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第三十波、休みもらった




 フャトミトュウに雇われの身になってから二日。俺の存在はどうやら公然の秘密的な扱いとなったっぽい。ウワサにはなってるけど本当かどうかははぐらかすみたいな感じ。


 んで、俺が近接航空支援を要請して何かを焼き払うこともなくフャトミトュウの隣に立たされ質問攻めに合ってた訳だが。


「ミヤタタツオも大変だな」

「すごいかすれているでありマス」

「大丈夫なの?」

「迂闊なことを漏らしてやしないだろうな」


 ずっとしゃべり続けていたせいで喉が限界を突破した。もう喉が痛い、しゃべりたくない。フャトミトュウは俺の体調なんざ無視して無理矢理しゃべらせようとしやがったんだがこの時ばかりは俺とイムナナの利害が一致。


 もうしゃべりたくない俺と、俺がフャトミトュウのそばにいるのが我慢ならないイムナナの最初で最後の共同作業によりフャトミトュウはしぶしぶ今日一日を休日として与えてくれた。


「でだ。今日は暇なんだぜ」


 朝っぱらから寝るってのも悪かないがどうせ異世界にいるんだし、ちょっと町とか見てみたい。こいつらは自由に出かけてたみたいだけどな。くそ! お前ら俺の護衛として雇われてただろうが! 俺も連れてけ!


「その服装で出かけるのでありマスか?」

「目立ちそうね」


 うるせえな。学生服しかねえんだ。しょうがないだろ。


「ふむ。では目立たないような服を買うついでに町に出ようか」


 マジか! おっさんやっさしい!


「今日は、そうだな。ジャァアグの服を借りるといい」

「レェヴェチの服にしたらどうだ? そっちの方がまだ合うだろう」


 イケメンてめえ。ミンチにされたくなかったらその口をふさげ。


「プププ。ミヤタタツオにはジャァグの服は大きすぎるでありましょう。あれっ。でも私の服でも大きいんじゃないでありマスかあ?」

「う、うっせえ! そんな訳あるか!」


 や、やめろ。隣に立つな。


「小っちゃいでありマス」


 くそ……レェヴェチに身長で大差つけられるなんて! 家系を恨むぜ。


「あ、あれ? ミヤタタツオどうしたでありマス」


 これは涙じゃないからな! まつ毛が目に入っただけだからな。嘘じゃねえし!


「わ、悪かったでありマスよお」

「やめろ! 頭を撫でるな!」


 まるで俺が小っちゃいみたいじゃねえか!




 くそ、さっきのことは全員忘れてくんねえかな。地球じゃここ数年は俺のナイーブハートに考慮して身長ネタは禁句みてえになってたから耐性を失ってたぜ。あれ? 俺の心もろくね? おかしいな、なんか強化されてたんじゃなかったっけ。


「どうしたんでありマスか、せっかく外に出られたでありマスよ」

「ん。ああ」


 いや、出れたのはいいけどさ。


「あれは何だよ」

「肉屋さんでありマス」

「そうか」


 こっちじゃ客が見てる前でさばくのか。マグロの解体ショーなら見たことあるが、豚や鳥が目の前で解体されてるの見たら現代人は食欲なくすぞ。俺は大丈夫だけど。ああ、こういう方面の精神耐性はつけてくれたみたいね。

 しっかし糞尿といい解体した動物から流れ出てる血や内臓といい、なんでもかんでも通りにぶちまけてこいつら病気になってもしらねえからな。


「なあ、糞尿やら血やら内臓やらがそこらへんにあるの気にならないか」

「何がでありマスか?」


 レェヴェチは常識ないのか。おっさんなら詳しそう。


「臭いは気になるが慣れろ。この世界はこういうものだ」

「臭いもひどいけど衛生面について聞いてるんすよ」

「衛生。確か医学用語にそのような言葉があった気がするな。病から命を守る術、だったか」


 さすが貴族だけあるな!


「そうそう。その衛生観念から見てこの通りの状況はどうすか」

「ん? 衛生というのは、要は魔獣の瘴気に近寄るなということだろう」


 全然違うわ!


「いいか。衛生というのはだな……」


 俺があやふやな知識を披露すると


「んー。確かに汚物は片付けたほうがいいと思うでありマスが」

「サイキンだのウイルスだの言われてもな」

「本当に目に見えない生き物がいるのかしら?」

「にわかには信じがたい話だ」


 くそっ! でもなあ!


「不作とかで栄養を十分にとれないとなあ! 疫病が猛威振るったりやべえんだぞ!」

「えっ」

「ええ? どういうことかしら?」

「ほう」

「ふむ」


 えっ。なんで全員驚く。


「なに言ってるのでありマスかあ、疫病は魔獣の瘴気が原因でありましょう」

「そうよね。農作物が不作なのも魔獣のせいよね」


 んん? いや、え? こっちじゃそうなの? 魔法あるくらいだし、俺の常識は通じないのか?


「いやしかし。私の記憶が正しければ不作の年と疫病の年は一致する例があるな。むろん、それが直ちにミヤタタツオの言うことが正しいとはならんが」

「そんなことより、目的を忘れていないか。俺たちはミヤタタツオの服を買いにきたんだろう。ほら、あそこがそうだ」

「そうでありマスよ! 服買いにきたのでありマスよ!」


 おいレェヴェチ腕引っ張るな。お前力強すぎ。

 つうか、俺の話結構大事な気がしたがそんなこと扱いされたぜ。まあこいつらに言っても意味ないからいいか。フャトミトュウなら何かしてくれるかもしれない。


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