俺、もっともっとマイちゃんと話す。
「でもそれと、平等であるというのは一体どういうことなのですか?」
「うん。それはさっきも言ったけど、このマラソン大会には宇宙の様々な知的生命体が参加しているんだ。もう分かると思うけれど、その全ての星が地球と同じとは限らない。その知的生命体は星によって独自の進化を遂げて、地球人とは似ている人種も数多くいるけれど、そうじゃない人種もたくさんいるんだ。例えば昆虫が進化した知的生命体や、鳥類が進化した知的生命体、あるいは両生類が進化した知的生命体など色々な種類がいるんだ」
「それが、どう平等と繋がるんですか?」
「うん。つまりその星の人種によって肉体の基本値みたいなのが異なるんだよ。ある人種は足が速い、その変わり、すぐにバテル。またある人種は空を飛べる、その変わり、地上に降りたら、めっぽう移動が遅くなり、弱い」
「ああ、なるほど、そういった様々な人種が混在して同一でのコースで走るということは有利不利が出やすい。だから、モンスターを配置してバランスを取っているということですか」
「いいね。理解が早いね。君は」
「いえいえ」
俺は頭の後ろをぽりぽりと掻いた。
「それならば納得はできますね」
「そうか。そう言ってくれて、マラソンコースを作った張本人としては嬉しいよ」
「でも、一つ気になることがあります」
「なんだい?」
「たとえば、ですけど、モンスターに攻撃を受けてHPがゼロになったら一体どうなってしまうのですか?」
「ええ? それ本気で聞いているのかい?」
「え、ええ。本気ですけど。何か不都合な点でもありましたか?」
「いやいや、そういうわけではないけれど。さっきの例えをまた出すけれど、もしRPGで、主人公がモンスターにやられて、HPがなくなったらどうなる?」
「そりゃあ、一部のゲームを除いて、死んでゲームオーバーになって初めから、あるいはセーブした所からになりますね」
「そうそう。それだよ」
「ええ、じゃあ、もしモンスターにやられて死んだら、最初からマラソンをしなくてはいけないというわけですか? それともセーブポイントがコースの途中に設置されていて、死んだらそこからスタート出来るのですか?」
「いやいやいや。そうじゃないよ」
「じゃあ、何ですか?」
「死んだら、そこで終わりだよ。そこで人生終了だよ」
「な、なんですってーー!?」
何だよそれ、死んだらそこで人生終了って、何でそんなに淡々と諦めたらそこで試合終了だよみたいな言い方で言うんだよ。そんなのってあるのかよ。これはただのマラソン大会のはずだろう_
「何か不満そうな顔をしているね。でもさあ、さっきの話はゲームの話だろう? でも君がこれから参加するのはゲームではなく実際に君がやることで、ゲームとは違う。だから、死んでゲームオーバーになったらそこで君の人生は終了になるんだ」
「そ、そんな。酷いですよ」
「なあに大丈夫、死ななければいいんだ。ただそれだけの話さ。それにそれは普通のことだろう? 君が今まで住んでいた地上でもそれは普通の当たり前の出来事だ。日常は常に危険と隣り合わせた。通り魔がいるかもしれないし、交通事故に巻き込まれるかもしれない。自然災害がいつ発生するかもしれない。それをかい潜って、かい潜って奇跡的に地上での生活が成立しているんだ。だから、それとこのモンスターが発生する状況はなんら変わりはない。モンスターはそれぞれ君の住んでいた地上と同じ災害と考えればよい。ただそれだけだ。でも、こっちの世界の方がよっぽど、君の世界よりも生き残る可能性が高いと思うよ? なぜならこの世界は強ければ、生き残ることが出来るからだ」
そう、さも当然のように主張するマイちゃん。確かにそれは筋は通っているように思う。モンスターを災害に置き換えると、間違ってはいない主張のようにも聞こえる。だけど、だけどやはり心のどこかは懐疑心で渦巻いていて、それはやはり一番最初に説明されていなかったのが一番の原因なのかもしれないと俺は思った。だが、もし最初にそのことについて説明されていたら、俺はこのマラソンに参加する決心をしただろうか。再度考えるが答えはやはりNOだった。




