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織田信長という謎の職業が魔法剣士よりチートだったので、王国を作ることにしました  作者: 森田季節
伯爵会談

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22 ラッパの活躍

「では、ラッパと呼ぶことにしましょう。ラッパたち、入ってこい」


 すっと、いつのまにかファンネリアの横に三人のワーウルフが並んで、俺の前に平伏していた。

 これが今回の秘密兵器だった。


「商人をやっていると、はっきり申しまして、命を狙われることも一度や二度ではありませんのでね。極論を言ってしまえば、殺されずに大きく成長したのがよい商人、道半ばで殺されてしまうのは悪い商人というわけです」

「だから、身を守る特殊部隊を雇ったというわけだな」


「いえ、厳密には逆でございます。わたくしも元はといえば、影の一族でありました。ただ、そうやって影に徹して情報を集めていると、どこの土地で何が足りないのかといったこともよくわかるようになります。足らないところに物を持っていけば、儲かるのは自然の理。それに年をとれば、第一線で影をつとめるのは難しくなりますので」

「なるほどな。ファンネリアの言うとおりだ」


 ファンネリアに限らず、商人がなんらかの軍事力を持っているというのは、そう珍しい話ではなかった。傭兵を常時雇い、事実上の軍団を持っているような者もいる。

 ただ、ファンネリアのように裏方の仕事に徹した暗殺者集団を持っている者は少ないだろうが。


 ――なるほどな。シノビに似たものがこの世界にもあるのか。土地が変わっても人間が考えることは同じであるな。


 心の声の土地も同じようだったらしい。暗殺者がいない世界というもののほうが想像が難しい。


「いいな。騎士団の幹部は大聖堂の内部にこもっているはずだ。この幹部を一人二人以上殺せ。そうすれば、最低でも六人減ることになる。それだけ消えれば、連中はまったく機能しなくなる」


 聖堂騎士団は原理上は騎士の合議で物事を決めることになっている。団長が権力を持っているといっても、すべての騎士団を自由に動かせるというほどではない。構成員である騎士の数は二十程度。あとは騎士の一族や郎等たちから成る。


 だから、そこから六人が消えれば、残りの連中は戦うことを諦めるはずだ。おそらく、恐怖で大聖堂を守っている場合ではなくなるだろう。


「それで、行動はいつに?」

 ラッパたちは一言もしゃべらない。声を出すのはファンネリアだけだ。

「すぐにでもと言いたいところだが、交渉はもう少し続けてみよう。騎士団と大聖堂の関係を話し合いで切り離すことができれば、それはそれでいい」


 こちらとしては、聖堂騎士団を滅ぼせばいいのであって、大聖堂の権益を奪う意義はあまりないのだ。大聖堂自体には軍事力がないので、どのみち俺に真っ向から逆らうことはできない。


 翌日、俺は相手方に書状を送った。内容は以下のとおりだ。


・大聖堂に立てこもることにより、大聖堂が荒れることはよろしくないので、大聖堂の外側での争いを望むこと。


・フォードネリア大聖堂の経営に必要なお金は伯爵として拠出し、保護を加えること。


・大聖堂で戦争を行おうとすることは、神々を軽んじる行為であり、きっと神罰が下るだろうこと。


・降伏した騎士に関しては寛大な処置をすること。


 敵はとくに何の返事もよこさなかった。わかっていたことだ。

 こちらの目的は、大聖堂を傷つける意図はない、大聖堂とは上手くやっていきたいと繰り返し伝えることだ。聖堂郡がこちらの所領になるのは確定しているようなものだ。だから、大聖堂とはきれいな付き合いがしたい。


 そして、膠着状態が一週間ほど続いた。

 その間に、大聖堂の内部に関する情報も入ってきた。やはり、騎士の中でも有力者である七人が大聖堂の中にいて、そのほかの者は兵を率いて大聖堂の周囲を取り囲んでいる。


 時は来たな。

 俺はファンネリアに命令した。

「やれ」

「わかりました」

 いつのまにか、ファンネリアがうなずいたそばに三匹のオオカミが並んでいた。


「そうか。ワーウルフの暗殺者というのはそういうものなんだな」

「オオカミになったほうが潜入はずいぶんと楽になりますので。すでに敵の配置も確認済みです」

「よし、いい報告が来るのを期待する」


 夜明けの頃には三人が帰ってきた。ファンネリアとともに並んでいる。


「団長以下七人の騎士を殺しました。多少、大聖堂が血で汚れたようですが、連中も神像を抱いて眠るようなことはしておりませんし、許される範囲内のことでしょう」

 これで残りの騎士が結束して戦うようなことも、まずありえないだろう。次に殺されるのは自分たちだと思うはずだ。


「よくやった。さて、朝になったら、もう一度書状を送るとしよう。おそらく、以前とは反応が違ってくるはずだ」

 しかし、それより先に動きがあった。


 大聖堂の神官など関係者たちが俺のところに保護を求めてきたのだ。

 神官長は自分たちが騎士団になかば拘禁されていたこと、騎士の多くが死んでいることに気づき、そのまま逃げ出してきたことを伝えた。

 これで聖堂騎士団には大義名分すらなくなった。連中は大聖堂を守るためという理由すら、もう持たないのだ。


 結局、残った騎士のうち数人が逃亡し、最後まで残っていた者は投降した。俺はこちらの勧告に従わなかったことと、神官たちに対する無礼を理由に、連中の所領をすべて剥奪して、一部を大聖堂の所領に充てた。


 こうして騎士団が持っていた聖堂郡ともう一郡も俺の支配下に入ったわけだ。フォードネリア県にある十二郡のうち九郡が俺の領地だ。一県の支配も現実味を帯びてきた。


 なお、死んだ騎士たちは、公的には神罰が下って謎の死を遂げたということにしておいた。どうせ騎士団は消滅していて、異議を唱える者もいないので、これが公式発表になる。


 ただ、それでは納得しない者も当然いる。

 支配下に入った土地の残務処理で、数日聖堂郡に残っていた日の夜、二人きりの時にラヴィアラに言われた。


「アルスロッド様、暗殺者などをいつ、雇っていたのですか?」

 本当に神罰が下ったとは、さすがに考えないよな。

「いつのまにかだ。こういうのは表沙汰にならないほうが意味を持つんだ」

「ラヴィアラにも教えてくれないんですか?」


 寂しげに言われると、教えてしまおうかなという気にもなるけど……。


「ラヴィアラは俺のすべてを知っておきたいだけだろ。それって、家臣としての判断じゃないよな?」

「それは、そうですね……」


 じゃあ、私情をはさむのはナシだな。


「答えを教える代わりだ」

 俺はラヴィアラにキスをして、その体を抱き寄せた。

だいぶ、領地も増えてきました。次回もしっかり書きます!

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