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織田信長という謎の職業が魔法剣士よりチートだったので、王国を作ることにしました  作者: 森田季節
「水の城」築城

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31 小領主の滅ぼし方

「俺は最初から小領主を滅ぼして県の統一をすることなど目的にしていない。目的はナグーリ県のレントラントを滅ぼすことだ。今回の戦は――その第一段階にすぎん」


 この言葉に兵士たちも驚いているようだった。


 しかし、その中で一人、白鷲隊の隊長レイオンが「さすがです」と声を上げた。エルフ出身の軍人だ。


「伯爵様の目は誰よりも先を見ていらっしゃいます。だからこそ、どこまでもお供したいと思えるのです」

「そうだ。ついてきてもらわないと困る。必ず、勝利をもたらしてくれ」



 俺は兵を敵領主の砦に寄せた。

 さほど高くない小山に敵は陣取っている。数は百人いるかどうかだろう。

 砦と言っても、本格的な石の要塞には程遠い。石塁のようなものが丘の周囲にあるが、それを越えれば、砦の中に入りこめる。


「力攻めでも、お前たちの能力なら問題なくやれるな。さて、最初に突っこむのは誰にするか」

 言うまでもなく、最初に力攻めを行う兵が一番危険も多い。


「ここはお任せください!」

 ノエンが声を上げた。

「先日は、伯爵の気持ちを理解することができず、醜態をさらしました。それをすすぎたいと思います」


 なかなか見込みのある奴だな、と俺は思った。

 元は俺が滅ぼした他家に仕えていた将だが、なかなかにひたむきな性格だ。

「よくぞ言った。では、やってみるがいい。ただ、少しばかりヒントをやる」


 俺は城の守りが薄いところをいくつか説明した。

「――というわけで、北側からなら砦に取り付くことも容易だ。この砦は南からの敵を防ぐことを考えて作られている。南から攻められて持ちこたえられなかったら、本拠地のある方角の北へ逃げることが想定されている。無論、そちらのほうが道はゆるやかだ」


「すぐにそこまで見通されるとは、さすがです……」

 ほかの将も驚嘆していた。


「敵の身になって考えれば、すぐにわかる。後はお前の番だぞ、ノエン」

「はっ! 必ず敵を粉砕してみせます!」


 ノエンの兵はすぐに砦の裏手へと回りだした。

 俺たちは砦の南側に集まって、敵の注意を引き付けておいてやる。


 やがて、ノエンの部隊が砦に入りこんだらしい。砦のほうから大きな悲鳴が聞こえ出す。


「よし、シヴィーク、敵はこちらに逃げてこようとするだろう。道をふさいで、殲滅する」

「御意! 誰一人として生かしては砦から出しません!」


 敵兵の一部が砦からの逃亡を図って飛び出してきた。小領主だし、忠誠心に厚い部隊などもろくにいないだろうから、おかしくはない。


 悪いが、ここで全員死んでもらう。

「弓矢の用意をしろ。出てくる敵兵がいれば、矢を射かけろ!」


 逃げ場がないと思った敵兵は一目散に強引にこちらの包囲から脱出しようとする。

 もはや戦うという気持ちより逃げるという気持ちのほうが強い。

 それでも、俺は包囲をゆるめず、敵兵を討ち取っていく。


 やがて、砦から煙が上がった。ノエンがやったらしい。


「勝利は決した! さあ、勝利を完全なるものにするために、もうひと働きだ!」

 圧勝とわかり、「「おおっ!」」という味方の明るい声が上がった。


 結局、本格的な戦闘に入ってから数時間で戦は終わった。

 戻ってきたノエンの体は土で汚れいてたが、ケガはないようだ。


「伯爵、敵の大将を討ち取りました。領主の弟だった男です。命乞いをしていたようですが、かまわず斬りました」

「それでいい。まったく、この期におよんで命乞いとは、本当に情けない奴だな」


 わざわざ砦に入った者を皆殺しにすると通告しているのに、そのうえで落城間近になって命乞いか。


「この者たちは戦を舐めているようです」

 白鷲隊の隊長レイオンが言った。

「この時代とはいえ、ずっと血で血を洗う殺し合いがあったというわけではないのでしょう。なんだかんだで小領主同士もちつもたれずでやってきたはずです。本当に恐ろしい戦乱を知らないのですよ」


「レイオン、お前がかつて傭兵をやっていたな」

「はい、そういう甘い考えの領主も多かったです。まともな武功を挙げたこともない領主も珍しくありませんでした」


「どうやら、そのとおりのようだ。だが、そんな旧弊は俺にはどうでもいい。これからも厳格にやっていく」


 ――そう、それでいい。覇王の道に立ちふさがる者は踏み潰していけばいい。

 そういえば、オダノブナガもじっくり戦うのは嫌いそうだな。


 ――戦は覇王の力を示す最も効果的な機会であるからな。覇王はほぼ包囲戦を行ったことはない。長く時間のかかった戦いでは、籠城側を倒しても、人は攻め手の強さを感じぬ。まして、城を落とすのを諦めれば、被害が少なくとも、敗北という事実になる。時間もかかる。


 俺も同意見だ。一気に倒せる敵なら、そのようにやったほうがいい。


 ――まあ、これで狭い領国だが、一つ手に入ったな。愚かな領主は今更ながらに砦の全滅を聞いて、恐怖して、せいぜい降伏を申し出てくるだろう。愚者には勇気も宿らん。玉砕覚悟で土地を守り抜く覚悟など絶対にない。


 そうだな、敵の反応が楽しみだ。



 やがて敵の領主が降伏を申し入れてきたので、俺は陣へ出頭するように命じた。


 見るからに使えない男だった。武人とはとても呼べないほどに腹も出ている。田舎に引きこもってまともな政治的駆け引きもしたことがないのだろう。

 何かの役に立つかとも思っていたが、これではどうしようもないな。


「伯爵、これまでの非は認めますので、どうかお許しください……どうか、どうか……」


「わかった。俺も鬼ではない。許してやろう。そなたたちとは直接、矛を交えてはいないからな。皆殺しの対象ではない」

「ありがたき幸せ! 必ず、この土地で伯爵のために身命をとして励みます!」


「何を勘違いしている?」

 俺は冷たい声で言った。

「この土地は俺の家臣に治めさせる。お前の一族はネイヴル近郊の村で農民として生活しろ」

「そ、そんな! 許すとおっしゃられたではありませんか……」


「だから、命は助けてやっただろう? 案ずるな。お前の家臣たちはこちらでもらい受けて、再編制する」


 トップがこんなのなら、家臣の忠誠などないに等しい。これでとくに反発も起こらんだろう。


「そいつを連れていけ」

 親衛隊の中でも腕っ節の強い連中が「元」領主の腕を取って、引っ張っていった。


 さて、残りの小領主もつぶしていくか。


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