俺、少し怖い。
ピーンポーン!
突如として、家にチャイムの音が響き渡った。
「はあ?」
俺は素っ頓狂な声を上げた。
何でこんな時間にチャイムが? だっていま夜中の0時49分だぜ?
おいおいおい。
俺は驚くと共に、少し背筋にぞくりと走る物があった。
ぜってえ、やばいよ。こんな時間に。用があるとしても来るのは明日だろう?
俺は雨戸は閉めているがその隙間から光が漏れ、チャイムを押したやつに、在宅だと知られないように電気を消した。
暗黒が部屋を支配する。
その中を俺の動く音と、時計の音だけが流れる。
すると、しばらくして……。
ピンポンピンポンピンポーン!
う、うわあ。
心のどこかで、本当にチャイムが鳴らされたのかと懐疑的だったのだが、今度ので、完全に確信した。
だって三連ちゃん、だぜ?
もしかして、俺の幻聴だったのかしらん? とか思っていたけれど、どうやら、とうかやはり幻聴ではなかったらしい。だけど、それが分かったからといってどうなるというわけではない。むしろ、逆に恐怖がぞわぞわと込み上げてきた。
俺の住んでいる家は、少し田舎で隣との家の距離が住宅街などと比べて少し離れている。だから、誰かが家のチャイムを鳴らしたとしても隣の家の人が気づくことはまずない。だから、隣の人が不審な人がチャイムを鳴らしまくっている、と警察に通報する可能性はほとんどない。可能性があるとすれば、休日だから、コンビニにでも買いに行ってくるっぺか、って感じでコンビニに深夜行こうとした所、俺の家のチャイムの前で立って呼び鈴を何度も何度も鳴らしている人を発見して、怪しいと思い、通報するぐらいしか思い浮かばない。
だから、隣人の人に期待するのはやめた。ということはつまり。自分で何とかしないといけないわけだ。
自分で警察に行くなり、警察に電話をするなりしなければならないというわけだ。
俺の今いる自室は家の二階にある。
で、固定電話は一階にある。
どうしよう。え? 携帯電話? スマホ? 何それ美味しいの?
そう、俺はそういった類の文明の利器を親から持たされていないのだ。
何? 経済的な理由? いやそういうわけではない。だが、それは親の教育方針なのだ。だからといって別に親が教育熱心というわけでもなく、スパルタでもない。塾には週一で通っている。その時は、親が車で塾まで送り迎えしてくれる。そういう訳だ? って俺は一体誰に語りかけているんだ? 苦笑。
でも、携帯がないんだから、警察に連絡するには一階に降りて、固定電話の所に行くしかない。ああ、やだやだ。何だか、急にホラーテイストな雰囲気になってきちゃったよ。
冗談っぽく俺は言ったが、それは恐怖の裏返しだったのかもしれない。
再び、先ほどのチャイムから、2、3分置いて……。
ピンポンピンポンピンポンピンポン、ピポピポピンポーン!
あああ。あああ……。
気がおかしくなりそうになってきた。
先ほどのホラーの雰囲気が一気に現実味を帯びてきた。
何だよこれ。何でこんなことに巻き込まれなくてはいけないんだよ。
「おら、どうすればいいんだっぺよ」
どこの田舎言葉か分からない言葉を発し、俺は今置かれている現実から必死に目を背けようとした。
だけど……。
ピンポンポン、ピンポンポン、ピッピッピッピピンポンポンー!
何だか、三々七拍子みたいな鳴らし方でチャイムが鳴らされた。
これは一体どう解釈すればいいのだろうか?
実はチャイムを鳴らしている主はもしかしたら、良い奴なのかもしれない。いや、そう俺が思い込みたいだけなのかもしれない。
だって夜中に三々七拍子のリズムでチャイムを鳴らす奴がどこの世界にいるっていうんだよ。いないだろう、そんな奴。聞いたことないだろう。
やっぱり、玄関前にいるのは頭がおかしい奴だ。絶対に。
俺はそう、確信した。
だから、何が何でも警察に連絡をしなければならない。そう思った。
それは使命感にも近いような感情だった。
こんな頭がおかしい奴を放っておいたら、奴がこの先何をするか分からないからだ。まだ顔すら、いや性別すら分からない奴だが、こんなことをするぐらいの人間だ。どうせここで何もなかったとしても、いずれどこかで何かしらの罪を犯すに決まっている。決まりまくっている。決まりまくりのまくの助だ。
俺は意を決して立ち上がると、ポテチの袋を音を立てないように、ぐしゃっと潰すと、ゴミ箱にポポイのポイの助をした。そして部屋のドアをゆっくりと静かに開けた。




