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織田信長という謎の職業が魔法剣士よりチートだったので、王国を作ることにしました  作者: 森田季節
「水の城」築城

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32 フォードネリア県統一

 さて、残りの小領主もつぶしていくか。


 俺はほかの小領主にも最後通告を行った。

 大意は以下の通り。


<今回、領主を一つ滅ぼしたが、それは伯爵に対して戦争を行ったからである。負けた者が怯えて降伏を申し出るのは味方になるという意思ででも何でもない。だから、所領を取り上げたのだ。無論、早く伯爵に仕えることを明言した者にはそれなりの待遇で召し使う。


一戦交えるというなら、止めはしないが、先祖伝来の土地を失ってよいという覚悟がある者だけがやるといい。戦とはそもそも命を懸けるものなのだから、どうして土地すら惜しむことがあるだろうか。>


 すぐに四領主が人質を連れて服属を申し出てきた。

 これで残るのは三箇所だけか。このまま叩きつぶす。


 ただし、まともな戦争には結局ならなかった。

 まず、領主単位では抵抗する気があっても、家臣がそれについてこないということが起こった。

「伯爵にお仕えするべく、出頭いたしました!」「主君を見限って、参上いたしました!」


 そんなことを言って、俺のところに来る家臣が続出した。

 わかってはいたことだが、領主の家臣もまた小さな領主に違いない。自分の身を守るためには、主君から離れることも選ぶだろう。

 俺はそういった連中を丁重に扱うことを約束した。

 これで俺に従えば得をするという情報が広まれば、平定はさらに楽になる。


 ついには、こんなことまで起こった。


 ノブン家という子爵に仕える筆頭の家臣が俺に臣従を示しに来た。

「我が家は元々ノブン家の分家でありまして、百年ほど前からその職をつとめてまいりました」

「ほう、そのような立場で主家を捨てるとは相当なお覚悟がおありのようだ。俺も実にうれしく思う」


 この言葉に偽りはない。そんな重臣が領主を捨てたとなれば、ほかの家臣も必ず動揺する。これ以上の抵抗を諦める者も増えるに違いない。


「この平定が成れば、そなたにはそれなりの褒賞を与えることもやぶさかではない。戦わずして敵の股肱の臣がいなくなったのだからな」


「はっ! ただ、やはり伯爵に仕えるお気持ちを形で現さねばと思い、手土産を持ってまいりました」

 その男はなかなか上機嫌だった。よほどいいものを用意してきたのだろう。小領主の重臣で、そんな名宝を持っているとも思えないが、たしかに横に控えているそいつの従者が何か箱を持っている。


「これをご覧ください」

 従者が箱を開けた。


 その中には首が入っていた。それも一つではなく二つだ。


「臣従の誓いとして子爵とその嫡男の首を斬ってやって参りました! すででにノブン家は滅んだようなもの! これこそ、わたしなりの臣従の証拠の品でございます!」


 おい、オダノブナガ、いるか?


 ――お前、自分から覇王を呼ぶとは何様だ。まあ、大目に見てやるがな。覇王は面白い人間には優しいのだ。


 俺はこいつをぶっ殺してやりたいんだが、俺の考えはどこか間違っているか?


 ――実は、覇王も似たようなことをしたことがある。武田という大大名が滅ぶ直前、その重臣である小山田おやまだ信茂のぶしげが主家を裏切ったと報告に来たのだ。その者たちには死んでもらった。


 だよな。


「そなたに一つ、質問したいことがある」

「はっ、どういったことでございましょうか? ノブン家の土地についてでございますか?」

「頼まれてもないのに自分から主人を殺すような奴を、家臣として召し抱えたいと思うか?」


 その男の顔が青くなった。

「いえ、わたしの主人はあまりにも愚かであったためにこういったことを行ったまでで……決してわたしが不忠というわけでは……」

「お前の忠義に興味はない。ただ、俺は信用することができないと言っているんだ。――――やれ」


 そばにいた白鷲隊の隊長レイオンが即座にその男を斬り殺した。続いて、従者も。


「こんなことで歓心を買えると思っていること自体が俺に対する侮辱だ。敵の敵であれば、すぐに信用されるとでも思ったか!」


 俺はその後、兵を進めて、実質滅んでいたノブン家および残り二家も滅ぼした。


 こちらの兵が近づくと、多くの砦や城では城兵が脱走を試みて、ほとんど自滅していった。俺に刃向かった砦は皆殺しに遭うという噂がかなり広まっていたためだ。


 ならば、最初から個々の砦での防衛戦など試みなければいいと思うのだが、城将たちも表面上は領主に抵抗するなどと言って、結局怖くなって怖気づくのだろう。領主はきっと戦ってくれると信じて作戦を立てるが、計画は見事に崩壊する。


 犠牲を厭わずに力攻めで一つ砦を落としたことで戦争の数がかなり減って、かえって犠牲者も減ったと思う。


 やはり、従来のようにじっくりと攻めることには弊害も多い。

 勝ち目がないとわかっている相手でさえ形式的に籠城して戦おうとするようになるし、小競り合いのようなものは何度も起こるから、なんだかんだで犠牲者やケガ人も増えていく。

 まして、遠方まで出向くと兵糧の用意も必要になる。


 ついに、最後まで俺に抵抗していたフォードネリア県最北の領主の居城に迫った。


 さすがに領主の居城だけあって、ここは堅牢で、力攻めは難しいので、数日は敵を囲みながら様子を見ることにした。


 それと、隣接するナグーリ県から援軍が来るかどうかも見極めておきたかったというのもある。

 籠城というのはどこかから援軍がやってくることを前提とした戦術だ。ただ、守るだけでは絶対に勝てないのだから。


 間諜の報告によれば、すぐにナグーリ県から兵が来ることもないということだった。今更、こちらが県を統一することまで妨げるのは無理と考えたのだろう。


 じわじわと包囲網を縮めていくと、結局、敵は条件次第で降伏したいと言ってきた。

「そちらの領主一族が投降するなら、兵の命は助ける」

 敵の使者にそう伝えると、向こう側も受諾したらしく、領主一族が城を出て、こちらにやってきた。


 これにより、俺のフォードネリア県統一は完成した。


 次は北にあるナグーリ県を攻める番だな。

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