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俺、助けを助けを呼んだ。

 そしてついに、すりガラスに目がつけられた。

「あれぇ? あれあれぇ? あれあれあれぇ? こんな所に、こんな所にすりすりすりすり、すりガラスがある~。さっき見た時はすりガラスなんてなかったのにぃ~」

 とぼけた口調でわざとらしく、玄関の向こうの人間が言った。

「これは、これは。すりガラスを割って中に入れっていう天啓なのかなぁ~?」

 しらじらしい奴め!

 俺は吐き捨てるように、頭の中でそう叫んだ。

 そして、刹那。

 ガラスがぶち破られた。

 来た、ついにこの時が。決戦の時が!

 俺は犬や、その他の動物がすりガラスから侵入してくるのに備え、右手に持ったバットを構えた。

 しかし、すりガラスからは一向に動物が侵入してくる様子はなかった。 

 その変わり、破られたすりガラスの向こうの外の景色が何かによってさえぎられた。

 それが不審者の覗く目だというのに気付いたのは、数秒経ってからだった。

「う……うぁぁ」

 声にならない声が肺から漏れる。

 先ほどまで、闘う、家を守り抜くと決心していたのに、その決心が一瞬にして揺らいでしまうほどの、冷たい目つき。それは生気を一切宿していない、暗黒の世界にのみに生きる者の、目が確かにすりガラスの向こうにあった。

「あ……ぁぁあああ。お、お母さんーー!」

 俺は無意識に母親に助けを求めていた。

「お母さんーー!! お父さんーー!! 助けてー、助けてー」

 恐怖によって幼児がえりしてしまった俺は、旅行に行って帰ってくるはずもない両親を呼び続けた。

 すると……。

「ぷっ、ぷぷぷっ、ぷぷぷのぷっ」

 笑い声が聞こえた。

 そしてそれは、次第に勢いを増して行った。

「ははは、ははははっ。はははははっ。腹いてぇ。おもしれぇ。面白すぎる!」

 げらげらとした笑い声が耳に飛び込んでくる。それは先ほどまでの緊迫感で張りつめていて空気とは全くの真逆だったのだが、それでも先ほどまでの緊迫感からの落差が激しすぎて、その状況を受け入れるのは困難だった。

 そう声を出してげらげらと笑い転げているのは、先ほどまで俺を脅していた当の本人だったのだから。

 いや、だからこそ、受け入れることが余計出来なかったのかもしれない。もしかしたら外の人間は、その恐怖から、安心の落差を利用して、めっちゃ安心させた所でさらに恐怖をたたみかけるかもしれないと思ったからだ。

 だから、これは。俺の緊張を解かないというこの行為は至極当然だ。

 俺は再び、眼光を鋭くするように、目に力を込めた。

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