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第二十六波、帝国軍と戦うとか冗談じゃねえ




 昼食を終えた俺たちはフャトミトュウの私室に案内された。何でもこれから仕事仲間になる連中と顔合わせをするらしい。


 木製の大きな観音扉をひげのおっさんが開く。おお、やっぱ居住空間は流石に広いわ。でも城だからか殺風景な部屋だな。窓が狭いくせに照明もないから薄暗くて気味が悪いのも嫌な感じだぜ。


 俺たちがソファに一列になって座ると対面の同じ大きさのソファにゆったりと座ったフャトミトュウがイムナナを使いに出した。代わりに馬車に同乗していた侍女二人がフャトミトュウに後ろに立つ。


「何だ、そう言えば紹介が遅れていたな。こやつらはムクとラツク。侍女兼私の護衛でもある」

「ラツクと申します」

「ムクで御座います!」


 俺の視線に目ざとく気付いたフャトミトュウは後ろの侍女を紹介した。ラツクは青みがかった銀髪のミディアムでジュヴラリクさんに負けず劣らずなボンキュッボンな体型。ムクはカフェオレ色の髪をボブにした幼顔で高身長……くそっ! つうか顔で選んでやしねえだろうな。護衛なのにえらく美少女な二人だ。


「よろしくでありマス!」

「しばらくお世話になるわ」

「よろしく頼む」

「よろしくお願いします」


 おいイケメン挨拶しろ。


「フャトミトュウ様。みなさまをお連れ致しました」

「入ってこい」


 あーあ。タイミング逃しちまった。まあイケメンだし大丈夫か。


 入室の挨拶と一緒に入って来たのはひげのおっさんも含めて五人。


「ああああああ!」


 あんた俺を拉致したガチムチのおっさんじゃん! 何でここにいるんだ!?


「おや坊主奇遇だな!」


 奇遇じゃねえよお前のせいだよ!


「オウスの知り合いか? そう言えば、お前の部下と口論をしていたな」


 知り合いなんかじゃねえよフャトミトュウ! こいつが犯人だから!


「アーフが愚痴ってたが坊主のせいか! はっはっは! あいつと口論で勝てるとは坊主中々口がうまいな!」


 あのガリガリ、アーフって名前か。ま、あこぎな詐欺をした報いだな。


「いいか。アーフにも言っておいたがあくまでこちらの条件通りにことを進めるのだぞ? でなければ契約は破棄だ」


 フャトミトュウよく言った。褒めてやるよ。


「それは困るな! 言っておこう!」

「ちょっと! 隊長口調なんとかして!」


 あ、こいつ拉致られてる途中で見たな。


「あ、すまんなセクタル! 言っておきましょう! これでいいか!」

「申し訳ありません! お許し下さいコグレシュ様!」


 苦労してそうな奴だ。イケメンじゃなかったら同情してたかもな。ウチのイケメンは正統派カッコいいイケメンだが、あっちはふんわり系か。くそ! 滅びろ!


「ふん、既定の仕事を成すなら何も言わんよ。それより紹介に移ろう」


 フャトミトュウは立ち上がり、部屋に入ってすぐのトコで立つ五人のそばによって彼らの紹介を始める。俺たちも儀礼的に座ってる訳にいかんし、立つ。


「彼はエビブル。現在集結中の騎士の取りまとめをしている」


 フャトミトュウが最初に手で指し示したのは、カイゼルひげのいかついおっさん。


「以後お見知りおきを」


 右手を額の前に持っていき挨拶するエビブル。まるで軍隊の敬礼みたいだな。


「彼女はレキシボ。魔法の扱いがうまい」

「よろしくお願い致しますわ」


 次に紹介されたのは杖を持ったお婆さん。優しそうな表情。いい人っぽい雰囲気。


「面識があるようだが彼はオウス。傭兵団の長だ」

「はっはっは! よろしくな坊主!」


 こいつとは関わり合いたくねえ。


「君は確かセクタルと言ったね。魔法使いだとか」

「あ、はい。よろしくお願いします!」


 へえ、魔法が使えるのか。この世界の魔法ってどんなんだろう。


「そう言えばちゃんと紹介していなかったかな。彼はイムナナ。私の執事だ」

「よろしくお願いいたします」


 おい目が冷たいぞ。こいつともあんま関わらない方が良さげだな。


「ふむ。ではミヤタタツオ。自己紹介でもしてくれ」


 いきなりか!


「えー、宮田竜夫です。魔法が使えます。よろしくお願いします」


 フャトミトュウに指差された俺から挨拶を始める。一応会釈もしとく。


「ジャアァグだ」


 イケメンェ……。名前だけかよ。


「え、あ、レェヴェチでありマス! よろしくでありマス!」


 お前も敬礼なの?


「ジュヴラリクよ。よろしくお願いしますわ」


 ジュヴラリクさんまで。この世界の挨拶はそういうもんなのね。


「アァドバァグ。よろしく頼む」


 おっさんの挨拶が終わると、カイゼルひげが素敵なエビブルがギョロリとフャトミトュウと見る。


「彼らは?」


 体をびくりと震わせたフャトミトュウはツンと顔を上げてエビブルを見返す。なにこの子かわいい。


「き、聞いて驚くな。ミヤタタツオは極めて強力な魔法使いなのだよ!」

「ほう! では先程の魔法はもしやミヤタタツオ殿が?」

「ああ、私がしました」


 大いに後悔中だぜ!


「素晴らしい! これならば帝国軍を蹴散らせましょう!」


 ん? 何か俺、帝国軍とやらと戦うことになってね?


「そうだろう! 今も苦しい思いをなされている父様も喜ぶに違いない!」


 後悔の度合いがどんどん高まって行くぜ! フャトミトュウは従軍中の父親救うために俺を雇ったってか? マジかよいきなり従軍とかオワタ。


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