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第十九波、拉致→徴兵の次は人身売買すか?


「先ずその書類は無効だ。契約書には本人の同意が必須と書いていたのも読めんのか」

「そんな、奴らは手形を押してるんですぜ?」


 ガリガリざまあ。おれの背中に乗ってる女、もっとやっちまえ。何か権力者っぽかったし、こういうあくどいのはじゃんじゃん絞っちゃって。


「くどい。当方は未だ滞在費しか払っておらんのに、契約がご破算になっても構わんのか?」

「……分かりましたよ。お前ら、解散してもいいぞ」

「ありがとうございます!」

「さっすが領主様の次女様だ!」

「やったあ! これで故郷で結婚式を挙げられる!」


 声は幼いのに、威圧感が常人とはダンチだねえ。ふへへ、がりがりのヤロウ自分より弱い奴にしか偉ぶれねえのかよ、とんだ小心者だな!


「へへへ、では俺は失礼します。また兵を集めなくてはならないのでね」

「料金分の仕事はしろよ」

「勿論でさあ」


 あらあら、こそこそと逃げ出しちゃって。みっともねえザマだな。はっ! おととい来やがれってんだ!


「さて、そこのお前」

「は、なんでやしょうフャトミトュウ様!」


 貧相なおっさん、嬉しそうで俺も何よりだぜ。


「さっきの大魔法を使ったのはこいつか?」

「へい! そうでやす! では、これで!」


 ああ、行ってしまうかおっさんたち。さっきまでは俺をあんなに褒め称えていたというのに、領主の威光を着た小娘のせいで手柄が総取りされちまった。くそ! 精神が狂気に侵されそうな程頑張ったのに!


「おいお前。立て」

「あ、はい」


 全くお偉いさんだからって初対面の人の背中に躊躇なく乗れるこいつはどんな……かわいいですね!


 真っ白な肌に真っ黒な長髪ぱっちりクリアな碧眼小さいお鼻不機嫌そうな眉の逆八の字。服もお偉いさんらしく淡い水色ふわふわドレス。


 か……完璧だった! これで俺より小さければ完璧だった! ふざけんな! 栄養事情悪そうなのに何でお近づきになる美少女美女だけ俺とほぼ同等以上の身長なんだよ! つうかこの顔で平然と平手かまして来たのかよおっかねえなおい!


「何をジロジロと人の顔を見ている」


 くそ! そっちが用あるんじゃないのかよ。じゃあどこを見ろっつうんだ。何も喋らないんならどっか行くぞ。この心の荒れ具合はあの小娘で遊ばないとどうにもならん!


「まあいいだろう。今日から君は私の物だ!」

「はあ!?」

「フャトミトュウ様いきなり何を申されておるので御座いますか!?」


 んあ!? な、なんだってえ!?


 

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