第十六波、無差別徴兵とか怖過ぎだろ
右を向くと槍を持った人の隊列が並び、左を向けば槍を持った人の隊列が並ぶ。
これどうすんだよおおおおおおおおおおおおおお!
逃げようにも後ろには騎兵がいてこっち睨んでくるし! まさか敵でもないのに近接航空支援で吹き飛ばす訳にもいかねえ。
俺やべえどうする誰か助けろ。
「な、なあ。あんた貴族か?」
右隣の貧相な男に話し掛けられた。ああ、そういう設定だったな。
「そうだが何だ?」
「何でこんなトコに?」
俺が聞きてえよそんな事。
「やっぱあんたも無理矢理ここに来たんだな?」
「お前もなの?」
「そ、そうなんだよ! 俺はただの農民だってのに! 畜生!」
マジか。悪質過ぎるわ。
「あなたもなんですか!?」
おい、前のあんたもかよ。
「え、お前も?」
「あんたもか!」
「てめえもかい?」
何この流れは。
「もしかして、この部隊って全員無理矢理徴兵されてんの?」
うわ、俺の周りの奴全員賛同しやがった。ありえねえ……。
「あ! いたいた!」
さっきのガリガリだ。馬に乗って何しに来たんだ?
「あんたはこっちに来な」
「俺?」
「そうだ、早く来い」
良かった、逃げられる。槍なんて前時代的な武器ポイしちゃえ。
「ちょっと! 俺も無理矢理連れてこられたんだ! 返してくれ!」
「私も返してください!」
おお、そうだな。皆も帰ろうぜ。
「だ~め。こいつだけ。こいつは貴族だからな」
何だと?
「ふざけるな! そんなの関係あるか!」
「そうだそうだ! 俺らだって無理矢理連れてこられたんだ!」
うおお、皆槍持ってんだぞガリガリ怒らせたら駄目だろ。
「うるせえ! てめえら死にてえか!?」
ガリガリは後ろの騎兵を呼ぶ。騎兵の威圧感に皆は黙った。俺もガリガリに口答えする気が失せた。
死にたくない。
でも皆を見殺しにすんのか? いやでもプロの兵っぽいガリガリと騎兵十二騎が殺気出してんだぞ。
怖い。穏便にこの場を去りたい。
「ほら行くぞ」
ガリガリが俺に馬の上から手を差し出す。
「……いや、すんません。俺貴族じゃないんだわ。この服は落ちてたの拾っただけ」
さーせん。ちょっと俺には見逃せないわ。
「ああ!? くそ、紛らわしい格好しやがって! さっさと持ち場につけ!」
「はい!」
槍を拾って持ち場に戻る。
「おい、いいのかい。折角逃げられたのに!」
「へへっ! いいんすよ! 今から面白いもん見せてやんよ!」
くそ! こうなりゃヤケだ! 頼むぜ現代兵器! 俺にその真価を見せてくれ!




