トレンディー俳優
女性には『はく』ものが3つある
それは、愚痴とパンティーとひとふである。
石野 純平(俳優 バツ4)
私たちの世代で彼を知らない人はいないだろう。元祖トレンディー俳優で今で言うイケメン俳優として当時女性たちに爆発的な人気を誇った石野純平。彼の人気に火をつけたのがデビュー作にして主演を演じた「一世一代大勝負夏物語」である。冴えない青年である阿部礼二役の石野純平は喫茶店でウエイトレスをしている高野華(荻野晶子)に一目惚れをし、告白をするために様々な努力をしていくラブコメディー。このドラマは平均視聴率が30%を越え最高視聴率42.1%を記録した。そんなドラマの主演を演じた石野は一躍トップスターになった。更に石野は、このドラマで共演した遠野千佳子(ヒロイン役萩野晶子の友人役)との熱愛が発覚したことでより一層石野は注目を浴びるようになった。何故なら、このドラマは主役の石野が友人役の遠野に言い寄られるが、一目惚れしたヒロインの高野華への想いがあるため、ドラマでは遠野は振られるのである。現実の世界では逆の事が起きた訳で、しかもこの事実はドラマがまだ放映中(確か第7話あたり)で発覚したため、それはもう当時は大騒ぎだった。当時の事を石野純平はあるテレビ番組でこう語った。
「若さのせいもあるけど…もう演技がブレブレだったのは覚えているよ。」
そりゃそうである。演技とは言え本当の恋人を目の前に違う女性に想いを寄せるのは、役者であっても、なかなか難しいことである。ましてや、初作品の初主演でそういう状況は自分で蒔いた種?とは言え酷であったに違いない。ただ、石野は同じテレビ番組でこう語ったている。
「初めてが、ああいう特殊な状況で演技したから、その後はほとんど緊張しないというか動じないで演技が出来るようになったからある意味良かったかな」
確かに、最初は若手イケメン俳優(現代風で言う)で売り出されていたが、すぐに実力派俳優としての地位を確立した石野のである。
ただ、この話はこれだけでは終わらない。無事「一世一代大勝負夏物語」が終わると、石野と遠野の関係が終わったと噂されたのである。ドラマの時は、ほとんど毎週のように新しい情報が入って来ていたのが、ぱったりなくなったのである。ここから世間では、ある仮説が立てられた。それはドラマを宣伝するために2人は交際していたのではないかと言うものである。当然と言えば当然ではあるが、これもまた当時は大騒ぎであった。
この話は半年後に終止符が打たれる。そして、それは衝撃を打たれるのであった。
なんと、2人は結婚したのである。我々は結婚会見の様子をテレビに釘付けになって見たものである。何はともあれ、ハッピーエンドで終わったのである…
しかし、これは石野純平物語の序章に過ぎなかった。
ここからは箇条書きで記して行きたい。
2年後、遠野と離婚。
3年後、2時間ドラマで共演した河野希美子と結婚。
1年半後、河野と離婚。
3年後、映画で共演した近野志保と結婚。
2年後、近野と離婚。
まさに、怒涛の結婚と離婚ラッシュである。かなり、掻い摘んで説明したが、この他にも石野は出演した全ての作品で共演した女性と話題になり、作品のストーリーよりも視聴者は、今度は、どの女優と石野が付き合うのかという事に興味を持っていかれた。しかし、数々の話題を提供して来た石野だが、近野との離婚をきっかけに出演作品は激減、年のせいもあったかもしれないが、石野純平の話題はすっかりなくなった。
5年後…彼は帰って来たのである。
「18人漂流記」という映画で石野は再び我々の前に現れたのである。しかも、このストーリーは修学旅行中の女子高生18人が、ある出来事をきっかけに無人島に漂着してしまい、路頭に迷っている所に現れるのが、何を隠そう石野純平なのである。更にその姿は、髪はボサボサで髭をボーボボーに生やし、上半身裸の布切れ一枚を腰に巻いただけで、イケメン俳優(現代風に言うと)だったイメージを覆すものだった。ただ、そんな事はどうでも良かった。石野は、今まで出演した作品の全てで共演者の誰かと噂になった。しかし、今回の出演者の中で1番年齢が高い女優とも2回り近く年齢が違うのだ。そんな中で石野は今まで通り共演者に手を出すのかという興味と期待で再び世間の注目を浴びた。
そして、石野純平物語は終焉を迎えた。石野は映画の試写会で壇上に上がった。
「久しぶりの仕事で多少の緊張はありましたが、現場では妻である監督に自分のやりたい様にやらしてもらい、それに共演者は若い子ばかりで…おっと、妻の前でこんな事を言ってはいけない、いけない。」
なんと、石野は映画の試写会の壇上で婚約発表的な事をしたのだ。そして、この後すぐに行われた囲み取材で、あの名言が生まれたのだ。
当時、あの名言を言ったあと、記者達は目が点になった。一体どういう意味なのか。
後日、番宣の為に出演したテレビ番組で司会者との、やり取りでこう話している。
司会者「あれは、どういう意味なのですか?」
石野「そのままですよ。」
司会者「確かに、女性は愚痴を吐きますし、ぱぱパンティーですか?も、もちろん履きますね。ただ、わからないのが『ひとふ』です。それに、石野さんは3つはくものがあると、仰った訳ですよね。『ひとふ』でしたら、愚痴とぱぱパンティーですか?で4つではないですか?」
石野「わからないですか?まぁ『ひとふ』は二つで1つですから。では、一度『ひとふ』をはいてみたらいかがですか?」
司会者「なるほど。ひーふーひーふー」
石野「ひを2回言ったあとに、ふをはいてください。」
司会者「ひーひーふー、ひーひーふー、ひっひっふー、あっ!ラマーズ法ですか?」
石野「そうです。妻のお腹の中には新しい命が宿っているのです。」
石野は、過去三度の結婚をしているが、子供はいない。つまり、4度目の結婚で初めて子供を授かったのである。
私は思った。 男というのは、女性に愚痴を吐かせ、身体の関係を済ませてお終いではなく、女性がパンティーを履くまで、むしろ服を着るまで、しっかり愛情を注ぎ、最終的には子供を授かれば一生をかけて守り抜かなかればならないのだろう。
ちなみに、石野純平の主演ドラマ『恋の底辺×高さ÷2』が大好きで毎週必ず見ていた。