男、再び現れる。
めっちゃ眠いので少し寝ます。
そしてあっという間に時間は流れ……。
ピンポーンピンポーン、ピンポピンポピンポーン!
「あー、はいはい。分かっているよ」
時刻はただいま11時29分だ。一分早く来るなんてよく分かっているじゃん。遅れたら遅れたで嫌だし、早すぎたら早すぎでいやだからな。っておっとちょうど11時半になったな。
「はいよー」
俺はあの男だというのをモニターで確認すると、玄関のドアを開けた。
「時間ぴったりだったな」
「ああ、そうか」
言う男の体は小刻みに震えている。
「何だ? 外で待っていたのか?」
「ああ、3時間ほどな」
なんだ。じゃあ、後十分ぐらい待たせれば良かったか? なんて意地悪な気持ちが浮かんでは消えた。
「それで、どうするんだい? マラソン大会」
「それのことなんだけどな」
「うん」
俺は勿体ぶらせるように、少し間を置いて、神妙な顔をしながら言った。
「参加することにしたぜ」
「そうか。それは良かった」
男は頷きながら言った。そして続けた。
「じゃあ、早速手続きしないと。あと三十分しかエントリー期間ないしね」
「そうか。分かった」
「じゃあ、あの招待状持ってきて?」
「ああ、あれか。今俺持っている」
「俺は言うと、ジャージのポケットにしまった金色の招待状カードをポッケから取り出した。
「じゃあ、マラソン大会に参加しますか? しませんか?」
「俺はマラソン大会に参加します」
「よし、第一条件クリアだ。あとはその紹介状の右下に自分の名前をサインするだけだ」
「うん。分かった」
俺はリビングからボールペンを持ってくると、紹介状の右下の空欄部分に自分の名前をサインした。
すると、サインを書いたカードが宙へと浮かび、四散した。
「か、カード、なくなっちゃたんだけど」
「大丈夫だよ。あのカードは君の中に情報として埋め込まれたから。問題ない」
男が言った。
「そ、そうか。じゃあ、これからどうすればいいのかな?」
「あ、そうだ。持っていくものとかない? 長丁場になることに備えて」
「あ、やっぱり荷物持って行っていいんだ」
「もちろんだよ。基本何でも持って行っていいよ」
「基本何でも?」
「うん。人とかペットとかはだめだけれどね」
「ああ、そうか。じゃあ、お菓子とかはいいんでしょう? 別に?」
「お菓子? もちろんさ。でもお菓子ってもしかして、小学生気分?」
「悪いか。でもお菓子本当においしいの一杯あるし日々新しい美味しいお菓子が次々と開発されて世に放たれるから、本当に食べる暇も、お金もないよ」
「そうか。でも、好きな物があるということはいいことだよね」
「そうだな」
俺は言うと、お菓子をたんまりと詰めたバッグをリビングから持ってきた。




