第二十波、雇用条件はいいんだが仕事がブラックです
このアマは一体何を言ってるんだ?
「さっきのアレを見せて貰ったよ。凄まじい破壊力だ。是非とも我が陣営に加えたい」
これはもしかして軍人になれと勧誘されてる?
えー、それってお前たちは蛆虫だっ! って罵倒される生活をしろってことじゃないですかーいやだー。
「本気ですかフャトミトュウ様? 素性も知れぬ男ですぞ?」
灰色のひげで顔半分を覆ったおっさんが俺のことものっそい睨んでるんだけど。俺を睨んでも意味ないからやめろよ。その、フヤト何とか様の方を見ろって。
おいフヤと何とか。お付きのひげのおっさんも反対っぽいし、俺もそういうの勘弁なんでこの話はなかったことにしようぜ。
「では、このお話はなかったことに……」
「フャトミトュウ様の申し出を断るつもりか!」
おっさんは俺にどうしろっつうんだ! 反対っぽい態度だったじゃねえか!
あれか、お嬢様の面目立たないから俺から断るのは駄目なのか?
「逃がす気はないぞ。これだけの人材をよそに渡してなるものか」
そしてこいつは態度が変わらない。どうしろと?
「何が不満なのだ君。私の元に来れば一生食うに困らない生活が出来るぞ」
終身雇用……だと? 現代日本ですら失われようとしている、あの……。
「一生安泰……?」
「その通りだ! そうそう、まだ名前を聞いていなかったな。何と言う?」
「宮田竜夫」
どうする、俺? 金も仕事も家族もない異世界で終身雇用。何て好条件! 高物件! ただし、お仕事は空爆! ブラックな職場!
くそっ! 金を取るか身の潔白さを取るか!
「ミヤタタツオか! さあ行こうではないか!」
ああもう腕引っ張らないで! まだ俺迷ってる! まだ決まってないから!
痛い痛い痛い腕がもげる! 誰だもう一方の腕引っ張ってんのは!
「やらせはせんのでありマス!」
「おお! レェヴェチ!」
来てくれたか! ちょうどいい、進路相談の時間だ!
「誰だお前は?」
「私はミヤタタツオの仲間でありマス。さあ、手を放すでありマスよ」
「残念だが今日からミヤタタツオは私の配下だ。そっちこそ手を放せ」
やめて! 私のために争わないで! って俺がこの立場かよ! 俺が奪われる側か!
「ええい! どっちも放さないか!」
「いやでありマス!」
「私に指図するな」
ふざけんな両腕がもげる! このままじゃもげちゃう!
「おい俺の意思を尊重しろ!」
「ううう!」
「ぬぬぬ!」
無視すんな! ちょ、本当、やめてもう無理だからあああああああああああああああああ!




