世界観など補足
・世界観について
ぼんやりと中世。ただし鉄が貴重。獣がちょっぴりデンジャー。概念を伴った鉄器を具現化する異能が存在する世界です。
おおざっぱな舞台の元ネタとしては楚漢争覇のころの中国。
ただし帝国初代統一帝のモデルは、戦国七雄を統べ、中華統一を果たした秦の始皇帝ではなく、隋の楊堅あたりですかね。明確なネタ元ってわけじゃないですけど。
始皇帝はどっちかっていうと魔女シスの弟であるところの帝国第二代皇帝。まあ、これもぼんやりと類推できるって程度です。ちなみにミリアのパパであるアウラスは張良と趙武を足して二で割ったイメージ。
統治システムは独特です。旧国体の行政システムから旧権力者を排除し、乗っ取る宿り木式。加えて武装使いの存在を厳密に管理し、軍組織はまるまる帝国のものという奇形的な統治方式です。
・武装使いが居ることによる差異
この世界には武装使いと呼ばれる、概念を伴った鉄器を具現化する異能者が存在します。
人数はぼんやりと二三十人に一人。ただし、「能力者が直感的に想像できる鉄の量」が具現化可能な鉄の量となるため、鉄が貴重なこの大陸では、大鉄量を持つ武装使いは、大量の鉄を収拾可能な権力者に限られます。
この権力者が部族を統べ、その勢力を広域に伸ばし、彼らの盟主として王が生まれていきます。
当初ただの盟主的な位置に居た王は、その権力をじわじわと広げながら大量の鉄を集め、「隔絶した武装使い」となります。これにより王権は飛躍的に強化されました。「王級武装使い」である王と王族は、その後も戦争の切り札として機能していきます。
・武装使いの等級
作中、「八王級」「準王級」「将軍級」「武将級」あたりが出て来ていると思います。
大陸統一を果たした初代統一帝は、旧七王国の王級武装使いを拘禁ないしは殺害し、帝国の将軍、王族のうち、隔絶した実力を持つ八人を各地の王に封じ、彼らを「八王級武装使い」とし、これに準ずる、かつての王級に近い実力を持つ武装使いを「準王級武装使い」と呼ぶようにしました。
統一前の「将軍級武装使い」と「武将級武装使い」はそのままの呼称で呼んでいます。
単純に将軍級だから将軍、と言うわけではありませんが、「力こそ正義」の帝国では、将軍級は将軍です。(ただし名誉称号のみで実権が伴わない場合があります)
・鉄がないことによる差異
鉄が希少なので、普及している金属器は青銅です。
一般兵の武装は皮+青銅の鎧兜と青銅の槍。鏃も青銅。
農機具も青銅であり、生産効率は鉄器使用時より落ちます。
鉄が希少かつ武装の鉄量を決定づける、ということで、鉄は黄金よりも珍重され、また神聖な物として秘蔵される傾向にあります。 国家形成から連綿とその傾向は続いていき、私蔵している鉄を貴族の子弟とともに集めて、強力な武装使いを育てようと目論んだトレント王ジョンは暗殺の憂き目にあっています。
武装の強さは権力に直結しており、王権を揺るがすような武装使いは、望まれながらも目障りな存在であり、初代統一帝すら、この試みは、後に小規模に行ったのみです。
・戦争と砦と道について
武装使い、特に将軍級、王級といった強力な能力者は、単騎で都市一つ落とせる実力を持っています。
とはいっても、相手にも将軍級、王級の武装使いが居る以上、単独で攻め込むのは非常にリスクが高く、また一人では攻め落とした都市を維持することも難しい。そのため、将軍を補助する武将級、それを補助し、また占領行政に寄与する一般兵を合わせた、軍団規模での軍事行動がスタンダードになっています。
そして軍単位で行動するとなると、当然ですが道の存在が重要になってきます。守る側は一刻も早く攻められている都市に駆けつけるため、攻める側は軍団の移動を速やかに行うため、道の整備は求められ、またその基点に砦を置き、ここに強力な武装使いを置いて有事には速やかに各地への救援に駆けつけられるようにしています。もちろん、砦は防御拠点としての役目も兼ねています。
街道の整備は統一後も進められ、帝国本領からエヴェンス王国までを貫通する大陸横路は、各国が整備した大道を繋げることで出来上がりました。
・八王の門地について
“槍の王”ランスは元兵卒。“戦斧の王”エクスは元流民。この人らはかなり例外というか統一戦争で叩きあげで成り上がった規格外。
“車輪の王”イールは中級領主貴族。“鎧の王”メルヴと“弓の王”ヨヨルは大領主貴族。“盾の王”ルースは臣籍降下した元王族の領主貴族の家柄。それぞれ軍を率いて大功をあげている。
“杖の王”は皇帝の娘で“剣の王”は王族。功績もあるが、それぞれ規格外の武装使い。
“破城鎚の王”ラムは領主貴族出身で、実力と、杖の王が居なくなった繰り上がりで。“弓の王”ボルグは王を祖父に持ち、その武装を受け継いで、“戦車の王”鉄轍也は日本人。異邦人ながら、その超規格外の武装を買われて王になっています。