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第十話by粗大ごみ

 彼女が自殺を図ったのはそれから数日後のことだった。突発的な衝動だったという。彼女は再びこの病院に入院することになったのだ。

 彼女が運び込まれた日、私は彼女の家に足を運び、実家の連絡先を探した。私の頭には何の考えもなく、ただ直感的な行動のみがあった。しかし彼女の父母の対応は私の期待を大きく裏切るものであった。私は次第に激しさを増していく雨に打たれながら、かの少女の家を目指した。


 彼女は私のずぶ濡れの姿を見て、驚いたようだった。

「お久しぶりです。元気でしたか」

 そう話した彼女は元気そうに見えた。慌てて家の奥からタオルを持ってくる彼女の頬には、笑みさえ見て取れた。意外だった。しかし、乱れた毛先や目の下の隈は彼女の生活を想像させるのに十分だった。事を伝えるべきか、私の中には迷いがあった。黙っている私を見て、彼女は笑いかけた。

「自分でも不思議なんです。辛いですけど、前を向いて生きようと今なら思えるんです」

 私は自分の認識の甘さを恥じた。私はあの奇跡を見届けた唯一の人間だったのだ。もう一度この二人に賭けたいと私は思った。

 私は自分の唇が震えるのを感じた。少女が私の言葉を待っていた。



 私は夢を見ていた 。夢の中の私は、幸せだった。夢の中でだけ、私は幸せになれた。事実、家族、友人、恋人……現実の私はこれらを持っていなかった。これらさえ持っていなかったのだ。私は家族や友人を傷付け不幸にして来た、私は嫌われ者だ、私は、必要とされることのない、価値のない、人間だ……。


 私の名前を呼ぶ声が聞こえた。私は布団の中で体を丸めた。まだ一人で居たかった。

「美佳子さん、花音です。お見舞いに来ました」

 私は恐ろしくなり布団の裾を強く握った。

 しかし加減というものを知らない花音は、私が被っている布団を力任せに引き剥がそうとした。布団は不快な音を立てて破れ、驚いて手を離した私の上に、花音は馬乗りになり、暴れようとした私の手を上から押さえつけた。

「どうしてあんなことしたんですかッ!」

 花音が私を睨みつけるのがわかった。私は腕から力を抜いた。花音の目を見ることができなかった。二人の吐息だけが音を支配していた。しばらくして、私は頬に二人分の涙を感じた。

「私は、あなたと一緒に生きていきたいです……」

 私は嗚咽した。私は自分の矛盾に漸く気付いたのだった。私は、人間は、愚かで、寂しい存在だ。それでも、まだ、光を失ったわけではなかった。


 ドアがノックされ、誰かが席を立つ音が聞こえた。ドアが開き、私の名前を読んだのは、とても懐かしい声だった。


fin

では、リレー小説は終わりました! 予定していたよりも話の完結が遅かったことを少し残念に思います。では、それぞれの人の後書きをつらつらと。


あとがき: 屋根の上のばよりん弾き

 キラーパス(次の人に難解な文章で渡すこと)ってやられると辛いよね(特大ブーメラン


あとがき:猿。

 自分が長期間更新を送らせてしまい、スミマセン。初めてのリレー小説ということで、中々楽しい思いができました。後半は醒めまくってましたが笑。後半に入ってから突然の展開が多くなりながら、それらを上手く纏めたメンバーには感服です。一つ気になるのは、実際の会話にはないような違和感をセリフから感じたことでしょうか。例えば「~だわ」って今の人絶対使わないよね?みたいな。最後に。「第四回は本気出す」(←裏で第一回と第二回をやっていました。第二回は未定ですが、第一回はお盆前に推敲してあげる予定があります!)


あとがき:鯉

 2回目の手番にて、まとめにかかりすぎて途中終了になりそうになったのにはひやっとしました(汗)。なんだかんだ予定通りの回数・手番で終わったこと・終わらせられたことに関してはよかったです。

 こうやって後から見るとなんとなく、ひとりだけつまらない中身だったカナート思わなくもないですが。ほかのメンバーがぶっ飛んでたってことにしておこうそうしよう。

 次回もちゃんと終われますよう。


あとがき:粗大ゴミ

 視点の変化でやや混乱させてしまった感はありますが、最後の投稿で回収できたので、結果的には良かったと思います。そして今回のトリだったのですが、期間が空いたということもあり情熱不足で、長文がかけず上手くまとめられませんでした。それでも全体を通してみれば中々良くまとまっているといえるのではないでしょうか? 漸く他人に見せられる作品が出来上がったので、満足しています。


あとがき及びまとめ:無駄に哀愁のある背中

 今回のリレー小説は第三回目ということもあり、企画としていろんな修正を行った上での活動で、このように起承転結という形で終わらせられたことを非常に嬉しく思うと同時に、次はもっと良い作品をこのメンバーないしはこのメンバー+αで書きたいと思えるようなものでした。

 内容についてですが、誰のセリフなのか誰の心情なのかわからない部分が多々あり、読みにくいと感じる部分もありましたが、それもリレー小説の醍醐味ということで、テキトーに流してください。

 個人的にではありますが、某人は「誰のセリフか明示したくない」と考えまた違う某人は「明示したい!」というようにリレー小説メンバー内で僅かに解釈の違う部分が、文章として変でありリレー小説ならではの味だなって思います。

 最後にこんな長いあとがきとなってしまいましたが、とても楽しく書けてよかったです。今回、この企画に付き合ってくれた私以外の四人の皆様、及び読んでくださったかも知れない読者の皆様、ありがとうございました! では、また次回作で! また、どこかで! 笑顔でサラバw

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