第十七波、A-10二機編隊VSドラゴニック傭兵団一千兵
何か前の方からザッザッザと規則的に近寄ってくる大量の足音がする。
けど俺が小さい……じゃなくて周りが大きいから前が見えねえ。どうするこれじゃなんもできねえ!
「おいあんた!」
俺に真っ先に話し掛けて来た貧相農民なら聞いてくれるだろ。
「何だい」
「俺を肩車しろ!」
「はあ?」
「いいから! 俺は敵さえ見えりゃ吹き飛ばしてやれるんだよ!」
「魔法が使えるのか!?」
「まあそんなもんだ!」
よっし、肩車されるのは地味に俺のプライドに傷が付くが前がよく見えるようになったぜ!
うおお、俺ら最後尾ってのもあるがすげえ人の集まりだ。この部隊、百人は確実にいるな。そして俺たちの部隊の左右にも同じ規模の部隊が一つずつ。さらに前には弓兵が三十人位。あと騎兵が周りをうろちょろしてる、まあ三十位かな。合計三百以上四百以下ってトコかね。
んでだな、今前方の平野から迫ってきている敵軍な。どう見てもこっちの三倍の規模はあるんだわ。しかもさ、あれ人間じゃなくね? 皮膚が赤かったり青かったり、牙やら角生えてたり。持ってる武器が槍じゃなくて斬馬刀的なのだし。筋力が人間と比較にならないってことじゃね?
そんな奴らと白兵戦すんの? 何で俺たちまで平野に展開してんの? 壁に篭もればいいじゃん。
え? 俺間違ってる? 間違ってんの? 篭もるよりも平野で三倍の敵と会戦する方が賢い戦い方なの?
まあ、俺軍事にそこまで詳しくないし、現地の人の方が戦い方は分かっていらっしゃるのかもな。何しろ、三倍の敵と堂々と正面衝突するんだ。何か魔法とかで圧倒すんだろ。だよな?
「なあ、これ勝ち目あんの? 敵こっちより多くね?」
あんたから現地の意見を聞かせてくれよ。
「一農民にそんな事が分かるものか! まずいならさっさと魔法で何とかしてくれよ!」
「そ……そうだな。やってやるか」
やっべ、震えて来た。あんだけの数を倒せんのか? いくらA-10だって俺二機編隊位しか呼べないんだぞ。
いや! やるしかない! この世は弱肉強食じゃあ! 俺の前で塵になれ!
「近接航空支援を要請! 前方の敵を殲滅せよ!」
真っ青なお昼の空に現れたのは二機のA-10。たった二機で大丈夫か?
あ……爆弾を投下したぞ。クラスター、じゃない無誘導爆弾か。敵軍のいた場所で爆煙が上がり中央付近が包まれる。無誘導爆弾とはいえ、密集してたからな。あの煙の中は……くそ、早く撤退しろよ。頼むぞA-10!
一度遠ざかったA-10が反転し、また敵軍上空に迫る。そして、爆弾投下。今度は左側だ。
もう一度、反転。右側で爆煙が上がる。敵陣は完全に煙の中だ。
A-10は再度反転。敵軍の後方に爆弾を投下したようだ。
計六回。A-10は無誘導爆弾を投下した。一回一発で二機合わせて十二発。敵の対空火力なんてものはなく、A-10は一発一発を的確に投弾していった。煙が晴れた頃には敵軍で立っている者はほとんどいなかった。
残った敵を、A-10は七砲身ガトリング砲アヴェンジャーで確実に刈り取って行く。
そして、敵軍全滅。
ああ、何か俺、さっきと別の意味で震えて来たわ。
密集隊形一千兵ならMk82 500lb爆弾十二発でも余裕と判断しました。致死半径50メートルあれば大丈夫……ですよね?




