第六波、実は、俺自分の事口達者と思ってたんだ……。
「……何だよ?」
謎の声と話し終えて辺りを見たら、周りの俺を見る視線がおかしいんだが。
「何でもないでありマスよ、ねえみんな……」
「あ、ああ」
「そ、そうね」
「そうだな……」
何だよその憐みの視線はよお!
「俺何かしたか?」
「いや何にもしてないでありマスよ」
「そうだな、何にもしていなかった」
「何もしていなかったわね」
「むしろそれが問題だがな」
これあれか、あの声と会話してる間俺は上の空で宙に向かって話し掛けてたように見られるんだな。
マジかあああああああああああああああマルチタスク出来ないとやべえええええええええええええ!
くそ! そんな事よりこれからどう生きるかだ! どうする!?
「おい、本当に大丈夫かミヤタタツオ」
やめろイケメン真面目に心配すんな。俺は精神病んでなんかねえし、至って健康体だし! 家族とか友達とか失って辛いとか全然思ってねえし!
「大丈夫に決まってんだろ俺を誰だと思ってんだ」
そうだ、俺なら大丈夫。生きていける。そうだろ俺。
「知らん」
「宮田竜夫だよ!」
「知ってる」
お前に言ってねえよ。まあいい。頼れる人間なんていないんだ。こいつらから出来るだけ情報を得ておかないとな。
「そろそろ暗くなってきたな。レェヴェチ火を頼む」
「了解でありマス。あ……」
イケメンに指示されたレェヴェチは俺に渡した袋に手を突っ込もうとして、動きを止める。
「どうした?」
「私の持ち物、全部吐瀉物まみれ……」
全員で黙るな。俺が悪いってのは分かるから。
「その件については悪かったよ。反省はしてる」
「私も照明器具は持っている。今日はこれを使えばいい」
その後俺の吐瀉物を片付け、おっさんの出したランタンの灯りを中心にみんなで床に座り夕食となった。
出されたのはとんでもなく固い黒パンと水。
「……これだけ?」
少なくね? いや食欲ないから食べる気はしなけどさ。
「我慢しろ、町に滞在でもしない限りこんなものだ。普通だろう?」
そうすか。
「あなたクニガハラシ中央通二丁目とか言う場所から来たんだったわね」
ジュヴラリクさんから話し掛けられたぞ!
「はい、その通りです」
内心の動揺は隠し、極めて紳士的な回答を返す。
「それは本当なの?」
「え、と? 嘘はついていませんが」
何か凄い猜疑心に満ち満ちた目線向けられてるんだが。別の意味で動揺してきたぜ!
「あなた、何者なの?」
「俺は、宮田竜夫です」
「そういう意味じゃない事位、分かってるんでしょう?」
威圧感半端ねえ。ここは素直に話すべきか……いや信じてくれるか?
つーか、宗教上の理由でレッツ☆宗教裁判!
な展開になったりしますか?
ぐおおお俺はどうすればいいんだああああ!
ふっ、こんな時は俺のスタイリッシュ会話術で巧みに主導権を握ってやる!
「そうですね。なら、お話しましょうか……俺がどこからどうやって来たのかを」
ここは超真面目な顔でシリアスに行くぜ。
「実は俺はこの世界の住人ではないのです」
ばばーん! な、なんだってー!
「はあ?」
「ふざけてるでありマスな」
「茶化さないの」
「冗談を言う時は場を考えろ」
あれ。何かみんな俺の事どこかおかしいとか言ってたのに、信じないの?
って異世界から来たって早速ばらしちまったあああああああああああああああ!
ここは場の流れに乗って誤魔化すしかない!
「そ、そうそう。ちょっとふざけただけだって。今度は本当の事話すわ。HAHAHA」
「え、本気で言ってたの?」
何で!?
「何言ってるんすか異世界から来たとか冗談に決まってるじゃあないすか本気にされるとこっちも困っちゃいますよHAHAHA!」
「あからさま過ぎて怪しいぞミヤタタツオ」
「むしろ怪しすぎて判断に迷う」
「でも私はミヤタタツオさんはうっかりさんだと思うのでありマス」
おいおいおいおい結果オーライになりかけてんのにあの天然娘は何余計な事ほざいてくれちゃってるんですかねえ!
「うっせえ黙ってろレェヴェチ! 貴重品をホイホイゲロ袋として渡しやがった分際でうっかりさんと俺に言える立場なのかよ!」
「ううっ! で、でも異世界から来たってばらしたのはあなたの方からじゃないでありマスか!」
「だからそれはうっかり口が滑っただけ!……」
うわあああああああああああああああああもう俺が異世界から来たの確定事項みたいになっちゃううううううううううううううう!
「う、」
「う?」
「うっかり口が滑って異世界から来たって嘘ついちゃって後悔してるって言おうとしたんだよ! 分かったか!」
これ絶対取り繕えてねえよ……。
終わったな、確実に。もうこれは”困った時の宗教☆裁判!”がない事を祈るしかねえ。頼むうううううううううううそんな野蛮なものはないと言ってええええええええええええええええ!




