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第十八波、お前らは性善説に傾倒でもしてんの?




 A-10が翼をヒラヒラさせながら去って行くのを手を振って俺は見送った。


 いやあ、凄まじい光景でしたな。流石、アメリカが作った対ソ兵器は一味違うぜ。あひゃひゃひゃひゃ! もうロクに食ってないから変な酸っぱい液が喉からこみあげて来たぜ! おっさんに掛けたら悪いし飲み込んだが気分はサイテーだ!


 ま、俺はともかくとして、現代テクノロジーにかかりゃあの程度楽勝っすよ。


「おっさん。もう肩車はっ!?」


 ちょ、おっさんこけた! うわあああああああああああ地面が迫るうううううううううううううう!


「大丈夫かい!?」

「助かった……ありがとう」


 危ねえ、前列のタレ目のおっさんが抱きかかえてくれた。そして地面に下ろされる。

 こけたおっさんの方は大丈夫なんかよ。


「おっさんどうした? 俺が重すぎたか?」

「違う! そうじゃなくて! あんたの魔法におでれえちまって腰が抜けちまったんだあよお!」

「あれ、ホントに君がしたのかい?」


 何だ、タレ目のおっさん疑うか?


「当たり前だ、あれは俺に応えて来たんだよ」

「おお……」

「すげえ……」

「あの怪鳥を操ってるのか……」


 んん? 周りが俺を見てざわついていますな。へっへっへ、ついに俺の威光が見えてきたか?

 何しろあの破壊力だかんな。アレには心が震えたね! 素晴らしい! げへへへへ!


「ふふふふ、はっはっはっは! 見たか! アレがUSAFだ! A-10だ! さあ皆! 戦は終わった! さっさと帰ろうぜ!」


 ひゃっはああ! 徴兵期間終了! 愉しい悪夢が見れそうだあ! 正気度は投げ捨てるものぉ!


「そうだそうだ! こんなトコにはおさらばだ!」

「おい坊主一緒に飲みに行こうぜ! 今のには痺れちまった!」


 はははは、そうだろうそうだろう! 行こうじゃないか皆の衆! これからは俺を崇めるといいよ!


「ところがどっこいそうは行かねえんだなぁこれが!」


 あぁ? ガリガリ何の用だ?


「お前らさあ、ここに来る前に手形押したよな? あれはなあ! 六か月の従軍同意書なんだよぉ! それが済むまで帰れませぇ~ん! 残念でしたぁ!」

「そ、そんな!?」

「しまったやられた!」


 え、ちょっとちょっと。どういう事なの? 何か三十人程呻いてる連中は、まさかこんなアホみたいな同意書に手形押したとか言うなよ?


「あんたは手形押したの?」

「あ、ああ……まさかそんな意味があるなんて知らなくて」

「あんたは?」

「わ、私も……そんな重要な物とは思わなくて」


 な、なんだってー! おいおい! おっさんたちいい年してホイホイ契約結んでんじゃねえよ!

 馬鹿か! 馬鹿だろ!


「ふざけるな! 無効だ無効!」

「そうだそうだ!」

「黙れ! 同意書にはここの領主のサイン入りなんだよ!」

「な……も、もう終わりだ」

「領主様が? それならどうしたらいいんだ……」


 ええ……ここの大人はどうなってんだよ。騙されやすっ! このままじゃ地獄の軍隊生活ってかあ!?

 ひゃはっはっははあ! あんだけ虐殺したんだ! あと一人や二人加わろうが変わねえぜ! お前も死んでみっかガリガリよお! ああん!?


「皆の者静まれ! コグレシュ一門当主マクナアァ次女フャトミトュウ様であらせられるぞ!」


 おお? 何か偉そうな女キタ! アレ殺ったら俺国家犯罪者になるな! 勲章モンだぜえ!


「何がだあああああああああああああああああああああ!」

「これ、静まらんか!」


 思考回路が逝きかけているっ! やべえなんかもう罪悪感がやべえ! 今すぐ俺の体を吹き飛ばしたい位やべえ!


「やばいやばいやばいやばい! 正気度がマジで尽きかけてんぞこれ! 落ち着けっ! 落ち着くんだ俺! こういう時は深呼吸だ! ひっひっふー、ひっひっふー! って、違うだろって誰かツッコめ馬鹿!」

「し……静まれ!」

「見ていて苛立ってしまったわ。どけ」

「フャトミトュウ様!?」

「ぐべえ!?」


 こ、このアマ……何の前触れもなく平手かましてきやがった。


「げべえ!?」


 おまけに背中を踏み抜きやがった。ありえねえ……。


「では、私の話を始めようか」


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