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現実
「説明して?」
『なにを?』
「突然やってきてここに住むとか意味がわからない」
『別にいいぢゃん。おっ!ユキーー』
ご主人様が帰ってきたかのごとく甘えている。
そうだ。ユキは真哉がクリスマスに拾ってきた
捨て猫だった。
財布を持って玄関へ向かう。
いつもカップラーメンばかり食べていた。
今日ぐらい作らなくては。
「何食べたい?」
『俺は、お前が好きだよ』
背中に突き刺さる言葉は聞きたくない言葉で。
でも何故か嬉しい。
「焼きそばでいい?」
『お前の友達から聞いた。なんで振ったか』
「なぎ?」
『うん。どうして言ってくれなかったんだ?』
「……言ったらどうした?真哉は泣いた?
それとも”大丈夫だよ”って思ってないこと
言った?そんな真哉見たくない」
『俺なら怒ったよ』
「えっ……」
『俺なら、何悩んでんだって怒った』
真哉は泣いていた。結局泣かせてしまった。
守るために別れを告げたのに。
「焼きそばの具買ってくる」
夜風は涼しくて熱った頭を冷やすにはちょうどいい
突きつけられた現実は残酷で。
白衣を着た人が言っていた。
《残りの余命三年です》
って。