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織田信長という謎の職業が魔法剣士よりチートだったので、王国を作ることにしました  作者: 森田季節
隣の県を攻略

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36 砦を連続奪取

「それで、我らが先発部隊はどうやって攻めて行くんですかい? じっとしていればジリ貧ってことになりそうですが」

 オルクスが思案している時はヒゲを手で触る癖がある。


「谷の道を進んでいくと、先にある砦に構えている敵に襲撃されますぜ。無視して無理に押し通るわけにもいかねえし、これは少々骨が折れますな」

 そう、このサウラ砦はちょうど谷沿いにある程度入ったところにある。

 敵はこちらを閉じ込めて、包囲殲滅を狙っているのだ。


 状況だけを見れば、敵はこちらがまんまと罠にはまったように感じているだろう。

 敵領主のコルト・レントラント、それなりに頭が回る男だ。


 動員できる兵力なら向こうのほうが多い。ここで大打撃を与えてから、本格的に俺の県に攻めることでも考えているんだろう。


 ――そういえば、覇王が生きていた時代もそういうことがあったのう。毛利元就はすえが率いる大内の軍を厳島に誘い出して壊滅させてから、それからゆっくりと大内の領土まで攻め込んで滅ぼしおったわ。


 まあ、俺はそうなるつもりはないがな。

 この状態をぶち破ってやる。


「マイセル、地図を」

 マイセルが広げたのは周囲の山や谷だけを拡大したものだ。


「実はこのサウラ砦から、敵の砦があるところまで進んでいく間道をいくつか事前に見つけている。尾根伝いの道をやたらと切って、降りるしかないように見せかけているが、山伝いに回りこめる」


 そのあたりは間諜とフルールの情報を頼った。


「敵の作戦は砦を一つ一つ落とすのに、こちらが消耗することを前提にしている。早々とこれを攻略できれば、勢いを保ったまま、平野部に雪崩れこめる」

 俺は一同の顔を見た。


「ここから先の砦が堰の役目を果たしているなら、事前に破壊しておけばいい。そして、後から来る後方部隊と合流して、平野部に出れば――俺たちの勝ちだ」


「意図はわかりますぜ。でも、砦を落としてまわるって、そりゃ、また命知らずなことですな」


「お前たちなら、これぐらいのことはやれるはずだ」


 この兵たちは【覇王の道標】の影響を受けている。信頼度と集中力が50パーセント上昇している状態だ。

 そのうえで、間道から攻め込めば、さほどの被害もなく落とせる。


 それに特殊工作部隊のラッパも用意している。

 あいつらに秘密裏に活動をさせれば、さらに状況はこちらに有利になる。


「わかりやした! ここで武勇を見せなきゃ、男じゃねえ!」

 オルクスが叫んだ。

「その意気だ。俺も付き合ってやるから、全力で落とせ」


「さすがに伯爵が向かわれるのは危険では……」

 レイオンは躊躇した。そこで止めてくれるのがレイオンの仕事だ。

「お前たちが守ってくれることを俺は知っている。だから、何も恐れてはいないさ」


 レイオンの顔も完全に戦場のものになった。

「何があろうと、白鷲隊は伯爵をお守りいたします!」


 ――特殊能力【覇王の道標】がランクアップ! 信頼度と集中力が二倍に。さらに攻撃力と防御力も三割増強。


 おっ、さらにボーナスが増えた。

 とんでもなく優秀な部隊になったな。


「まず、一つ目の砦だ。これは谷の道を攻める敵と戦うことを想定しているから、中腹に作られている。つまり、もっと上から回りこめる。上から精鋭が入ってくれば、すぐに落とせる。行くぞ」


 翌日。こちらは昼にわざと谷筋の道を通ろうとして、砦から降りてきた敵と軽く交戦した。あくまで谷筋を行くと思わせるためだ。


 そして、夜。俺たちは尾根道を進む。

 ところどころに赤いリボンがついていて、迷わないようにしていた。ライカンスロープのラッパが事前にオオカミの姿になって道を調べてくれていたのだ。


「ここはオレたち赤熊隊にやらせてくだせえ。二十人もいれば事足りますぜ!」

 俺は隊長のオルクスに任せることにした。


 赤熊隊はハシゴを砦の後方から降ろすと、次々に砦の中に侵入した。

 すぐにいくつもの悲鳴が聞こえてきた。


 俺もハシゴで砦に下りる頃には、オルクスの「これで十五人目の首だぜ!」という声がした。

 はっきり言って、俺の親衛隊は訓練の量が違う。少数でもとてつもない力を発揮する。

 三十分後には敵はほぼ全滅し、城将が降伏した。


「ほかの砦について知ってることを話せ。でなければ、殺す」

 拷問はラッパが詳しいので、彼らに任せた。すぐに敵は砦について、吐いた。

 事前にこちらが調べていた情報とのズレがほぼないので、ウソを言っているということもないだろう。


 敵が拠点にしている砦は後二つ。


「今日のうちにもう一つ、もう二つ、砦を落とせる。このまま行くぞ!」

 次の砦はラッパが忍び込んで、内側から門を開いた。

 俺がかつてナグラード砦に派遣された時に使われた手だ。砦は強固だから意味があるのだ。多数の敵兵が入り込めば砦はもう血で血を洗う地獄と化す。


 その砦から次の砦まではまた尾根道が遮断されていたが、迂回路を通ればどうということはなかった。このあたりの山の道はすでに把握している。


 この砦にはラッパが火を放って撹乱戦術を行った。あとは、そこに力攻めを仕掛けるだけだが――


「ここはお任せください」

 マイセル・ウージェが凛々しい顔で言った。

「わかった。籠城で降伏しただけでは戦い足りないだろう。存分にやれ」


 マイセル率いる部隊はひるまず敵に突っ込む。

 敵もこの砦を失陥すると、谷での時間稼ぎの計画が完全に破綻するから、必死に守ろうとする。

 俺も砦に踏み込んで、味方を鼓舞した。


「いいか! ここを落とせば峠も抜けられる! 大きな風穴を空けられる! 必ず勝て!」


 俺も三人を斬った。

 戦闘中の俺は特殊能力【覇王の力】が発動する。戦闘能力は通常時の二倍。悪いが、雑兵で勝てるわけがない。


 意地と意地のぶつかり合いはこちら側に軍配が上がった。

 ほぼ制圧が終わったなと思った頃、マイセルが戻ってきた。


「城将を討ちました」

「よくやった。ナグーリ県を手に入れたら、必ず領地を加増してやる」


 最後の砦を落とした時には、もう朝もすっかり明けていた。実に十二時間以上戦ったはずだ。突撃する部隊を切り替えていたとはいえ、移動も含めてくたくたになった。


 それでも、一日足らずの時間で敵の砦三つを落とせたのは本当に大きい。

 谷筋の道は完全に通路として開けてやったぞ。


 兵に存分に休息を与えた後、俺たちは峠の出口に当たるところに陣城を作った。

 ここで、後方から来る味方の部隊と合流して、敵の本体とぶつかってやる。


「チートな飼い猫のおかげで楽々レベルアップ。さらに獣人にして、いちゃらぶします。」の表紙や口絵が発表されました! 11月15日、GAノベルさんから発売です。よろしくお願いします!

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