いと思ったのだろう。ただ、特殊な職業を授かっている者同士、俺は親近感が湧いていた。


「このニストニア家は港を領しているだけあって、それなりに潤っているはずだ。海から文物も入るから、田舎貴族とは価値観も違う。これをお前が接待で落とし込んでくれ」


「接待で、ですか?」

「そうだ。お前ほどの文化人はこの土地にはおらん。もしかすると、アケチミツヒデという職業のおかげで王都の者と比べても随一かもしれん。最高の文化水準をニストニア家に見せつければ、彼らはとてもかなわぬと思う」


「承知いたしました。王をもてなすかのような最高のものを用意いたしましょう。こちらにお越しいただくことさえかなえば、必ず満足させてみせます」


 そう、ケララはうなずいた。


「ああ、お前が失敗をするとは思っていない。それと、もう一つ、用件がある。少し、こちらに来てくれないか」

 黙って俺のところに来たケララの口に、さっとキスをした。


「伯爵は物好きでございますね」

「そんなことはない。皇太子はお前に興味がなかったらしいが、実にもったいない。俺はお前に落とし込まれた」


「皇太子はドワーフの出自を嫌がっていらっしゃるのでしょう。全盛期の王家の近衛騎士に、エルフやドワーフ、その他の獣人などは含まれていませんでしたから」


 キスをされた後も、ケララは表情は変えなかったが、

「その奇妙な職業のことで、バカにされたことがなかったか?」

 こう言うと、ケララがわずかに顔をゆがめた。


「はい……。ずいぶん白い眼で見られました……。職業で得られる効果も戦場に不向きの物でしたので、騎士になるべきではないとも何度も言われましたね……。たしかに剣や弓で豪傑のように活躍するほどの力はありませんので、間違いでもございません……」


 ケララは冷めた性格なのではなく、周囲の環境の中でそのように育ってしまったんだろう。

 いくら故実に秀でていても、自分は騎士という意識もあったから、余計に自分を誇ることもできずにいた。


「俺も、職業がいわゆる異形のものでな。職業を授かった直後は兄やその取り巻きにバカにされた。悔しかったが、そこでは言い返すこともできなかった。力を見せつけてやるしか、そういう連中を見返すことはできないからな」


 だから、見返してやった。イクト県を含めれば、三県にもわたる大領主になってやった。


「俺に仕えろ、俺に尽くせ。お前の名前が千年先も歴史書に残るようにしてやる」

「ありがとうございます」

 ケララはわずかに笑顔をにじませて、言った。


 その後、ケララを抱いた。

「相手を楽しませる方法も……多少は学んでおりますので……」

 そう顔を赤らめたケララにかなり奉仕された。

 その一夜で、俺はその褐色のドワーフ女のとりこになっていた。


「ラヴィアラにケララとは何もないと言っていたのに、これじゃ、ウソになっちゃったな……」

「お話になられた時点では真でございましたのですから、欺いたことにはならないはずです」

 添い寝しているケララに言われた。


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